トムとジェリー(トムジェリ)のネタバレ解説・考察まとめ

『トムとジェリー』とは、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラによって製作された、アメリカのアニメーションシリーズ。ドジだけどどこか憎めないネコのトムと、頭脳明晰でずる賢いネズミのジェリーによるドタバタ劇をユーモラスに描いたギャグコメディ。短編作品を中心に80年以上に渡り様々な作品が展開されている、世界中で人気のアニメ。日本では世界でも特にファンが多く、キャラクターグッズの販売も多岐にわたる。2021年にはクロエ・グレース・モレッツ主演で実写アニメーション映画としても公開された。

『トムとジェリー』の概要

『トムとジェリー』は、1910年にニューメキシコ州の片田舎でアイルランド系アメリカ人の両親の元に生まれたウィリアム・ハンナと、1911年にニューヨークシティでイタリア人移民の親の元に生まれたジョセフ・バーベラが、1937年にアメリカの映画会社である《メトロ・ゴールドウィン・メイヤー》(以下、MGM)で出会い、1940年にMGMの短編作品部門のプロデューサーであるフレッド・クインビーの下、ハンナとバーベラの2人の演出家の手によって生み出された、アメリカ合衆国のカートゥーン・アニメーションシリーズ。
ドジだけどどこか憎めないネコのトムと、頭脳明晰でずる賢いネズミのジェリーによるドタバタ劇をユーモラスに描いたギャグコメディ。

『トムとジェリー』の最大の魅力は2点ある。

まず1点はダイナミックでコミカルな動き、テンポよく進むドタバタ劇、そして容赦のないバトルの数々である。
セリフは最小限に抑え、動きと表情だけでどういう状況なのかがすぐに伝わる。

そして、どれだけ文化が違っても《ネコはネズミを狩るもの》という世界共通のイメージに、シンプルなストーリーを加えることで、世界どの国、どの世代でも受け入れられやすい珠玉のエンターテインメントとして成立させている点だ。

当時のアメリカにおけるアニメーション作品は、映画劇場において、劇映画の前座として上映されていたものだった。
当時は《漫画映画》(カートゥーン)と呼ばれ、その地位は低いものだったが、劇場に足を運んだ大人も楽しむことを視野に入れたものであった。

ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラがMGMに入社した1930年代はウォルト・ディズニーの絶頂期。
《短編漫画映画》(カートゥーン)を作る場合、ディズニーの後追いをするか、それ以外の作風にチャレンジするかのどちらかしかなかった。

そんな風潮の中、ジョセフ・バーベラはウィリアム・ハンナとともに、ネコとネズミを主役にした作品を作ることを決意した。

が、MGM社内での反応は冷たいものだった。
当時でさえネコとネズミというと使い古されたアイディアだったのだ。

しかし、第1作目となる『上には上がある』(原題:Puss Gets the Boot)が公開されると、そのテンポの良さとコミカルさが観客にヒットすることに。
ロングラン上映する劇場もあり、MGM社内では冷遇されていた「ネコとネズミの短編映画」について、とある興行主からは「いつになったらあの最高のカートゥーンの続編が観れるんだ」という催促の電話がかかってくるほどだった。
この人気の高まりにMGMも作品を無下にすることができなくなり、続編が作られることになった。

黄金期とされるハンナ=バーベラのコンビは1940年から1958年までの期間に、合計114作品を製作した。
「ネコとネズミのケンカによるドタバタギャグコメディー」という世界観を形作り、「使い古されたアイディア」と言われたコンセプトを、誰もが笑える唯一無二の作品へと押し上げた。
《アカデミー賞短編アニメーション部門》の常連にもなり、『トムとジェリー』を世界中に知られる人気シリーズへと発展させた。

1957年のMGMのアニメーション部門閉鎖の決定により、長年『トムとジェリー』を支えたハンナ=バーベラは翌年1958年にMGMを離脱。
1961年にMGMは『トムとジェリー』の新作の製作を決定した。
新たにジーン・ダイッチを監督に迎え、1962年までの一年間製作。
その後はチャック・ジョーンズに監督が変更され、1963年から1967年まで製作された。

1965年以降、ハンナ=バーベラ期の作品がアメリカでテレビで放映され人気を博した。
日本では1964年からテレビ放映を開始しており、以降繰り返し再放送された。

1975年にはハンナ・バーベラ・プロダクションとMGMテレビジョンが共同制作した『新トムとジェリー』が放送開始。
ここで再びハンナ=バーベラが製作にあたることになった。
テレビの暴力シーンの規制により、以前までのMGMで製作されたドタバタ劇ではなくなり、トムとジェリーはケンカをせず仲良しで、一緒に行動するという設定になった。
日本でも70年代後半にテレビ放送開始。

以降も配給・製作会社がターナー・エンターテインメント、ワーナー・ブラザーズに変わっても製作が続けられており、アニメ専門チャンネルなどで新作が度々放送されている。

ハンナ=バーベラはエグゼクティブ・プロデューサーとして、死去するまで全ての作品に関わった。

『トムとジェリー』のあらすじ・ストーリー

基本ストーリー

家ネコであるトムが、同じ家に潜むハツカネズミのジェリーを餌として食べるために追いかけ回すものの、いつもジェリーの知恵によってやり返されて失敗し、その度にひどい目に遭うというパターンをユーモアたっぷりに描く、
一話完結のショートストーリー。(長編映画などを除く)
この二匹を含め、登場する動物のキャラクターたちは基本2足歩行である。

2匹のドタバタ劇=追いかけっこにはセリフがほどんど無く(一部の例外を除く)、視覚的なナンセンスギャグと、トムの悲鳴やジェリーの笑い声などがメインで、他の登場キャラクターの会話などが最低限ある程度。
そして各ストーリーをなぞるように進行するBGMのみで物語は構成されている。

作品ごとに様々な登場キャラクターが存在するが、人間のキャラクターはごくわずかで、ほとんどが動物である。
飼い犬であるブルドッグのスパイク&タイク親子とは大体がバトルに発展し、ジェリーの従兄弟・甥っ子、または孤児として登場するタフィー(ニブルス)はジェリーをも巻き込むトラブルを起こし、トムの悪友である黒猫のブッチはトムと一緒にジェリーにコテンパンにされたりと、脇役も盛大にドタバタ劇を盛り上げる。

上記のパターンは基本的に1967年までの劇場短編アニメーション時のもので、1975年以降のTVシリーズではドタバタ劇ではなくトムとジェリーの2匹は仲良しという設定で、ケンカをしない。

現在も続く短編シリーズのため、最終回というものは存在しない。

長編作品(劇場作品、OVA)

劇場長編映画作品である『トムとジェリーの大冒険』(1992年)『トムとジェリー』(実写アニメーション作品、2021年)の2作品では、トムとジェリーの2匹に加えて、主役格で人間のキャラクターが存在し、そのキャラクターを中心にストーリーは進行する形となっている。

各OVA作品ではトムとジェリーの2匹が主役となり、ファンタジーやSFを中心に、お互いが協力しあい冒険に出かけるというパターンがほとんどである。

『トムとジェリー』の登場人物・キャラクター

主要キャラクター

トム (トーマス・ジャスパー・キャット・シニア)

グレーもしくはブルーグレーの鉢割れで、品種はタキシードブリティッシュキャットのイエネコという設定。

ネコの生態的本能なのか、ネズミのジェリーを捕まえて食べることに言葉通り自らの命をかけている。
が、自分より圧倒的に小さいジェリーにほぼ毎回返り討ちに遭い負けてしまう。
ドジでマヌケで憎めないが、本人は至って自信家でよく腕を組んで偉そうにしている。
ミルクが好物。惚れやすく、美人のネコが現れるとすぐ格好をつける。

ジェリー (ジェラルド・ジンクス・マウス)

イエネコであるトムが飼われている家の壁穴に棲み着くハツカネズミという設定。

体はトムよりはるかに小さく、トムの手のひらに乗る程度にも関わらず、頭脳明晰でパワフル。
愛くるしい見た目とは裏腹に、容赦なく攻撃をしかけてくるトムに対して、機転を効かせた更に容赦ない反撃により毎回トムを散々な目に合わせる。
人懐っこく愛想も良いため、劇中の他のキャラクターたちともすぐに仲良くなる。
チーズが好物。トムと同じく惚れやすい。

脇役(メイン)

タフィー/ニブルス

ジェリーの従兄弟・甥っ子、孤児の設定で登場。オムツを履いた灰色の幼いネズミ。
近年は「タフィー」という名前で登場する機会が多いが、作品によっては「ニブルス」の場合もある。
かなりマイペースで突飛な行動が多く、トムはおろかジェリーも困らせるほど自由。
とてつもない大食い。その愛くるしい見た目から、グッズなども多数製作、販売されている。

スパイク

茶色がかった灰色の毛皮の雄のブルドッグ。トムのいる家で飼われる番犬としての登場が多い。トムとジェリーのケンカによく巻き込まれる。
筋肉質で腕っぷしが強く攻撃的な性格。特にトムを目の敵にしている。
息子のタイクを溺愛しており、かなりの親バカ。タイクにちょっかいを出すならばトムであろうがジェリーであろうが容赦がない。
いわゆる脳筋で、ジェリーに操られてトムを攻撃していることに気付いていない。妻の犬が登場することはない。

タイク

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