『×-ペケ-』とは、新井理恵による漫画作品。『別冊少女コミック』において1990年から1999年にかけて連載され、単行本は全7巻が刊行された。舞台は栃木県立宇都宮南高等学校。そこに通う生徒や教師、その周辺人物たちの日常をブラックユーモアと社会風刺たっぷりに描いている。登場人物の癖の強さや、当時の少女漫画誌としては異彩を放つ不条理ギャグ漫画として人気を博した。
岡本 夢路(おかもと ゆめじ)
画像右が夢路。この言葉と笑い、笑ってない目が彼女の代名詞。
長い黒髪と大きなリボンが特徴の、ポーカーフェイスな女子高生。親しい友人もおり、何の変哲もない高校生活を送っているように見えるが、実は幸せそうに見える人を不幸に叩き落すことを想像せずにはいられないという、激しい妄想癖を持つ。他者が死に至るほどの大けがをしたり、贈りものを台無しにすることなど、妄想の程度は大なり小なり多岐にわたるが、とにかく他人を不幸にする想像をすることで愉悦を感じている。
最終回では看護師になり、彼女の特殊な性格を察した患者から恐れられている姿が描かれた。
岡田理恵による別作品『脳髄ジャングル』に、生前は彼女は他人の顔色をうかがい、不本意ながら笑顔で過ごしていた自分に嫌気が差して自殺に及んだという少女の幽霊が登場しており、夢路の不謹慎な妄想もそんな外面を繕っている人の、内面とのギャップから生まれていることが推測されている。
岡本 夢人(おかもと ゆめと)
夢路の弟。中学生。不幸な状況にある人が幸せになることを想像するという、姉とは真逆のベクトルの激しい妄想癖を持っている。しかし根からの善人というわけではなく、自分が自転車で子供をひいた後に「子供はごく軽傷で、互いに不注意を詫びて和解する」という妄想を繰り広げた後、重傷を負った子供をその場に放置して逃げ去るといった看過できない行いをする描写も。
「ルイルイ」/「ガニ」
ルイルイ
自称「幸せの使者」。二頭身の体に、頭には「Merry X'mas」と記された三角帽子を被り、アメリカ合衆国の国旗を左右逆にあしらったと思しき衣服という、個性的な出で立ちをしている。人々を幸せにするため、魔法を駆使して弟子と共に奮闘しているが、足が太いことを悩んでいる人を骨が浮いて見えるほど細くしてやったり、子供っぽい外観に悩む人を40代の姿に変身させてやったりと、方向性がいつもどこか間違っている。
クリスマス生まれ。平仮名と片仮名が混ざった独特の喋り方をする。
アリエス
ルイルイの弟子。二頭身の体で、頭には「A Happy New Year」と記された三角帽子を被っており、日章旗に似た模様の服を着ているなど、師匠同様に個性的な出で立ちをしている。
「家がほぼ全焼した」という嘘に騙された人の心のわだかまりをなくすため、嘘をついた者の家を本当に全焼させたりと、師匠であるルイルイの思想や行動原理を忠実に受け継いでいる。
ガニメーデス
ルイルイの師匠。二頭身の体で頭には博士帽らしきものを被り、柄杓のような形の杖を持っているなど、やはり出で立ちは個性的。ルイルイという「とんでもない」魔法使いを育ててしまったことを深く悔いており、自分には生きる資格もないのではないかと悩んでいる。
しかしアリエスの兄がルイルイを殺害しようとした際は激怒し、猛然と彼に殴りかかるなど、弟子のことは心から可愛がっている様子がうかがえる。
登場回には必ず「ガニ」という小題がつけられている。
アリエスの兄
アリエスの兄。姓名は不明。初登場時「アリエスのお兄さまです」と名乗って自己紹介した。二頭身で、頭には「X-DAY」と記された三角帽子を被っている。杖は持っていないが魔法の実力は優れており、ルイルイをもってして「宇宙一の魔法使い」と言わしめている。ルイルイを射殺しようと目論むが、ガニメーデスに殴りかかられて阻止された。
「イナバ」
因幡 浩(いなば ひろし)
第2巻で転入生として登場した男子高校生。白い体毛、赤い目と、顔や手足がウサギ(ジャパニーズホワイト)としか思えない容姿をしているが、誰もが本人にそれを確認できないでいる。転校前にどこに住んでいたかを問われた際には「月の裏側のクレーター」と答えるなど、自身のルックスを活かした冗談で周囲をざわつかせた。しかし、髪の毛以外のすべての毛を脱毛したエピソードでは普通の人間の姿になっていたが、その日の放課後には元の見た目に戻っていた。
性格はきわめて温厚で心優しいが、彼女であるイクラが不良にスカートをめくられそうになるとその不良を殴り倒すなど、恋人が絡むと人が変わる傾向がある。
ニンジンを生で食べることができるなど見た目通りの特技を持つが、走り幅跳びは1メートル20センチしか飛ぶことができず、普通の人間程度のスペックしか発揮しない部分もある。
最終回ではイクラと結婚して子供を授かっており、生まれてくる子供が彼女に似てほしいという意思を述べている。
因幡 晃(いなば あきら)
うちわを手にしているバニーガールのような少年が晃
因幡浩の弟。彼が主人公になる回では、タイトルに「イナバ【弟】」という小題がつけられている。登場当初は中学生だったが、のちに兄と同じ高校に進学。山本鈴妥と同じクラスになっている。兄とは違って一見すると人間に見えるが、頭頂部にはウサギの耳、尻には尻尾、首周りにはワイシャツの襟と蝶ネクタイ、手首にはワイシャツの袖、上半身にはレオタード、脚には網タイツにしか見えない形状の毛が生えているため、全裸になった際にはどう見てもバニーガールにしか見えないという、奇異な見た目をしている。かわいらしい風貌で女子生徒には人気があり、本人も自身の可愛さについては自覚している。
鈴妥に恋心を抱いているが、本人に伝えることができずにいる。
伊倉 小紅(いくら こべに)
振袖に身を包んでいる女性が伊倉。
因幡浩の恋人。転入前からクラスメートで、浩と同じ学校の同じクラスに転入してきた。下半身が二本足でなく魚のような鱗があり、どう見ても人魚にしか見えない姿をしているが、実は足が太いことを気にしてか隠していただけの普通の人間であることが発覚する。転入前はレディースの頭をしていたため、制服のスカートは足が見えないほど長くしている。
最終回では浩と結婚し、子供をもうけている。彼女が主人公となる回では「イナバ【彼女】」という小題がつけられている。
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目次 - Contents
- 『×-ペケ-』の概要
- 『×-ペケ-』のあらすじ・ストーリー
- 「君の瞳は10000ボルト」
- 「高校落書」
- 「ほかほか家族」
- 「僕の保健室へようこそ」
- 「戦争倶楽部」
- 「SISTER STRAWBERRY」
- 「岡本夢路」
- 「ルイルイ」
- 「ガニ」
- 「イナバ」
- 「探してるのにぃ」
- 「怪人赤マント」
- 「高校教諭」
- 「赤い羽音」
- 「陽だまり」
- 『×-ペケ-』の登場人物・キャラクター
- 「君の瞳は10000ボルト」
- 白鳥 瞳(しらとり ひとみ)
- 出川 俊夫(でがわ としお)
- 瞳の兄
- 「高校落書」/「ほかほか家族」
- 山本 晃司(やまもと こうじ)
- 渡辺(わたなべ)
- 広瀬 舞子(ひろせ まいこ)
- 山本 城司(やまもと じょうじ)
- 山本 鈴妥(やまもと りんだ)
- 山本 勘彩(やまもと かんさい)
- 山本 晃司(小)(やまもと こうじ(しょう))
- 「僕の保健室へようこそ」
- 保健医
- 「戦争倶楽部」/「SISTER STRAWBERRY」
- アンデルセン
- 顧問の男性教師
- イソップ
- 真紀子(まきこ)
- 「岡本夢路」
- 岡本 夢路(おかもと ゆめじ)
- 岡本 夢人(おかもと ゆめと)
- 「ルイルイ」/「ガニ」
- ルイルイ
- アリエス
- ガニメーデス
- アリエスの兄
- 「イナバ」
- 因幡 浩(いなば ひろし)
- 因幡 晃(いなば あきら)
- 伊倉 小紅(いくら こべに)
- 因幡 ピーター 円人(いなば ピーター まろんど)
- 因幡浩の友人たち
- 「探してるのにぃ」
- ないないの神様
- 「怪人赤マント」
- 赤マント
- かおる
- かまいたち
- 「高校教諭」
- 先生
- 広瀬(ひろせ)
- 「陽だまり」
- 内藤(ないとう)
- 長島(ながしま)
- 『×-ペケ-』の用語
- 栃木県立宇都宮南高等学校(とちぎけんりつうつのみやみなみこうとうがっこう)
- 『×-ペケ-』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 深いのにムダに見える恵方巻の知識
- 大人びた小学生から垣間見える社会風刺
- 切なくもよく見かける「あるある」ネタ
- 『×-ペケ-』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 舞台となった栃木県立宇都宮南高等学校は新井理恵の母校
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