はんだくん(ばらかもんスピンオフ)のネタバレ解説・考察まとめ

『はんだくん』とは、漫画家・ヨシノサツキによるネガティブ青春ギャグコメディ漫画、およびそれを原作としたアニメ作品である。漫画『ばらかもん』のスピンオフ作品として制作された。連載先は漫画雑誌の「月刊少年ガンガン」。2013年11月号から、2016年10月号までの約2年間連載が行われた。2016年に7月に夏アニメとしてアニメ化もしている。自分の事を嫌われ者と勘違いしている男子高校生・半田清と、彼の事をクールで孤高な男と勘違いして慕っている周囲の勘違いから始まる愉快な日々を描く。

黒服(くろふく)

黒服の制服を身に着けている黒服生徒達

半田や半田軍が暮らす地域にある不良高校の略称。制服が黒の学ランである事が由来となっているようだが、不良高校であるイメージも強いせいで、学生達の間では「黒服」と「不良校」の2つの略称の派閥が存在する。なお、作中でのキャラのセリフいわく「学校名を決めてないからこうなる」との事なので、正式な学校名は存在しない模様。

『はんだくん』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

半田清「お前らなぁ… 友達なんてなかなかできるもんじゃないから 大切にした方がいいぞ」

『はんだくん』第1話で、半田がジュリと麻衣子に言った言葉。
周囲に嫌われていると思っている半田。そのせいで彼は、高校生になっても全然友達ができない状態にあった。
そんな彼の目の前で、突如ジュリと麻衣子が喧嘩を始める。彼女達は友達同士ではあったが、麻衣子の方が無意識に相手を傷つける言葉を吐く癖があり、ジュリはずっとその事を不満に思っていた。さらにジュリは、麻衣子が半田にラブレターを送った後に、自分も半田の事が好きだと自覚していた。友情と恋心の間で揺れたジュリではあったが、麻衣子のような悪口を無自覚に言う子を半田の恋人にするのは違うと考え、麻衣子の告白を阻止する事を決める。それがきっかけとなり、2人は半田の前で喧嘩を始めてしまったのである。
事情を何も知らない半田は困惑しながらも、その場から離れようとする。だが、離れる直前、ふと思いついたように2人に向かって半田が言ったのが、この「お前らなぁ… 友達なんてなかなかできるもんじゃないから 大切にした方がいいぞ」というセリフである。
自分の勘違いが原因とはいえ、友達を作る大変さを知る半田。そんな彼がいうからこその重みが、このセリフは含まれているといえる。
また『はんだくん』は、半田清の青春を描くと同時に、物語終盤では半田が周囲の者達にどれだけ慕われていたかに気づくまでを描いた話になっている。気づかない内に大切にすべき関係性が築けていた半田の青春は、このセリフに通じるものがあると言っても過言ではない。『はんだくん』という作品を表す名セリフだ。

近藤「ほっといてって言ったよね 半田くんはキズつきやすいって 言ったよね」

『はんだくん』修学旅行編で、近藤が小路に言ったセリフ。半田軍イチ平凡な近藤は、他の半田軍とは違って巻き込まれる形で彼らの一員となったため、半田に心酔していない。だが、彼なりに半田に対して心を砕いてはいるようで、作中では周囲に勘違いされやすい半田のフォローやサポートに回る役を担っていた。
修学旅行編でも、半田の事を目の敵にする一宮軍に対して、半田の行動をフォローしたりキズつきやすいから放っておいてほいてあげてほしいと頼んだりしていた。だが、最後の最後になって一宮軍の小路が半田を襲う事態が発生し、近藤がそれにキレてしまう。その時に近藤が言ったセリフこそが「ほっといてって言ったよね 半田くんはキズつきやすいって 言ったよね」というものだ。
普段は温厚で常識人でツッコミ役の近藤は、半田軍の良心ともいうべき存在だ。暴走しがちな半田軍の中では珍しく半田に対して暴走をしないため、一軍のブレーキ役として安心感のある存在だったといえる。そんな彼が怒ったのはこのシーンが初めてであり、それ故に多くのファンにインパクトを残す事になった。
普段怒らないものほど怒らせると怖いという言葉を体現したシーンであると同時に、唯一まともだと思っていた近藤が気づかないところで彼なりに半田に傾倒していた事も判明し、二重の意味で恐ろしいシーンだといえる。半田という人間の魔性具合がわかるシーンだ。

川藤「いつも通りの半田くんでいろよ ただ壁を外すだけだ それだけで世界は変わるさ」

『はんだくん』最終話で川崎が半田に言ったセリフ。
文化祭を通して、自分が周囲に慕われていた事に気づいた半田。しかし、気づけたところで、これまでの自分の行動がなくなるわけではない。一体、これからはどんな風に周りと接して行けばいいのかわからず、半田は頭を悩ませてしまう。そんな友人の姿を見た川崎が言ったのが、この「いつも通りの半田くんでいろよ ただ壁を外すだけだ それだけで世界は変わるさ」というセリフだ。
本作は半田清自身の勘違いに加え、彼の言動に対する周囲の勘違いが原因で様々な騒動が起こっていく。しかしそれは裏を返せば、どの騒動も半田自身の言動がきっかけで起きた事だといえる。勘違いはあれど、今の半田の人望はすべて半田自身で作り上げた物なのである。
これまで川藤は、第三者としてずっと傍から半田を見てきた。傍観者といえば聞こえは悪いが、そんな彼だからこそ、こうした半田と周囲の関係性にすぐ気づく事が出来たともいえる。友人としてずっと半田の傍にいた川崎にしか言えない名セリフだ。

『はんだくん』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『ばらかもん』からキャストを総入れ替え

『はんだくん』のアニメ化告知イラスト

2016年にアニメ化が発表された『はんだくん』。先に本編である『ばらかもん』がアニメ化をしていたこともあり、ファンの間では「またテレビで動いてる半田が見られる」と話題になった。
しかし、キャスト発表当日。『ばらかもん』の時とはまったく違う声優が主人公を担当する事が判明する。本作で半田役として起用された声優・島崎信長も、声優としては高い人気を集めている人物ではあったが、『ばらかもん』で半田役をしていた声優・小野大輔(おの だいすけ)とは似ても似つかない声質であった。そのことから多くのファンが違和感を覚え、SNS上では声優の変更にショックを受ける声が多くあげられた。さらに、半田同様に『ばらかもん』に出ていた川藤とえみの声優も変わる事が決まり、総入れ替えには多くの疑問が寄せられる事態となる。
このキャスト総入れ替えについて、理由は明かされていない。ただ本作は、アニメ『ばらかもん』と制作スタジオや製作委員会のメンバーが違う事が明かされている。こうした背景から、「なんらかの『大人の事情』により声優が総入れ替えされたのではないか」と考えているファンが多い。

アニメ『ばらかもん』の2期ではないのは作者の意向

作者であるヨシノサツキのX上のアイコン

『はんだくん』は『ばらかもん』のスピンオフとして制作された漫画であり、それ故にアニメ化も『ばらかもん』のあとに行われた。そうした事もあってか、作者であるヨシノサツキは本作のアニメ化にあたり、「『ばらかもん』の2期」になるようなアニメにはしないで欲しいと制作陣に頼んだという。
詳しい理由は明かされていないが、『ばらかもん』は『はんだくん』と違い、ギャグ寄りもハートフルな人と人との交流をメインにした漫画となっている。作品のテイストが異なっており、その違いは初めて両作品に触れた読者から「『ばらかもん』と『はんだくん』には、何か繋がりがあるのか」と疑問を持たれてしまうほどだ。ファンからも「『ばらかもん』と『はんだくん』はほとんど別物」という認識をされている模様。
さらにヨシノサツキ自身、「最初は『ばらかもん』と辻褄があうように描いていた」こと、「最終的にまったく違う作品になった」ことを明かしている。こうした作品のテイストの差が、「本作をアニメ『ばらかもん』の2期にしないでほしい」というヨシノサツキの願いに繋がったのではないかと推測される。

『ばらかもん』連載当初にはなかった半田のアホ毛

頭部に大きなアホ毛がある『はんだくん』第1話の半田くん(画像右の少年)

主人公の半田は、その頭頂部に大きな2本のアホ毛を持つ。このアホ毛は、実は本編『ばらかもん』では当初存在しなかった設定となっている。
『ばらかもん』連載当初、半田の髪は今ほどハネていなかった。だが、連載が行われていくなかでどんどんと髪型に特徴が生まれ、いつの間にかアホ毛が生まれる。
このような髪型になった理由については不明だ。しかし、いつからかこのアホ毛が『ばらかもん』の半田のアイデンティティとなっていたため、『はんだくん』の方では最初からアホ毛がついている状態で描かれる事となった模様。作者のヨシノサツキ自身、『はんだくん』の連載当初は『ばらかもん』とつじつまが合うように描いていた事を明かしている。このアホ毛は、そうした作者の意識が反映された結果である事がわかる。

『はんだくん』の主題歌・挿入歌

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