深夜廻(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『深夜廻』とは、日本一ソフトウェアから発売された夜道探索アクションゲームシリーズ『夜廻』の2作目。PlayStation 4、PlayStation Vita、Nintendo Switch、Steamといった様々なプラットフォームでリリースされている。衝撃的なチュートリアルと悲劇的なストーリーが大きな反響を呼んだ。PHP研究所から小説版が発売されている。
親友を探して夜の町を歩き回る少女を中心に、2人の主人公のエピソードが交互に描かれる。キャッチコピーは「あなたをさらいに夜がくる」。

『深夜廻』の概要

『深夜廻』とは、日本一ソフトウェアから発売された夜道探索アクションゲームシリーズ『夜廻』の2作目。PlayStation 4、PlayStation Vita、Nintendo Switch、Steamといった様々なプラットフォームでリリースされている。2018年には前作とセットになったNintendo Switch用ソフト『夜廻と深夜廻 for Nintendo Switch』が発売された。
衝撃的なチュートリアルと悲劇的なストーリーが大きな反響を呼んだ。そのためか、海外でのレーティングは前作より高くなっている。好評を受けて前作と同様、PHP研究所から小説版が発売された。
親友を探して夜の町を歩き回る少女を中心に、2人の主人公のエピソードが交互に描かれる。キャッチコピーは「あなたをさらいに夜がくる」。

『深夜廻』のあらすじ・ストーリー

花火大会

物語はユイの愛犬、クロが死んでしまったところからはじまる。ユイはもう1匹の愛犬チャコと共に山に登り、見晴らしのいい場所にクロのお墓を作る。チャコとはぐれてしまったユイはひとりで山道を歩き、木の枝にチャコのリードをかけて首を吊った。

町の花火大会の日の夕方、ハルはユイの自宅まで迎えに行った。ふたりで花火を見ようと約束していたのだ。ハルは夏の終わりに遠くへ引っ越すことが決まっていて、ふたりで見る最後の花火大会だった。ハルはユイと連れ立って山に登り、花火を見た。
花火大会がおわり、ハルとユイは懐中電灯の明かりを頼りに山を下りていった。暗い山道を怖がったハルは、ユイと手を繋いで歩いていく。その途中、ハルの耳に誰かが読んでいるような声が聞こえてくる。ユイはハルを草むらに隠れさせて、ひとりで様子を見に行くことにした。ユイが周囲を確認していると、犬に使う赤いリードが落ちていた。それはユイがチャコやクロと散歩に行くときに使っていたものだった。ユイが困惑していると、たくさんの手と目を持ったおばけがとつぜん襲い掛かってきて、ユイは意識を失ってしまう。
いくら待ってもユイが戻って来ず、ハルはひとりで歩きだした。ユイが使っていた懐中電灯が落ちているのを見つけたが、ユイはどこにもいない。ハルはひとりで山を下り、ユイの家に向かったが、ユイはいない。この日を境に、ユイはハルの前から姿を消した。町の掲示板には「行方不明になった子どもを探しています」という、ユイの写真が印刷された張り紙が貼られた。ハルはユイを探すため、懐中電灯を持って夜の町を歩き回ることになる。

隣町のおばけ

林の奥で座っているユイ(左)とハル(右)。ハルにはユイの姿が見えておらず、ユイはそんなハルの様子を見て、自分が既に死んでしまっていることを理解する。

ユイが気が付くと、真っ暗な町かどにいた。はぐれてしまったハルを探して歩いていると、大きな血だまりの中に切断された手首が落ちているのを発見する。すると巨大なハサミを持ったおばけが出現し、襲われたユイは気を失った。ユイはたびたび意識を失い、図書館やどこかの屋敷、雑木林など、町のいたるところで目を覚ますのだった。
ハルはユイを探して、図書館、廃墟となった屋敷など、様々な場所を歩き回る。夜の町は不気味なおばけが徘徊しており、ユイの手がかりは見つからない。ハルの前にはたびたび巨大なハサミを持ったおばけが出現して執拗にハルを狙う。ハルはそのおばけが人の形をしたものの腕を切断すると消えることに気が付き、襲われるたびに人形やロボットのおもちゃを使って回避する。何度も怖い思いをするハルだったが、ユイの愛犬のチャコはおばけに追い詰められたハルを何度も助けてくれるのだった。
たくさんのゴミが不法投棄されている広い林を歩き回ったハルが疲れて座っていると、チャコが何かに向かって吠え始める。そこにはつい先ほどまでなかったはずのメモ用紙が落ちていた。内容は、ユイからハルにあてた手紙だった。驚いたハルが手紙を読もうとすると、暗い木々の向こうから大きな黒いおばけが現れた。ハルはそのおばけにさらわれて、気が付いた時には見覚えのない廃工場にいた。ハルがおばけから逃げ惑いながら廃工場から出ると、そこは隣町のはずれだった。ユイの手紙がある場所へ戻ろうとするハルだったが、今度は大きな球体のおばけが襲い掛かってくる。ハルが必死に逃げていると、公衆電話が鳴る音が聞こえてきた。ハルが音のする方向へ逃げ続けていると、壊れかけた神社があった。ハルがそこへ逃げ込むと、球体のおばけは神社に入ることができず、消えていった。ハルは迎えに来てくれたチャコと共に、自分の町の林へ向かう。

林の奥の空き地で目を覚ましたユイの前に、ハルとチャコが現れた。念願の再会を喜ぶユイだったが、ハルは目の前にいるユイに気が付かない。チャコはユイのことがわかるようだが、ハルはまるでユイが透明になっているかのように振舞う。ユイは、自分がすでに死んでいて、幽霊のようなものになってしまったことを理解した。
ユイは夜の町で自分を探し続けてくれているハルに当てて、手紙を書いてハルの側に置いた。そして、自分が死んだときに何があったのか確かめるために山へ向かった。ユイは「チャコを連れて山に入った」ことと、「ハルを助けなくてはいけなかった」ことしか思い出せなかった。

親友との再会

ようやくユイからの手紙を読んだハルだったが、そこには衝撃的なメッセージが書かれていた。「たぶんわたしはしんでしまって、ゆうれいになってしまったみたい」、「そうなる前にあの山に行ったのだと思う」、「なにがあったか思い出すために山にいきます」、「わたしを探してくれてありがとう」、「ごめんね、でももういいよ」、手紙にはそんなことが書かれていた。花火大会の後、たしかに親友の手を握って暗い道を歩いたハルにはとても信じることができない。ハルは真実を確かめるため、ユイの後を追って山へ向かった。
山の奥へ進むため、ハルは地下水道や枯れたダムの底を通る。すると、またハサミのおばけに襲われた。ダムの奥には荒れた神社があり、そこには「コトワリさま」という縁切りの神様が祀られている。コトワリさまは助けを求める人の悪縁を切ってくれる神様だったが、神社が荒れたことでおばけのように人を襲っていたのだ。ハルは境内に落ちていたゴミを片付けてあげた。
コトワリさまと別れて山道を進んだハルは、とうとうユイを見つけた。安心したハルだったが、ユイの様子がおかしい。「さみしいよ、ハル、ハル…」と呟いたかと思うと、悲鳴をあげておばけの姿に変貌してしまった。ハルはユイから逃げ惑いながら必死に呼びかけ続け、やがてユイは落ち着きを取り戻したが、「ハル、チャコをよろしくね。さよなら」と言い残して煙のように消えてしまった。
先へと進んだハルは、真新しいお墓をみつけた。その上に、きれいにたたまれた紙が置いてある。そこには「クロが死んでしまった」、「おとうさんがいなくなっておかあさんは変になってしまった」、「大好きなハルも遠くへ行ってしまう」、「わたしの大切なものはどんどんわたしから離れていく」、「もうなにもほしくない」と、ユイの深い悲しみが綴られていた。それはユイが残した遺書だった。ハルは「わたしのせいだ」と絶望してしまう。
ハルの耳に、どこかへ導こうとする声が聞こえてきた。ハルはその落ち着いた声に誘われるまま、大きなお地蔵さんの前を通りすぎ、赤い紐が垂れ下がった大きな木へ近づいていく。ハルが紐の前にある台に上がろうとしたとき、遠くから犬の声が聞こえた。チャコだ。我に返ったハルが引き返すと、声の様子がどんどんおかしくなっていった。半狂乱でハルを呼ぼうとする声に抗い、ハルが叫ぶと、コトワリさまが現れてお地蔵さんを破壊した。壊れたお地蔵さんの後ろから、どこかへ続く穴が現れた。コトワリさまはハルに赤い大きな裁ちばさみを渡して消えた。
大きな木の近くにもう1枚、ユイが書き残したメモが落ちていた。「またハルと花火を見れるといいな」、「ハルが引っ越したらたくさんおてがみを書こう」、「夏になったらハルに会いにいこう」とあった。

夏の終わり

ユイの死の真相を知るため、ハルはお地蔵さんの後ろにあった洞窟へ入っていった。中は広く、町では見かけない蜘蛛のおばけでいっぱいだった。ハルはコトワリさまにもらったハサミで蜘蛛の糸を切りながら先へ進む。途中、ハルは何度もユイの幻影を見た。それはユイが洞窟へ入っていき、意識のないハルを抱えて出ていく姿だった。ハルは覚えていないがこの洞窟に来たことがあり、そのときユイに助けられていたのだ。
洞窟の最深部に到達すると、たくさんの手と目を持った巨大なおばけが現れた。おばけはユイの亡骸の幻影を見せて「カワイソウ、カワイソウ」、「オイデ、オイデ」、「いっしょにきてあげて」とハルを誘う。ハルはおばけの要求には決して応えなかったが、おばけは蜘蛛の糸でハルを拘束し、悪霊となったユイにハルを殺させようとする。ハルは「もうユイは帰ってこないんだ」と実感し、縁切りの神様であるコトワリさまを呼んだ。現れたコトワリさまは、糸が絡まったハルの左腕を切断する。おばけから逃れたハルだったが、失血と痛みのショックで気絶してしまった。
ユイが気が付くと、左腕を失ったハルが倒れていた。ユイはいつかのようにハルを抱えて、山を下りていく。山と町の境界では、チャコが待っていた。ユイはもう、その境界を超えることはできない。ユイはチャコにハルを託し、行くべきところへと旅立った。
ハルは左腕を失ったものの命は助かり、チャコを新しい家族として迎えた。夏の終わりが近づいたある日の夕方、ハルはチャコと一緒に山を登り、ユイが命を落とした木に花を供える。ユイはもう二度と会えない親友を想って涙を流し、チャコを連れて山を下りていった。

『深夜廻』のゲームシステム

アクション

歩く・走る

通常のスティック操作で主人公が歩く。Rボタンを押したままスティック操作で走ることができるが、スタミナがなくなると走れなくなる。

スタミナ

廃棄された電車の中を走るハル。画面下の白いバーがスタミナゲージだ。

主人公にはスタミナが存在する。走ると消費され、なくなると走れなくなる。
おばけに追われている状況で走ると急速にスタミナを消費する。

ひろう

オブジェクトに対してAボタン(〇ボタン)でひろうことができる。10円玉などの消費アイテム、コレクションアイテムはひろって取得する。

隠れる

植え込みや看板など、特定のオブジェクトに隠れることができる。隠れている間はおばけに見つからなくなるが、移動はできない。

2つの視点

shuichi
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@shuichi

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