『ダーク・プレイス』は、イギリス、フランス、アメリカの共同製作による2015年の映画。監督と脚本をジル・パケ=ブランネールが務め、シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルトをはじめとする豪華な出演者も話題となった。『ゴーン・ガール』などを執筆して人気を博したアメリカの女性作家、ギリアン・フリンによる小説『冥闇』(めいあん)を原作としている。一家惨殺事件の唯一の生き残りである女性が、自身を苦しめる過去の記憶の真相を探り始めるという、ミステリー・スリラーの金字塔に相応しい一本。
『ダーク・プレイス』の概要
『ダーク・プレイス』は、イギリス、フランス、アメリカの共同製作による2015年の映画。『ゴーン・ガール』などを執筆して人気を博したアメリカの女性作家、ギリアン・フリンによる小説『冥闇』(めいあん)(原題『Dark Places』)を原作としたミステリー・スリラー作品で、2015年4月のフランスを皮切りに、同年8月にはアメリカで劇場公開。日本では2016年6月に公開された。
監督と脚本をジル・パケ=ブランネールが務め、シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト、クリスティーナ・ヘンドリックス、クロエ・グレース・モレッツなど、ハリウッドを賑わせている、錚々たる顔ぶれの豪華な出演者たちも話題となった。
1985年、カンザスで発生した一家惨殺事件の生き残りであるリビーは、金銭目当てで参加した「殺人マニア」の会合で、犯人として逮捕された兄の罪が冤罪であった可能性を知る。リビーは事件当時の関係者に事情を聞いて回りながら忌まわしい記憶と向き合い、自分の人生を取り戻すための闘いに身を投じていく。
練り込まれた予測不可能な展開と、最後に明らかになる家族愛に、多くのミステリーファンが賛辞を送っている。
『ダーク・プレイス』のあらすじ・ストーリー
一家惨殺と冤罪
1985年、カンザス州でとある一家惨殺事件が起こった。唯一、当時8歳だった末子のリビー・デイだけが生き残り、遺児となった彼女はこれまで定職に就くことはせず、寄付金をもらう形で生活してきた。
事件から30年近くが経ち、寄付金の収益もついに底を付いた。困り果てたリビーに、代理人のジムが一通の手紙を届けにやってきた。その手紙には「とある会合に出席してくれれば、謝礼として500ドルを渡す」と書かれている。リビーはその会合に出席することを決め、手紙の差出人に連絡を取った。
手紙の差出人ことライル・ワースは、殺人事件に興味を持つ者らが集まって結成された殺人クラブで会計係を務めている青年だった。リビーは高額の謝礼を受け取るかわりに、事件の詳細について会合で語ることを約束する。そして当日、事件の謎を解明しようと集まっている会員達の前で、封印してきた忌まわしい過去を語り始めた。
リビーは農場を営む母パティと姉のミシェルとデビ―、そして兄のベンの5人家族。一家の暮らしは貧しいものだった。
そして1985年のあの夜、母と姉二人が自宅で殺害される。部屋から逃げ出して難を逃れたリビーだが、警察から誘導尋問される形で犯人がベンだと証言してしまった。ベンを犯人と断定するための確固たる証拠はなかったが、リビーの証言やベンの悪魔崇拝の噂、当日のアリバイがなかったことが決め手となり、ベンは逮捕。ベンは事件から数十年経った今もこの殺人の罪で服役しているが、この会合の参加者達は「彼は無実であり、真犯人は他にいる」と考えていた。さらに彼らは、ベンの釈放を要求するための証拠を探しており、リビーにも証言を撤回してほしいと迫る。彼らが単なる殺人事件愛好家ではなく、兄の無実を証明しようとする活動家の集まりだと知り、騙されたと感じたリビーは途中で会合を退席してしまう。しかし当面の生活費が必要であり、逆らえないリビーはさらなる金銭を受け取ることを条件に、彼らに協力することを決めた。
兄の元恋人との対面
刑務所を訪れてベンと面会したリビーは、兄のあまりの変貌ぶりに驚いた。当時は内向的、かつ反抗的な少年だったはずのベンは妹が面会に来てくれたことを心から喜んでいる様子で、リビーに優しく接してくれた。ベンは必死に「家族を殺したのは自分ではない」と訴えるが、リビーは彼を信じることができなかった。リビーは怒り「本当に無実ならば、何故これまで上告しなかったのだ」とベンを責めてしまう。
ライルから事件の調査資料を渡されたリビーは、ベンが近所に住む少女達に性的な悪戯をしたといういわれのない疑惑をかけられていたことを知った。
この疑惑はベンに恋していた少女クリシーによるでっち上げだったが、一家が暮らしていた小さな町で、その悪評はたちまち広まってしまったのだ。リビーは離別して以来、久しく会っていない父や、ベンの友人であるトレイにも連絡を取り、当時のベンについて知っていることはないかを尋ねて回った。すると彼らは、ベンには当時、悪魔を崇拝するディオンドラという恋人がいたこと、さらに彼女がベンの子供を身籠っていたことが判明する。リビーは調査を続け、事件以来、名前を変えて暮らしてきたディオンドラの自宅を突きとめた。
ディオンドラの家を訪問すると、彼女はベンとの間に授かった娘のクリスタルと二人暮らしをしていた。リビーに事情を聞かれたディオンドラは、事件当日、ベンと共に家出をする約束をしたものの、彼は待ち合わせに現れなかったと語り始めた。でっち上げられた少女への性的暴行の疑いでベンが逮捕されるのも時間の問題で、二人には街を出るほかに道はなかったのだという。
一方、農場の経営難から家が差し押さえられている状態にもかかわらず、ベンにかけられた容疑を晴らすため、弁護士を雇う金を捻出しなければならなかったパティは困り果てていた。そんな彼女に、住宅局の破産管理人のディールが「死亡保険金があれば子供達が救われる」という甘言で忍び寄っていた。背に腹は代えられないパティはディールに騙され、自殺の手助けをしてもらうという契約を交わしてしまっていたのだ。
そして事件当日の深夜、ディールは計画を実行するためリビーの家に侵入していた。リビーはライルからの電話で事件の真犯人がディールであり、彼はこれまでに50人にものぼる嘱託殺人を行った連続殺人犯だと知らされる。
明らかになる真相
ディオンドラとの話を終えたリビーはライルに迎えを頼み、彼女の家を後にしようとする。そこでディオンドラに「自分や娘のことは黙っていて欲しい」と告げられた。共犯者だと思われては困るから、と怯えた表情でその理由を説明するディオンドラに対し、リビーは、あの晩、ディオンドラも家にいたのではないかと迫った。しかしその直後、豹変したディオンドラとリビーは衝突することになる。
事件当日の夜、ディオンドラは駆け落ちのための金を盗み出そうと、ベンとともに彼の部屋に潜んでいたのだ。しかしそれはすぐにミシェルに気づかれてしまい、元々ミシェルと不仲だったディオンドラは計画を台無しにされたことに逆上。騒ぎ出すミシェルの首を、怒りに任せて絞めた。
暴走するディオンドラを止めようとベンが格闘する中、デビーは助けを求めようと部屋を飛び出した。そこでディールに刺され、虫の息になったパティを目撃してしまう。
デビーに顔を見られてしまったディールは彼女とパティを銃殺し、結局ディオンドラはそのままミシェルを絞殺してしまう。せめて、とリビーを窓から外へ逃がし、隠れるように指示したのはベンだったのだ。2人の人物に家族を次々と殺害される混乱の中、ベンはリビーを守り切ったのである。そして妹を守ったベンは、自分の子どもを身ごもったディオンドラを庇ってすべての罪を被った、というのが真相だった。
リビーは迎えに来たライルに無事助け出され、ディオンドラがミシェルを殺害した容疑で逮捕されると、ベンの無実も認められ釈放されることになった。
自らの命と引き換えに我が子を救おうとした母や、自分を逃がしてくれた兄。自分はずっと家族に守られてきたという真実に気づいたリビーは、前を向いて人生を歩むことを決意する。
『ダーク・プレイス』の登場人物・キャラクター
主要人物
リビー・デイ(演:シャーリーズ・セロン)/(青年期演:スターリング・ジェリンズ)
日本語吹き替え:本田貴子/渡谷美帆(青年期)
本作の主人公。1985年にカンザス州で発生した一家惨殺事件の生き残り。事件以降は長らく寄付金で食いつないできたが、金銭苦のためライルたちが主催する、兄の冤罪を晴らすための活動に協力することになる。
ライル・ワース(演:ニコラス・ホルト)
日本語吹き替え:中村悠一
ベンの冤罪を晴らすための活動家の集まりにおける、中心人物のひとり。殺人事件マニアの集まりを称し、リビーに届けられた招待状の差出人。
リビーの協力を得て以降は、彼女の調査をサポートしている。
ベン・デイ(演:コリー・ストール)/(青年期演:タイ・シェリダン)
画像左がベン
日本語吹き替え:中村和正/比上孝浩(青年期)
リビーの兄。1985年に一家惨殺事件の犯人として逮捕されたが実際は無実。当時、近所に住む少女のでっち上げによる少女暴行事件の犯人という噂も流されており、立場上不利にあったことで無実の罪で服役することになってしまう。
リビーとベンの家族
パティ・デイ(演:クリスティーナ・ヘンドリックス)
画像中央がパティ
日本語吹き替え:新谷真弓
リビーたちの母で、1985年の一家惨殺事件の被害者のひとり。夫と離別して以降、4人兄妹を懸命に育ててきた。しかし農場の経営が上手くいかなかったことから生活は貧しく、破産管財人のディールの甘言に乗る形で彼に自分の自殺幇助を依頼してしまったことが、1985年の一家惨殺の悲劇を招いた。ディールに刺されたのち、デビーと共に銃殺されている。
目次 - Contents
- 『ダーク・プレイス』の概要
- 『ダーク・プレイス』のあらすじ・ストーリー
- 一家惨殺と冤罪
- 兄の元恋人との対面
- 明らかになる真相
- 『ダーク・プレイス』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- リビー・デイ(演:シャーリーズ・セロン)/(青年期演:スターリング・ジェリンズ)
- ライル・ワース(演:ニコラス・ホルト)
- ベン・デイ(演:コリー・ストール)/(青年期演:タイ・シェリダン)
- リビーとベンの家族
- パティ・デイ(演:クリスティーナ・ヘンドリックス)
- ラナー・デイ(演:ショーン・ブリジャース)
- デビー・デイ(演:マディソン・マクガイア)
- ミシェル・デイ(演:ナタリー・プレクト)
- 事件関係者
- ディオンドラ・ワーツナー(演:アンドレア・ロス)/(青年期演:クロエ・グレース・モレッツ)
- ディール(演:ジェフ・チェイス)
- 一家の知人たち
- トレイ・ティーパノ(演:J・ラローズ)/(青年期演:シャノン・クック)
- クリッシ・ケイツ(演:ドレア・ド・マッテオ)/(青年期演:アディ・ミラー)
- 『ダーク・プレイス』の用語
- 一家惨殺事件
- 『ダーク・プレイス』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 予想不可能な結末
- 『ダーク・プレイス』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 『ゴーン・ガール』でも予測不能な展開で読者を翻弄した原作者のギリアン・フリン
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