流行り神 警視庁怪異事件ファイル(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』とは、2004年に日本一ソフトウェアより発売されたプレイステーション2用のホラーテキストアドベンチャーゲーム。
主人公は警視庁の警察史編纂室に所属する警部補として、「コックリさん」や「チェーンメール」など、都市伝説を題材にした怪事件を解決していく。
タイトルの『流行り神』は、「一過性の流行の中で崇拝される神仏や偶像」を意味している。

エリザベート・バートリの肖像画(えりざべーと・ばーとりのしょうぞうが)

第零話「チェーンメール」で、川原ミユキが祭壇に飾っていたハンガリーの貴族の肖像画。
モデルになっているエリザベート・バートリは、農奴や下級貴族の娘を拷問の末に惨殺し、その生き血で入浴して若さを保とうとしていたとされ、吸血鬼伝説のモチーフにもなっている。
この絵を見た犬童は「バートリが川原に憑依していた」可能性を仄めかしていた。

鉄の処女(てつのしょじょ)

第零話「チェーンメール」で、事件現場に残されていた、刑罰や拷問に使用する器具。
中に人が入れるように空洞になった大きな人形で、扉を閉めると内部に突き出した釘が刺さる構造になっている。
情報提供者であるはずの林奈緒の遺体はここから見つかった。

血の付いたウィジャ盤(ちのついたうぃじゃばん)

第一話「コックリさん」で、校舎の裏で山野恵子が燃やそうとしていた紙。
連続自殺事件との関連を疑った風海が証拠品として押収した。
コックリさんを呼び出すために五十音や鳥居などが書かれており、「血の儀式」で血を捧げたためか血痕がついていた。

鬼子母神のお札(きしもじんのおふだ)

第二話「鬼」に登場。鬼子母神は「鬼哭寺(おになきでら)」に祀られている、子供を守る神の名前である。
誘拐事件の犯人である雪村恭子の自宅から鬼子母神を祀るお札が見つかり、この札の発行元である鬼哭寺へ赴いたことから、風海たちは彼女の真の狙いに辿り着いた。

『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』のゲームシステム

基本情報

第零話「チェーンメール」プレイ画面

『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』はノベル形式のホラーアドベンチャーゲーム。
ストーリーを読み進めて選択肢を辿り、怪談じみた不可解な事件の捜査、推理をしていくのが全シナリオ共通での流れとなっている。
難しい操作を要することはないが、本作一番の特徴は「科学ルート」「オカルトルート」への分岐である。
選択肢から辿った分岐と、シナリオプレイ中に発生するセルフ・クエスチョン(自問自答)を行うことで、不可解な事象に対し、徹底的に現実的な解釈をする「科学ルート」、オカルト的解釈を許容して推理を構築する「オカルトルート」のいずれかへ捜査方針が分かれていく。
いずれのルートでも事件の核心は仄めかす程度に留まっており、必ず何らかの謎が残る仕様になっているため、「科学ルート」「オカルトルート」の両方をプレイし、プレイヤー自身で真相を解釈する必要がある。
シナリオプレイ終了後の総合評価(ランク)の良し悪しが次のシナリオ解放を左右しており、セルフ・クエスチョンと推理ロジックでの相関図構築は非常に重要なものとなる。
このため、登場人物の話をしっかりと読みとり、事件との関連性を把握することができなければ、ゲームそのものを進めることに苦戦する仕様となっている。
重要なワードや専門用語はデータベースに保存されていくが、こちらの収集率は隠しシナリオの開放条件に影響している。
収集のために特定の分岐を辿る必要があるワードもあるが、シナリオごとでの既読率が表示され、取りこぼしがないかが確認できるようになっている。

カリッジ・ポイント

プレイヤーには、シナリオごとに決まった数量の「カリッジ・ポイント(勇気)」が付与される。
ゲーム中、勇気を要する局面で赤い六角形が表示されている選択肢が出現し、これを選択することでポイントを消費する。
そのシナリオでカリッジ・ポイントを使い切ってしまうと、ポイントを消費する選択肢は選べなくなるため、どの場面で使用するか考えながらゲームを進めていく必要がある。

セルフ・クエスチョン

セルフクエスチョン中の画面。選択肢を誤ると左上の円の色が変わる。

シナリオプレイ中、要所で推理を組み立てるための「セルフ・クエスチョン(自問自答)」があり、ここでの選択がその先のストーリーの方向性や終了時の評価(ランク)に影響する。
特に、事実と矛盾する選択肢を選んでしまうと評価は大幅に下がり、導き出した結論によってはバッドエンドに直結する場合もあるため注意深く進めていく必要がある。
セルフ・クエスチョンの最中は画面上部に円から出る波紋のようなギミックが表示されており、不正解の選択肢を選ぶとこのギミックの色が変わるため視覚的に判別することができる。

推理ロジック

適したキーワードを当てはめ、人物相関図を完成させる

シナリオ中に登場した人物にキーワードを当てはめ、事件の全容を組み立てる場面である。
主にシナリオの総括として発生し、適切なキーワードを当てはめているかどうかが終了時の評価に大きく影響する。
特定の選択肢からの分岐を経ることでしか得られないキーワードの存在や、同じキーワードが複数項目に当てはまる場合もあるため、単純に総当たりをするだけでは解くことができない。
評価は大きく「可」と「否」に分かれており、「否」が多いと真実に到達できなかったり、次のシナリオを開放できないこともある。

データベース

重要なキーワードは自動でデータベースに登録されていく

ゲーム中、都市伝説の題目やオカルト、警察の専門用語など、特定のキーワードが現れた際に説明が登録されていく辞書のようなもの。
本作のみではなくシリーズ全作で共通して200個の単語が用意されており、200番目の単語は全作品で必ず「F.O.A.F(フレンド・オブ・ア・フレンド)」となっている。

Dada_05042016
Dada_05042016
@Dada_05042016

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