最遊記シリーズの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
『最遊記シリーズ』とは峰倉かずやによるアクション漫画である『最遊記』『最遊記RELOAD』『最遊記RELOAD BLAST』『最遊記外伝』『最遊記異聞』のことを指す。『月刊Gファンタジー』1997年3月号から『最遊記』を連載開始。
物語は桃源郷が舞台。500年前に倒された大妖怪「牛魔王」を蘇生しようと目論む者が現れた影響で桃源郷全体で妖怪が凶暴化してしまう。事態を収めるため天玄奘三蔵法師は、孫悟空、猪八戒、沙悟浄と共に西にある天竺国を目指す。
西域へ向かう道中で寄った町の宿屋に宿泊することになった三蔵一行は、妖怪の暴走によって不安を抱える人々を刺激しないように、悟空と悟浄、八戒は妖怪であるということを隠すことにした。悟空は料理上手な宿屋の少女・朋茗(ほうめい)と仲良くなった。その夜に妖怪たちの襲撃を受けて、朋茗が人質に取られてしまう。悟空たちが親玉の妖怪の部下たちを蹴散らすと、親玉は人間体から巨大な蜘蛛の姿に変身して、襲ってきた。そして、戦いの中で人間の味方をする悟空に親玉が「なぜ、人間の味方をする。我々と同じ妖怪じゃないか」と言ったことで、朋茗に正体がバレてしまう。それでも、悟空が朋茗たちを助ける理由に「ただ飯がうまかったんだ、そんだけ!!」と親玉に返した。
「負の波動」の影響で凶暴化した妖怪によって親友を食べられてしまった経験を持つ朋茗は、仲良くなった悟空が妖怪であったことにショックを受けてしまう。しかし、悟空が人間も妖怪も関係なく、その人自身を見ていることを知り、朋茗も人間も妖怪も関係ないと考えを改めるきっかけとなった台詞となっている。
「強くなる。ブザマに死んだりしないように」
三蔵が三蔵法師になる前江流(こうりゅう)という名前で、金山寺という寺にて光明(こうみょう)三蔵法師の弟子として生活をしていた。しかし、孤児である上に才能がずば抜けていたことから、周囲の僧侶たちからやっかみを受けていた。そんな中でも、法力の師範代を務める朱泱(しゅうえい)だけは、江流をやっかむことをせずに、軽口を叩きあったり、江流から数珠のプレゼントを渡すなど仲が良かった。しかし、光明が妖怪の野党に襲われて命を落とし、所有していた経文の一つを奪われたことをきっかけに江流、金山寺を去って交流が無くなってしまう。三蔵が金山寺を去ったあと、再び金山寺に妖怪の野党が襲いかかってきたことで、朱泱は妖怪たちを倒すために法力を強くする呪具に手を出して、人でありながら化け物のような状態になってしまう。
そして、変わり果てた姿になって三蔵一行の前に現れた朱泱は半分妖怪である悟空たちを襲うが、三蔵がかばったことで三蔵は重症を負ってしまった。その後、朱泱を退けることに成功したが、悟空は三蔵のためになにもできないと落ち込んでしまう。そこに八戒が「「誰かのために」なんてのは、まず「応える」ことだと思うんです」と言い、さらにかつて三蔵が「そいつらは死なない」と言っていたことを持ち出して、それに応えなきゃいけないと、悟空を励ました。
それに対して悟空は「強くなる。ブザマに死んだりしないように」と気持ちを固めた。
三蔵一行のなかにある信頼の形がはっきりしたことや、仲間を守るために強くなると悟空の成長が見える台詞となっている。
「…なんで、何で耶雲があんな顔しなきゃなんねえんだよ。…夢見てたって、夢ったってあたり前の事じゃん。なんで…ッ」
悟空は「負の波動」の影響で孤児となった妖怪の子供たちの面倒を見ながら、雪山で暮らしていた耶雲と仲良くなった。しかし、実は耶雲が裏で異変の影響で暴走してしまった子供を人間を襲う前に手にかけて、墓を作っていたことが明らかになる。その事実を語る耶雲の表情を見た悟空は、ただ子どもたち穏やかに暮らしたいと願っていた彼が手を汚さなければならない状況に納得がいかず、「…なんで、何で耶雲があんな顔しなきゃなんねえんだよ。…夢見てたって、夢ったってあたり前の事じゃん。なんで…ッ」と言った。
子どもたちとの穏やかな生活を望み、孤児を守りたいと迎え入れながらも暴走したら殺すという、矛盾した行動を取る耶雲。耶雲自身もそういった状況に葛藤を抱いていたが、それでも子どもたちを守りたいと細やかな夢を見ていた。そういった耶雲の気持ちを感じて言った悟空の台詞は、子どもたちと健やかに過ごしたい、守りたいという当たり前を夢だと言わなければならない桃源郷の現実を読者に突きつけるものとなっている。
猪八戒の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
「奇遇ですね。僕も貴方が嫌いです。僕は貴方の様な、過去も未来もない生き物じゃありませんから」
八戒は自身の恋人であり、実の姉である花喃を妖怪に攫われ、彼女を助けるために妖怪一族を皆殺しにした。しかし、花喃は妖怪の子供を孕んでしまっており、それが原因で自ら命を絶ってしまった。その時の妖怪一族には生き残りがおり、清一色(チンイーソー)と名乗って復讐のために八戒の前に姿を現す。清一色は様々な手段で八戒を苦しめていくが、三蔵たちと過ごす中で過去のトラウマを乗り越えた八戒は清一色との戦いに勝った。その際に、死に際の清一色に「やはり我は心底貴方が嫌いですよ」と言われたことに対して、「奇遇ですね。僕も貴方が嫌いです。僕は貴方の様な、過去も未来もない生き物じゃありませんから」と返した。
過去のトラウマをほじくり返されて、苦しみつつもそれを乗り越えて先を生きようとする八戒と過去に囚われて復讐のために動く清一色の対比を表した台詞となっている。
「貴方、言いましたよね。『人はそう簡単には変わらない』って。…器用貧乏なんですよ、僕」
「負の波動」に異変が起きる前、八戒は花喃の敵討ちのあとに重症を負って死にかけた状態で道に倒れていたところを悟浄に保護された。当時の悟浄は現在より女にだらしなく、生活も整っていなかったが、八戒が一緒に住むようになって生活が少しずつ変わっていた。そんな中、悟浄の悪友であり妖怪である鷭里(ばんり)がやってきた。そして、時を同じくして町では宝物庫荒らしが発生するようになる。三仏神から宝物庫荒らしを捕らえるように命令された三蔵は、腕が立つという理由で八戒と悟浄に依頼する。しかし、悟浄は「役人のお使いなんて真っ平」、八戒は「静かに暮らしたい」からと依頼を断る。それに対して、三蔵は「汚れ者が今更綺麗事抜かすなってこった。雑巾には雑巾の役割があるだろ―――ハンパなんだよ」と言う。それに対して、悟浄は「…てめぇに何がわかる。生き方なんざそう簡単にかわらねぇ」と返した。
その後、家に帰った悟浄の元にチンピラがやってきて、悟浄を連れて行く。実は鷭里が宝物庫荒らしの犯人であり、組織に黙って宝物を換金して懐に入れたことが組織にバレて暴行されていた。鷭里はチンピラ組織に挽回のチャンスとして、再び宝物庫荒らしを行い宝物を持ってくることを約束し、その間に保証として友人の悟浄を人質にすると提案した。組織はその提案を受け入れ、悟浄は鷭里の性格上、戻ってくることがないだろうと知っていたが受け入れた。一方、八戒は静かに暮らすために悟浄の家を出たが、連れて行かれた悟浄の元へ向かうことを決める。
案の定戻ってこなかった鷭里のせいで、殺されそうになっている悟浄の元に八戒がやってきた。やってきた八戒に対して「お前には関係ないだろうが」と悟浄が言うと、「貴方、言いましたよね。『人はそう簡単には変わらない』って。…器用貧乏なんですよ、僕」と八戒は返した。
鷭里に利用さていることを知りながらも人質役を受けた悟浄、面倒事だとわかっていながら悟浄を助けるために首を突っ込んだ八戒の、自分のためと口では言いつつも他者のために動ける2人の性格を表した台詞となっている。
「もし僕が暴走したらその時は―――貴方が止めて下さいね悟浄」
烏哭(うこく)三蔵法師からの奇襲を受けて瀕死の重傷を負ってしまった悟空を助けるために八戒は悟空に気功術を施すも治すことができなかった。そのため、悟空の妖力制御装置である金鈷を外すことで、悟空の中にある斉天大聖としての強力な力で治癒することにする。想定の通り、斉天大聖の能力で傷を癒やした悟空だったが、妖怪としての側面が強く出てしまったことで人々を襲い始めてしまう。悟空を止めようとするも刃が立たなかったため、八戒も妖力制御装置を外して挑むことにした。その際に、悟浄に向けて「もし僕が暴走したらその時は―――貴方が止めて下さいね悟浄」と八戒が言った。
妖怪化することで暴走するかもしれないリスクの中でも、悟空に人殺しをさせないために妖力制御装置を外すことを決めた八戒。もし「負の波動」の影響で暴走して正気を失った場合に、自身を止める役として死にかけの自身を保護して一緒に暮らしていた悟浄に対する厚い信頼が見える台詞となっている。
沙悟浄の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
「俺はな未来のいい女も大事にするんだよっ」
雪山で遭難したところを耶雲に保護されて、彼と子供たちの住んでいる洞穴で過ごしていた三蔵一行。耶雲から事情を聞く中で。子供たちにおもちゃにされる悟空を見て悟浄はそれを茶化していたが、自身の長い髪も子供たちに三つ編みにされておもちゃにされていた。悟空は仕返しと言わんばかりに茶化して返したが、「俺はな未来のいい女も大事にするんだよっ」と悟浄は言った。
悟浄は表立って子供が好きであると態度に出さないが、その実子供は嫌いではなく、また面倒見もいい。子供に懐かれるのは悟浄の人の良さを表し、言い返す言葉に女性が絡むのが彼の女好きを表してる台詞となっている。
「…だからめんどくせんだ。最初から期待しちゃいねえよ。他人にも自分にもな」
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目次 - Contents
- 『最遊記シリーズ』の概要
- 玄奘三蔵の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
- 三蔵が悟空を五行山から連れ出すシーン
- 「人生なんざ元々死ぬまでの悪あがきだろ」
- 「俺が何よりも捕らわれていたのは『無一物』という言葉そのものだったんだ。迷いはない。俺には俺の生き方が玄奘三蔵の称える『無一物』がある。」
- 「今ここにいるのはただの子供達だ。あんたらの村にいる人間のガキどもと何ら変わらんな。…それが判っていて尚このガキ達を始末できるというなら、てめぇらは妖怪でも人間でもねえ」
- 「俺は確かに外の世界を知らないがそれでも分かる事がある。命ってのはひとつふたつと数えるもんじゃねえよ」
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- 「ただ飯がうまかったんだ、そんだけ!!」
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