まことちゃん(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

『まことちゃん』とは、楳図かずおによる漫画。『週刊少年サンデー』にて1976年から1981年まで連載された。続編的な位置付けの『超!まことちゃん』も存在する。恐怖漫画家の楳図かずおが、ホラーの手法を用いつつもハイテンションのギャグを生み出したことで大ヒットを収め、『がきデカ』と共に1970年代を代表するギャグ漫画として認知されている作品である。幼稚園児の主人公沢田まことが、通っている聖秀幼稚園や沢田家などで大騒動を巻き起こす様子と、それに巻き込まれた人々が描かれている。

まことはウンコが大好きで「ビチグソ」という表現をよく使っていたが、自分自身がウンコをもよおした際によく使っていた言葉が「とぐろ虫」である。旅行中にトイレに行きたくなった時に「ぼ、ぼ、ぼ、ぼくちゃん…とぐろ虫!!」と発言していた。また、「とぐろ虫が出る!」とわざわざ便意をアピールしたこともある。『まことちゃん』を代表する下品なセリフとしてファンの間で定着した。

人間生け花

人間生け花状態で担架に乗せられた貴世子

ある日、貴世子は自宅でヨガのポーズを見よう見まねで行っていた。ところが、首に絡めた両足が取れなくなってしまい、しかもその状態で逆さまになった。帰宅したまことは、逆さまになった物体が母親とは知らずにお尻の辺りに花を挿すなどして貴世子を苦しめる。最終的に貴世子は担架に乗せられて病院送りとなった。過激なギャグが多い『まことちゃん』の中でも、特に衝撃的なシーンとして知られている。

『まことちゃん』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

まことちゃんの初登場はギャグ漫画『アゲイン』

『アゲイン』コミックス6巻表紙

沢田まことというキャラクターが初登場したのは、楳図かずおが1970年から1972年まで『週刊少年サンデー』に連載した漫画『アゲイン』である。『アゲイン』は若返りの薬を飲んで高校生に若返った老人沢田元太郎が巻き起こす珍騒動を描いたギャグ作品で、若返った元太郎を祖父と知らずに一緒に行動していたのが孫のまことだった。まことの人気が上がったことで、『週刊少年サンデー』1971年夏休み増刊号に読み切り作品として『まことちゃん』が掲載された。これが、後の『まことちゃん』の原型となっている。

封印された初代「グワシ」

初代「グワシ」をする沢田一家

実は、「グワシ」には初代ポーズが存在した。中指だけを立てて手の平を向けるポーズだったが、これが「FUCK YOU」のポーズそのままだったことで封印された。楳図かずお自身が作中に登場し、「真似してはいけない」と注意喚起している。その後、読者の意見を基にして現在の「グワシ」ポーズが完成した。

『まことちゃん』に登場した有名人

『まことちゃん』に登場した桑田佳祐

『まことちゃん』は、ギャグ漫画でありながら当時活躍した芸能人・有名人が多数登場しており、時事的あるいは流行りものの面白さが追及された作品でもある。同作品には桑田佳祐、エルヴィス・プレスリー、山口百恵、研ナオコなどが登場して読者を大いに驚かせた。

楳図かずおのライブ活動

歌唱する楳図かずお

音楽が趣味の楳図かずおは独学で作詞・作曲を学び、1975年の「闇のアルバム」でシンガーソングライターとしてデビューした。彼の音楽への探求心はその後も続き、『まことちゃん』執筆時期にはライブ活動も行っている。また、後述の通り『まことちゃん』関連の楽曲においても作詞・作曲並びに歌を歌っている。

『まことちゃん』の主題歌・挿入歌

イメージソング:野下まこと「まことちゃん」

野下まことが歌い、山口奈々がセリフを担当した「まことちゃん」は、アニメ作品の主題歌ではなく、いわゆるイメージソングとして1977年3月にシングル盤がリリースされた。作詞を原作者の楳図かずおが担当し、シンガーソングライターのイルカが作曲を務めた。

楳図かずお&ザ・チャープス「ビチグソロック」

「まことちゃん」のカップリング曲で、作詞・作曲を楳図かずおが担当し、ザ・チャープスのコーラスと山口奈々のセリフを伴って楳図自らがボーカルを取っている。歌詞やコーラスに何度も「ビチグソ」が登場するインパクト満点のナンバーに仕上がった。ちなみに、『まことちゃん』本編でまことがこの曲を歌うシーンが描かれている。

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