デトロイト・メタル・シティ(DMC)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『デトロイト・メタル・シティ(DMC)』とは、若杉公徳により『ヤングアニマル』にて連載されたメタルロックバンドを題材としたギャグ漫画である。また漫画を原作として映画化、アニメ化されている。また劇場版では主人公の根岸宗一を松山ケンイチが演じる。更には原作に登場する楽曲も公式でCD化されている。
明るいPOPSをやりたいと思い上京したが何故かメタルロックバンドのヴォーカルを務める主人公の根岸崇一。彼の本音と建て前のギャップを軸に置くコメディ要素や、やりたいことに対しての葛藤や悩みを切実に描く。

『デトロイト・メタル・シティ』の概要

『デトロイト・メタル・シティ(DMC)』とは、2005年に若杉公徳により『ヤングアニマル』にて2010年まで連載されたメタルロックバンドを題材としたギャグ漫画である。コミックスも白泉社にて販売されており全10巻である。また原作を元にした映画が2008年8月23日より全国東宝系にて公開された。主な演者として松山ケンイチ、加藤ローサ、秋山竜次、細田よしひこ等が出演している。キャッチコピーは「僕がしたかったのは…こんなバンドじゃない!!」とまさに本作品にピッタリである。主な興行成績は公開2日で観客動員24万7000人、興行収入3億5000万円。公開3週目で観客動員100万人を突破した。公開4週目には興行収入20億円を突破している。
更にSTUDIO4℃によりOVAとしてアニメ化もされている。アニメ作品については元々2008年8月8日にDVDとして発売されており全12話、24エピソード構成。PG-12指定。そして翌2009年2月6日~3月14日まで、WOWOWにて毎週2本ずつ放送された。映像作品に続き原作に登場した楽曲も公式にCD化されておりシングル、アルバム共々販売されている。
東京が舞台となっており、主人公はおしゃれなポップバンドをやるために大分県から上京した気弱な青年・根岸崇一。だが彼はメタルロックバンド「デトロイト・メタル・シティ」のヴォーカルであるクラウザーII世として活動していた。自分のやりたい音楽とは真逆であり、白塗りで悪魔のようなメイクと金髪のウィッグを身にまとい狂信的なファンの前でライブをする日々に嫌気がさしていた。理想と現実の違いすぎるギャップによる苦悩や葛藤や、様々なトラブル、敵対バンドとの対決などで自分自身がやりたい音楽が何なのかを追求していく。

『デトロイト・メタル・シティ』のあらすじ・ストーリー

ジャック・イル・ダーク編

都内某所のライブハウスににてとあるバンドがライブを開催していた。バンド名は「デトロイト・メタル・シティ」、インディーズシーンで圧倒的に人気を誇るデスメタルバンドである。ヴォーカルのクラウザーII世、ベースヴォーカルのジャギ、ドラムのカミュの三人で活躍していた。デビュー曲は「SATSUGAI」という曲であり、ライブハウスはいつも大盛り上がりだった。しかしクラウザーII世の本性は普段の姿からはかけ離れた気弱な青年なのである。彼の名前は根岸崇一(ねぎしそういち)。おしゃれなポップバンドをやるために地元の大分県から上京したのである。しかし彼が実際にやっている音楽は理想とは全く真逆の音楽だった。金髪のウィッグや悪魔的なコスチュームを身にまとい、真っ白なメイクをして暴力的な曲を歌う毎日に嫌気がさしていた。そんな気持ちにとは裏腹にシングルを発売し、PVを作成する等知名度は着々と上がっていったのであった。

メタルロックバンド界には伝説のミュージシャンといわれる男がいる。その名はジャック・イル・ダークというアメリカ人だった。彼は過激なパフォーマンスで狂信的なファンを生みブラックメタルの帝王と呼ばれている。メタルロックバンド界の神である「カールス・マーダー」が使っていた伝説のギターを受け継いでいた。そんな彼が引退を決意し世界中を回る「世界崩壊」という名のワールドツアーライブを行っていた。そして各国の生意気なメタルロックバンドを潰して回っていた。その標的として「デトロイト・メタル・シティ」が選ばれてしまったのであった。決戦の舞台は日本武道館である。ライブ当日根岸はジャックにライブ前に挨拶をしようと思い、実家から送られたシイタケを手土産にジャックの楽屋へ向かった。しかし楽屋でジャックにシイタケを奪い取られ、更には犯されそうになり根岸は激昂する。ひどい扱いをされ自分の楽屋に戻り帝王の座を奪うことを決意する。その時のクラウザーのメイクは英語で「KILL」と書き「デトロイト・メタル・シティ」はジャックとの決戦へ臨む。

ライブ会場は既に盛り上がっておりジャックが演奏中だった。そしていよいよ「デトロイト・メタル・シティ」の出番となった。その際偶然起きた根岸の首つりパフォーマンスで更に会場は盛り上がり、ついにジャックとの対バンライブが始まる。そしてジャックの十八番でもあるファック対決でお互いに息継ぎなしでファックと叫び続けた。息継ぎなしなのでお互いに苦しくなりつつも根岸がタッチの差でジャックに打ち勝つ。自分の得意な勝負で負けてしまったジャックは自身のペットでもあるメタルバッファローと呼ばれる牛を放ち根岸たちを襲わせる。しかし実家が農家であり幼いころから牛の世話に慣れていた根岸は難なくメタルバッファローを懐柔してしまう。まさかの展開にジャックは膝を着き「デトロイト・メタル・シティ」の雰囲気に飲み込まれていった。こうして根岸たちはジャックに勝利したのだった。
ライブ終了後、「デトロイト・メタル・シティ」の楽屋にはジャックが訪れていた。やりすぎたと反省していた根岸はジャック・イル・ダークの登場に驚きを隠せずにいた。すると彼は根岸に伝説のギターを託す。そして「今後のデスメタルを頼む」と言葉を残し去っていった。根岸は伝説のギターを受け継ぎし者となったのである。

サタニックエンペラー編

ジャック・イル・ダークに勝利した数日後、彼の娘であるケニー・イル・ダークに誘われ「デトロイト・メタル・シティ」は「サタニックエンペラー」というメタルロックフェスに参加することとなる。名だたるメタルバンドたちをなぎ倒し最終戦まで駒を進めるのだが最終戦の相手である「ヘルヴェタ」との対バンライブで事件は起こる。「ヘルヴェタ」のヴォーカルであるシャーセは「ヘルヴェタ」のファンを増やすためにあえてポップミュージックでも活動していたのである。それを聞いた根岸は、自分の本当にやりたい音楽は誰にも認められず仕方なくメタルをやっている己の境遇とシャーセを比べ、激しく嫉妬し渾身のメタルパフォーマンスでシャーセを圧倒する。しかしシャーセもクラウザーに対抗し無理やりメイクやウィッグをはぎ取りクラウザーをさらし者にしようと試みた。するとクラウザーの素顔は自身とそっくりな容姿の男だったのだ。自分と瓜二つの根岸を見てシャーセは困惑する。メイクを剝がされピンチに陥る根岸だったがファンたちはクラウザーがシャーセの姿に化けたと勘違いする。更にシャーセは自分と瓜二つな顔がであることに困惑してしまう。一気にピンチから逆転した根岸はポップミュージシャンとしてもシャーセに止めを刺すために自分が得意のポップスを歌い始める。だが根岸のポップスは全く受け入れられることはなく、観客から激しいブーイングを浴びせられ自信を無くしその場から逃げ出してしまう。

逃げだした後に根岸は控室にて客たちに憤りを感じていた。容姿や声も自分とそっくりなのに成功しているシャーセに激しく嫉妬していた。同時に多くの人達の前で自分のやりたい音楽を全力でやったにも関わらず、思い切り否定され自信も失ってしまっていた。悲しみと絶望に打ちひしがれていたが段々彼の感情は変わっていた。自分の音楽を否定するということは、自身を支えてくれる人をも否定していることにも他ならない。更に根岸の嫌いなメタルロックのファンに自分の音楽を否定されたことから怒りに駆られていった。こうして自分を支えてくれている人、ポップスが好きな自分の為に根岸は再び戦意を取り戻した。そして墨を摺り顔面に大きく「殺」と描き再びシャーセに挑む。その頃ステージではシャーセのライブで大盛り上がりであった。火柱が上がり会場はヘルヴェタの雰囲気だったが、燃え盛る火柱の中からクラウザーが登場する。嫉妬と怒りに狂ったクラウザーとシャーセの最終決戦が始まろうとしていた。

シャーセは逃げ出したクラウザーを見て勝利を確信しステージにてライブを行っていた。しかしその最中に逃げ出したはずのクラウザーが再び戻って来たのである。
一度は敗北し逃げたクラウザーにシャーセは怒りを露わにし、手に持っていた斧をスピーカーに振り下ろしクラウザーへ威嚇する。しかしクラウザーはシャーセから斧を奪い取り一発でスピーカーを真っ二つに切断する。斧を自在に操るクラウザーの姿を見てシャーセは恐怖していた。そしてクラウザーは斧を振るのを止めシャーセへ振り向く。その姿を見てシャーセは「こいつは殺ったことがある側の人間なんだ」と思い膝を着く。崩れ落ちたシャーセからマイクを奪い取りクラウザーは歌い始める。その内容はただただ真っすぐで純粋な下ネタだった。次々に発せられる下ネタを聞いた「デトロイト・メタル・シティ」のファンたちは「卑猥の雨」と揶揄した。下ネタの雨が降り注ぎ、燃え盛るステージで演奏し歌うクラウザーの姿をみた社長は、今目の前で起きているこの状況こそが自分が思い描いていた理想だと感じていた。音楽は人を殺れる。こうして狂宴「サタニック・エンペラー」は「デトロイト・メタル・シティ」の勝利で幕を閉じる。その翌日「サタニック・エンペラー」のことが新聞で取り上げられていた。内容は「深夜のメタルロックフェスにて富士の樹海に火災」とのことだった。またもやクラウザーになりきったことでやりすぎてしまったと猛省する根岸だった。

クラウザーI世編

ある日根岸は社長に呼び出され事務所にいた。そこで社長から日本のメタルバンドを集めて「デスレコーズ」主催のライブイベントを行うと告げられる。突然の事でなんのことやらと思いつつ打合せの日を迎える。そこにはかつて「サタニックエンペラー」で戦ったバンドメンバーが集まっていた。「サタニック・エンペラー」では敵対していたが、今回はお互いに協力しライブを盛り上げようということになっていた。そして迎えたライブイベント当日、ライブの最後を務める「デトロイト・メタル・シティ」のメンバーは準備を終えステージへ向かっていた。しかしそこには一部のファンの姿しかなくライブ会場は静まり返っていた。最後に突如現れた謎の男の演奏を聴きに、みんな会場を出て行ってしまったのだという。イベントは中断された。
控室は謎の男の話題で持ちきりだった。参加したバンドメンバーも困惑しており、更に観客を奪われたことに激しい憤りを感じていた。現れた男が何者なのか見当もつかず一同頭を抱えていたところ、社長がクラウザーが狙われる理由として「デス・レコーズ」の過去に関係があると話す。事態の展開についていけず、腑に落ちない理由で自分が狙われているということを知った根岸はその場から逃げ出してしまう。家に帰り、何度も思っていたが今度こそ「デトロイト・メタル・シティ」を辞めようと考えていた。そんな時ちょうど社長から電話があり、とあるバーに呼び出される。そこで何とか辞めることを伝えようとするがうまく伝わらず、社長に何故か励まされる形で終わってしまった。二人がバーを後にして事務所に戻ると、既に何者かに襲撃された後だった。そして事務所の壁に「我はクラウザーI世」と書かれていたのであった。

事務所襲撃から数日後、社長と和田は襲撃者のライブに来ていた。ステージ上には「デトロイト・メタル・シティ」が演奏している映像がスクリーンで映されていた。するとスクリーンが燃え始め、その後ろからクラウザーに身を扮した根岸ではない何者かが演奏していたのだった。ライブが終わった後楽屋に赴き、社長はナイフを構えクラウザーI世に対し「遊びやパロディならやめときな」と忠告する。するとクラウザーI世は「貴様を潰してデトロイト・メタル・シティを取り戻す。クラウザーは本物の犯罪者である自分が相応しい」と言い返し控室に入っていった。その会話を聞いていた和田は彼は何故社長に恨みがあり何の罪を犯したのかを尋ねる。社長は彼の犯した罪状が痴漢であること告げる。すると控室から一見ただのスタッフではないかと思われる中年のおっさん、北原が出てきた。まさかこの人物ではないと思い和田は視線をそらす。しかし北原が社長に対し「必ずぶっ潰してやるからな」と吐き捨てたことから、先ほどのクラウザーI世と同一人物であることを知る。

ついに北原が率いる「ブラック・デス・デトロイト・メタル・シティ」と「デトロイト・メタル・シティ」のライブが始まる。そしてクラウザー同士による一秒間レイプ発言対決で決着をつけることとなる。4回目のレイプ発言まではお互い同じペースだったがここで根岸は舌を噛んでしまう。このアクシデントにより根岸は遅れをとってしまい、会場内に緊張が走る。しかし根岸の凄まじい追い上げにより、一秒間に12回のレイプ発言まで同じだったがレの一文字の差で根岸が勝利した。この決着に納得のいかない北原が再戦を要求すると、彼の口から何かが吐き出される。なんと北原は口にバネを仕込んでいたのだった。不正が暴かれ会場のファンたちから反感を買ってしまい、衣装をはぎ取られメイクまで落とされてしまう。クラウザーの衣装がなくなりただの中年のおっさんに戻った北原は、ファンたちから何故不正をしてまで勝ちたかったのか問いつめられてしまう。悪魔玉という名のただの淡を口に含んだ根岸が北原に襲い掛かる。悪魔玉に対抗し北原も元気玉という名のただ淡を口に含み始め根岸を迎え撃つ。双方淡を相手の口に目掛け打ち込もうとした刹那、北原はうっかり淡を飲み込んでしまう。そして根岸の放った淡は北原の口を僅かに外してしまい顔に着弾させ、顔にへばりついている淡を口にねじ込んだ。悪魔玉と元気玉を飲み込んだ北原はついに戦意喪失し膝を着く。根岸はジャックのギターを北原から取り返し勝利の演奏をはじめる。こうして根岸は北原を破り再び「デトロイト・メタル・シティ」のヴォーカルのクラウザーとして復活したのであった。

ゴッド編

ある日根岸は社長に早く曲を書く様に必要以上に痛めつけられていた。その理由として過去に根岸が勝利したジャック・イル・ダークが日本の新人メタルバンドをプロデュースしてシングルを発売しようとしていたからだ。そしてほかの実力あるメタルバンドもジャックのプロデュースする新曲の発売日に併せてシングルを発売しようとしていた。「デトロイト・メタル・シティ」も同じ日にシングルを発売する予定で、複数のメタルバンドが同じ日にシングルを発売する通称「メタルズビックバン」が始まろうとしていた。根岸は社長に発破をかけられ続け、ついに新曲「化け物霊長類」を作曲し、「メタルズビッグバン」に臨む。しかし栄光のチャートのトップは突如現れた謎のバンドがかっさらっていったのであった。
社長たちはチャートで1位を取った謎のバンドの正体を探るべくアメリカへ飛んだ。そしてその正体はメタル界の神である「カールス・マーダー」の隠し子だった。一方その頃、根岸は都内某所にて大物クリエイターの開催する展覧会のデション会場にいた。しかし審査員に全く相手にされなかった腹いせに、全裸になりクラウザーのボディペイントを施し面接官に襲撃を行う。しかし面接官は既に何者かによって襲撃された後だった。そして面接官の前には金髪の長身でハーフだがとても不細工な青年が立っていた。根岸に声をかけられ青年は「俺は、カールス秀喜だ」と名乗った。根岸は青年が何者なのか気になってしまい会場入り口で待ち伏せをしていた。そしてカールス・秀樹を見つけ何とか声をかけると以外にもいい人だった。カールスは会話の途中で用事があると言って根岸に自分のメルアドを伝え去っていった。そして次の日、根岸はカールス・秀樹がカールス・マーダーの隠し子でチャート1位を取ったバンド、「ゴッド」のヴォーカルであることを知る。
夜のファミレスにて根岸はカールスがメタルをやる理由を聞き出そうとしていた。しかし会話の途中でトラブルに巻き込まれカールスは怒り大きなカバンを持ってトイレに向かいゴッドの姿になって暴れ始める。怒りに身を任せ周りに攻撃するゴッドを見て根岸はクラウザーの姿となって暴れる自身と同じだと気づく。根岸は事務所に帰り社長に「クラウザーを辞める」と告げる。社長は怒り狂い根岸をボコボコにするがいつもと違う根岸の覚悟に気づき、辞めることを了承する。根岸は「お世話になりました」と言い残しその場を去る。

根岸を見送った社長は「デトロイト・メタル・シティは解散だ」とほかのメンバー告げると同時に大量に血を吐き倒れてしまうのだった。
根岸が「デトロイト・メタル・シティ」を脱退し社長が血を吐いて倒れた後、メンバー達は解散ライブを根岸抜きで行うことを決意する。そして当日クラウザーのいない解散ライブが始まる。ライブ前に和田は根岸に届くと信じ、解散ライブの事を手紙で伝えていた。しかし待てども待てども根岸は現れない。するとゴッドが根岸の伝説のギターを求めライブに乱入してきた。ゴッドのパフォーマンスに成す術もなくギターは奪われてしまう。こうして「デトロイト・メタル・シティ」の解散ライブは最悪の結末で終了したのであった。
「デトロイト・メタル・シティ」のを辞めた根岸は自分の新たな音楽の可能性を求めてフランスへホームステイをしていた。芸術家が集まるこの国で今度こそ自分の音楽を成功させようと躍起になっていた。しかし路上ライブをしても無視をされ続け全く相手にされずにいた。アルバイト先の酒場で引き語りをさせてもらった際には、酔っぱらいから生卵を投げつけられる。家に帰ると日本から届いた和田からの手紙に気づく。手紙に「デトロイト・メタル・シティ」は解散したこと、社長が倒れたことや伝説のギターが奪われたことが書かれていて日本行きの航空券が一緒に同封されていた。根岸は航空券を握りしめ日本へ向かう。

5月10日のゴッドの日に某ライブハウスにてゴッドはライブを開催していた。そして客席には和田と西田が根岸が戻って来た時の為に参戦していた。しかしゴッドのパフォーマンスは凄まじくファンたちは熱狂し会場はかなりの盛り上がりだった。そしてステージ上のスクリーンには名のあるメタルバンド達を倒したときの映像が流れていた。すると突然スクリーンに、パリコレのステージを歩くクラウザーの姿が映された。そして凱旋門で「SA・TSU・GA・I」を演奏し始め、サビ前になるとスクリーンに向かいギターを振りかぶる。そしてクラウザー本人が登場したのである。その姿を見た和田と西田はすぐに着替えてステージに上がり、「デトロイト・メタル・シティ」とゴッドの戦いの火蓋が切って落とされるのであった。
ステージに上がったクラウザーは早速ゴッドのパフォーマンスを逆手に取り観客の注目を集めていく。ゴッドも数々のメタルバンドを沈めてきた必殺技のゴッドウォークで対抗する。しかし反撃も虚しくクラウザーにより転ばされてしまい、更にカールス・マーダーのギターまで取り返されてしまい、第二形態へと変貌を遂げる。コスチュームとギターが変わり流れが変わったように思えた。しかし根岸は根岸でフランスに逃げるほどメタルをやりたくないという気持ちで反撃に出る。
しかしここでゴッドが最終形態に変わると、クラウザーのギターの弦が切れてしまう。ギターも使えずパフォーマンスも効かない絶体絶命のピンチに陥ったが、ライブハウスの入り口にギターを持った社長を見つける。そしてそのギターは初めて根岸が初めてクラウザーになった時に社長に「お前が伝説を作れ」と言われ渡されたことを思い出す。根岸は伝説のギターを床に叩きつけて破壊する。

ギターを受け取った根岸は伝説を振り切り、「これからは自分が伝説を作る」という気持ちで演奏をはじめた。そしてクラウザーはゴッドの毛を引っ張り豚の西本の前に引きずり出す。そしてゴッドの顔を梨元の肛門に押し付ける。ゴッドに勝ったクラウザーはあることに気づいた。会場の熱気や爆音と興奮、これらを生み出しているデスメタルこそ、自分のやりたい音楽だと気づいたのだった。
ゴッドとの戦いに勝利した根岸は自分自身のやりたい音楽を改めて知ることができた。メタルこそ自分の音楽なんだとわかり勝利の後のライブは大いに盛り上がっていった。その後、自分がクラウザーであることを相川に伝えることを決意する。たとえ嫌われても、相川に理解してもらうためにデートに誘いクラウザーの格好で相川の前に現れる。今までの非礼を詫び自身がクラウザーであることと、自らの気持ちを告げるが、相川は全く信じず根岸をどこへやったのかと問い詰める。そして好きな人がいると語り始めるがその相手が自分だと気づかず勘違いで根岸は怒り出し自身の陰部を彼女の口に突っ込む。そしてそのまま走り去ってしまうのだった。

『デトロイト・メタル・シティ』の登場人物・キャラクター

デトロイト・メタル・シティ(DMC)

根岸崇一(ねぎしそういち)/ヨハネクラウザー2世(演:松山ケンイチ)

CV:うえだゆうじ
本作の主人公で、大学進学に伴い上京した心優しき少年でありヨハネクラウザーII世の正体。ポップスが好きで、大学の同級生である相川に自作の曲を褒められプロで活動することを決意する。路上ライブを行う際にクネクネと踊りながら弾き語りをしている。しかし何故かデスメタルバンドの「デトロイト・メタル・シティ」のヴォーカルを務めることになる。本当はデスメタルはやりたくないと思っており、フランスに留学し逃げ出すほどだ。だがいざライブになればクラウザーになりきり、抜群の演奏とパフォーマンスを披露している。対バンライブなどでピンチに陥ってもアドリブでその場を乗り切る応用力があり、ファンからの人気も高い。しかし感情が高ぶりパフォーマンスでやりすぎてしまうこともあり、ライブ後いつも自宅で反省している一面もある。更に日常生活でも何か自分にとって不快なことがあるとクラウザーになりきってしまい暴言を吐いたり唾を吐いたりと暴走してしまうこともしばしばある。そして何度も「自分のやりたい音楽はこんな音楽ではない」と思っているが、ライブを重ねていく内に気持ちに変化が訪れる。会場の熱気、凄まじい爆音、雰囲気を感じ、この空間を作り出しているデスメタルこそ自身の音楽だということに気づく。

和田真幸(わだまさゆき)/アレキサンダー・ジャギ( 演:細田喜彦)

CV:中野裕斗
「デトロイト・メタル・シティ」のメンバーであるジャギの正体でベースを担当している。「デトロイト・メタル・シティ」のメンバーで最もバンドマンらしい爽やかな青年である。ベースの腕はなかなかでありほかのバンドから引き抜きの話を受けるほどの腕前である。またヴィジュアル系バンドとしてもやっていこうとしたこともあり、ヴォーカルとしても普通に上手い。ライブ中火を吹いたりするがクラウザーほど派手なパフォーマンスはできない。なので普段派手なパフォーマンスで観客を沸かす根岸に「さすが根岸、メタルモンスターだぜ」とライブ後根岸を褒め称えている。また根岸がフランスに行った際にわざわざ手紙で社長が倒れたことや「デトロイト・メタル・シティ」が倒れたことなどを伝え、「戻ってきてくれ」と頼む仲間想いな一面もある。また社長には頭が上がらず、根岸がいつもボコボコにされている姿をみて何とか怒らせないようにご機嫌を取っている。

西田照道(にしだてるみち)/カミュ (演:秋山竜次)

CV:保村真
「デトロイト・メタル・シティ」のメンバーでドラムを担当しているカミュの正体。眼鏡で小太りで「くいこみ戦隊ブルマちゃん」というプリントがされたTシャツを着て、ぴちぴちのジーンズを履いている典型的なオタクスタイルを貫いている。かなりの毒舌家でもあり、生々しい下ネタをぼそぼそ呟いている。飲食店に行った際に女性の店員に注文するときには「お前のアワビ」というストレートな下ネタ発言をしたり、メンバーに突然「黙れカスども」などの暴言も吐く。変わり者だがドラマーとしてはかなりの腕前で、ジャック・イル・ダークと戦ったときに彼の首に巻き付いていたコブラで演奏をし始めることもあった。またライブが盛り上がりすぎて会場が火事になったときに、周りが燃えていることも気にせずドラムを叩き続けたという伝説もある。

デスレコーズ(Death Records)

社長 (演:松雪泰子)

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