サンダーアーム/龍兄虎弟(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『サンダーアーム/龍兄虎弟』は、1986年に香港で製作されたジャッキー・チェン主演のアクション映画。
冒険家のジャッキーは、友人アランから恋人のローラが邪教集団に誘拐されたと告げられる。一方で教団は、ジャッキーを利用して世界各地にある五つの「神の武具」をジャッキーに集めさせ、恐るべき力を手に入れようとしていた。
本作品での撮影中に、主演のジャッキー・チェンが頭蓋骨骨折という大怪我を負った事は有名であり、現在も彼の脳が飛び出さない様にプラスチックの栓がしてある。

秘密道具

「コルト・スパイダー」から飛び出す「サンダー・カー」。

ジャッキーが使用する道具であり、オープニングでは組み立て式の飛行機、中盤では座席が変形して脱出できる自動車といった多種多様な物がある。このジャッキーとアランが運転する車「コルト・スパイダー」は、数年前に三菱が3000万円をかけて開発したハイテク車である。そして、この車から飛び出す通称「サンダー・カー」も、特性50ccエンジンを搭載したうえ、ペダルやハンドルを操作できる。その後も、ジャッキー・チェン演じるアジアの鷹が主人公の『プロジェクト・イーグル』や『ライジング・ドラゴン』にて様々なメカが披露される事となる。

『サンダーアーム/龍兄虎弟』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

アラン「 俺の人生で一番大切なのは友情だ、ローラと引きかえに友達を失いたくない。」

出典: stat.ameba.jp

ジャッキー(写真左)とアラン(写真右)。

ジャッキーのもとへ、かつてのバンドメンバーであるアランが訪ねてきて、誘拐された恋人のローラを助ける為に協力して欲しいと告げる。しかしジャッキーはローラを助ける為の武具は既に売ったうえ、バンド時代にローラをめぐってアランと揉めた事を引きずっていた。それ故にジャッキーは、アランからの申し出を断ろうとする。するとアランは「 俺の人生で一番大切なのは友情だ、ローラと引きかえに友達を失いたくない。」と告げ、その場を去ろうとする。そんなアランを見たジャッキーはゆっくりと背後から 、肩を抱き、二人は互いの顔を見て笑ったのだった。ジャッキーアランと共に、ローラを助ける事となったのだった。ジャッキーとアラン、二人の友情が通じ合った一言である。

ローラ「ゴンサン、彼の本名よ!」

出典: www.mgavideo.com

ジャッキー(写真右)と再会するローラ(写真左)。

神殿にやって来たジャッキーのもとへ、ローラが思わず口にしたのが「ゴンサン」で、ここでジャッキーの本名が判明する。
この「ゴンサン」は、本作品で主人公演じるジャッキー・チェンの中国語の本名(陳港生(チェン・ゴンサン))も表し、「コンサン」と表記する場合もある。またジャッキー・チェンには本名が二つあり、「房仕龍(フォン・シーロン)」という名前もある。ジャッキー・チェンのルーツは中国・安徽省蕪湖市にあり、彼の父親は国民党の諜報員だった。父親が香港へ亡命する時に、母方の姓を取り、息子に「陳港生」と名付けたとの事。ジャッキー・チェンや家族達が歩んできた激動の時代を伺える一言である。

ジャッキー「ローラの本心が分かったろ?所詮、俺が勝てるわけないんだ!」

神殿に侵入し、アラン(写真左端)とローラ(写真中央)を助けに来たジャッキー(写真右端)。

神殿に侵入したジャッキーが、信者達を倒しつつ縄で縛られているアランとローラのもとに行く。ジャッキーは二人を助けるかと思いきや、ローラのみ縄を解き、アランに対しては自分の力で脱出する様に告げる。「ローラは助ける」という約束は守ったとジャッキーは言い、ローラを連れてその場を去ろうとする。アランは、自分はどうせ神殿から出られないから、ローラを頼むとジャッキーに告げる。するとローラは、アランを残していけない、助けてあげる様にと彼に寄り添う。それを見たジャッキーが思わず拍手をする。そして「ローラの本心が分かったろ?所詮、俺が勝てるわけないんだ!」とアランに告げ、彼の縄も解いたのだった。アランとローラ、互いの思いを分かり合わせた、ジャッキーの一言である。

『サンダーアーム/龍兄虎弟』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

危険な撮影現場

木に飛び乗るジャッキー。

本作品の主演を務めたジャッキー・チェンは、1985年8月に撮影の為にユーゴスラビアへ向かう。その間、9月には『ファースト・ミッション』のプロモーションの為に日本を訪れた後、再びユーゴスラビアへ到着する。しかし城壁から木に飛び乗るアクションの撮影で15メートルの高さから落下、頭蓋骨を骨折し、撮影を中断する。病院で緊急手術が行なわれ、現在もジャッキー・チェンの頭蓋骨には脳が飛び出さない様にプラスチックの栓がしてある。その後、1986年3月に撮影が再開され、監督もエリック・ツァンから交代し、ジャッキー・チェンが兼任する事となった。撮影は再開するも、「チェルノブイリ原子力発電所事故」(1986年)の影響で「雨の場合は撮影中止」「ミルク、生水等は飲まない」等といった非常に厳しい条件下にあるユーゴスラビアで撮影が行われた。一同はその後、ヨーロッパ各地での撮影も終えて、香港に帰国した。

怪我からの驚異的回復

出典: static.zaobao.com

病院で治療を受けるジャッキー・チェン(写真中央)と、彼に付き添うアラン・タム(写真左)とジャッキー・チェンの父親(写真右)。

ジャッキー・チェンの怪我からの回復力はめざましかった。撮影中の合間に、パリの高級レストランレストラン「マキシムド・パリ」(現在は閉店)へ、頭に包帯をぐるぐる巻きをされていた状態で訪れた。するとジャッキーは突然、頭の包帯を取り「頭が痒くて仕方ないんだ」と告げ、頭部を掻き始めたとの事。これを見ていた周りの客は唖然としたそうだ。またジャッキー・チェンは、本作品の冒頭では短髪だったものの、次の場面からは長髪になり、以降はこの髪型で物語を展開する。これは、頭蓋骨骨折の手術後の傷跡を隠す為に髪を長くしたものと言われている。また、この事故による後遺症で左耳が殆ど聞こえなくなり、彼の事情を知ったり、通訳を務める者は右耳の側に立って話す様にしているとの事。ジャッキー・チェンが撮影中の大怪我を負った際、日本では彼の「死亡説」が囁かれた。またジャッキー・チェンが本当に死亡した場合、共演のアラン・タムを本作品の主演として撮影する予定だったとの事。

『サンダーアーム/龍兄虎弟』の主題歌・挿入歌

香港公開版主題歌:アラン・タム「暴風女神Lorelei」(広東語版)

本作品の主題歌でありアラン・タムが歌唱する「暴風女神Lorelei」は広東語版と英語版があり、香港公開版では広東語版が使用された。

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