流行り神 警視庁怪異事件ファイル(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ
『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』とは、2004年に日本一ソフトウェアより発売されたプレイステーション2用のホラーアドベンチャーゲーム。
都市伝説を元にした事件を、科学的、あるいはオカルト的解釈で解決する、というユニークな視点や、美しいグラフィックの恐怖演出も人気を博した。
主人公は警視庁の警察史編纂室に所属する警部補として、「コックリさん」や「チェーンメール」などの怪事件に対峙していく。
タイトルの『流行り神』は、「一過性の流行の中で崇拝される神仏や偶像」を意味している。
『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』はノベル形式のホラーアドベンチャーゲーム。
ストーリーを読み進めて選択肢を辿り、怪談じみた不可解な事件の捜査、推理をしていくのが全シナリオ共通での流れとなっている。
難しい操作を要することはないが、本作一番の特徴は「科学ルート」「オカルトルート」への分岐である。
選択肢から辿った分岐と、シナリオプレイ中に発生するセルフ・クエスチョン(自問自答)を行うことで、不可解な事象に対し、徹底的に現実的な解釈をする「科学ルート」、オカルト的解釈を許容して推理を構築する「オカルトルート」のいずれかへ捜査方針が分かれていく。
いずれのルートでも事件の核心は仄めかす程度に留まっており、必ず何らかの謎が残る仕様になっているため、「科学ルート」「オカルトルート」の両方をプレイし、プレイヤー自身で真相を解釈する必要がある。
シナリオプレイ終了後の総合評価(ランク)の良し悪しが次のシナリオ解放を左右しており、セルフ・クエスチョンと推理ロジックでの相関図構築は非常に重要なものとなる。
このため、登場人物の話をしっかりと読みとり、事件との関連性を把握することができなければ、ゲームそのものを進めることに苦戦する仕様となっている。
重要なワードや専門用語はデータベースに保存されていくが、こちらの収集率は隠しシナリオの開放条件に影響している。
収集のために特定の分岐を辿る必要があるワードもあるが、シナリオごとでの既読率が表示され、取りこぼしがないかが確認できるようになっている。
カリッジ・ポイント
プレイヤーには、シナリオごとに決まった数量の「カリッジ・ポイント(勇気)」が付与される。
ゲーム中、勇気を要する局面で赤い六角形が表示されている選択肢が出現し、これを選択することでポイントを消費する。
そのシナリオでカリッジ・ポイントを使い切ってしまうと、ポイントを消費する選択肢は選べなくなるため、どの場面で使用するか考えながらゲームを進めていく必要がある。
セルフ・クエスチョン
シナリオプレイ中、要所で推理を組み立てるための「セルフ・クエスチョン(自問自答)」があり、ここでの選択がその先のストーリーの方向性や終了時の評価(ランク)に影響する。
特に、事実と矛盾する選択肢を選んでしまうと評価は大幅に下がり、導き出した結論によってはバッドエンドに直結する場合もあるため注意深く進めていく必要がある。
セルフ・クエスチョンの最中は画面上部に円から出る波紋のようなギミックが表示されており、不正解の選択肢を選ぶとこのギミックの色が変わるため視覚的に判別することができる。
推理ロジック
シナリオ中に登場した人物にキーワードを当てはめ、事件の全容を組み立てる場面である。
主にシナリオの総括として発生し、適切なキーワードを当てはめているかどうかが終了時の評価に大きく影響する。
特定の選択肢からの分岐を経ることでしか得られないキーワードの存在や、同じキーワードが複数項目に当てはまる場合もあるため、単純に総当たりをするだけでは解くことができない。
評価は大きく「可」と「否」に分かれており、「否」が多いと真実に到達できなかったり、次のシナリオを開放できないこともある。
データベース
ゲーム中、都市伝説の題目やオカルト、警察の専門用語など、特定のキーワードが現れた際に説明が登録されていく辞書のようなもの。
本作のみではなくシリーズ全作で共通して200個の単語が用意されており、200番目の単語は全作品で必ず「F.O.A.F(フレンド・オブ・ア・フレンド)」となっている。
『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』の登場人物・キャラクター
メインキャラクター
風海 純也(かざみ じゅんや)
23歳。身長172センチ。警視庁にある警察史編纂室に所属している警部補。
デフォルトでのキャラクター名で、ゲームスタート時、名前はプレイヤーによって変更することが可能となっている。
元はキャリア組のエリートとして警視庁捜査一課に配属されていたが、コックリさん事件の解決後、なぜか編纂室に左遷されてしまった。
一見ただの怪談のような事件でも、科学、オカルト、両方からの観点で推理を構築できる柔軟な思考能力を持っている。
しかし、まだ新米であるという未熟さと、正義感が強い性格とが相俟ってしまい、時折容疑者も含めた事件関係者に対して感情的になりすぎるきらいがある。
とはいえ、事情聴取の際も決して高圧的な態度を取ることなく、相手を刺激しないように物腰を柔らかくして臨むなど、警察官としては極めて模範的。
警察官になる過程で衝突し、疎遠になってしまった父親がいるが、嫌っているわけではなく尊敬しているという。
両親を亡くして自身の家に引き取られてきた霧崎水明とは義理の兄弟にあたり、幼い頃から仲が良い。
小暮 宗一郎(こぐれ そういちろう)
27歳。風海が担当した「コックリさん事件」の時点では所轄署の刑事だったが、彼とバディを組んで事件を解決してから、共に警察史編纂室に配属されてきた。
階級は巡査部長で、自らより年下ながら階級が上の風海を「先輩」と呼び、付き従っている。
武術を嗜んでいるため近接戦に長けており、それに見合った大柄でごつごつした風貌の男性だが、流血沙汰と怪奇現象が大の苦手である。
逆に暴漢などは軽く張り倒すだけで制圧でき、固く施錠された電子ロックの扉も体当たりで破壊するなど、物理的な力がいる状況ではほぼ無敵の強さを誇っている。
さらに本人は怪奇現象が大の苦手だが、霊感も強い。
好物は甘いものであり、そして、アイドルの川原ミユキの大ファンであったりと、時折外見に似合わない可愛らしい趣味を発揮している。
犬童 蘭子(いんどう らんこ)
警察史編纂室に所属している、怪しげな関西弁の女性。階級は警部で、風海たちの上司にあたる。
常にオフィスでテレビを見ているか、公営ギャンブルに精を出しているため、仕事をしている様子はまるで見られず、よく風海に咎められている。
しかし、時折現場にフラフラと現れては風海に的確な助言をしていくなど、オカルトに造詣が深い側面を見せることも。
正体はとある組織から送られてきた「退魔師」で、魔を滅するための魔道具を駆使し、陰ながら怪異と対峙している。
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目次 - Contents
- 『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』の概要
- 『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』のあらすじ・ストーリー
- 序章
- 第零話「チェーンメール」
- 第一話「コックリさん」
- 第二話「鬼」
- 最終話「名前のない駅」
- 霧崎 水明編「さとるくん」
- 式部 人見編「カシマレイコ」
- 間宮 ゆうか編「神隠し」
- 番外編「退魔師、犬童蘭子」
- 『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』のゲームシステム
- 基本情報
- カリッジ・ポイント
- セルフ・クエスチョン
- 推理ロジック
- データベース
- 『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』の登場人物・キャラクター
- メインキャラクター
- 風海 純也(かざみ じゅんや)
- 小暮 宗一郎(こぐれ そういちろう)
- 犬童 蘭子(いんどう らんこ)
- 霧崎 水明(きりさき すいめい)
- 式部 人見(しきぶ ひとみ)
- 間宮 ゆうか(まみや ゆうか)
- サブキャラクター
- 道明寺 秋彦(どうみょうじ あきひこ)
- 第零話「チェーンメール」の登場人物
- 川原 ミユキ(かわはら みゆき)
- 林 奈緒(はやし なお)
- 第一話「コックリさん」の登場人物
- 堀川 麻里(ほりかわ まり)
- 神山 由佳(かみやま ゆか)
- 野沢 翔太(のざわ しょうた)
- 崎田 美佐(さきた みさ)
- 山野 恵子(やまの けいこ)
- 第二話「鬼」の登場人物
- 斉藤 由香利(さいとう ゆかり)
- 斉藤 裕介(さいとう ゆうすけ)
- 安西 聡子(あんざい さとこ)
- 雪村 恭子(ゆきむら きょうこ)
- 最終話「名前のない駅」の登場人物
- 白髪の男(はくはつのおとこ)
- 霧崎 水明編「さとるくん」の登場人物
- 霧崎 道明(きりさき どうめい)
- 田井野 賢二郎(たいの けんじろう)
- 椎名 敦子(しいな あつこ)
- 原田 美久(はらだ みく)
- 長崎 響子(ながさき きょうこ)
- 桜井 富士雄(さくらい ふじお)
- 式部 人見編「カシマレイコ」の登場人物
- 高田 幸造(たかだ こうぞう)
- 津積 孝平(つづみ こうへい)
- 落合 圭三(おちあい けいぞう)
- 希樹 比佐子(まれき ひさこ)
- 間宮 ゆうか編「神隠し」の登場人物
- 佐倉 智子(さくら ともこ)
- 羽黒 薫(はぐろ かおる)
- 下橋 ミキ(しもはし みき)
- 犬童 蘭子編「退魔師、犬童蘭子」の登場人物
- 金毛九尾の狐(こんもうきゅうびのきつね)
- 『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』のアイテム
- チェーンメール(ちぇーんめーる)
- エリザベート・バートリの肖像画(えりざべーと・ばーとりのしょうぞうが)
- 鉄の処女(てつのしょじょ)
- 血のついたウィジャ盤(ちのついたうぃじゃばん)
- 鬼子母神のお札(きしもじんのおふだ)
- 柘榴石(ざくろいし)
- 柘榴の実(ざくろのみ)
- 忌み名(いみな)
- 殺生石(せっしょうせき)
- 『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』の用語
- F.O.A.F(えふ おー えー えふ)
- 警察史編纂室(けいさつしへんさんしつ)
- 組織(そしき)
- 『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 隠しシナリオの解放条件
- 霧崎 水明編「さとるくん」
- 式部 人見編「カシマレイコ」
- 間宮 ゆうか編「神隠し」
- 犬童 蘭子編「退魔師、犬童蘭子」
- データベースNo.200「F.O.A.F」は通常のプレイで収集不可
- 『魔界戦記ディスガイア3』に出張する小暮
- 『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』の主題歌・挿入歌
- ED(エンディング):川原ミユキ『Phantom』