ワッハマン(あさりよしとお)のネタバレ解説・考察まとめ

『WAHHAMAN(ワッハマン)』とは、漫画雑誌『モーニングパーティ増刊』『月刊アフタヌーン』で連載されていたあさりよしとおの漫画作品である。1万年前のアトランティス文明の生き残りである骸骨のような顔をしたワッハマン。宿敵・パパを倒す宿命を背負いながらも、現代では浮草のような暮らしをしていた。一見とぼけたような作風とは裏腹に、シリアスで救いのない物語が特徴の作品である。

長沼の部下。あまり緊張感のない天然ボケ風の青年。しかし実はパパの送ったスパイだった。長沼により倒されるが生死不明。

梅田甲三(うめだ こうぞう)

「分室」のメカニック担当。特撮の影響で殺人光線や人型兵器の研究に没頭、防衛庁に入ってからもそういった兵器の重要性を説くものの厄介者の変人扱いされて「分室」に左遷。妻子にも逃げられた。初期こそ自慢の兵器でワッハマンを捕らえようと暴れたりする問題児だったが、物語が進むにつれて技術屋として、また頭脳労働派としての一面を発揮。ワッハマンが疑似的に死んだ際は生き返らせる方法があるかもしれないと述べ、最終決戦時には唯一の成功作である装甲を来て戦闘。

鮫洲(さめず)

ハンマーヘッドの異名をとる一課の鬼刑事。ワッハマンが市民丸ごとアンドロイドと入れ替わった町のアンドロイドを全滅させたことを大量殺人事件とし、ワッハマンを追う人物の一人となる。正義漢ではあるが、ハンマーヘッドの異名が実は顔から来ていること、つまりサメのような顔立ちである為、怪しい人物を見かけて追っても逆に自分が不審者扱いされる、動物に逃げられるなどの描写が多々存在。「カニの裏側」と呼ばれることもある。「分室」が襲撃を受けた際事件にすらならなかったことを不審に思い、なし崩し的に仲間入り。「本当はパパに反感を抱いた政治家が故意に流した」など、独自に得た情報を与えるなどした。

DNAコピー人間

CIA工作員。生まれながらの特異体質に、動物のDNAを注射することであらゆる動物に変身、その能力を使用できる生物兵器のような人物。ただ劇中に登場したのがゴキブリ、イモガイ、イソギンチャクなど大半が戦闘に不向きなもので、イモガイですら仲間を仕留めるなど、ポカでは済まないミスもやらかしている。レミィのパパのことも知ってはいるが、所属する組織のトップが他ならぬパパであったことから消された。ちなみにDNAは1時間ほどで代謝が完了し元に戻るらしく、顔が人間、体がゴキブリという事態にもなる。

インガー・W・C・ミュンヒハウゼン

スイスの元時計職人。隠居し、金と暇を持て余しているとして山に落ちたレミィを拾い集め修復。少年時代、慕っていた女性ゲルダが自分のせいで死んだとの後悔からロボット工学の道に進み、戦時中は「死なない兵士」の研究に着手。生き返らせる為、贖罪の為とゲルダに似せたロボット(呼び名もゲルダ)を作り、家に置いているが、彼が言うには「失敗作」。自分のしてきたことはレミィの新たな体として残すとして追っ手と戦うが、自分が若い頃すでに、ゲルダの心が芽生えていたことをその時知るのだった。一時ゲルダを追って滝つぼに落ち、亡くなったかに見えたが、本人曰く「色々あって」クジラの腹の中にてゲルダと二人きり状態。レミィと再会し、「分室」で暮らすが、科学者としての技術、狂気は梅田を上回り、ゲルダのボディが破損した際、オシリスとゲルダの心を合わせたら何ができるかと考え、ゲルダの頭脳をオシリスのボディに移植した。劇中の出来事全てがパパのシナリオによるものと見抜き、手紙と劇中で使用した拳銃を形見に遺して自爆したゲルダを抱きかかえともに爆死。その時、ゲルダに対する気持ちは贖罪でも科学者としての探求心でもなく、ただゲルダに生きていてほしかったと心で述べていた。

ゲルダ

幼少期のインガーの命を助けるため、自殺のような形で死亡した女性及び、彼女をモデルに作られたロボット。当初は娘がモデルと言われたが、ゲルダがインガーを名前で呼ぶこと、インガーの家に妻がいた痕跡がないことから、娘ではないことをレミィに看破された。初恋の人と目されたが、年齢差からするに初恋は初恋でも「憧れていたお姉さん」だと思われる。外見こそ精巧だが中身はカタカナでしか話せず、心というものを見せなかった。しかしその実、インガーの若い頃すでに自我を確立しており、ずっと彼を見守っていた。頭脳は頭部ではなく腹部に存在。イシュタルや戦闘アンドロイドの攻撃でボディを失い、後述のオシリスと一体化。当初はワッハマンに対する殺意の記憶に悲鳴を上げていたが、徐々に落ち着いた。

破戒僧(謎の怪僧)

他人の家に上がり込んで「お布施」と称し、食物を勝手に漁る人物。卵を盗んだこともある。とはいえ、ワッハマンの記憶が戻らない本当の理由を指摘する、迷いを断ち切らせるため「自分が黒幕だ」と嘘をつく、仏教での輪廻転生をレミィに語って聞かせるなど、悟っているのではと思わせるシーン、セリフも多々ある。すべてが解決した後、いずこかへ去った。僧侶ではあるが戦闘力は高く、戦闘用のアンドロイド、イシュタルをさえ倒した。

拳法の達人女

中国で強い男を探し、武者修行をしていた人物。当初は男装していたが、実際は巨乳の美女。強い男を探す理由は夫として迎える為。ワッハマン、イシュタルの強さに目をつける、戦いに勝利したワッハマンには逃げられた。泳いで日本にやって来て今度は長沼に目を付けるが、妻のことを理由に断られる。男装していた理由は「か弱い女の一人旅は危険」とのことだが、戦闘アンドロイドを正確に着け回して倒すなど充分強い。本人曰く料理が得意で、精の付く料理をオシリスに食べさせたこともある。が、食材は長沼たちがドン引きして「ワシントン条約が…」などと言わせる代物だった模様。機械であるオシリスに料理を振る舞ったのは、せめてもの気持ちから。

クジラ

ワッハマンとレミィ、インガー、ゲルダを飲み込んだ、1万年生きてきたクジラ。人間だった頃のワッハマンと面識があり、どんなに傷を受けても自分との戦いを病めなかった彼を、唯一勇者と認め、今尚そう呼ぶ。体内組織も構造も大分劣化しているため、飲み込まれたものが消化されることもない。最終的に体が崩れて死亡するが、全ての運命がパパのシナリオであることを読んでおり、油断するなと呼びかけた。

石田ルミ(いしだ るみ)

小学生にしか見えず、幼稚園児の格好に違和感がないなど、レミィ以上に幼すぎる外見にコンプレックスを抱く21歳。運転免許証を見せるまで大概信じてもらえない。対人恐怖症を治すべく、ワッハマンが食事代弁償のため働く喫茶店でアルバイトを開始するも店が破壊されたため「分室」にアルバイト先を移すことになる。そこで家事をこなしていたが、実はイシュタルの隠れ蓑のような存在。イシュタルが逃走する際撃ち込まれた発信機により正体は分かっていたものの、正体が明らかになったのは、最終巻。彼女自身は何もわからないまま、長沼、レミィに痛めつけられた。

イシュタル

出典: www.fg-site.net

ワッハマン暗殺用の戦闘アンドロイド。オリハルコンの爪を装備しているが、レミィを圧倒した以外は目立った勝ち星を挙げておらず、むしろ化け物揃いの人間に驚く描写もある。本格登場前後より、ワッハマンらの周囲にミステリアスな女性が登場し、イシュタルの人間形態と考えられていたが、実際の人間形態は石田ルミ。戦闘で不利になるや、長沼やレミィの猛攻を受けたルミを出して、自分を殺せばこいつも死ぬと人質にしたものの、既に吹っ切れていた長沼により殺害。
外見が『新世紀エヴァンゲリオン』の第三使徒サキエルに似ていると指摘されることがあるが、実はサキエルはあさりよしとおによるデザインである。「イシュタルみたいな感じにして」との注文でデザインされたもの。

オシリス

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