『ワッハマン』「死ねない、最強、大食らい」笑い輝くガイコツ戦士の色んな意味で凄まじい戦い

ガイコツと言っても顔だけなんですが、ある年齢以上の方は『黄金バット』を思い出されるかもしれません。金色で笑うガイコツですし。しかし彼はある悲哀を負っていました。

出典: www.fg-site.net

外見が『新世紀エヴァンゲリオン』の第三使徒サキエルに似ていると指摘されますが、実はサキエルはあさりよしとお氏によるデザイン。「イシュタルみたいな感じにして」との注文でデザインされたものです。

オシリス

アンドロイド。しかし、ワッハマンを殺すという目的のみで、イシュタルはおろか、自分を送り込んだパパのことさえ知らなかったようです。人間形態は10代後半くらいの女性。その姿での登場時、変身するため全裸になる、服を着たまま変身しても服が破れるので変身が解けたらやっぱり全裸状態になるなどしますが、お色気サービス担当というより、ルミに誤解させるための要素に思われました。レミィと同じく羞恥心がないらしく、男性陣の中でも下着を着けず平気でうろうろしますが、調別メンバーは皆彼女の正体を知っていることもあるので、見ないようにしたり「パンツくらい履け」と注意します。人間バージョンだと北海道弁を使用。自己修復能力を持ち、戦闘で負傷する度欠点を補うがごとくパワーアップするため、「なら一気に強くなろう」と空から落下。粉砕状態になりますが強くはなれず。実はオシリスというのもデータ収集用の存在で、イシスという別人格が存在。精神部分の大半を司るイシスが砕け散ったと同時にオシリスは記憶しかない状態になります。

【ゲルダと合体後】後述のゲルダの頭脳部分をオシリスのパーツで包んだ結果誕生した、新たなオシリス。相変わらず北海道弁で話しますが、当初はワッハマンと会わせたらどんな反応をするか分からないとして、また焦点のあっていない、精神がうまく合致していない状態でした。戦闘の際ワッハマンと会うものの、記憶こそ強烈に残っていても感情が伴わず。インガーにより内部に複数の武器を隠し持ちますが、主にニードルガンを使用。イシュタルの襲撃で、インガー共々爆死。

プロトタイプレミィ

月から帰還したレミィが中国の飛行機(国内線)にしがみつき、中国から出られず途方に暮れていた時に出会った少女。その名の通り、レミィのプロトタイプ。顔つき自体は同じですが黒髪。そしてボディはメカが露出した、ロボット然りとした姿。レミィ同様、パパを慕う気持ちから量産型のアンドロイドと同じ扱いであることに不満を抱き、命令に逆らってまでレミィと交戦。本物のレミィになると言い、無関係の人間を巻き込みながら攻撃してきますが、ハンババ状態に変形する前のレミィに殴り飛ばされそれきり姿を消しました。戦闘の後、レミィは姉と呼べるプロトタイプに、「どっちが本物でもよかったじゃないか」と独り言ちました。

綾重(あやしげ)

最初にワッハマンを拾った造形屋の女性。特撮の着ぐるみなどを作っており、「ガイコツが一番人間の美しい形態、ワッハマンが理想のタイプ」と語るなど、可愛らしい顔立ちながら少々変わった感覚の持ち主。ワッハマンのことは「コッ君」と呼んでいました。少々変わっていてもプロの造形屋であり、ワッハマンに食事の補助用と思われるマスクを作ったりもしました。しかし、挑発の為危険溶剤による事故に見せかけ殺されます。

「死ねない」ということ

戦闘モードのワッハマンははっきり言って「最強」クラス。何せ「傷を負わない、死なない体」を持っている上「オリハルコン」はエネルギーの凝縮体。その気になれば戦闘用の刺客アンドロイドだって戦闘不能に追い込めます。

役目を果たしても、死ねないんです。

しかしコメディタッチだった序盤から描かれていた「不死身、不滅の肉体」というもの、意外に厄介。というか、人間の精神では異常をきたすのではないかと思わせるものでもあります。

他作品からも「死ねない」ことについて考える・『火の鳥編』

手塚治虫氏の『火の鳥』でも「死なない体」にされた主人公が登場します。『未来編』の山之辺マサトと、『乱世編』の平清盛です。マサトも清盛も、「死ねない」ことに絶望することは共通しています。話し相手もいない、地獄のような場所でたった一人「生き残らされた」ら「不死身だヒャッホウ!」なんて言ってられません。

【平清盛】『乱世編』に登場。一族の先行きを案じ、火焔鳥を他国から取り寄せます(ただの鳥だった模様)。不死身になった場合のシミュレーションのような夢を見せられますが、500年後には自分と同じ顔をした子孫ばかり、1000年後には記憶が溜まり過ぎ発狂するため5分ごとに記憶喪失装置にかけられる身になっていました。太陽が巨大化したのか、何もかもが解けた状態でもまだ死ねず、シリーズを通して登場する超常的存在、火の鳥から「お前は死ねない」と言われ絶望します。実際には史実通り、高熱の果てに死去。

【山野辺マサト】『未来編』に登場。地下で暮らす五つの国がコンピュータに政治を任せたため、核戦争で滅亡。世捨て人的に暮らしてた猿田博士の下に逃げ込んでいたため難を逃れるも、火の鳥により望まずして、ただ一人不死にされるのでした。

平清盛1000歳。

他作品からも「死ねない」ことについて考える・『宇宙クリケット』編

『銀河ヒッチハイクガイド』というシリーズ小説の第三弾に、全くのわき役で「不死身になってしまった男」が登場します。初めは喜んだものの、次第に「不死であること」に不満を抱き、生きがいを求めるようになるのです。極めて高度な計算能力を持った宇宙船により、「アルファベット順に知的生物(個人)を馬鹿にする」というしょーもない生きがいですが、何でもいいから「やること」がほしかったんでしょう。

他作品からも「死ねない」ことについて考える・300年でやることが尽きる

作品名は失念ですが、人づてに聞いた話です。不死を手に入れた男が大喜びで「これからどうするか」を計画。最初の100年は思い切り遊んで、次の100年は思い切り勉強する。その次の100年は、勉強したことを生かす。うん、いい人生設計。でも、その後は…?

死ねないワッハマンに対し…

他の劇中人物は「死にかける」「死亡する」のです。初期はギャグタッチで、終盤近くは「挑発のため殺される」というシリアスな形で。初期に登場したチョイキャラまでも遺影で再登場、というのはワッハマンにとっていろいろな意味でショックだったのではないでしょうか。

第一話より。

ドクロ顔の彼のほうがよほど死を連想させるのに、死んでいくのは親しくなった人たちだけ。「思い出せないのではなく思い出したくないだけ」との指摘もされていました。最終的な孤独を恐れてのこと。しかし、それも過去「守れず殺された人々」のこともすべて思い出して、受け入れて立ち向かいます。そうするしかなかったから。

まとめ

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