魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-(なのはGOD)のネタバレ解説・考察まとめ

『魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-』とは、2011年12月22日に発売されたPlayStation Portable用の対戦型格闘ゲーム。2人の少女キリエとアミティエの戦いを中心に、過去と未来が複雑に絡み合うストーリーを描く。TVアニメ『魔法少女リリカルなのはA's』を題材としたゲームの2作目で、パラレル要素やタイムトラベル要素が含まれていることから、TVシリーズの制約や設定にとらわれないお祭りゲーム的な作品となっている。

『魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-』の概要

『魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-』とは、2005年に放映されたTVアニメ第2シリーズ『魔法少女リリカルなのはA's』を題材としたゲームのシリーズ2作目となる作品で、2011年12月22日にバンダイナムコゲームスから発売されたPlayStation Portable用の対戦型格闘ゲーム。ジャンルは「魔法格闘対戦アクション」で、略称は『なのはGOD』。2010年1月21日に発売された『魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE BATTLE OF ACES-』の続編で、前作で発生した「闇の欠片事件」から3ヶ月後のストーリーを描いている。

空中にて1対1のバトルを行う3D対戦アクションとなっており、プレイヤーキャラクター同士の距離に応じて、近距離戦闘を行うクロスレンジと、遠距離戦闘を行うロングレンジを行う「レンジシフトバトル」というゲームシステムを採用している。クロスレンジでは打撃攻撃や投げ技などを用いて攻撃を行い、ロングレンジでは各キャラクター固有の魔法を用いた攻撃を行う。

ゲームのメインメニューではオリジナルストーリーをプレイできる「ストーリーモード」と、プレイヤーキャラクターでCPUキャラクターと連戦して勝ち抜いていく「アーケードモード」や「タイムアタック」がプレイできる「シングルモード」、他のプレイヤーと通信対戦が行える「アドホックモード」が用意されている。ストーリーはシークエンス単位で進行し、1度クリアしたストーリーは何度でもプレイすることができる。

本作はオリジナルキャラクターの「アミティエ・フローリアン」と「キリエ・フローリアン」をはじめ、前作ではノンプレイヤーキャラクターだった「ユーノ・スクライア」と「アルフ」がプレイヤーキャラクターとして採用されている。また、TVアニメとは異なる歴史を描くパラレル要素やタイムトラベル要素が含まれたストーリーが描かれていることで、『A's』では死亡している「リインフォース」が生存しているほか、未来の時系列を描く『魔法少女リリカルなのはViVid』から「高町ヴィヴィオ」と「アインハルト・ストラトス」、『魔法戦記リリカルなのはForce』から「トーマ・アヴェニール」がゲストキャラクターとして登場している。そのため、異なるシリーズ作品のキャラクターと『A's』時代のキャラクターが共演しているお祭り作品となっている。特に、『魔法少女リリカルなのはViVid』及び『魔法戦記リリカルなのはForce』などの漫画作品から登場したキャラクターは、初めて映像作品で動く姿が披露されたこともあり、話題となった。

『魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE BATTLE OF ACES-』で描かれた「闇の欠片事件」から3ヶ月、冬から春へと変わり始めた季節の中、「運命の守護者」アミティエ・フローリアンと、「時の操手」キリエ・フローリアンの2人が時空を超えて未来から現れる。キリエはある目的を果たすために「闇の書」の奥底に封印されている「システムU-D(アンブレイカブル・ダーク)」を求めて、アミティエはそんな彼女を止めるために戦いを繰り広げる。2人の戦いはやがて、過去と未来を交差し始め、様々な運命が形を変えていくことになる。

『魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-』のあらすじ・ストーリー

異世界からの来訪者

アミティエと邂逅するなのは。

持ち主と世界を滅ぼすとされるロストロギア(古代遺物)「闇の書」。強大な力を持つその魔導書を暴走させる自動防衛プログラム「闇の書の闇」は、高町なのは、フェイト・テスタロッサ、八神はやてといった魔法少女達の活躍によって1度は破壊される。後に「闇の書事件」と呼ばれるその出来事が収束した後、闇の書の闇を破壊した際に飛び散った破片「闇の書の残滓」が過去のなのは達の姿を模った存在「闇の欠片」や、独自の意思を持つマテリアル(構成体)と呼ばれる3人のマテリアルを出現させ、再び復活するべく「闇の欠片事件」と呼ばれる戦いを引き起こした。事件はなのは達の活躍で収まり、それから3ヶ月過ぎた頃、なのは達が住む地球に「運命の守護者」アミティエ・フローリアンと、「時の操手」キリエ・フローリアンの2人が時空を超えて未来から現れる。キリエはある目的を果たすために、「システムU-D(アンブレイカブル・ダーク)」、通称「砕け得ぬ闇」と呼ばれるシステムを求めており、それを持つとされるはやてと瓜二つの姿を持つマテリアルの1人、ロード・ディアーチェ(闇統べる王)から奪おうとしていたが、ディアーチェは3ヶ月前にはやて達によって倒されていた。その事実をはやてから聞かされ途方に暮れるキリエだったが、突如彼女達の前に倒されたはずのディアーチェが姿を現す。3ヶ月前に敗北した恨みを晴らすべく、はやて達に襲い掛かるディアーチェだったが、キリエを追ってきたアミティエによって撃退される。だがそこに、ディアーチェと同じく3ヶ月前に倒されたはずのなのはをモデルとしたマテリアル、シュテル・ザ・デストラクターとフェイトをモデルとしたマテリアル、レヴィ・ザ・スラッシャーまでもが復活する。更にディアーチェ達も砕け得ぬ闇を探し求めているがまだ見つけていないと知ったキリエは、共通の目的があると交渉を持ち掛け、彼女達とともに姿を消してしまう。

交差する過去と未来

姿を消したフローリアン姉妹やマテリアル達を追って、なのは達は手分けして追跡を開始した頃、未来の世界からなのはの娘である高町ヴィヴィオと彼女の先輩であるアインハルト・ストラトスや、エクリプスドライバーと呼ばれる少年トーマ・アヴェニールが地球に現れる。彼女達は第97管理外世界と呼ばれる地球にやって来たこと、幼い姿のなのは達を目の当たりにしたことで、自分達が過去の世界に飛ばされたことを知る。未来の人間が過去の世界に影響を与えることで、未来が変わってしまうことを危惧し、ヴィヴィオ達はなのは達から逃げることを選ぶ。一方フェイトは、自身のマテリアル体であるレヴィを発見し、彼女から砕け得ぬ闇の情報を聞き出す。レヴィ達マテリアルは闇の書の構築プログラムであるが、闇の書が闇の書たりえる最大の理由が特定魔導力の無限連環機構システムU-Dであり、それを手にすることでより強大な力が得られるようになっていた。マテリアル達は闇の書から切り離された砕け得ぬ闇を手に入れて強き存在となり、自由を得ることを目的としていた。そしてディアーチェとキリエは、遂に砕け得ぬ闇を起動させるが、復活した砕け得ぬ闇は金髪の幼い少女の姿をしており、目の前にいたはやてを危険因子と認定し、襲い掛かる。出力上限を5%にしているにもかかわらず、砕け得ぬ闇ははやてを圧倒する実力を発揮し、更にはマテリアル達に駆体を維持できないほどの致命傷を負わせた後、砕け得ぬ闇は姿をくらました。

その後、各地で3ヶ月と同じく過去の人間の思念体となる闇の欠片が多数出現し始め、その中にはフェイトと彼女の使い魔であるアルフの教育係であったリニスや、フェイトの母親であるプレシア・テスタロッサの姿があった。彼女達は生前の記憶を有したまま出現していることを自覚しており、リニスはフェイトやアルフ、自身の主人であるプレシアに対する心残りから、プレシアは実の娘であるアリシアが死んだという過去を変えるべく、フローリアン姉妹から時間を移動する手段を得るために、それぞれ行動を開始する。リニスはフェイトとアルフに会い、自分がいない間2人が強くなっていること、未来に向かって成長し幸せな日々を送っていることを知る。自分がいなくても2人は大丈夫であると確信したリニスは満足し、2人の前から姿を消した。その後、リニスはフローリアン姉妹を探すプレシアの前に姿を現す。先行して時間移動に関する情報を得ていたリニスは、プレシアをこれ以上叶わない願いに苦しませないために、過去を改変してもアリシアの死を変えることはできないこと伝えるが、それでもプレシアは過去を取り戻そうと実力行使に出る。戦いの末、それぞれの心残りが浄化されたことで、安らかな眠りにつくのだった。

砕け得ぬ闇

消えた砕け得ぬ闇を発見したアミティエは、キリエが探しているとされる砕け得ぬ闇の核、永遠結晶「エグザミア」が彼女の手に渡ることを阻止しようとしていた。砕け得ぬ闇はアミティエが別の時代の異世界エルトリアで誕生した「ギアーズ」と呼ばれる機械であることを見抜く。そこにキリエが乱入し、故郷エルトリアを救うための鍵となるエグザミアを手に入れるため、砕け得ぬ闇に挑むが、力及ばず破壊されそうになる。アミティエは砕け得ぬ闇の攻撃からキリエを庇い、反撃として武器を破損させるほどの強力な銃撃を放つが、砕け得ぬ闇に大きなダメージを与えることはできなかった。直後、砕け得ぬ闇は大きな頭痛に襲われ、再び姿を消す。その頃、駆体の修復作業を進めていたマテリアル達は、復旧作業中に砕け得ぬ闇のデータを発見する。データによると、砕け得ぬ闇とマテリアル達は元々1つの存在であり、全てが揃うことでディアーチェが持つ「紫天の書」と呼ばれる魔道書が完成し、闇の書から独立して生きることができるとされている。マテリアル達が自由を得るには砕け得ぬ闇を迎え入れる必要があり、その目的を達成するため、なのは達と交渉し砕け得ぬ闇を倒す方法を教えることを決める。

一方、ボロボロの状態で確保されたキリエは、故郷エルトリアがゆっくりと死に向かっていることを告げる。フローリアン姉妹の生みの親であるフローリアン博士は、エルトリアの滅亡を防ぐべく対策を続けており、後数年でその成果が出るとされていたが、不治の病にかかってしまったことでそれを見ることができなくなっていた。その事実を受け入れられなかったキリエは、安易に時間移動を行うべきではないという博士の言いつけを破って現代に現れ、死にゆくエルトリアを救えるただ1つの方法であるエグザミアを手に入れようとしていたのだった。

その後マテリアル達から砕け得ぬ闇を倒す方法として、対システムU-Dへの制御プログラムを得たなのは達は、主戦力を選び決戦に向けて対策を練る。その頃、元の時代に帰る方法を得るためにヴィヴィオやトーマ達はキリエを見つけ出す。キリエはやるべきことを終えた後に全員を元の時代に戻れるために協力することを約束し、ヴィヴィオ達はなのは達に保護される。その後、砕け得ぬ闇が再起動する話を聞いたキリエは1人で立ち向かおうと行動を始める。彼女はエグザミアを持ち帰ってもエルトリアが救われる保証が無いことは分かりつつも、ただ1つの可能性に賭けて時間移動をしてきたが、その代償として無関係の人間や世界が傷を負うようなことは避けたいと考えていた。責任感から無茶をしようとするキリエを止めるために、アミティエは病み上がりの身体で立ちふさがる。戦いの末、2人は和解し揃ってなのは達と協力するようになる。

そして、復活したマテリアル達は、砕け得ぬ闇を手中に収めるべく行動を開始する。砕け得ぬ闇は既に力を8割近く蓄えており、現状では制御プログラムを打ち込むことができない状態となっていた。これ以上の力の充填を阻止し、砕け得ぬ闇の力を少しでも削るために、シュテルとレヴィは紫天の書を扱えるディアーチェを残し、捨て身で戦いに挑む。自律制御の機能をほとんど持たず暴走状態に陥っている砕け得ぬ闇を救えるのはディアーチェだけと考え、2人は決死の覚悟で干渉制御ワクチンによる致命打を与えることに成功する。しかし、戦いで負ったダメージにより駆体は限界を迎えており、シュテルとレヴィは駆け付けたディアーチェに残された魔力を託して消滅した。彼女達の打った布石を無駄にしないため、ディアーチェはなのは達とともに力を増大させ続ける砕け得ぬ闇に決戦を挑む。総力を上げた戦いにより砕け得ぬ闇の持つエグザミアは暴走が収まり、砕け得ぬ闇はディアーチェから教えられた本当の名前である「ユーリ・エーベルヴァイン」と呼ばれるようになる。

こうして、後に「砕け得ぬ闇事件」と名付けられるようになった出来事は、静かな終わりを迎える。なのは達は未来が変わってしまうことを防ぐために時間移動に関わる記憶のみが封鎖されることとなり、ヴィヴィオ達はそれぞれ元の時代へと帰還した。また。ユーリの力もありシュテルとレヴィは駆体を復活させることに成功。そしてマテリアルやユーリは、フローリアン姉妹とともにエルトリアへと旅立ち、エルトリアの復興に尽力しながら暮らしていくのだった。

『魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-』のゲームシステム

レンジシフトシステム

本作で採用されている戦闘システム。キャラクターの距離に応じてボタンに割り振られた技とカメラ視点が自動的に切り替わる。キャラクター同士の距離が近い場合は近距離戦闘を行う「クロスレンジ」、キャラクター同士の距離が離れている場合は遠距離戦闘を行う「ロングレンジ」にそれぞれ切り替わるようになっている。

クロスレンジ

主にアタック(近接攻撃)、キャッチ(掴み攻撃)、ブロック(カウンター攻撃)の3種類の攻撃を用いた近接戦闘を行う。各攻撃方法は3すくみの関係となっており、お互いが同時に攻撃行動を取った場合は、有利な攻撃を行った側の行動が優先される。また、同じタイミングでアタックがぶつかった場合はお互いの攻撃が相殺される。

ロングレンジ

各キャラクターごとに設定された固有の魔法攻撃を行う。ボタンを長押しすることで性能が強化された魔法攻撃を発動することができる。魔法を用いるためには後述のMPを消費する必要がある。

HPゲージ

キャラクターの体力を表す。攻撃を受けると減少し、0になるとダウンしてバトルに敗北する。

MPゲージ

ロングレンジでの魔法攻撃や後述のガード、アクセルダッシュといった行動を行うために必要となるゲージ。100%(ゲージ1本)の状態からスタートし、クロスレンジで攻撃を当てることなどで200%まで蓄積される。MPが0になると自動でリロードされ、100%まで回復するが、その間はMPを消費する行動はできない。

ガード

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