「新井理恵」衝撃の世界観の詰まった『ペケ』
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愛らしい絵柄に似合わぬ過激なネタ、凄まじいんだか納得できるんだかよく分からない勢い。そんな漫画家、新井理恵先生の作品をご紹介します。
『×-ペケ』
新井理恵氏の代表作と言っても過言ではないかと思います。基本的には4コマ漫画ですが、時折1ページ物があったりもします。知識が豊富ですが、「そこで使うか…」というようなシーンも多々あります。そして、真面目な顔で面白いことを言うわ、心の声もまた面白いわ…。そうかと思えば、笑える半面戸惑う一面もあるという珍しい作品です。キャラも個性的すぎますが。「ツッコミが追い付かない」というより、「ツッコムのは野暮」といった感じです。
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恵方巻きで出て行く娘、母親の顔、父親のリアクション…すべてが絶妙です。じわじわ来ます。
何ていうか、「笑いの分析等」の無意味さを感じます。豆知識も得られますし。
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考えさせられる部分もあります。
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「あるある」ネタもあります。これを「あるある」と見るべきかは別として。
因幡君(因幡浩)
作中には様々な「主人公」が登場しますが、一番の「主人公格」は彼でしょう。
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宇宙人でも怪人でもありません。というか何者かすら不明です。いや、普通に人間なんでしょうが、何故かウサギっぽい。彼の「耳」が結ばれていたエピソードはいろいろ考えさせるものがあります。友人ですら「指摘」できないという状況…。
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性格はいいですし、「永久脱毛」するとかなりのイケメンです。でも放課後までにはまた「ウサギのような姿」に…。弟の晃君は、「何も着ていない時の姿」がバニーガールのようなのです。何なんでしょう、この兄弟。笑えるのになんか怖い。
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気を使って指摘ができない日本人を皮肉っているのか…。
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この落としどころがまた絶妙です、はい。あと恋人のいくらちゃん、下半身は「魚」です。
山本晃司
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こう見えて「優しい不良」です。さりげなくいじめについて語ったり、「意見箱」に真面目な意見を書いて入れようとしたり。結構常識人でいい子なんですが…今でいうツンデレでしょうか。しょっちゅう誤解を受けます。
岡本夢路
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この言葉と笑い、笑ってない目が彼女の代名詞。
ネガティヴ妄想、もしくは他者への過激なツッコミ、殺人的行為等を妄想しては上記のように言って哀しげともとれる笑いを落とすのです。真逆の、ポジティヴな妄想をし、逆に現実の厳しさを痛感する弟がいます。