ロンドン、人生はじめます(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ロンドン、人生はじめます』とは、2017年に公開されたイギリスのコメディ・ドラマ映画である。監督はジョエル・ホプキンス、主演をダイアン・キートンとブレンダン・グリーソンが務めた。
ロンドン郊外の高級マンションに住む未亡人のエミリーは、お金の問題や上辺の近所付き合いに頭を悩ませていた。ひょんなことでで、自由に生きているホームレスのドナルドと出会った事で、エミリーは自分の人生を見つめなおすというストーリー。見どころは、正反対の二人の恋の行方である。
土地の所有権
この映画に頻繁に登場する、土地の所有権とは文字通り土地を所有する権利のことである。
この所有権を持つものは、その土地を自由に処分(売却、贈与、相続)する権利がある。
ただし、固定資産税やその他の決められた税金を支払う必要もある。
この映画では、12年住み続けていれば所有権を認められると言うものであった。ただし12年以上住んでいるという証明も必要だった。
日本では他人の土地を占有した場合どうなるかと言うと、占有者が所有の意思をもって平穏かつ公然と占有を開始した場合で、占有の開始時に他人の所有地であることを知らず、知らないことに過失がない場合には10年間、他人の所有地であることを知っている場合には20年間占有を継続すれば所有権の所得時効が成立するのである。
カール・マルクス
劇中に出てくる、ドナルドの小屋の近くにある墓地には、エミリーの亡き夫が眠る墓がある。
その他にも、ドイツの哲学者カール・マルクスの墓もある。
その為ドナルドはエミリーとの、待ち合わせで「カールのところで」などと言っている。
カール・マルクスとは、ドイツの哲学者であり思想家、経済学者、革命家である。1818年にドイツのトリーヤに生まれ、1883年64歳で亡くなった。
ドイツから亡命し、ロンドンを拠点とした。
プロレタリアート(労働者階級)への取材や調査を活かし、盟友フリードリヒ・エンゲルスとともに『共産党宣言』や『資本論』を書いた。
「万国の労働者よ、団結せよ!」の言葉で有名である。
『ロンドン、人生はじめます』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
ドナルド「君を知りたいが、中身がない」
エミリーとドナルドはワインを飲みながら、楽しい夕食の時間を楽しんでいる時ドナルドがエミリーに言った言葉である。話すうちにドナルドは、エミリーが優柔不断で自分が無い事に気づき「君を知りたいが、中身がない」と言うのであった。エミリーはその言葉に腹を立てたが、それは痛い所をドナルドにつかれたからである。ドナルドはエミリーを怒らせたくて言った訳では無く、好きでもない友人といて、仕事をしてない事を恥じているエミリーに人生の目的を忘れている事に気が付いて欲しくて言った言葉だった。
エミリー「私は自分が恥ずかしかったの」
怒ってエミリーのマンションから去った、ドナルドを追いかけて言った言葉である。マンションでドナルドを見つけた、ジェームズやマンションの住人たちはドナルドを不審者扱いした。エミリーはドナルドと恋人関係になった事をマンションの住人達にはっきり言い出せず、そんなエミリーの姿を見たドナルドは傷つき、その場を去って行ってしまう。ドナルドは自分といる事をエミリーが恥ずかしいと思っていると勘違いしていた為、エミリーはドナルドに「私は自分が恥ずかしかったの」と言うのであった。優柔不断で、会計士のジェームズに借金問題の相談に乗ってもらっている為、ジェームズの好意に対してもはっきり断れない自分をどう思われるのか怖かったのだ。エミリーはそんな情けない自分自身が恥ずかしかったのである。その後、誤解は解けエミリーとドナルドは仲直りするのだった。
ドナルドがエリックの助けを借りるシーン
頑固で人嫌いなドナルドは、一切他人の世話にならず暮らして来た。
エミリーに徐々に心を許したものの、エミリーに対してもそのスタンスは変えようとはしなかった。
ある日嫌がらせで、大切な小屋が壊される事件が起こる。
何があっても他人の助けを借りようとはしないドナルドだったが、エリックという青年とエミリーに手伝ってもらい小屋を直すのだった。
前より素敵に完成した小屋を、三人で眺めるのであった。そこで照れながらも、ぎこちなくエリックにお礼の言葉を口にするドナルドがとても可愛いシーンである。
同時に今どきの若者エリックの、優しい人柄が垣間見えるシーンである。
『ロンドン、人生はじめます』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
実話に基づき製作された作品
この映画は事実に基づいて製作されたものであるが、エミリーやその他の人物が実際いたのかは定かではない。
ドナルドのモデルとなった人物は、実在した人物である。ハリー・ハロウズと言う男性がモデルで、映画の中のドナルドと同じ、ハムステッドヒースに住んでいた。1936年生まれのアイルランド出身でロンドンに来たのは1950年、ハムステッドヒースに住み始めたのは1987年である。2016年に他界し、土地はホームレスの慈善団体に寄付された。ハリーはハムステッド・ヒースにある老人ホーム跡地に小屋を作り暮らしていた。しかし、2005年にハリーの住む土地の所有権をもつ不動産開発業者が高級マンションを建設しようし、ハリーに立ち退きを求めた。長年暮らしていた場所を追い出されそうなハリーは、弁護士に相談した。ハリーがは誰からも土地の所有権を主張されないまま20年以上暮らしてきたことから、裁判所は彼がいる場所の土地の所有権を認めたのだ。
広大な土地の所有権を手にし一気に大金持ちになったハリーだが、今までの暮らしぶりを変える事もなくつつましく生活し88歳で亡くなった。
美しいロケ地の数々
物語の舞台となっているハムステッドは、ロンドン最大の公園であるハムステッド・ヒースや、素敵なお店が並ぶハムステッド・ハイ・ストリートを中心とした緑の多い地区である。俳優やミュージシャンなどの有名人が暮らす場所として知られる。『ノッティング・ヒルの恋人』のロケ地としても有名である。
因みにカール・マルクスの墓が出てくる墓地の場所は、イギリスロンドンのハイゲートに位置する墓地である。マルクス以外にも多くの著名人が埋葬されている。
劇中エミリーとドナルドが訪れる素適な博物館は、イギリス・ロンドンのブルームズベリー地区にある大英博物館である。
『ロンドン、人生はじめます』の主題歌・挿入歌
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目次 - Contents
- 『ロンドン、人生はじめます』の概要
- 『ロンドン、人生はじめます』のあらすじ・ストーリー
- エミリーの日常
- ドナルドとの出会い
- 近づくエミリーとドナルド
- 誕生日
- 裁判の日
- 二人の行く末
- 『ロンドン、人生はじめます』の登場人物・キャラクター
- エミリー・ウォルターズ(演:ダイアン・キートン)
- ドナルド・ホーナー(演:ブレンダン・グリーソン)
- フィリップ(演:ジェームズ・ノートン)
- フィオナ(演:レスリー・マンヴィル )
- ジェームズ・スマイス(演:ジェイソン・ワトキンス)
- ファイフ(演:フィリップ・デイビス)
- 裁判官(演:サイモン・キャロウ)
- スティーブ・クローリー(演:アリスタ・ペトリ)
- ゼイヴィア(演:ピーター・シン)
- レオン・ローランズ(演:ウィル・スミス)
- スーザン(演:ロザリンド・アイアーズ)
- ローリー(演:ブライアン・プロザーロー)
- 『ロンドン、人生はじめます』の用語
- 土地の所有権
- カール・マルクス
- 『ロンドン、人生はじめます』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ドナルド「君を知りたいが、中身がない」
- エミリー「私は自分が恥ずかしかったの」
- ドナルドがエリックの助けを借りるシーン
- 『ロンドン、人生はじめます』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 実話に基づき製作された作品
- 美しいロケ地の数々
- 『ロンドン、人生はじめます』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):スティーヴン・ウォーベック 「Hampstead」