LILI-MEN(リリーメン)のネタバレ解説・考察まとめ

『LILI-MEN』とは2022年より連載が開始された、渡嘉敷拓馬によるダークファンタジー作品。人類を苗床に繁殖する「サキュバス」と呼ばれる種族と、彼らを根絶しようとする人類との壮絶な戦いを描く。彼らとのバトルに焦点を当てつつ、重厚なストーリーとダークな雰囲気が特徴。戦闘描写やキャラクターの成長を通じて、深い世界観が描かれている。

ニトたちが収容されていた施設で、殖魔の動向を探るために職員として潜伏していた。人間側に立ちつつも、かつては血の派閥に属していた殖魔で、同族からは裏切り者として見られている。さらに、ヒイロは「断種」という条件の下でサキュバスとしての生殖能力を封じ、人間社会と共存することを選んでいるため、同族からは「魂を売った」と非難されることもある。
殖魔としての強さはカテゴリーCクラス程度のものだったが、ニトたちとの共闘を経て強くなっていく。
かつて血の派閥が運営していた研究施設がマルサによって殲滅された際、阿光アマネに存在価値を見出される。そして同僚だったシオンの言葉に従いマルサとして生き抜くことを決意する。研究の過程で人工的に特血を持つ体質にされており、マルサ加入時に断種を行ったことで実力は下がったが、本来の実力はカテゴリーSクラスに匹敵する。

黒鉄ユウト(くろがね ユウト)

マルサ職員の一人であり、対殖魔部隊の黒鉄班を率いる。強面で常に仏頂面だが部下の面倒見は良く、周囲からは慕われている。責任感も人一倍強い。彼が信条としているのは、「殖魔に対しては一切の慈悲を見せず、どんな状況であっても即座に殺す」ことと、「仲間を誰一人死なせない」ことである。彫刻家との対決で盃を戦死させるまでは班員の死者ゼロとして有名であり、自身の部下や周囲の人間が死なないことを誰よりも願っている。ニトに対しては図らずも盃の死の原因となったため彼に殺意を向けるが、彼の存在がマルサにとって有益であることと天秤にかけ、彼を実戦部隊へ配置することを推奨する。

公安殖魔対策局

阿光アマネ(あこう アマネ)

公安殖魔対策局本部局長で、殖魔討伐の名家である阿光家の当主。対殖魔用の戦闘術式である血戦術の考案者。
温和で慈悲深い性格の持ち主で、サキュバスとして処刑対象となっていたニトをそのままマルサへと勧誘した。マルサの食堂でニトに料理をふるまったこともある。
しかし、非常に冷徹かつ実力主義的な側面もっており、任務達成のためには手段を選ばない非情な決断を下すこともある。ニトやヒイロの命を救ったのは、彼らに利用価値があるからである。

山田アイ(やまだ アイ)

山田隊隊長。金と黒のツートンカラーの長髪を持つ女性。強靭なリーダーシップと優れた戦闘力を持つ。男勝りで軽くサバサバした口調でチームを盛り立てる姉御肌的存在。
幼少期に両親を殖魔によって苗床にされたところを目撃してしまう。その結果、殖魔被害者用の孤児施設に送られることになったが、環境に合わず脱走し逃避行した。とあるクラブで毎晩踊り続ける「忘却の舞姫」として一躍有名となる。そこで阿光と出会いマルサへと勧誘、現在の地位まで上り詰める。
両親を殺されたことへの復讐心から、肉の派閥の首領であるビッグダディを殺すことを宿願としており、目的のために徹底した殺への執着心を持つ。普段はサバサバとした言動をしているが、普通の生活を送りたいという願望があるのに復讐の人生に囚われてしまった自分を誤魔化しているためである。
作中ではニト、ヒイロ、鳥と共に肉の派閥が生み出した苗床団地の殲滅を目的として潜入、敵陣の副将ラセツと交戦する。激戦の末、二度の終局発動によってラセツを倒すことに成功する。しかしラセツとの戦いで自らも片腕と片足を失ってしまい、戦線を離脱することになる。その後はマルサが経営する病院で過ごしており、ニトの新たな力を引き出す指導も行った。

春日リキヤ(かすが リキヤ)

春日隊隊長。リーゼントヘアーをした大柄な男性。マルサの三派閥「改革派」のトップ。年齢は37歳。彼の考えは「力こそすべて」と「利用できるものは何でも利用する」で局長である阿光と思想が近い。そのためか部下には武闘派が多い。
会議中でもソーシャルゲームのガチャに勤しむ程賭け事が好きで、彼の能力にもその特性は活かされている。強敵との闘いを前にしてもギャンブル性の高いその戦法を積極的にとるなど、豪胆な性格。自身の血液に命令を書き込み実行させる特血「プログラム」の力を持つ。
元々勝負事に対して常に勝つための研究をしてきており、過去にデイトレーダーとして成功を収めていた。特に殖魔関連で世情が動いた時の株を集中して買い漁っており、利益のために、殖魔関連の事件発生を予測するプログラムを作る程。ある時殖魔の暴動が起きたことで彼が持つ資産は飛躍的に高騰し大成功を収めたが、暴動の影響でとある少年が巻き込まれ死亡した事実に遭遇し、殖魔の暴動を願っていた自分を「ダサい」と痛嘆し絶望していた。そこで現場へ駆けつけた阿光と山田に遭遇し、阿光に勧誘されマルサへ入る。

猪名寺キョウシロウ(いなでら キョウシロウ)

猪名寺隊隊長。眼鏡をかけた冷静だが厳格な性格を持つ男性。マルサの三派閥「保守派」のトップ。
阿光に対して非常に強い信頼を寄せており、時には自らの命を捧げることも躊躇しないほどの忠誠心を示している。殖魔討伐の名家である猪名寺家の現当主であり、幼少期から殖魔との闘いに明け暮れてきたエリート。相手が斬られたことを悟ることすら出来ないほどの早斬りが得意技。
目的のために、殖魔であろうと利用できるものは利用するという阿光とは異なり、殖魔は徹底的に殲滅するという保守的な思想を持っており、阿光に提言を行うことも少なくない。
過去に派閥争いに生涯をかけていた父親から、幼少期より精神的虐待ともとれる教育を受けていた。父の機嫌取りのため戦場で殖魔を殺していた。それは自分や母親への虐待を防げるとして従っていたからである。学生時代には保育士になるという夢も持っていたが、父親からその道を認められることはなかった。
自身や阿光アマネによる嫉妬で父親が、生き残った人間の少女を殖魔として処刑しようとしたのを止めるため、自らの手で父親を殺害。その場を阿光に目撃され、「上官殺し」という罪により処断されることになった自分を必要としてくれた彼女のもとにつくことになり、以降彼女に心酔するようになる。
血戦術に使用する血を固めず液状のままにする特血「液状維持」の持ち主で、液状のままの血は固形に比べて攻撃力が低いため戦闘には転じさせにくい。猪名寺はその弱点を補うため血の結晶を加えて用いている。

望月アユム(もちづき アユム)

望月隊隊長。マルサの三派閥「中立派」のトップ。ボサボサの髪とアイマスクを着用している。任務で肉の派閥の監視している最中は海野にまかせっきりで自身は睡眠を取っていた。

昴セツナ(すばる セツナ)

昴隊隊長。常に血戦術を展開し、マルサ本部の一角を護り続けていることから「守護者(ガーディアン)」の異名を持つ。
ゴーレムのような外見をした鋼血人形を纏っており、常人よりも早く硬く固まる特血の持ち主で、生半可な攻撃では傷をつける事すらも出来ない強固な防御力が持ち味だが、戦闘力は皆無に等しい。
真の姿を見た者はいないとされているが、本来の姿は自堕落で対人恐怖症な少女。知らない人間に会ったり、プレッシャーを感じると滝のような汗を拭きだす。
「守護者」と呼ばれるようになった理由は、初任務で、殖魔との戦いで戦況が絶望的であったことから怯えて、戦いが終わるまでずっと鋼血人形の中に引きこもっていた。戦闘が終わり、あとから駆け付けた局員が彼女が殖魔を殲滅した張本人と勘違いしたため。その功績で自分を持て囃してくれる周囲の評価を断り切れず、噂が独り歩きをしているうちに隊長になってしまった。他の隊長たちと異なりマルサの一区画の警備を阿光に申し出ることで、現在の地位を保っている。
鋼血人形の中ではもっぱらゲームにふけったりお菓子を貪るなど自堕落な生活を送っており、全体に酸っぱい匂いが漂っている。彼女はただそこに居るだけで仕事を果たしている今の日常を崩されることをとても恐れている。

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