ガクサン(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ガクサン』とは2021年12月より佐原実波が『モーニング』で連載を開始し、移籍後『コミックDAYS』で連載している、学習参考書をテーマにした漫画作品である。参考書出版社に中途入社した茅野うるし。お客様ご相談係に配属され出会ったのは、クセが強い参考書オタクの福山だった。福山は社会人として問題ばかりだが参考書の知識は豊富で、うるしは振り回されながらも刺激を受ける。そんな中、うるしは福山の過去を知ることとなる。実在の参考書が紹介されることで学生や保護者、学び直しを目指す社会人からも好評を得ている。

お客様ご相談係に、「高校古文のおすすめ参考書が知りたいです」という相談が届いた際、うるしに対しての福山の言葉。相談者は、すでに多くの良本を持っており上手く使いこなしていなかったことに対して、福山は「この子が知るべきなのは参考書の愛し方だ」と言う。そして、福山は柄にもなく「最初はマッチングアプリ的感覚でとっかえひっかえでも構わない。でも最終的にだいたいの人間は、一人を選んで一生ものにする。参考書との付き合い方は恋愛と同じだ」と言った。さらに、書店はデートの場であり参考書について「愛し続けた結果としてその一冊が運命になるんだ」と例えたことで、うるしと相談者を納得させる。うるしは、福山が恋愛を例え話に持ち出したことに驚いて茶化すが、福山から「黙って聞け」と叱られる。

福山「基本的な勉強は積み重ねたほうがいい。それは勉強がこの社会で人が自信をもって生きていくために重要だからです」

うるしの姉・望月あかねが娘の勉強について相談した際の福山の言葉。うるしが休日に実家に帰省した時、あかねは娘・ゆかりの参考書選びにうるしに付き合ってもらう。うるしは福山から学んだ知識をもとに、本屋でゆかりに合うような漢字ドリルを選ぶも、ゆかりの反応はいまいち。後日、福山にゆかりの漢字ドリルの話をすると、参考書の選択は問題ないとの答えだったが福山は「問題は別にある」と言い、今からあかねに電話をするように求める。福山は電話であかねと話す中で、参考書への興味以前に読むための基礎ができていないのではと指摘する。福山は、勉強のスタートラインは漢字力、語彙力、さらに読解力が重要であることを説明する。そして、福山は「基本的な勉強は積み重ねたほうがいい。それは勉強がこの社会で人が自信をもって生きていくために重要だからです」とあかねに伝える。福山の話を聞いたあかねは、うるしが福山に憧れる意味を納得する。

うるし「どこに生まれてどう育ったかだけじゃなくて、参考書で独学受験して自分で積み重ねてきたもの全部がきっと大切なんです」

福山の過去を知ったうるしが福山にかけた言葉。新入社員の宮下七海が福山に好意と憧れを抱いていることに対して、福山は「あいつは育ちもいいし、元々頭もいい。別世界の人間だ」とうるしに話す。福山の哀しげな表情を見たうるしは、福山を休憩がてら屋上に誘う。その際、福山の過去の話を聞くと、ぼんやりした冴えない子供で勉強もできず家庭の経済状況も良くなかったことを知る。周りの恵まれていた同級生にいまだに劣等感を感じていた福山に対して、うるしは今の福山は素敵だと伝え、「どこに生まれてどう育ったかだけじゃなくて、参考書で独学受験して自分で積み重ねてきたもの全部がきっと大切なんです」と言った。うるしの言葉に救われたかのように表情が柔らかくなる福山は、「しをり会」に顔を出すとこを決意する。

福山「最後まで参考書はあなたの味方ということです」

子どもの勉強に悩むシングルマザーに対しての福山の言葉。あるシングルマザーが、生活の余裕のなさと小学4年生の子どもの将来の不安から、居ても立っても居られなくなり「お客様ご相談係」のSNSに相談する。母親自身、これまで全く勉強をせず大人になったら数学も歴史も必要ないと思っていたため、実際子どもに勉強を教えられず困っている。さらに、子どもも「勉強なんて意味ないよ」と昔の自分と同じことを言うようになり母親は頭を抱える。福山は、勉強をする目的は、将来より生きやすくなるために壁を乗り越える力を身につけることだと教える。そして、福山はシングルマザーに対して「最後まで参考書はあなたの味方ということです」と言った。

福山「経験に甘んじている奴らを参考書の力で叩きのめせ」

福山が、文章の書き方で悩む兄妹に対してかけた言葉。うるしが会社の昼休みにファーストフード店に入ると、兄妹が口論をしているのを目撃する。文章力を上げたい妹の相談に対して、兄は「文章なんて適当に書いておけばいい」と投げやりに言う。うるしは、書店に向かう兄妹の跡をつけると、書店には昼休みに訪れた福山がおり状況を説明する。福山は、兄妹に小論文の参考書を提案する。福山の話に真剣に耳を傾ける妹に対して、兄は「人生の経験値が低いのに小論文なんて書けない」と意地を張る。福山は、兄に対して「参考書で書き方の技術を身につけて、知識を積め」と伝える。 そして、「経験に甘んじている奴らを参考書の力で叩きのめせ」と言った。

柊編集局長「これが解りたいと、みんなが憧れて買い求めてしまうような本を生み出したいんだよ」

「しをり会」にベストセラー本を出すことを課した柊編集局長の言葉。急遽、地方出張を命じられたうるしと福山は現地で待ち構えていた柊編集局長と会う。地方の書店の問題を解決しようと書店員と話す福山だったが、柊編集局長は今後、地方営業は必要ないと提言する。理由は、参考書のマーケットは首都圏が圧倒的に大きいというものだった。柊編集局長は、いぶき社は首都圏の高偏差値レベルに特化していくべきだと考えていた。その中で、柊編集局長は「これが解りたいと、みんなが憧れて買い求めてしまうような本を生み出したいんだよ」とうるしと福山に言った。さすがの福山も柊編集局長の正論に何の言葉を返せない。

『ガクサン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

福山からの評価は低いが良本もそろっているいぶき社の参考書

作中では、いぶき社の参考書は福山にこき下ろされてあまり出てこないが、中堅出版社であるだけあって、それなりに良本が揃っている。福山は時と場合によって、いぶき社の参考書を薦めることもある。参考書の一例として、『EVA BOOKS 国語要点問題集』や『英単語 タンコブ』などがある。いぶき社の参考書は全て架空の参考書。

雑誌にも特集される程に大正レトロな外観のいぶき社

神保町にある創業70年の中堅出版社。建物は築50年の大正っぽいレトロな外観で、屋上にはベンチと喫煙所がある。1階は受付と会議室、2階は営業部と総務部、3階は高校編集部、4階は小中編集部、5階は会議室と社長室がある。うるしと福山がいる「お客様ご相談室」は2階にある。また、創業時に作られたレリーフが残っている。『神保町あるき』という雑誌にも載っている。

巻末の『オマケ漫画』で描かれたうるしの1日

4巻の巻末にオマケ漫画として、うるしの1日が紹介されている。まず、朝はスヌーズ5回でようやく起きる。午前は落丁乱丁や誤植対応など普通の業務を行う。昼はコンビニで買ったおにぎりやカップ麺、お菓子を食べる。お弁当を作るのは月に2回ほど。午後は普通の業務とご相談対応、福山の餌付けを行う。そして、夜はかわいい系の酎ハイを買って晩酌する。

福山の甘い物好きの設定

ryuji04188
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@ryuji04188

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