聖闘士星矢はどんな物語?歴史に残る名作を解説!

聖闘士星矢は1986年から1990年まで週刊少年ジャンプで連載された車田正美による漫画。聖衣(クロス)という星座をかたどった鎧をまとい、地上の愛と平和を守るために悪と戦う物語である。ここではそんな聖闘士星矢について解説していく。

概要

1986年から1990年まで週刊少年ジャンプで連載され、また同年アニメ化もされ、ジャンプ黄金期を支えた一つの漫画でもある、聖闘士星矢(セントセイヤ、SEINT SEIYA)は異色のカラーを持った漫画だ。

物語は5人の星矢たち青銅聖闘士(ブロンズセイント)をはじめとする少年たちが星座をかたどった鎧、聖衣(クロス)をまとい地上の愛と平和を守るために己の心に秘めた小宇宙(コスモ)を燃やし戦う姿を描きだしたものである。

時系列ごとに銀河戦争(ギャラクシアンウォーズ)編から始まり、暗黒聖闘士(ブラックセイント)編、白銀聖闘士(シルバーセイント)編を経て黄金聖闘士(ゴールドセイント)との激闘を描いた黄金十二宮編と続く。中でも黄金十二宮編は、最大のヤマ場とする人が多いほど人気の、シリーズ屈指のエピソードでもある。その後海皇ポセイドン編や冥王ハーデス編といったギリシャ神話の神々との戦いを描き物語は完結した。

その読者層も多様で少年、青年層に加えて、若い女性層を取り込み、人気を博した。その一因に登場人物が美少年というか美形のキャラクターが多く、強敵にあっては美形という鉄板ネタがあったのも事実である。

また男気のある戦い方をしたり、義を重んじたり、兄弟愛や友情、絆を掘り下げたりしたのもこの漫画の特徴だ。

例として正々堂々やフェアな戦いを重んずる龍星座ドラゴンの紫龍やクールに徹しろという師から教えを実践する白鳥星座キグナスの氷河。誰も傷つけたくないんだという想いの強いアンドロメダ星座の瞬。そして一匹狼のように一人群れずに戦う修羅のような男、鳳凰星座フェニックス一輝。そして主人公の星矢は無鉄砲だけど誰よりも心根がアツく正義感にあふれた少年だ。それが聖闘士星矢(セイントセイヤ)に登場する少年たちの個性である。

様々な登場人物の思惑が渦巻き、少年たちの戦いも激化し、彼らは危機を乗り越え、究極の小宇宙(コスモ)に目覚め、次々に襲いかかかる強敵に勝利をおさめていくのだ。そして最終章には冥王ハーデスとの戦いにおいてアテナの血で甦った聖衣すなわち神聖衣(ゴッドクロス)をまとい戦い勝利をおさめて未来を勝ち取ったのだ。これが簡単な概要である。

あらすじ・ストーリー

そもそもなぜ彼らが聖闘士になる運命を背負ったのか。それは黄金聖闘士(ゴールドセイント)射手座サジタリアスのアイオロスが教皇になりすました双子座ジェミニのサガの魔の手から降臨した幼きアテナを守り、逆賊の汚名を着せられサンクチュアリから逃亡し、山羊座の黄金聖闘士カプリコーンのシュラに深手負い生き延びた末に偶然が重なりのちに義理の祖父になる城戸光政に助けられ、アテナを託すことから始まった。その赤子こそ城戸沙織(アテナ)なのである。

その城戸光政は自分たちの子供たちを聖闘士の修行の地へ送り込み、アテナを守るべき真の聖闘士としようとし、その中で帰ってきたのが星矢たち10人の青銅聖闘士だった。

彼らを競わせみせものにした銀河戦争を行ったのだが、実は聖域サンクチュアリに教皇として君臨し、地上を征服しようと企む、ジェミニのサガをあぶりだすのが目的だった。イレギュラーで鳳凰座ファニックス一輝の反乱もあり、暗黒聖闘士(ブラックセイント)との死闘を繰り広げられ、辛くも勝利をおさめたが、新たな刺客白銀聖闘士(シルバーセイント)の圧倒的な力に苦戦する星矢たち。

しかし事態は悪化し、聖域サンクチュアリとの全面戦争に発展し、黄金十二宮での黄金聖闘士との激闘の火蓋が切って落とされたのだった。

その戦いの中彼らは究極の小宇宙コスモであるセブンセンシズに目覚めて、黄金聖闘士と互角以上に戦い勝利おさめアテナとアイオロスの汚名を晴らし、地上につかの間平和が戻ったかに見えた。

だがまた海皇ことポセイドンが目覚め地上は海に沈む危機に陥った。再び立ち上がる星矢たち五人の若者たち。黄金聖闘士と互角以上に力を秘めた海将軍ジェネラルたちと死闘が繰り広げられる。しかしこのポセイドンの戦いも双子座ジェミニの弟カノンによって仕組まれた罠であった。

目覚めたポセイドンとの死闘を制し、封印に成功するもここからが本当の戦いだったのである。聖戦、それはペガサスとアテナそして冥王ハーデスとの神話からの因縁。
彼らは多くの犠牲を払い前に進み、輝ける明日を掴んだのであった。これが星矢たちの少年伝説だ。

天馬星座ペガサスの星矢

ペガサスの星矢。年齢14歳。

真っ直ぐな心を持った少年で、ペガサスの聖衣をまとい、数々の強敵と戦い抜いた歴戦の勇者。神話の時代から多くの神々と戦ったことから神殺しのペガサスの異名を持つ。
その魂は常にアテナの傍らにあり、過去の聖戦で幾度となく戦ったことでその異名がついた。また神話の時代冥王ハーデスの肉体に傷つけた者として、ハーデスのトラウマとなった聖闘士の魂の継承者でもある。

必殺技はペガサス流星拳、ペガサス彗星拳、ペガサスローリングクラッシュなど。セブンセンシズに初めて目覚めたのも彼であり、潜在的なスペックは相当高いものと推測される。

そして窮地に陥った時射手座サジタリアスの黄金聖闘士アイオロスの意志が助力し、黄金聖衣が数々の場面で救援に来てくれることが多く、獅子座のアイオリアの前や海皇ポセイドン戦、死の神タナトス戦では粉々に砕かれてしまったが、多くの局面で彼を救った。アニメ版はこの展開が多くクライマックスはこの黄金聖衣のおかげで勝利するパターンが多い。

また阿頼耶識(あらやしき)と呼ばれるセブンセンシズのさらに上の感覚、エイトセンシズに目覚め、かつアテナの血の加護を受けた聖衣は神聖衣(ゴッドクロス)となり、4人と共に冥王ハーデスを討ち滅ぼすことに成功したが、ハーデスの反撃に遭い心臓を貫かれる。その後の生存は不明であったが続編としてのコミック展開聖闘士星矢EPISODE Gアサシンではで生存は確認された。しかし車椅子で沈黙したシーンがあるほか、一時行方不明となっていた描写もあり冥王ハーデスの呪いがかけられている点も興味深い。紫龍の危機を救うべく剣闘士グラディエイターと死闘を演じ、神聖衣を再びまとい戦場へと舞い戻ってきたのである。

決め台詞は「燃えろ俺のコスモ」。

龍星座ドラゴンの紫龍

ドラゴンの紫龍。

義の道に生きた男であり、己のことよりも友を、アテナを守ろうとする強い信念の持ち主である。

黄金聖闘士天秤座ライブラ童虎を師として廬山五老峰で修行に励み、ドラゴンの聖闘士となり、銀河戦争に参加し、友との再会を果たすである。

ドラゴンの聖衣の盾は88星座の聖衣の中でも最固であり、決して壊れない代物のはずが、星矢との闘いでも、山羊座カプリコーンのシュラのエクスカリバーで真っ二つにされているのでこれはあてにならない情報か。

必殺技は廬山昇龍覇や廬山龍飛翔、廬山百龍覇、そして奥義廬山抗龍覇など。またエクスカリバーも体得というかシュラから受け継ぎ、多くの戦いで勝利をおさめた。

戦うスタイルも独自のスタイルで弱者いたぶる真似はしたくないと蟹座キャンサーのデスマスク戦では、黄金聖衣に見捨てられたデスマスクに対し、自らも聖衣を脱ぎ捨て背水の陣で戦った。
その要素はアニメにも反映されて、窮地になったら聖衣を脱ぐ、そして背中に昇龍が浮かび上がるのも定番である。

戦った相手にも畏敬の念を持つ事もあり義理堅い、人情味あふれるキャラクターでもある。海皇ポセイドン編からライブラの黄金聖衣をまとうこともあり、ライブラの後継者という位置づけがしっくりくるようになる。
後発の作品群ではこのライブラの紫龍が多く見受けられ、特に聖闘士星矢 EPIODE G アサシンや聖闘士星矢 NEXT DEMESION 冥王神話また聖闘士星矢Ωなどでも継承者として描かれている。

白鳥座キグナスの氷河

キグナスの氷河。
登場する主要5人のうち唯一のロシア人とのハーフで、愛に溢れながらクールに徹することを求められ続けた凍気の戦士。

師・黄金聖闘士水瓶座アクエリアスのカミュのもとで修行し、極寒の修行の地で永久凍結の氷の中で眠っていた白鳥座キグナスの聖衣身にまとい、多くの戦いで勝利し続けてきた氷の聖闘士とも呼べる氷河である。

必殺技はダイヤモンドダスト、カリツォー、原作ではホーロドニースメルチ、(アニメではオーロラサンダーアタック)そして師から受け継いだオーロラエクスキューション。

しかし未練というか優しさが災いし、十二宮の戦いでは天秤宮で、師でもあるカミュと対峙し、亡くなった母親の遺体が眠る極寒の海底からさらに深い海溝に突き落とされ怒り狂う氷河に対して、カミュはこれから起こりうる黄金聖闘士との戦いで無残に散っていく愛弟子を見たくないという想いから、自身が氷の棺フリージングコフィンによって眠らせることを選んだのだが、のちに訪れた紫龍によってライブラの剣ソードで救出されるのであった。

その後蠍座スコーピオンのミロとの闘いで、「降伏か?死か?」という究極の選択を迫られる瀬戸際で覚悟を決め、勝利をもぎ取り再び師との決闘に臨み、究極のセブンセンシズに目覚め絶対零度の冷気で師の冷気を超えて黄金聖衣を凍結させることに成功した。しかしそれは師との永遠の別れでもあったのだ。

ポセイドン編では友人でもあったクラーケンのアイザックにクールに徹していないと責められるも、師を侮辱し、ポセイドンに与したことを許さず師からの制裁であると言い放ち師から受け継いだ奥義オーロラエクスキューションを放ち勝利をおさめる。今度は親友との死別を経験するという悲劇性の強いキャラクターでもありつつ、そうとは感じさせないのは彼らしいところである。

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