交響詩篇エウレカセブン(アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『交響詩篇エウレカセブン』とは、2005年4月17日から2006年4月2日まで毎日放送をキー局として、TBS系列で全50話が放送された、ボンズ制作のSFロボットアニメ。この作品のために作られた放送枠の朝7時より放送。
主人公の少年レントン・サーストンは、エウレカという少女に出会って一目惚れし、彼女を追って反政府組織ゲッコーテイストに参加。冒険の中で成長していく一方、知的生命体「スカブ・コーラル」と星の謎を追う巨大な陰謀に巻き込まれ、世界の命運を巡る戦いに巻き込まれていく。

『交響詩篇エウレカセブン』の概要

『交響詩篇エウレカセブン』とは、ボンズによって制作されたオリジナルSFロボットアニメ。
レントンとエウレカを中心に描かれるボーイ・ミーツ・ガールの物語は大人気となり、アニメ史に残る傑作となった。
2009年にはパラレルワールドを描いた劇場版『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』が公開となった。2012年には原作の続編となるアニメ『エウレカセブンAO』が放映され、2017年には新劇場版三部作『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』が順次公開された。
作品内には様々なオマージュがされており、原作アニメの各話のタイトルは人気バンドの曲名などから取られている。

田舎に住んでいたレントン・サーストンは空中に漂う粒子「トラパー」に乗って空を飛ぶスポーツ「リフ」が好きな少年だった。そんなレントンの将来の職業は軍人か、祖父が営むジャンクショップの跡取りだった。そんな生活にレントンは退屈していた。そんな時、謎のロボットが飛来した。中から出てきたのは緑色の髪をした神秘的な少女・エウレカだった。この出会いにより、レントンの未来は大きく変わって行く。

『交響詩篇エウレカセブン』のあらすじ・ストーリー

レントン(上)とエウレカ(下)。

レントンの旅立ち

スカブ・コーラルと呼ばれる珊瑚のような大地が地表を覆い、目に見えないトラパーと呼ばれる未知の粒子が大気中に含まれるある惑星。
その辺境の街ベルフォレストに住む少年レントン・サーストンは、トラパーの波に乗って空中を滑空するスポーツ「リフ」に夢中な14歳。
彼の亡き父アドロック・サーストンは教科書にも載るほどの世界的英雄だが、その息子であるレントンの将来は軍人か、家業のジャンク屋という平凡なものだった。そんなレントンは生まれ育った環境から逃げ出すきっかけを待っていた。

そんなある夜、突然見たこともない汎用人型重機・LFO(トラパーを利用して空中での高速機動が可能なロボット)が自宅に墜落しレントンの部屋を半壊させる。
呆然とするレントンの前に、謎のLFO・ニルヴァーシュのコックピットから降りてきたのはエウレカというレントンと同年代の少女だった。どこか神秘的な雰囲気を持ったエウレカに、レントンは一目惚れしてしまう。
エウレカからニルヴァーシュの整備を依頼され、伝説のメカニックといわれる祖父アクセル・サーストンとレントンが作業をする中、突如ミサイルが飛来。攻撃してきたのは、エウレカを追ってきた軍の部隊だった。エウレカは追っ手と応戦するためにニルヴァーシュの整備をしないまま出撃してしまう。
彼女は反軍組織・ゲッコーステイトのメンバーだったのだ。
祖父から託された拡張パーツのアミタ・ドライブを彼女に届けるため、レントンはリフボードを握りしめ激しい空中戦が繰り広げられる空へと飛び出して行く。アミタ・ドライブをセットしたニルヴァーシュは、周囲のトラパー領域を反転させる「セブンスウェル」を発動して、物理法則を無視した動きを見せ、鬼神の如き強さを発揮した。
ゲッコーステイトは、レントンが憧れる伝説的なリフのチャンピオンにして元軍人のホランド・ノヴァクが率いる組織だった。ホランドとエウレカからの勧誘を受け、レントンは彼らと行動を共にすることを決めて、故郷を飛び出していく。

擦れ違う恋心

ゲッコーステイトの面々と様々な場所を旅していく中、レントンはエウレカもかつて軍属だったこと、軍の命令で虐殺に加担したこと、この時初めて軍のやり方に疑問を覚えてホランドたちと共に脱走したことを知る。抵抗することもできない人々を殺した過去は、エウレカの心の中で大きな傷となっており、レントンは彼女の支えになりたい一心で空回りを繰り返す。
レントンの努力は次第にゲッコーステイトの面々に認められ、エウレカとの距離も縮まっていく。しかし代わりにエウレカはニルヴァーシュをうまく操縦できなくなり、ゲッコーステイトにおける自分の存在意義を見失ってしまう。エウレカとの関係が破綻したと感じたレントンは、ほとんど衝動的にゲッコーステイトを後にする。

ゲッコーステイトの外で様々な経験をしてレントンが成長する一方、エウレカは自分がレントンに抱いていた気持ちが恋であったことに気づき、彼にもう1度会いたいと考えるようになる。
擦れ違いを繰り返しつつ、エウレカの奪取を命じられた傭兵がゲッコーステイトを襲撃した際に2人は再会。互いに想い合っていることを確かめるが、ここでエウレカが人間ではないことが明かされる。

アゲハ計画の実行

エウレカの正体は、スカブ・コーラルが人間との対話のために作り出した人型のコーラリアンだった。スカブ・コーラルは人類に様々な恩恵をもたらしてはいたが、それ以上に害も与えており、軍は「スカブ・コーラルの完全破壊」を目的とするアゲハ計画を推し進めていた。
“山脈のごときサンゴ礁”のようなスカブ・コーラルは、人類とはタイプの違う知性体であり、アゲハ計画にどう対応するかを決めるためにエウレカを作り出したのである。これはエウレカ自身も知らなかった事実だったが、彼女は驚きながらもレントンと共にこの事実を受け止め、乗り越えていこうと誓う。

一方、軍はアゲハ計画を推し進めてスカブ・コーラルへの攻撃を開始。スカブ・コーラルはこれに対抗して、抗体コーラリアンという強力な攻撃能力を持つ怪物を放出する。抗体コーラリアンによる無差別な反撃で、各地の都市に大きな被害が発生する。
事態を収拾するため、スカブ・コーラルに関する秘められた謎に迫る必要があると考えたホランドは、「これ以上危険なことには巻き込めない」とゲッコーステイトの解散を宣言。しかしレントンたちは1人1人が「ここまで来て何を水臭い」とホランドと共に戦うことを決め、再び彼の下へと集う。一方、ホランドの兄で高級将校のデューイ・ノヴァクは、この混乱を利用してクーデターを起こし、軍内部の全権を掌握する。

少年が貫いた想い

今から10000年前、宇宙から地球に飛来したスカブ・コーラルは、瞬く間に地表を覆っていった。これにより生存権を奪われた人類はやむなく宇宙に脱出し、長い時を経て地球型惑星へと到達。ここを第2の故郷とする一方、この星にも自生していたスカブ・コーラルとの長い戦いを開始する。この時から現在に至るまで、自分たちが「第2の故郷」として選んだこの星が、スカブ・コーラルの繁殖によって地形と環境が様変わりした地球であることには、人類のほとんどが気づいていなかった。
この事実を知ったレントンが衝撃を受ける中、デューイは軍と自らの威信に懸けてスカブ・コーラルへの総攻撃を開始。スカブ・コーラル側もこれに反撃し、甚大な被害が発生する。このままでは双方が滅亡しかねないと考えたホランドはゲッコーステイトの面々と共に戦場に乱入し、兄との因縁に決着をつける。

同じ頃、エウレカは人類への攻撃を止めるために、自らスカブ・コーラルと一体化しようとしていた。「全ての人間が悪いわけではない、レントンやホランドのように自分を守ろうとしてくれた優しい人もいる。彼らを死なせたくない」との想いからの行動ではあったが、それはエウレカという個体が群体生物であるスカブ・コーラルの一部として吸収されて消滅することをも意味していた。
エウレカへの想いを胸に旅を続けてきたレントンは、「そんな結末は受け入れられない」とニルヴァーシュと共に出撃。エウレカを救出し、自らの行動で「人類とスカブ・コーラルは分かり合える、互いに愛し合って共に歩むことができる」という事実を示す。これによりスカブ・コーラルは人類への攻撃を中止し、世界は救われる。

数年後。アゲハ計画の阻止という大きな目的を果たしたゲッコーステイトの面々は、それぞれの道を歩み始めていた。レントンはエウレカと結婚し、かつて彼女によって親を奪われた子供たちを引き取り、騒がしくも穏やかな日々を送るのだった。

『交響詩篇エウレカセブン』の登場人物・キャラクター

主要人物

レントン・サーストン

CV:三瓶由布子

本作の主人公。14歳。エウレカに誘われて加入したゲッコーステイトの新メンバー。
かつて大災害から世界を救った英雄アドロックの息子。生まれてすぐに母親を、程なくして父親も失う。
親代わりだった姉のダイアンも父を追うかのように消息を絶ち、メカニック屋の祖父アクセルと共に暮らしていた。

趣味はリフと呼ばれる空中サーフィンで、愛用のボードは憧れのリフボーダー、ホランドのレプリカモデル。
選択肢のない将来と変哲のない現状に不満を抱きつつも、どうにもならずに足掻く普通の少年。
バイタリティはあるが、後先考えずに行動してしまうことがあり、しばしば余計なトラブルを起こしてしまう事も。

空から降ってきた少女エウレカとニルヴァーシュに出会ったことで転機を迎え、ゲッコーステイトに加入する。
他人の操縦するLFOに同乗するとひどく不快を覚えるらしく、序盤ではコックピット内で粗相をしてしまうことが多かった。
以来メーテルたち3人の孤児達から「ゲロんちょ」呼ばわりされることになる。
整備の腕は確かだが、家族そろってピーキーに仕上げる癖がある。

序盤~中盤では子供っぽい言動が目立ち、エウレカやメンバーに感情をぶつけることもあったが、様々な経験を積み徐々に成長。
ニルヴァーシュとの感応能力の高さから、LFOの操縦技術もエウレカに引けを取らないほどにまで上達する。
月光号を離れた時にビームス夫妻など様々な人に出会う事で精神的にも大きく成長した。
月光号に戻った後はエウレカと心を通わせていき、心身ともに助けが必要となるエウレカにとって大きな支えとなり、子供達の父親としても立派に成長した。

容姿も少しずつ変化しており、最終話が近づくとともに表情も凛々しくなり、色々な経験をしてきて「男」として成長したのが窺がえる。
最終話の住民票(2055年(スカブ12006年)4月2日発行の模様)によればエウレカと籍を入れて、彼女が世話をしていた3人の子供達を養子として迎え、16歳にして三児の父になる。

搭乗機は「ニルヴァーシュ type ZERO」。

エウレカ

CV:名塚香織

ゲッコーステイトに所属し、ニルヴァーシュを操る天才LFOライダー。年齢不詳。
青竹色のショートボブに薄紫色の瞳、前髪を留めるための金色の髪留めと首輪が特徴。
言動や表情が感情に乏しく抑制的。どこか世間一般の人間の感性とはズレているところがあり、通常では不可視のトラパーの流れが読めたり、ニルヴァーシュをはじめ機械の感情が理解できる。リフボード、LFOの操縦技術の高さにはこれらの能力が影響している。

かつて所属していた塔州連邦軍の特殊部隊SOF時代に、宗教都市シウダデス・デル・シエロを破壊、大量の市民を殺戮した過去を持つ。
この件で自分の犯した罪の大きさを自覚し、その場で生き残っていた三人の子供たちの母親代わりとして育てることを決意する。

その正体は、スカブ・コーラルが人間と対話するために作り出した人型コーラリアンで、ニルヴァーシュ発掘現場で保護される。
レントンとの出会いをきっかけに、少しずつ喜怒哀楽の感情が表れはじめる。そんな自分自身に戸惑いながらもレントンへの恋愛感情を自覚し、表情や言動も年頃の少女らしい愛らしく豊かなものへと変化し、一人の女の子として、また母親としも成長していく。
登場人物の容姿が変わることがストーリーに大きな影響を与えるこの作品で、外見が様々に変化し続けた人物である。

搭乗機は「ニルヴァーシュ type ZERO」。

ゲッコーステイト

ホランドが塔州連邦軍を脱する際に奪取した最新巡洋艦「月光号」を駆る神出鬼没の空賊。反体制グループ。
所属メンバーをモデルやライターとして作成する雑誌「ray=out」を出版することで注目を集めると同時に、政府が隠蔽しようとする事実について広く一般に人々に知らせようと活動する。
反政府活動をするホランドたちに共感した若者が集い、現在のゲッコーステイトを作り上げる。
「賞金目的でリフはしない」というカリスマ集団らしいポリシーを持つが、内実は厳しい財政を支えるために表沙汰には出来ないような危ない仕事をすることで凌いでいる。

ホランド・ノヴァク

Parfait557
Parfait557
@Parfait557

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