お前、タヌキにならねーか?(おまタヌ)のネタバレ解説・考察まとめ
『お前、タヌキにならねーか?』(略称『おまタヌ』)とは、漫画家の奈川トモによる「タヌキ」を題材にした、動物もの兼妖怪ファンタジー漫画である。Webコミック配信サイト「comicPOOL」にて2021年から連載を開始。さまざまなWeb漫画のランキングに名を連ねる大人気Web漫画の1つとなっている。
本作は、化け狸のこがね丸と人間の野々原雪を中心にオムニバス形式で話が進められる。さまざまな問題を抱える現代人が、人間社会で暮らす化け狸達達と交流をしながら、それぞれに抱えるものと向き合っていく。
オスの化けキツネ。人間時は、派手な見た目の美青年になる。もとは女性配信者「コンちゃん」として女性に化けて活動していたが、こがね丸と行った配信をきっかけに自分が狐とバレた為、以降は女性に化けての活動はしなくなった。なお、配信者としては登録者数が1万人と、それなりの人気を誇っている模様。
裏社会で暗躍する化けキツネの一家の者として生まれたが、変化してもしっぽや牙が隠せないという未熟さ故に、家族に疎まれてしまう。後に家を出て、さびれた社でひっそり暮らしていたが、それも取り壊されてしまった。そのため、配信活動の収益を使って自分の神社を建てようと奮闘している。なお、配信活動に使っているスマホは、姉の朱陽(あけび)が彼にくれたもの。家族の中では、彼女だけが唯一雨紺の味方をしてくれていた。とはいえ、後に実は父親も彼なりに雨紺を大事に思っていた事が発覚する。本当の意味で彼を疎んでいた者はいなかった模様。
基本的には明るい性格。収益になる事に関しては目敏く、どんな事にも挑戦する姿勢を持つ。配信の内容はほとんど彼自身が考えており、行動力にくわえ企画力もある、根っからの配信者向けの性格である模様。
朱陽(あけび)
メスの化けキツネであり、同じ化けキツネの雨紺の姉である。裏社会で暗躍する一家の稼業に、自身も従事している。
変化の術が不完全な弟に対し、彼女の方は完全に術を操れる。普段は人間社会に混ざって生きているため、人間の女性の姿で暮らしているが、仕事中は頭だけ狐に変化するといった術の使い方も見せている。仕事時は特徴的な外見故か、裏社会の者達からは「キツネの掃除屋」という肩書で恐れられている模様。
変化の術が上手く使えない雨紺の事を気にかけており、彼が家を出て行った後は、わざわざその居場所を探してスマホを渡した。連絡を取れるようにという意味で渡したようで、弟が配信者になるとは考えていなかったと推測される。仕事の合間に雨紺の配信を見ては、「寿司太ァ」という名前で投げ銭やコメントを行う。
なお、父が雨紺を疎んでいた理由が「一家の稼業である裏の仕事から、術が使えない雨紺を遠ざけるため」であった事を知っており、不器用な父のやり方に不満を抱いている模様。
雨紺父/パッピー
オスの化けキツネであり、同じ化けキツネの雨紺の父である。裏社会で暗躍している。
堅物な性格で、相手が自分の家族だろうと態度を変えない厳しい一面を持つ。変化の術を使いこなせない雨紺の事を疎んでおり、彼が家を出て行く直接の原因になった1匹といえる。だがその行動の裏には、「術が使えない雨紺を一家の裏稼業に関わらせたくない」という、父親として息子の身を案じての理由がある事が明かされた。ただ、本人はそれを雨紺に告げるつもりはない模様。
雨紺の配信をこっそりと見ており、「パッピー」という名で投げ銭やコメントをしている。投げている額が大きい上に投げる頻度が高いため、作中ではそれを目にしたパッピーの正体を知らなかった娘の朱陽に、「危ないファン」と評価されてしまっていた。
イタチ
藤万(とうま)
オスの化けイタチ。イタチの姿でいることはほぼなく、常時白髪の美青年姿でいる。なんらかの理由で傷を負った場合に、本来の姿に戻る。本来の姿は、真っ白な毛色のイタチ。
化けイタチ達の中でも一番の支配力をもつ「貂の一族」(てんのいちぞく)の出。先代当主の長男にあたり、化けイタチとしても一族内で特に強い力を持つ。それ故に幼い頃に「祠守り」の役に選ばれ、以降は守るべき祠がある貂烟山(てんえんざん)で暮らす羽目になる。山から外に出ようとした事もあるが、外に出る事は叶わなかった。本人は自由のない人生に嫌気がさしており、そのタイミングで祠に封印されている妖怪「貂の妖」に「黄金丸を殺しせば自由を与えてやる」とそそのかされてしまった為、以降、黄金丸=こがね丸を殺そうと画策するようになる。なお、彼の殺害計画は結局失敗してしまった上、藤万がそのような状態にあると知ったこがね丸は彼と距離を詰めるようになっていく。そのおかげもあってか、以降藤万はこがね丸を通してタヌキやキツネ、人間とさまざまな人々と関わっていくようになる。
基本的には感情を表に出さないクールな性格。反面、自分の「自由になりたい」という願いを叶えるためにはどんな手段も選ばない、といった野心に満ちた側面も持つ。また、こがね丸を通じて交流を図っている人間の美々子の事を気にかけており、彼女を助けるために自分の術を使う時もある。上下関係の厳しい化けイタチ達の中では珍しく、身分や家柄ではなく実力重視で相手を見ており、根の部分では人がよく思慮深い人物である模様。
一識(いっしき)
藤万の側近を務めているオスの化けイタチ。同じく藤万の側近を務める化けイタチの九世(くぜ)の兄でもある。
常時人型でいる藤万にあわせてか、自身も常時人型でいる。ただし予想外のことが起きたり、ダメージを負った際はイタチ姿に戻ってしまう模様。人型の際は、黒髪オールバックに黒のサングラスに黒のスーツと、SPを思い出させる恰好をしている。
化けイタチの中でも「下賤」とされる家系の末裔であり、九人兄弟の長兄にあたる。化けイタチは上下関係に厳しいため、昔からひどい差別を受けて生きてきた。主人である藤万はそのような差別を行わず、自分の実力のみを見てくれたので、彼に対して高い忠誠心を持つ。九人兄弟の長兄であるからか、性格は生真面目。
九世(くぜ)
藤万の側近を務めているメスの化けイタチ。同じく藤万の側近を務める化けイタチの一識の妹でもある。
常時人型でいる藤万にあわせてか、自身も常時人型でいる。人型の時は黒髪を一つ結びで結んだ、黒スーツ姿の女性となる。
化けイタチの中でも「下賤」とされる家系の末裔であり、昔から仲間内でひどい差別を受けてきた。それが起因してか、子どもの頃は明るく元気なタイプの子であったのに対し、大人になってからはどこか態度が冷たく厳しい雰囲気を持つ女性になっている。唯一、そのような差別を行わなかった主人の藤万に対しては態度が柔らかい。兄と一緒に高い忠誠心で藤万に従う。
岩十(いわと)
メスの化けイタチ。化けイタチの中でも強い権威をもつ貂の一族の当主の右腕を担っている模様。藤万の母にあたる百櫛に対して忠誠心が強く、彼女亡き後もその遺言を守りながら次期当主となった暁万(きょうま)に仕えている。実質、一族の最高権力者といっても過言ではない。
昔からのやり方を守り、一族の矜持を大切にしようとする、よくいえば保守的、悪くいえば古典的な考え方の女性。しかしそれも、物語が進む毎に少しずつ軟化している。
高圧的で完璧主義者のような雰囲気がある女性だが、実は美的なセンスが皆無という一面を持つ。趣味の生け花では奇妙なデザインのものを作り、百櫛の代わりとして藤万にシャツを贈っていた際も変なデザインのものばかり贈っていた。
暁万(きょうま)
藤万の弟にあたるオスの化けイタチ。変化の術が使える者達は皆、術の力によって年を取るスピードが異なるのだが、作中の表現的に彼は人間とそう変わりない年の取り方をしている模様。そのため本編初登場時は、変化の力が強く成長が緩やかな兄の藤万に対して、彼の方は壮年と思われる外見の姿で登場した。
藤万の存在は知っていたが、彼が物心ついた時にはすでに祠守りとして家を出ていた為、顔を合わせた事はない。後にこがね丸経由で、初めて兄と顔を合わせる事になる。
貂の一族の次期当主として厳しく育てられたせいか、厳しい顔つきをした堅物な雰囲気がある男性。本人いわく、母は兄の藤万のことばかり気にかけていたというので、そうした親からの愛情の欠如も彼の固い雰囲気を作り上げた要因と推測される。
百櫛
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目次 - Contents
- 『お前、タヌキにならねーか?』の概要
- 『お前、タヌキにならねーか?』のあらすじ・ストーリー
- タヌキになったOL
- こがね丸の抱える過去
- 化けイタチ・藤万(とうま)の襲撃
- 貂の一族が隠していた秘密
- こがね丸と土竜の関係
- 『お前、タヌキにならねーか?』の登場人物・キャラクター
- タヌキ
- こがね丸/黄金丸
- リン
- タヌキチ/田沼小吉(たぬま しょうきち)
- 小豆丸(あずきまる)
- 長老/銀杏丸(ぎんなんまる)
- 楽太郎(らくたろう)
- 栗之助(くりのすけ)
- 大福(だいふく)
- チョコ
- シゲゾー
- キツネ
- 雨紺(うこん)
- 朱陽(あけび)
- 雨紺父/パッピー
- イタチ
- 藤万(とうま)
- 一識(いっしき)
- 九世(くぜ)
- 岩十(いわと)
- 暁万(きょうま)
- 百櫛
- 人間
- 野々原雪(ののはらゆき)
- リク
- 文福薬湯堂店主(ぶんぷくやくゆどうてんしゅ)/おばあちゃん
- 和一(かずいち)
- 緑雲(りょくうん)
- 紫雲(しうん)
- 東美々子(あずま みみこ)
- ハヤト
- 日向ユウタ(ひむかい ゆうた)
- ユキ母
- 古谷(ふるや)
- 嵐山(あらしやま)
- そのほかの妖怪
- 土竜(もぐら)
- 『お前、タヌキにならねーか?』の用語
- 作中に登場する動物達
- 化けタヌキ
- 化けキツネ
- 化けイタチ
- 貂の一族(てんのいちぞく)
- 普通のタヌキ
- 化け狸・キツネ・イタチ達が使う術
- 変化の術/化け術
- 匂い
- 貂の一族に関わる用語
- 祠守り(ほこらまもり)
- 貂の妖(てんのあやかし)/緋壽々(ひすず)
- 主な物語の舞台
- 貂烟山(てんえんざん)
- どんぶり山
- 文福薬湯堂(ぶんぷくやくゆどう)
- 柿葉寺(かきのはてら)/タヌキ寺
- 『お前、タヌキにならねーか?』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- こがね丸「人間やめるなら、タヌキにならねーか?」
- 野々原雪「タヌキにも泣きたい時があるんだ…こんなことしか出来ないけど…幸せな夢を見られますように…」
- 雪の母「ユキ生きててくれてありがとう。どんな風に生きたって構わない。 タヌキだっていいのよ。自分のように思うように生きてさえいれば」
- 『お前、タヌキにならねーか?』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 『お前、タヌキにならねーか?』は作者のスランプがきっかけで生まれた漫画
- 実際の生態を大事にしつつ漫画的に描かれている動物達
- Xで見られる作者の友人が制作した『お前、タヌキにならねーか?』のチャーム