変な家(雨穴)のネタバレ解説・考察まとめ

『変な家』とは雨穴による小説を原作とした、監督・石川淳一による実写映画作品。
普通のホラーとは一風変わった独自の世界観で、公開初日から話題を呼び、ホラー・サスペンスジャンルでは異例の大ヒットとなった。
主役雨宮を間宮祥太朗、雨宮と共に不可解な家の間取りの謎を解明していく設計士栗原を佐藤二郎が演じる。
物語は雨宮がマネージャーから引っ越し予定の家の間取りが変だと相談を受けた事から始まり、変な家の謎に迫っていく姿が描かれている。

『変な家』の概要

『変な家』とはYouTuberとして活躍し、書籍も出版している雨穴(うけつ)による「不動産ミステリー『変な家』」を題材に映画化した作品である。映画は2024年3月15日より全国公開された。
製作は映画プロデューサーである市川南。
主題歌はBiSHの元メンバーでシンガーソングライター、女優としても活躍しているアイナ・ジ・エンドが提供している。
監督は石川淳一、脚本は数々のヒットドラマを生み出した丑尾健太郎が担当した。

石川淳一は1971年12月31日生まれ、山梨県出身であり、ドラマディレクターとして多くの作品に携わった。
2015年に、自身初めての映画作品である『エイプリルフールズ』で監督を務め、『ミックス。』(2017年)、2024年には『赤羽骨子のボディガード』の公開が予定されている。

主要キャストには数々の作品で主演を務めている間宮祥太朗、名バイプレイヤーとして引っ張りだこの佐藤二朗、元AKB48のメンバーで、卒業後女優として活躍している川栄李奈が出演している。
映画は第44回ポルト国際映画祭のコンペティション部門にて正式出品を受け上映し、オフィシャルコンペのアジア作品部門・審査員特別賞を受賞した。

主人公雨宮(あめみや)は、自身のマネージャーから引っ越し予定の物件の間取りに違和感がある事を相談され、設計士である栗原(くりはら)に間取りについて、意見を聞いてみることにした。そこから次々と疑問が浮かび上がり、触れてはいけない人間の闇が明らかになっていく。原作とは少々異なる映画オリジナルのストーリー展開もあり、じわじわと迫ってくる恐怖、間取りの謎を解き明かしていくミステリー作品となっている。物件の間取りという誰もが一度は目に触れたことのある身近なものを題材にし、そこから物語は思いもよらぬ方向へと展開されていく。

『変な家』のあらすじ・ストーリー

マネージャーからの相談

雨宮(あめみや)は「雨男(あめおとこ)」の名前で活動しているオカルト専門の配信をする動画クリエイター。最近動画が伸びず悩んでいた時、自身のマネージャーである柳岡(やなおか)から動画のネタになればと、引越し予定の一軒家の間取りについて相談を受ける。相談内容は、条件の良い物件だったが、奥さんが間取りに違和感があるとの事。一階台所とリビングの間に謎の空間があり、不動産屋に聞いてもわからないとの事だった。
そこで雨宮はオカルトネタを提供してもらっている設計士でミステリー愛好家の栗原(くりはら)に連絡し、意見を聞くことにする。

間取りの謎

不可解な間取りの調査を行う雨宮(左)と栗原(右)

物件の間取りを見た栗原はある違和感について語る。マネージャーの柳岡が言っていたように一階の台所とリビングの間に謎の空間がある事。その他にも二階の子供部屋に窓がなく、扉も2重になっており、何故かトイレが備え付けられている。まるで子供の存在を周囲に知られたくないように作られている。
そして栗原はある仮説を立てた。殺人のために建てられた家ではないかと。
雨宮はそんな事はありえないと思っていたが、数日後その物件の近くで死体遺棄事件が起きてしまう。雨宮がこの変な家の間取りと一連の出来事を動画にし投稿したところ、この家の間取りに心当たりがあると宮江柚希(みやえゆずき)と名乗る女性から、連絡が入る。
雨宮は自宅に柚希を招き、話を聞くことにした。柚希は夫の恭一(きょういち)がこの家の住人に殺されたかもしれないと言う。そして夫の死体が遺棄された埼玉の雑木林の近くにある物件の間取り図を雨宮に見せる。すると、この家にも子供部屋に窓がなく東京の物件と似ていたのだ。
その後雨宮がさらに詳しく東京の間取り図を調べていると、間取り図の一階と二階を重ねたとき、一階の謎の空間と二階の子供部屋の棚が重なることに気付く。
そして真相を探るべく雨宮と柚希は東京の家に潜入することにする。

宮江柚希の正体

柚希と共に東京の一軒家に潜入した雨宮。カメラを回しながら家の中を探索していくと、子供部屋を見つける。そしてやはり仮説通り子供部屋と浴室がつながっていた。その時栗原から電話がかかってきて「宮江恭一さんは結婚していません」と告げられる。驚きのあまり柚希から逃げる雨宮。
その後、宮江柚希は実は偽名で、本名は片淵柚希(かたぶちゆずき)だと判明する。東京の家に以前住んでいた片淵夫婦の妻、片淵綾乃(かたぶちあやの)の妹だ。柚希は行方不明になった姉を探しており、本当の事を話したら、警戒されてしまうのではないかと思い、偽名を使って連絡したとの事だった。柚希は父が亡くなった後、姉が突然行方不明になり、半年前姉から連絡がきて再会したのだが、また音信不通になってしまったと言う。

片淵家に伝わる儀式

柚希は父の実家について語る。小さい頃から毎年訪れていたが、何故か苦手だったと。そして実家の間取り図を書いたところやはり何か違和感がある。片淵家が一連の変な家について何か知っているのではないかと思った雨宮達は、柚希の母である松岡喜江(まつおかよしえ)に話を聞くことにした。すると喜江は「本家には近づくな」と忠告する。
忠告を受けた柚希と雨宮だったが、真相を知るため長野にある本家に行くことにする。
本家に向かう道中、村の人々の奇妙な視線を感じる。そして本家に入った2人は、祖父母と親戚の森垣清次(もりがききよつぐ)に会う。そこには姉の綾乃と夫の慶太(けいた)の姿もあった。数時間後栗原も合流し、再び柚希の母を訪ねたことを雨宮達に話す。そして、ある違和感について問いただしたところ「左手供養」の儀式の存在を知る。それは左手首を献上し、古くから伝わる一族の呪いを鎮めようとするものだった。
そして、片淵家には長い廊下の先に仏壇があり、ここに何かヒントがあるのではと雨宮達が調べると、仏壇の裏に隠し通路を見つける。

左手供養と間取りの真実

雨宮達が通路の先を進んでいくとそこには大きな祭壇があり、2つの左手のミイラが供えられていた。さらにそこには牢屋があり、仮面をした子供が監禁されている。その子供は片淵夫婦が育てていたもう一人の子供桃弥(とうや)だった。
すると突然、親戚である清次に襲われ雨宮達は意識を失う。気が付くと牢屋の中に入れられており、そこには綾乃と慶太も一緒に居た。そして2人は一連の出来事について語る。
慶太は高校時代に綾乃と出会い、そこで「左手供養」について知らされる。慶太は「左手供養」を行わせる為の子供桃弥を育てる事を条件に綾乃と結婚することにした。そして夫婦の子供である浩人(ひろと)が生まれた事で、東京の一軒家に引っ越した夫婦だったが、桃弥と過ごしていく中で、儀式を渋るようになっていた。しかし、それを許さなかった本家が、夫婦の子供である浩人を人質に2人を監視していた。そしてあの隠し通路はいざというとき桃弥が隠れられるようにと作られたものだったのだ。
いよいよ「左手供養」を行わなければならなくなった時、偶然家の近くで亡くなっていた宮江恭一の遺体を発見し、その左手を切断することで、桃弥が儀式を行ったと偽装した。
すると再び清次がやってきて、雨宮は体を抑えつけられてしまう。そこには、斧を手にした桃弥の姿もあり、雨宮の左手を切り落とすよう命令されるが、桃弥は躊躇する。その隙を見て雨宮は祭壇に体当たりし、その場から逃げる。
しかしそこに祖父母達もやってくる。慶太が雨宮達に先に行くよう促し、慶太と祖父母達が争っている隙に、雨宮達は外に出ることができた。そして迎えに来ていた喜江の車に乗り、本家から逃げ切ることができた。
本家は焼失し、その後祖父母、清次、さらには過去に左手供養の犠牲になったと思われる人々の死体が発見されたことが報道されるが、慶太は行方不明となってしまう。

解けていない洗脳

その後、綾乃と浩人、そして桃弥は喜江の家で一緒に暮らすことになった。
2人に会いにいった柚希はホームレスの炊き出しにいた姉の綾乃と母喜江を見つける。2人は肩を寄せ合いながら次の「左手供養」の話をしていた。そして喜江はホームレスの方に目を向けターゲットを物色していた。本家の儀式から逃れたかのように思えたが、2人の洗脳はまだ解けていなかったのだ。

『変な家』の登場人物・キャラクター

主要キャラクター

雨男/雨宮(あめおとこ/あめみや/演:間宮祥太朗)

雨男の名前で活動するオカルト専門の売れないYouTuber。最近動画が伸びず悩んでいた。自身のマネージャーから間取りの相談を受け、最初は動画のネタになればと知人でもある栗原に相談し、変な家について動画を投稿する。片淵柚希から連絡を受けたことをきっかけに思っていたより深い人間の闇に迫っていく。

栗原(くりはら/演:佐藤二郎)

雨宮の知り合いでオカルトネタの提供者でもある、ミステリー愛好家の設計士。妄想家の一面もあり、間取りの相談をされた際もそこかしこにある違和感に気付き、恐ろしい仮説を立てる。雨宮と協力し、不可解な間取りの謎を解明していく。

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