探偵撲滅(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『探偵撲滅』とは日本一ソフトウェアから発売された、探偵シミュレーションアドベンチャーゲーム。探偵助手の北條和都(ほうじょう わと)が主人公となっており、プレイヤーは和都の目線で物語を進めていく。アドベンチャーパートと捜査パートに分かれており、テキストを読み進め、起こった事件に対して捜査をする、というのが本作の流れとなっている。個性的なキャラクターと先が読めないストーリーが魅力の作品だ。

『探偵撲滅』の概要

『探偵撲滅』とは2021年5月に日本一ソフトウェアから発売された、探偵シミュレーションアドベンチャーゲームである。対応機種はPlayStation 4、Nintendo Switch。14人の個性豊かな探偵たちが殺人鬼「八ツ裂き公」の企みでクローズドサークルに閉じ込められ、犠牲を払いながらも犯人を追い詰めていく推理ミステリー。アドベンチャーパートと捜査シミュレーションパート、真相解明パートの3つで構成され、捜査シミュレーションパートで得た情報や証拠から、真相解明パートで事件を解明していく。
登場する探偵たちは非常に個性的で、14人もいながら全員がキャラ立ちしている。また1章から味方が死ぬなど、先の読めないストーリー展開も魅力である。

「八ツ裂き公」を名乗る謎の人物が起こした連続殺人事件により、社会全体に混乱が広がる中、政府は優れた探偵を集めた組織「探偵同盟」に捜査を依頼した。探偵同盟は年々犯罪率が高まる社会の中で、英雄視されていた。平凡な高校生である北條和都(ほうじょう わと)も、探偵同盟に憧れる1人だった。そんな彼のもとにある日「老師探偵」を名乗る男が現れ、「お前は探偵同盟のメンバーに選ばれた」と言って名前も知らない島へと連行していく。島には憧れの探偵同盟の面々がいたが、和都は「八ツ裂き公ではないか」と疑いをかけられてしまう。自身の疑いを晴らすため、和都は探偵同盟のリーダー「理想探偵」とともに島の捜査に乗り出した。

『探偵撲滅』のあらすじ・ストーリー

第1章 探偵八ツ裂き事件

老師探偵に勧誘される和都

ある梅雨の日、ゲームの新作発表の最中、突然ライブが始まる。
画面には狐の被り物をした人物と、兎の被り物をした人物が映し出されており、声の主は「左の新卒くんと、右の引きこもりくん、あなたはどちらが嫌いですか?」と視聴者(プレイヤー)に問う。選択肢が出現し、どちらかを選択すると、直後画面が明滅し、血しぶきが舞い、選んだ方は血痕を残し画面から消えてしまう。そして声の主は「ボタンひとつで嫌いなヤツのカラダが、八ツ裂きになった気分はどうかな?」と言い、そして「吾輩の名前は八ツ裂き公。キミたちの世界を”面白く”するエンターテイナーだ」と自身の名前を明かす。

八ツ裂き公と名乗る人物は残った方の人物へと近づいていき、被り物の中にいる人間の生い立ちを語り始める。そして再度視聴者に問いかける。「残った被り物の中の人間ことが好きか、嫌いか」。好きか嫌い、どちらを選んでも、結局両方の人物は映像の中で八ツ裂き公により、殺されてしまうこととなる。そして「ここからは、キミたちも楽しんでくれ」という言葉を最後に映像は終了する。
映像の時間はわずか4分52秒という短いものだったが、この映像は世界中の様々な動画サイトへと転載され、八ツ裂き公の認知度を瞬く間に高めていくこととなった。事態は動画だけにとどまらず、映像の中で殺された被害者たちの遺体及び、同じ殺され方をした犠牲者が連日発見されるという事件も報告されるようになっていってしまう。事件の共通点は「犠牲者は必ず二人以上」「犠牲者のスマホの待ち受けが必ず八ツ裂き公のシンボルマークになっている」ということだった。一連の時間は「八ッ裂き公事件」と称され、世間の注目を集めていく。しかし、警察の捜査もむなしく手掛かりは見つからず、最初の配信日から半年が経ったころには犠牲者の数は100人にも膨れ上がっていた。

そんな八ツ裂き公に、北條和都(ほうじょう わと)は「あんなの、ただの殺人ショーじゃないか!」と怒りを覚えていた。
八ツ裂き公には一部の若者の間でカリスマ的な人気が生まれており、信者により犯行の模倣も行われている。和都の所属している探偵事務所にも事件解決の依頼が入り、和都は八ツ裂き公事件を模倣した、「連続ペット殺傷事件」の犯人かもしれない人物を尾行している最中だった。その依頼の最中、「老師探偵」と名乗る人物と出会う。老師探偵は、「探偵同盟に所属する探偵たちが集う、八ツ裂き公事件対策会議に参加しないか」と和都に声をかける。探偵同盟に憧れを持っていた和都は了承の返事をしようとしたが、突如老師探偵により、気絶させられてしまう。そして老師探偵は「訪ねておいて悪いが――拒否権はない。お前さんには参加する義務があるんだよ。この『探偵撲滅プロジェクト』にな」と呟き、和都は強制的に会議に参加することになる。

八ツ裂き公事件対策会議が行われる、モルグ島で目を覚ました和都。自身のおかれている状況の説明ができなかった和都は他の探偵たちから怪しまれてしまい、監視の名目で探偵たちと共に行動することになる。島内にある洋館の探索をしていたとき、島に着いてから行方知れずだった老師探偵の死体が見つかる。

第2章 透明人間殺人事件

第2章の開始早々、巨大なドラム缶のようなメカによって理想探偵が殺されてしまう。他の探偵たちは命からがら洋館に逃げ込むが、外にメカが徘徊しているせいで実質的に閉じ込められてしまう。憔悴した和都が自室に向かうと理想探偵の霊が現れ、彼女の能力を受け継ぐ。
その後、トラップに引っかかってオカルトの知識に秀でている魔界探偵が串刺しにされるという事件が発生する。トラップにかかる前の不自然な扉の動きから、何者かの手により殺されてしまったと見抜いた和都は事件の捜査を開始。犯人はシニヨンヘアが特徴の少女、渋谷探偵だった。実は渋谷探偵は八ツ裂き公の仲間だったのだ。渋谷探偵は告白した後、毒ガスを散布して死亡した。

第3章 不完全密室殺人事件

隠し通路から洋館の脱出を図る一行。その地下通路を抜けた先にあったのは牢獄がある空間だった。和都はこの場所に見覚えがあった。
地下牢に着いて早々にSPXという警備ロボットに襲われる一行だが、どうにか切り抜ける。しかし和都は何者かに襲われて更なる地下通路に連れて行かれた。そこから戻ったときには、スカジャンを羽織った探偵である大和探偵がベッドの上で串刺しにされ死亡していた。アリバイがなかった和都が疑われるも、捜査をして犯人を暴き出す。
犯人はやつれた様な顔が特徴の社畜探偵だった。彼は殺人犯でもある外道探偵を殺そうとして、誤って大和探偵を殺してしまったのだ。彼は外道探偵こそが八つ裂き公であると推理していた。そして「まだ私は捕まるわけにはいかない!」と逃げ出してしまう。

第4章 探偵たちの迷宮入り

社畜探偵を追うこと、脱出することを目的に地下通路をひたすら歩く一行。そこに色違いのSPXが登場し、探偵たちに襲い掛かる。そして赤いSPXに追い詰められたところを全身に鎧を纏った武装探偵が自分もろとも穴に突き落として一行は事なきを得る。しかし赤いSPXはまだ追ってくる。実はこの赤いSPXは、外道探偵がわざと科学知識に長けた科学探偵の車椅子に付着させた血を追ってきているのであった。外道探偵は逃げていた社畜探偵に襲われ、2人とも一行から離脱する。

第5章 矛盾階層殺人事件

第5章では停電の後に社畜探偵と外道探偵の2人の死体が同時に発見される。社畜探偵は外道探偵を道連れにするために自殺したようだった。
科学探偵が仕掛けた監視カメラには死亡したと思われていた武装探偵が映る。その武装探偵を追い、一行は再び洋館へ。武装探偵は穴に落ちた先が水脈で助かっていた。さらに理想探偵の死体を埋葬してあげようと運んでいたのであった。

最終章 八ツ裂き公事件

この章ではいよいよ八ツ裂き公の正体が判明する。数々の事件、八ツ裂き公の仕掛けたトラップから見抜いたその正体は、陰陽師の様な見た目が特徴の被虐探偵であった。彼の八つ裂き公システムとは、「二人一組を八つ裂き公が殺している」のではなく「二人一組が相互自殺している」ことだったのだ。八つ裂き公はあくまでも自殺教唆をしているだけだった。今回の事件では、老師探偵と渋谷探偵が相互自殺するはずだった。しかし和都の介入により失敗してしまった。
被虐探偵は不滅探偵と言われる探偵と同一人物で、死にたくても死ねなかった。そこで人助けのために自殺志願者に死という救いを提供していたのである。さらに被虐探偵は「誰も殺していないから逮捕できない」というが、外道探偵の死には被虐探偵も関わっており、外道探偵を殺害している扱いで逮捕されるという。これを聞いた被虐探偵は逃げ出そうとするが、赤い髪と手に持った扇子が特徴的な華族探偵によりのされてしまった。

『探偵撲滅』のゲームシステム

捜査システム

捜査シミュレーションパート

各章で、主に殺人事件が発生したタイミングで行われる捜査パート。各探偵を操作し、規定ターン内に全ての証拠品を見つけ、捜査を完了させることを目指す。各探偵は「推理力」「調査力」「検証力」「連携力」「移動力」の各パラメータを持っており、探偵によって得意分野が異なる。そのため、他の探偵と協力することが重要になってくる。規定ターン以内に証拠集めや検証を終えられないとゲームオーバーになる。また「デッド・ヘリング」という、犯人が仕掛けた罠などが潜む危険地帯に、ターン終了時に探偵が残っていると、その探偵が死亡してゲームオーバーになる。

真相解明パート

捜査シミュレーションパートを無事にクリアすることで、事件の全容を解明する「真相解明パート」へと移行する。主人公の和都(無能探偵)が捜査の中で得た情報や証拠から事件を解明していく。その中で選択肢が出ることもあり、間違えると「信頼度」が減る。「信頼度」が亡くなるとゲームオーバー。1回で正解すると減った「信頼度」が回復する。このパート中はセーブ不可となっている。

語録辞典

テキストの赤文字の個所や、捜査パートの赤いラインを調べることにより、語録が追加され、作中で使われる語句の解説を読むことができるシステム。作中に登場する探偵たちが昔関わった事件の解説も読める。

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