地獄楽(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『地獄楽』とは2018年から2021年にかけて賀来ゆうじにより『少年ジャンプ+』にて連載された和風アクション漫画。江戸時代末期を舞台とし、最強の忍として畏れられた画眉丸が愛する妻と再会するため「不老不死の仙薬」を求め島をめぐる忍法浪漫活劇。美しくも悲壮感溢れるタッチで描かれた群像劇で、疾走感のあるアクションシーンも魅力である。戦闘シーンだけでなく多くの回想シーンもあり、多くのキャラクターに感情移入しやすい作品になっている。最終回公開時にテレビアニメ化も決定した人気作品である。

『地獄楽』の概要

『地獄楽』とは2018年から2021年の約3年間、賀来ゆうじにより『少年ジャンプ+』にて連載された和風アクション漫画。話数は全127話、『少年ジャンプ+』にはWJにて掲載された番外編や特別イラストなども掲載されている。賀来ゆうじの作品としては2作目の連載作品にあたり、過酷な状況下における人間ドラマや美しくも恐ろしいタッチで人気を博している。連載終了から半年が経過しても、『少年ジャンプ+』の無料作品内の総合ランキングで上位5位以内に残り続けている。2018年には「次に来るマンガ大賞(Webマンガ部門)」、「第2回マンガ新聞大賞」にノミネートし、連載当初から継続的な人気を誇っている。2018年11月に原画展が開催、2019年9月に小説版が発売された。最終回と同時にテレビアニメ化が発表され、放送時期に関しては2021年9月時点では未定である。

刊行は13巻まで行われ公式キャラブック『地獄楽 解体新書』が発売されている。
集英社の運営する配信アプリ・サイト『少年ジャンプ+』では電子書籍としての購入だけでなく、30秒ほどの動画を見ることで作品を1話読むことができる。また、本編以外にも番外編や特別イラストを無料で見ることも可能である。

存在も謎に包まれた「不老不死の仙薬」を島から持ち帰るため、送り込まれた死罪人と監視役の山田浅エ門が織りなす群像劇。主人公の画眉丸は愛する妻と再会するため、仙薬探しへの参加を決意するところから物語は始まる。島への上陸後は、島を統べる天仙の妨害を受けながらも仙薬の謎へと近づいてゆく。

『地獄楽』のあらすじ・ストーリー

不老不死の仙薬を求め島へ上陸

古くから信仰される神仏郷が発見された。そこはまさしく伝説通り、蝶や花が舞い歌声をも聞こえてくる極楽浄土と噂される場所であった。お伽話のような話であるが、あるであろう不老不死の仙薬を求めて送り込まれた調査団の船には花と彼らだったものだけが詰まって帰ってきた。そこで第11代征夷大将軍、徳川斉慶の発令によって次は死んでもよい、死罪人を全国から集め島へ送ることとした。そこで仙薬を手にし、持ち帰った一名を無罪放免にすることを条件に能力と生きる意欲のある死罪人を集めた。
主人公画眉丸は愛する妻と再会するため、無罪放免を求め上陸を決意する。集められた死罪人は死刑執行人の山田浅エ門を監視役に付けられ島へ送られた。島に送られた死罪人の中には、上陸前に相手を削ろうとする者や結託をもくろむ者や、それを装う者などがおり、互いに競いあいながら存在も含めて謎に包まれた仙薬を探す。しかし島には摩訶不思議な生物や、あるはずのない人工的な石像などが点在し不気味な島だった。

死罪人同士の争い、天仙との遭遇

島への上陸後まもなく、画眉丸らは死罪人の1人であるいがみの慶雲と遭遇する。慶雲は仙薬探しのライバルを減らすべく、画眉丸に戦いを挑む。画眉丸は慶雲を瞬殺し、島の探索へと歩を進める。
その後画眉丸らは、空腹で暴走した陸郎太と対峙する。画眉丸が忍術を駆使するも攻撃が通じず、陸郎太の怪力に圧倒されてしまう。そこで佐切が自身の強さと弱さの両方を同時に受け止めることで覚醒し、陸郎太の斬首に成功したことでこの危機を切り抜ける。
これらの争いを乗り越えたどり着いた先には村が存在した。そこで画眉丸らは少女メイと木子と出会い、島や化け物について教わることになる。島は徐福という人物が作り出したもので、不老不死の研究をしていたことが判明する。仙薬の存在も完全なものではないが、それに近いものが存在することが明らかとなったころ、それぞれの人物が島の中心へと集結してゆく。中心には島を統べる天仙がおり、上陸した人間を材料に仙薬を作っている。双方の目的から両者は接敵することとなり、上陸者たちは強敵である天仙と戦うことになる。牡丹との戦闘に際して、木人の語った思想が天仙らによって都合よく作られたものであったことや、タオの相性が明らかとなる。杠や佐切、仙太の健闘も虚しく、劣勢が続く中駆けつけた士遠と仙太による弱点の分析によって撃退することに成功するが、仙太は命を落とす。

追加組の上陸

島へ死罪人たちが送り込まれてから数日後、仙薬を持ち帰還する者がいないことから幕府は追加の人材を送り込む。送り込まれたのは、山田浅エ門四名と石隠れ衆の忍たち。追加された人材の中心人物の殊現は、上陸後尊敬していた衛善の死を目の当たりにし怒り狂う。島の化け物を従え、急速に島の中心へと赴き戦況をかき乱すこととなる。

仙薬奪取に向け天仙の本拠地・蓬莱へ

合流した画眉丸らは天仙の拠点へと攻め入るため戦略を立てた。それはタオの属性によって分かれて行動し、仙薬と船を奪取し島から脱出するというものだった。しかしそのころ蓮(リエン)の計画により、丹をより完全なものへと近づけるため本土の人間を利用するため船が出港しようとしていた。足止めのため、天仙らは画眉丸らの前に立ちはだかり戦闘へと発展する。天仙らが次々と倒され進展したかと思われたが、追加組が合流することで状況は一変し混沌に包まれる。
士遠によって丹田を串刺しにされ、修復に数日かかる深手を負った朱槿が盤古と合体し巨大な花の姿となる。そして花化を及ぼす大量の鱗粉のような物体を散布し、周囲のタオへ大きな影響を与え始める。盤古には5つの丹田が存在し、同時に破壊することが要される。そこで合流した画眉丸らはタオが相生になるように二人組を組み、丹田の破壊へと向かう。

天仙の真相、船上での最終決戦

盤古を破壊後、蓮の真の目的が明かされる。蓮は最初から天仙として作られたのではなく、元は人間で宗師の復活を目的に不老不死の仙薬を作っていた。その目的を妨害する上陸者と蓮は再び戦い、最終決戦が始まる。
蓮撃退後、本土へと帰還した画眉丸は妻と再会するような描写があるほか、他の人物もそれぞれの道を歩み始めたところで物語の幕は閉じる。

『地獄楽』の登場人物・キャラクター

死罪人

画眉丸(がびまる)

取り押さえようとした人々を忍術で一蹴する画眉丸

本作の主人公で、生まれたときから殺人術を学ぶ元石隠れ衆最強の忍。”がらんの画眉丸”の異名を持ち、”がらん”は”がらんどう”に由来。性格は虚無的であるが、時折仲間を気遣う場面も見られる。里から抜けようとした際、任務中に仲間からの裏切りに会い捕らえられた。捕縛の際に二十人も殺害し死罪人とされた。しかし、打ち首や火刑、牛裂きに処されても死なず、死を受け入れているようにふるまっていたが、死を避けていることを見破った山田浅エ門の佐切によって愛する妻の存在を思い出した。その後は愛する妻と再会する為に、持ち帰ることで無罪放免を勝ち取ることのできる「不老不死の仙薬」を探す。忍術は主に火に関するもので、火吹きなどの人間離れした術を使いこなす。
監視役は佐切。タオは火。

杠(ゆずりは)

自称甲斐忍者のくのいちで、「傾主の杠」の異名を持つ美女。任務で潜入した鷺羽城で家臣全員を打ち倒し死罪となった。身体中に傷跡があるが、自身の忍術で隠している。性格は自由奔放で自己中心的な発言が多く、華のある若いうちに死にたくないという思いを述べている。上陸後に茂籠牧耶を島の生態の理解のために実験台にするなど冷酷さも見られる。生き抜くことを第一とする考え方は、亡くなった妹・小夜の分まで生きるという思いからきている。忍術は体から粘液のようなものを出し隠密行動や攻撃を行うもので、タオを薄めることによる隠密術を教える場面もある。
監視役は仙太。タオは土。

亜左弔兵衛(あざちょうべい)

赤稿藩の武家出身で、藩の改易や母の死、藩主仇討に参加した父の刑死などの不幸が重なり盗賊へ落ちぶれた過去を持つ。若くして大盗賊団を作り上げ「賊王」の異名を持つ。適応力が非常に高く、島へ向かう死罪人の選抜の意図などをいち早く見破るほか、島の異様な光景や生態にも適応した。適応力だけでなく、状況を分析する力や戦闘力、人心掌握にも長けている。性格は作中の中で最も乱暴で、他の登場人物に対する暴言や暴力などが多い。唯一の身内である桐馬を守ることに重きを置いていて、作中では弟の成長に驚きながらも戦況を任せる場面も見られた。
監視役は桐馬。タオは金。

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