ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』とは、ディズニーチャンネルで放映されていた人気作『ハイスクール・ミュージカル』シリーズの第3作目である。シリーズ初の劇場公開作品で、完結編となっている。今作はシニア(最上級生)となった主人公・トロイを始め、イースト高校の仲間たちが卒業を目前に様々な悩みを抱えながら突き進む姿が描かれる。進路について悩んでいたトロイは春のミュージカルに出演することになるが、何故かジュリアード音楽院・奨学生の候補者に選ばれ、選考員の前で歌声を披露する。

『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』の概要

『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』とは、ディズニーチャンネルで放映されていた人気作『ハイスクール・ミュージカル』シリーズの第3作目である。初めての劇場公開で、全米では2008年10月24日、日本では2009年2月7日に公開された。シリーズの完結編として制作されている。ケニー・オルテガが監督と振り付けを前作に引き続き担当し、メインキャストも新メンバー以外は同じである。

今作はシニア(最上級生)となった主人公・トロイを始め、イースト高校の仲間たちが卒業を目前に様々な悩みを抱えながら突き進む姿が描かれる。トロイは父親の希望する大学に進学してバスケの道に進むべきなのか、彼女であるガブリエラと一緒にいるべきなのかと悩んでいた。その後、トロイは卒業前に開催される「春のミュージカル」に出演することになるが、何故かジュリアード音楽院・奨学生の候補者に選ばれてしまう。申し込んだ覚えがないトロイだったが、候補生として選考員の前で歌声を披露することとなり、自身の進路について様々な可能性があることに気づいていく。
卒業がテーマということで今作はこれまでの集大成であり、第1作目から視聴しているファンにとってはトロイたちの最後の高校生活を見届けることができる思い入れが強いシリーズだ。恋愛や友情、夢が複雑に交錯する、ティーンエイジャーの時にしか味わえないキラキラとした青春を感じることができる作品となっている。

『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』のあらすじ・ストーリー

最上級生になったトロイたち

シニア(最上級生)になったバスケ部のメンバーは、高校生活最後の試合に臨んでいた。残り16分、相手チームに押され後がないワイルドキャッツは、キャプテンであるトロイの提案で“ロケットマン”と呼ばれている後輩のジミーを出場させることとなる。トロイが流れを作り、残り数秒のところでパスを出されたジミー。誰からもマークされていなかったジミーは奇跡的にシュートを決め、ワイルドキャッツは逆転優勝となった。

バスケ部を引退したトロイたちは、翌日からそれぞれの進路や卒業前のプロム、卒業アルバムなどの準備で忙しくなる。そんな中、春のミュージカルショーが開催されることが発表されるが、演劇部部長のシャーペイはクラスメイトの負担を減らすために自分のワンマンショーにしようと提案する。それを聞いた演劇部の作曲家、ケルシーはトロイたちクラスメイトが全員参加希望であると、担当のダーバス先生に伝えてしまう。最初は参加できないと話すクラスメイトたちだったが、ガブリエラの「みんなで作り上げる最後のショー」という言葉でトロイが率先して参加を表明し、全員で準備を始めることとなるのだった。

その後トロイとチャドは、後輩のジミーとドニーにバスケ部のロッカーを譲るよう声をかけられる。トロイたちは苦労して手に入れたロッカーであることを伝え、ジミーたちの着替えを持ったまま逃走。それを追いかけたジミーとドニーは裸のままミュージカルショーの舞台にたどり着き、ダーバス先生からお𠮟りを受けることとなった。そしてショーの裏方や準備の手伝いで参加することが決定する。

進路に悩むトロイとガブリエラ

トロイと踊るガブリエラ。

ミュージカルショーの練習が始まると、ダーバス先生からジュリアード音楽院の奨学生を1人選ぶために大学関係者が観にくることが発表される。候補者は演劇部部長のシャーペイ、振り付け担当のライアン、作曲家兼ピアニストのケルシー、そしてトロイの4人だった。申し込んだ覚えがないトロイは困惑し、自身の進むべき道について悩み始める。トロイはバスケ部のコーチを務める実の父・ジャックや幼馴染のチャドから、アルバカーキ大学へ進学してバスケを続けることを期待されていたのだ。

一方、ガブリエラはスタンフォード大学の進学が既に決まっていた。しかしアルバカーキからスタンフォード大学までは1695キロもあり、トロイと離れることに思い悩んでいた。入学を1年先延ばしにして、アルバカーキ大学の講義を受けようかと考えるが、親友のテイラーにはトロイのことを考えるのではなく、自分の将来を考えるべきだと反対されてしまう。そんな中、ガブリエラはスタンフォード大学の新入生プログラムの候補生として選ばれ、3週間大学に通うことが決定する。このプログラムとミュージカルショーの日程が被っていたため、ガブリエラはショーに参加できなくなることを悲しく思っていた。

テイラーにだけ選ばれたことを報告したガブリエラだったが、その話を聞いていた人物がいた。それは今年からイースト高校に転入し、シャーペイの付き人となったティアラだ。ティアラはすぐさまシャーペイにガブリエラのことを知らせ、それを聞いたシャーペイはミュージカルショーにガブリエラを出演させないため、何も知らないトロイに全て話してしまう。

トロイはガブリエラが自分のせいでここに残ろうかと思い悩んでいることを知り、ガブリエラの元に向かう。そして自分の夢を掴み取るためにも新入生プログラムに参加するべきだと説得する。トロイの言葉を聞いたガブリエラはトロイたちと離れることに耐えれないと話すが、最後は「さよならは得意」と意味深なことを言って自分の気持ちに区切りをつけ、仲間たちに何も告げずにスタンフォード大学へと出発するのだった。

ミュージカルショーにガブリエラが出演できなくなると、トロイとのデュエットはシャーペイが担当することになり、シャーペイの役はティアラが代役で務めることとなった。全員で参加しようと提案したガブリエラがいなくなったことで、仲間たちの士気は下がり気味だったが、それでも本番に向けて練習は進む。

犯人はダーバス先生

ショーの練習後、トロイは自宅で父親のジャックとバスケをする。ジャックはトロイにショーの進捗について質問するが、トロイは言葉を濁して話そうとしなかった。そんなトロイに、ジャックはジュリアード音楽院のパンフレットを見せ、奨学生の候補者についてなぜ話さなかったのかと問う。そして進路先をアルバカーキ大学からジュリアード音楽院に心変わりしたらチャドが悲しむと話すが、トロイは「チャドは乗り越えられる」と言い、「父さんは?」と確認する。ジャックはトロイが小さい頃から自分の母校であるアルバカーキ大学でバスケがしたいと話していたことを持ち出すが、トロイは「自分の将来は自分で決める」と宣言し、自宅を飛び出してしまうのだった。

トロイが行き着いた先はイースト高校だった。バスケ部のロッカーや体育館、最後はミュージカルショーの舞台に上がって叫ぶトロイだが、ふと我に返ると客席にダーバス先生がいることに気づく。ダーバス先生はショーの内容が変更になったため、夜遅くまで残って確認していたのだ。
トロイはすぐさま「ここにいてはいけないですね」と謝罪するが、ダーバス先生はトロイを咎めることはなかった。そしてトロイにステージ上にいると居心地が良さそうだと話し、自分がトロイの名前でジュリアード音楽院の奨学生に申し込んだと告げる。色々な可能性を検討した方がいいと言う先生に、トロイは正直に混乱していることを伝えると、先生は「直感を信じるには勇気がいるが、あなたにはそれが備わっている」とアドバイスをするのだった。

プロム

プロムの日が近づき、トロイは用意していたスーツをチャドや自分の母親に見せていた。すると、ガブリエラから電話がかかってくる。電話に出ると、ガブリエラは2週間かけてやっと仲間たちから離れていることに慣れたため、高校に戻ることはできないと話す。プロムや卒業式に出ることで、また別れを体験することに自分は耐えられないと言うのだ。トロイはなんとか説得しようと試みるが、ガブリエラの意思は強く電話を切られてしまう。

状況を知ったチャドは、卒業してからも高校時代の彼女と付き合い続ける人はいないこと、自分もテイラーとは別々の大学に行くことを話す。そしてトロイは自分と一緒にアルバカーキ大学に行ってバスケを続けるんだと励まし、プロムにはワイルドキャッツのメンバーと参加するように伝え、トロイもプロムには参加すると約束する。

プロム当日、ガブリエラは大学の近くにトロイの車が停まっていることに気づく。トロイはプロム用のスーツを着て2人だけのプロムを行うためにガブリエラの元に向かったのだ。ガブリエラはトロイの熱い思いを受け入れ、2人はプロムのダンスを踊り心を通わせる。

ミュージカルショー本番

プロムの翌日はミュージカルショーの本番だった。ジミーはシャーペイが自分に好意を寄せているとトロイから嘘を言われていたため、その気になってシャーペイに絡んでいた。そんなジミーの携帯にトロイから連絡が入る。そこには「徹夜で運転中、2幕には到着するよう頑張る、幸運を祈る」と書かれていた。ジミーはトロイに何かあった時の代役だったため、急に出演が決まってしまう。これにはダーバス先生も動揺するが、ショーは本番を迎えてしまうのだった。

ショーが始まると、ワイルドキャッツたちによるバスケをテーマにしたダンスやライアンによる大胆な歌唱は観客を大いに沸かせた。そしてシャーペイがガブリエラの代わりに歌い始める。シャーペイの呼びかけでトロイが登場するシーンになると、何度呼んでも出てこないことに焦りを感じ始めるシャーペイ。そしてやっとのことで登場したのはトロイではなく、ジミーだった。シャーペイだけがジミーの出演を知らず、ジミーを拒否しつつもデュエットを歌い上げることとなった。

そんな2人のデュエット中に、トロイとガブリエラは会場に到着する。シャーペイたちの本番が終わると、トロイとガブリエラは2人でデュエットを歌い、イースト高校の仲間たちは喜びに満ち溢れていく。
一方、シャーペイは自分の本番が最悪なものになってしまったことにイラついたまま控室へと向かう。しかしそこには自分が着るはずだった衣装とほぼ同じ格好をしたティアラがいた。彼女は有名な演劇学校から転入してきたため、イースト高校のやり方を学ぶためにシャーペイに近づき、従順な付き人を演じていただけだと話す。シャーペイはこの事実にショックを受けるが、自分の楽曲をティアラに取られまいと元々着る予定だった衣装に着替えて舞台に向かう。ティアラが先に歌い始めていたが、シャーペイはサプライズだと言って自分も舞台へ上がり、2人はぶつかり合いながらも全て歌い上げることに成功し、会場を沸かせることができたのだった。

トロイが選んだ未来

ショーのラストは最上級生たちが前に並び、1人ずつ進路先について発表されていく。見事ジュリアード音楽院の奨学生に選ばれたのはケルシーだった。しかし奨学生がもう1人決まったことが告げられ、ライアンの名前が呼ばれると、シャーペイはライアンを抱きしめて喜び合った。
そしてトロイの番になると、ダーバス先生は進路先を決めないといけないと話し始める。トロイは意を決してアルバカーキ大学ではなく、バスケも舞台も続けることができるカリフォルニア大学バークレー校に進学することを決めたと発表する。自分の心の支えであるガブリエラの進学先とも53キロの距離になるため、2人は離れないことを決めたのだ。
次にチャドの番になると、チャドは舞台上から姿を消していた。トロイはすぐさまチャドを探しに行くと、彼は体育館で1人バスケをしていた。トロイが自分と異なる未来を思い描いていたことにショックを受けつつも、チャドはトロイの気持ちを受け止めようとしていたのだ。トロイとチャドは一緒にバスケをしながら自分の気持ちを伝え合い、大学に入ったら敵チームとしてお互い頑張ることを決意する。そこへトロイの父・ジャックが2人を呼びに来る。2人は急いで舞台に戻り、無事全てのショーをやり遂げることに成功する。

その後快晴の中、最上級生たちの卒業式が行われる。トロイは学年代表で舞台に立ち、これまでのことを振り返っていく。そしてイースト高校の仲間たちと共に卒業を心から喜び合うのだった。こうしてトロイたちの高校生活は幕を下ろした。

『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』の登場人物・キャラクター

バスケ部(ワイルドキャッツ)

トロイ・ボルトン(演:ザック・エフロン)

本作の主人公。元バスケ部のキャプテンで学内にはファンがいるほどの人気者である。今作では自身の進路先について、父親の言う通りアルバカーキ大学に行ってバスケを続けるべきか、他の可能性も検討するべきかで思い悩む姿が描かれた。彼女であるガブリエラとも進路が原因で少し距離ができてしまうが、トロイの深い愛で2人の絆は一層深まっていく。進路先はバスケも舞台も続けることができるカリフォルニア大学バークレー校に決める。

チャド・ダンフォース(演:コービン・ブルー)

トロイの幼馴染で、元バスケ部のメンバー。トロイと一緒にアルバカーキ大学に進学してバスケを続ける予定だったが、トロイが進路に迷い始めたことで不安になっていく。最終的にはトロイの進路先を受け入れ、お互い切磋琢磨することを決意する。進路先はアルバカーキ大学のバスケの奨学生として決定した。彼女のテイラーを遠回しにプロムに誘っていたが、テイラーがそれを受け入れなかったため、学校中の生徒が見ている中でストレートに誘うという男気を見せている。

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