魔法少女リリカルなのは（アニメ）のネタバレ解説・考察まとめ

『魔法少女リリカルなのは』の概要

『魔法少女リリカルなのは』とは2004年10月1日から12月24日にかけて全13話が放送されたテレビアニメ作品。略称は「なのは」「リリなの」など。PCゲーム『とらいあんぐるハート』のスピンオフ作品であり、同ゲームのシナリオライターである都築真紀がアニメ全話の脚本を担当している。キャッチコピーは「魔法少女、はじめました。」。本作は『魔法少女リリカルなのはシリーズ』の第一作と位置づけられており、これまでに『魔法少女リリカルなのはA's』『魔法少女リリカルなのはStrikerS』などのテレビアニメが放送されている。また、2010年1月には、本作ストーリーをリメイクする形でアニメ映画『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』が公開された。
幼い少女が活躍する魔法少女アニメだが、内容は従来のハートフルな可愛らしい雰囲気とは違い、派手なアクションを取り入れ、ライバルとなるフェイトとそれぞれの目的の為に本気でぶつかり合い友情を育んでいく「魔法バトルアクション」になっている。

小学3年生の高町なのはは、将来についてやりたいことがあるような気がしても、まだはっきりしないという思いを抱いていた。そんな時、ユーノと出会って魔法少女となる。最初はユーノの手伝いで始めたが、段々と魔法少女として頑張っていく決意を固めていく。
そんななのはの前に現れたのは、ユーノとは異なる目的でジュエルシールドを集めていた同年代の少女フェイトだった。フェイトの淋しそうな眼を見て、なのはは分かり合おうと歩み寄る。

『魔法少女リリカルなのは』のあらすじ・ストーリー

鳴海市に住む平凡な小学3年生の高町なのはは、両親と兄姉に囲まれ平凡に暮らしていた。ある日、なのはは暗い森で不気味な黒い影と戦う少年の夢を見る。なのははその夢を不思議に思うものの、学校に授業にと日常生活に戻っていった。その日の学校帰り、なのはは昨夜の夢と同じ風景を見る。自分を呼ぶ声に導かれるように向かったその先には、怪我を負ったフェレットがいた。言葉を話す不思議なフェレットの正体は、異世界ミッドチルダからやってきた少年ユーノ・スクライアだった。彼は魔法技術の遺産であるロストロギアの一種であるジュエルシードを発掘したが、輸送していた船が事故に遇ってしまい鳴海市周辺に散らばってしまった為、それを回収する使命を負っていた。
ジュエルシードは強力な魔力の結晶体であり周囲の生き物の願望で暴走してしまう。その思念体である黒い影に遭遇したなのはは、ユーノから受け取った赤い宝石・レイジングハートを使い、自らがイメージする「魔法の杖」と「身を守る強い衣服」の形成に成功し、魔法少女となった。ユーノは、爆発的な光を放つレイジングハートを見て、なのはの魔力の膨大さに驚く。なのはは心の中に浮かぶ封印のための「呪文」を導き出し、封印を成功させる。危険な遺産を発掘してしまった責任に一人苦悩するユーノに、なのはは「ひとりぼっちは寂しいもん……わたしにもお手伝いさせて」と協力を申し出る。

ユーノが驚く程の魔法の才能を持っていたなのはは、慣れないながらもジュエルシードの封印を続けていく。しかしある時、自身と同じくジュエルシードを集める同年代の少女フェイト・テスタロッサと出会い交戦する。目的を問うが「答えても多分意味が無い」と冷たく突き放され、圧倒的な力の差に手も足も出ないまま敗北してしまいジュエルシードも奪われてしまった。その後、フェイトの使い魔であるアルフの牽制を受けるも、なのははジュエルシードの封印を続ける決意をする。

フェイトと2回目の対峙をしたなのはは、話し合いで解決したかったが、「言葉だけじゃきっと何も変わらない。伝わらない」と襲いかってくるフェイトに対して、否応なしにジュエルシードひとつを賭けた勝負をすることになってしまう。なのは、この勝負で完敗するが、去り際にフェイトの名前を聞き出す。
その後、フェイトに会ったなのはは、一触即発の射撃距離の間合いでフェイトの名を呼び、「言葉だけじゃなにも変わらないって言ってたけど、話さないと、言葉にしないと伝わらないこともきっとあるよ」と伝え、自分がジュエルシードを集める理由を伝える。それに対し、フェイトは一瞬答えを返しかけるが、アルフに止められる。

その後もジュエルシードを奪い合いながら交戦を続けつつ、フェイトの寂しげな瞳を気にするなのは。しかし幾度目かの交戦中に、時空管理局を名乗る少年クロノ・ハラオウンによって二人は拘束されてしまい、フェイトは傷を負いながらも逃走する。
事情聴取の為に時空管理局の艦船「アースラ」へ赴き、艦長のリンディとクロノにこれまでの事情を説明するなのはとユーノ。そしてリンディ達からもジュエルシードの詳細が明かされた。ジュエルシードが次元干渉型のエネルギー結晶体であり、複数発動させれば次元空間に影響を及ぼす次元震を引き起こす事。それがなのはとフェイトの戦闘で発生していた事。いくつもの平行世界を壊滅させる程の災害「次元断層」を引き起こす切っ掛けになる事。話を聞いたなのはは、時空管理局の預かりとなってジュエルシード収集を続ける事にする。そしてなのははフェイトへ「友達になりたい」と想いを告げる。

一方フェイトは母親・プレシアにジュエルシードの集まりが悪い事を理由に激しい鞭打ちの虐待を受けていた。アルフはフェイトに「ジュエルシード集めを放棄して逃げよう」と訴えるが、幼い頃に愛された記憶を胸に、プレシアに認められたい、再び愛されたいという一心でジュエルシード収集を続けるフェイトの意思は固かった。
非道を許せずに怒りに燃えるアルフはプレシアへ一人立ち向かうが、反撃に合い重傷を負って逃げ出す。それを保護したのは、アルフを大型犬と勘違いしたなのはの親友・アリサだった。アルフから事情を聞いたなのはは、フェイトを助けたいという想いを固める。

やがて時空管理局の調査で、ジュエルシードが散らばった原因である輸送船事故の黒幕がプレシアである事が判明する。
プレシアは、かつて事故で失った娘・アリシアを蘇らせようとしていた。アリシアの記憶を持ったクローンとしてフェイトを創造し、初めは娘として愛したが、利き手や魔法の資質などいくつもの違いから同一人物として認められず「得体の知れない存在」として憎むようになった。
病によって残された時間の少ないプレシアは、保存していたアリシアの遺体を蘇生させる為に全てのジュエルシードを使って次元震を引き起こし、次元断層を起こす事も厭わずに、死者さえも蘇らせる秘術が眠る忘れられし都・アルハザードへの航行を強行しようとしていたのだった。

全てを知ったフェイトは絶望に自我を喪失してアースラに保護され、なのは・ユーノ・アルフはプレシアを止める為に居城である「時の庭園」へと乗り込む。
モニター越しになのは達が苦戦する姿を見ていたフェイトは、幾度も自分に向き合い「友達になりたい」というなのはの姿を思い出し、愛する母親の過ちを疑わず、信じる事に逃げていた弱い自分を終わらせる決意を持って立ち上がり、戦線へと加わった。なのはとフェイトの共闘により危機を脱し、次元震もリンディが進行を抑える事で停止。追い詰められたプレシアにフェイトは手を差し伸べるが、その手を取られる事は無く、プレシアはアリシアの遺体と共に虚数空間へと消えていった。

事件が収束した後、なのはは平穏な日常へと戻って来る。フェイトは時空干渉事件の重要参考人として裁判にかけられる事になるが、クロノによって無罪申告が進められるという。
裁判の為、本局へ移動する前の僅かな時間、再会したなのはとフェイトはお互いの名前を呼び合い、友情と再会を誓い合った。

『魔法少女リリカルなのは』の登場人物・キャラクター

高町なのは（たかまち なのは）

CV：田村ゆかり

ユーノと出会い魔法少女となった自称・平凡な小学3年生。家族構成は父、母、兄、姉との5人家族。
明るく優しく強い正義感を持った性格だが、悲しい事やつらい事を抱え込んでしまう癖がある。
魔導師として天才と呼べる程の素質と非常に高い魔力を持ち、ユーノとの実践訓練の中で急速にその才能を開花させていく。使用デバイスはユーノから譲り受けたインテリジェントデバイス「レイジングハート」。
魔力の集束・放出と制御を得意とし、戦闘スタイルは強靱な防御力で攻撃を弾いたり受け止めて誘導弾や高威力の砲撃で仕留めるという固定砲台タイプ。必殺技は周囲の残留魔力を集めた特大の一撃を放つ集束砲撃魔法「スターライトブレイカー」。

フェイト・テスタロッサ

CV：水樹奈々

なのはと同様に「ジュエルシード」を集める、寂しげな瞳をしたもう一人の魔法少女。使用デバイスはインテリジェントデバイス「バルディッシュ」。
感情を表に出す事はあまり無いが、本来は争いを嫌う心優しい性格で、使い魔のアルフには柔らかい表情を見せる。また、母親である「プレシア」から虐待を受けながらも懸命に尽くす、純粋な意思の強さと頑固さも合わせ持つ。
魔法の実力も非常に高く、電撃とスピードを生かしたヒット＆アウェイの戦法がメイン。更に射撃や広域攻撃、格闘もこなすオールラウンダーで、得意技は槍のような魔力弾を発射する直射型射撃魔法「フォトンランサー」。出会った当初なのはを手も足も出ない程に敗北させた。しかし戦闘を重ねるながら「友達になりたい」というなのはの真っ直ぐな想いに触れて段々と心を開いていく。
外見はなのはとほぼ変わらない年齢だが、実際は2年程前にプレシアが亡くした娘・アリシアの記憶を持ったクローンとして生み出された。しかし失敗作と判断され、その記憶はプレシアの手で消去されている。

ユーノ・スクライア

CV：水橋かおり

異世界「ミッドチルダ」からやってきた、なのはと同い年の少年。
遺跡の発掘を生業とする一族の出身で、ジュエルシードは彼が発掘したもの。事故によって散らばってしまったそれを回収する為に地球へやってきたが、封印に失敗して大怪我を負い、体力と魔力の温存の為フェレットの姿になった所をなのはに保護された。
魔法に関する知識は深く、戦闘時は結界魔法や回復、防御等の補助魔法を使いこなす。

アルフ

CV：桑谷夏子

「フェイト」の使い魔である紅い狼。十代半ば程の少女の姿に変身でき、明るく勝ち気な性格。
かつて命を救われた事でフェイトを心から慕っており、関係は主従というよりも仲の良い姉妹に近い。
戦闘では格闘技と補助魔法でフェイトをサポートする。

アリサ・バニングス

CV：釘宮理恵

なのはの親友で、仲良し3人組のリーダー格。日米で大企業を経営する家の一人娘で、授業中は大抵落書きをしているが学業は優秀。性格は勝気で負けず嫌い。言いたい事ははっきり口にするためなのはとは度々衝突するものの、「ケンカする程仲が良い」という関係。
大の犬好きで屋敷では何頭もの大型犬を飼っており、プレシアに傷つけられ弱ったアルフを異世界の生物と知らずに保護した。

月村すずか（つきむら すずか）