ここに来て抱きしめて(韓国ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ここに来て抱きしめて』は、2018年5月16日から韓国のテレビ局MBCで放送されたテレビドラマ。本作は、サイコパス、ユン・ヒジェを父親に持つ警察官ドジンと、両親をヒジェに殺害されたジェイのラブストーリーである。またドジンを偏愛し、ドジンの中の狂気を引き出そうとするヒジェとドジンの闘いも描かれている。サイコパスを演じたホ・ジュノの迫真の演技が話題となり、その年の演技賞を複数受賞した。また主人公を演じたチャン・ギヨンにとっては初主演ドラマとなった。

『ここに来て抱きしめて』の概要

『ここに来て抱きしめて』は、2018年5月16日から7月19日まで韓国のテレビ局MBCで放送されたテレビドラマ。殺人鬼の息子ナムと、その殺人鬼に家族を殺害された被害者の娘ナグォンの恋愛を描いたラブストーリー。クラスの同級生であるナムとナグォンは、お互い想いを寄せていた。息子を偏愛する連続殺人鬼ユン・ヒジェは、息子ナムに近づくナグォンが気に食わず、ナグォンの家族を惨殺する。事件後、ナムとナグォンは離ればなれになってしまうが、大人になってから2人は再会。お互いを支え合うようになる。ラブストーリーでありながら、ヒジェを巡るサスペンス要素も本格的で、緊迫した展開の中で魅せる主人公2人のラブロマンスに毎話注目が集まった。

主人公のナムを演じたのは、本作がドラマ初主演となったチャン・ギヨン。それまでも『ゴーバック夫婦』や『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』で、存在感のある演技を披露してきたチャン・ギヨンが殺人鬼の父親を持つ難しい役どころを熱演した。そして殺人鬼ユン・ヒジェを演じたのはホ・ジュノだ。迫力のある演技力で視聴者を圧倒し、MBC演技大賞で黄金演技賞やドラマプロデューサーが選んだ今年の役者賞を受賞した。また、ヒロイン、ナグォンは『水曜日午後3時30分~輝く恋の時間~』で初主演を果たし、注目を集めたチン・ギジュが演じた。

脚本は『ドクター・イアン』(2015)を手掛けたイ・アラム。演出は『帝王の娘 スベクヒャン』(2013)や『最高の恋人』(2015)のチェ・ジュンべが務めた。

『ここに来て抱きしめて』のあらすじ・ストーリー

2人の出会い

警察学校の面接会場でチェ・ドジンは志望動機を聞かれる。自分は連続殺人犯ユン・ヒジェの息子であるため、被害者に謝罪するために警察を目指したと答える。一方、ユン・ヒジェによる連続殺人事件の被害者遺族であるキル・ナグォンは、ハン・ジェイと名前を変えて、女優を目指していた。オーディションの日、原稿にあった「サイコパス」という言葉に動揺し、オーディションに落ちてしまう。

記者のハンはドジンの継母オクヒの居場所をかぎつけ、ヒジェが出版した自叙伝『わたしはあなたと違わない』を受けて、オクヒのことを取材しようとする。ナムはオクヒの養子となり、警察学校の卒業を控えていた。ドジンと名前を変えたナムの元にも、マスコミが押し寄せていた。一方で、ナグォンはジェイと名前をかえ、女優として頑張っていた。しかし、ヒジェが自叙伝をだしたことを知り、動揺する。

遡ること9年前。ナグォンは両親と兄の4人でのどかな田舎町に引っ越して来た。ナグォンは転校先の学校でナムと出会う。ナムは父ヒジェと兄ヒョンム、継母オクヒ、その娘ソジンと4人で暮らしていた。転校初日、ナグォンは派手な服を着て来たことを教師に注意されてしまう。それをナムが助けたことで2人は親しくなる。

後日、ナグォンは愛犬がいなくなり一人で探すうちに怪しい建物に迷い込んでしまう。そこでは、ナグォンの愛犬が捕まっており、ナムが助け出そうとしていたところだった。犬を助け出したナムは今日のことは忘れて欲しいと言う。ナグォンを家まで送り届けたナムは、彼女の家族と交流し、その温かさに触れる。帰宅後、ナムがナグォン一家と親しくすることが気に食わないヒジェは、ナムをけん制する。そんな中、オクヒがヒジェの浮気を疑い、確かめようとヒジェの元に向かうと、ヒジェの恐ろしい姿を目にしてしまう。ソジンを連れて逃げようとするオクヒだったが、その途中ナムに遭遇。事情を察したナムはオクヒを逃がす。

再会

警察学校で再開したジェイ(左)とドジン(右)

ドジンが在籍する警察学校で、ジェイの出演する映画の撮影が行われることになり、ジェイは警察学校を訪れる。しかし、ジェイが過去の事件被害者だと気づいたマスコミに、ジェイはコメントを求められてしまう。困っているジェイを助けたのは、その場に居合わせたドジンだった。助けてくれた青年がかつて自分を助けてくれたドジンだと気づくジェイ。9年前、ドジンを偏愛するヒジェの怒りを買ったナグォン一家はヒジェに惨殺される。それを目撃し、ヒジェに殺されそうになったナグォンをナムが助けたのだ。ドジンは父親を警察に突き出し、裁判で父親の犯行を証言した。ドジンは事件後、オクヒとともに静かに暮らしていたが、父親の自叙伝が出版されてから、オクヒの店にもマスコミが押し寄せ平穏な生活が脅かされることに胸を痛めていた。

ジェイやオクヒに向けられるマスコミの関心をそらすため、ドジンはヒジェの息子だと顔を出してインタビューに応じる。一方、ジェイもテレビで遺族であることを証言する。ドジンは主席で警察学校を卒業するが、それを知った被害者の遺族に非難を浴びせられてしまう。その様子を見ていたジェイはドジンを抱きしめる。そこに検事となったジェイの兄、ムウォンが駆けつけ、ジェイに近づかないようドジンに警告する。その場にはヒジェの自叙伝の出版を手伝ったパク記者もいた。ドジンは自分たちに付きまとうパク記者をけん制するが、マスコミに注目されるのは、殺人犯の息子でありながら被害者であるジェイを助けたドジンの責任だと言い返されてしまう。

3年後

3年後、警察学校を卒業したドジンは強力班の刑事となっていた。通り魔事件が発生しており、その捜査にあたるドジンは捜査中に怪我をしてしまう。一方、女優としての成功を掴んだジェイは新人賞の授賞式に出席していた。授賞式のあと、楽屋で倒れてしまったジェイは、病院に運ばれる。怪我をしたドジンが訪れたのはジェイと同じ病院。病院をあとにしようとするジェイがマスコミに囲まれているのを発見したドジンは、ジェイのことを助ける。2人はお互いに気づきながらも、挨拶をかわすことなくその場を立ち去る。

後日、ジェイのもとに血の付いたハンマーが届いたと、強力班のコチーム長から聞かされるドジン。これが12年前の事件に関係していると考えたドジンは、この事件の捜査を担当したいと申し出る。この捜査によって再び関わりを持つことになったドジンとジェイ。ドジンはなんとしても犯人を見つけ、ジェイのことを守ると約束した。ドジンは物証からジェイにハンマーを送った人物と通り魔事件の関連を疑う。捕まえた人物から、前科7犯で最近出所したドジンの兄ヒョンムの名前が出たため、ヒョンムを被疑者として捜査することになった。

そんな中、夜中に怪しいメールで撮影スタジオに呼び出されたジェイ。スタジオを訪れると12年前の殺人現場が再現されたセットと、ヒジェに似た人影がいた。ジェイはその場でうずくまってしまう。そこにジェイの危険を察したドジンが現れる。取り乱すジェイを家まで送り届けるドジン。落ち着くまでドジンはジェイの側にいることとなる。ジェイは、恐ろしい思いをしてもドジンと一緒にいられることが嬉しいと思いを吐露する。後日、現場の状況からヒョンムの犯行が濃厚となった。ヒョンムはドジンに電話をかけ、自分が犯人だと言う。さらにジェイの家を警戒していたドジンの元にヒョンムが現れ、2人はもみ合いとなる。ヒョンムに刺されてしまったドジンは病院に運ばれるが、一命をとりとめた。

ユン・ヒジェの逃亡

ドジンが刺された事件のあと、オクヒはヒジェの元を訪れ、「私の息子たちに手を出すな」とけん制する。オクヒはドジンのことだけでなく、事件ばかり起こすヒョンムのことも気がかりだった。ヒョンムがドジンに構うのは、ドジンのことを偏愛する父親を慕うがゆえだということをオクヒは知っていた。

一方、この事件を経てドジンとジェイは交際するようになる。退院したドジンは、ジェイとつかの間のデートを楽しむ。そんな中、12年前の事件の被害者と加害者の家族同士が交際していることがテレビで放送されてしまう。これを受け、仕事復帰をしたドジンはマスコミに囲まれるが、一蹴する。またジェイも交際を堂々と認める。

ある日、執拗にドジンたちやヒジェを追いかけ、報道を続けてきたパク記者が殺される事件が発生する。容疑者として出頭したのはジホンという青年だ。ジホンは刑務所でヒジェと出会い、ヒジェに傾倒している。パク記者だけでなく、オクヒやソジンにも付きまとっていたジホンだったが、陰ながらオクヒたちを見守っていたヒョンムにより2人は無事だった。ヒョンムはジェイの兄ムウォンの元を訪れる。ジェイとドジンの交際をよく思わないムウォンに対し、ヒョンムは「ドジンはヒジェとは違う」と言う。一時は殺人の容疑をかけられていたヒョンムだったが容疑が晴れ、それに伴い捜査から外されていたドジンも職務に復帰した。

その数日後、護送者が事故に遭いヒジェが逃走する。ヒジェに傾倒するジホンとユラが、事故に見せかけてヒジェを逃がす計画を企てたのだ。ヒジェの逃亡を知り、おびえるジェイ。ドジンはジェイを落ち着かせるため、ジェイの家に泊まる。

ドジンとヒジェの対決

ドジンとジェイがヒジェにとって邪魔だと考えるジホンは、ジェイのことを付け狙う。ハンマーを持ったジホンがジェイのもとに現れ、襲われそうになったところを、ドジンが阻止する。怒りが爆発したドジンは、ジホンに対してナイフを振りかざす。自分は父と違うと思っているドジンは、自分の中にも狂気があることを知りショックを受ける。一方、逃亡したヒジェは隠れ家で生活していた。ある時、ドジンと強力班のコチーム長が親しくしているのを目撃したヒジェ。自分の息子と他人が親しくするのが許せないヒジェは、コチーム長を殺害する。このことを知り、怒りに震えるドジン。拘置所にいるジホンのもとを訪れ、ヒジェの居場所を突き止めようとするが、ジホンは話さない。

そんな中、ヒジェはオクヒの元を訪れていた。ヒジェが、ドジンには自分と同じ猟奇殺人者の素質があると考えるのに対し、オクヒは「ドジンは絶対にヒジェのようにならない」と言う。しかし、オクヒを手にかければ、さすがにドジンも我を失い自分のことを殺そうとするはずだと考えたヒジェは、オクヒ目掛けてハンマーを振りおろす。間一髪のところで、ヒョンムが止めに入る。これまで父に気いられるため父に従ってきたヒョンムは初めて、ヒジェに反抗する。これまでオクヒやドジンのことを思ってはいながらも、父に逆らうことが出来ず反抗的な態度をとってきたヒョンムだったが、これをきっかけにオクヒやドジンとも打ち解ける。

再度逃亡したヒジェは、ジェイを殺せばドジンの狂気を引き出せると考え、ジェイを誘拐した。それに気づいたドジンがヒジェの元に向かう。ヒジェは「ジェイを殺した」と話したが、ジェイはヒジェの目を盗み逃げだしていた。ヒジェとドジンはつかみ合いになるが、ジェイの通報により警察が到着する。逃げようとしたヒジェをドジンが撃ち、ヒジェは逮捕された。

その後、ヒジェ逮捕に貢献したドジンは昇進し、ジェイも女優として新しい役をつかんでいた。これまでドジンとジェイが、加害者の息子と被害者の娘という立場でありながら愛し合うことを、世の中はうがった目で見ていた。しかし2人の関係を「因縁ではなく救いだった」とする記事が発表され、2人は幸せを掴んだ。

『ここに来て抱きしめて』の登場人物・キャラクター

主要人物

ユン・ナム(演:ナム・ダルム)

殺人鬼を父親に持つ少年。転校してきたナグォンと親しくなり、お互い想いあうようになる。父親とは違い心優しい。自分と親しくなったがために、ナグォンの両親が父親に殺されてしまい、父親を警察に突き出す。

チェ・ドジン(演:チャン・ギヨン)

ユン・ナムが大人になりチェ・ドジンに名前を変えて生活。父親が犯した罪をつぐなうため、警察となる。警察大学を優秀な成績で卒業し、のちに強力班で活躍。正義感が強い。ナグォン(大人になってからはジェイ)と再会し、交際するようになる。父親の中にある異常性が自らの中にもあるかもしれないと思い悩む。幼少期から父親の存在に苦しめられてきたが、脱獄した父親を自ら捕まえ、長年の因縁から解放された。

キル・ナグォン(演:リュ・ハンビ)

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@nara5772

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