ガクサン(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ガクサン』とは2021年12月より佐原実波が『モーニング』で連載を開始し、移籍後『コミックDAYS』で連載している、学習参考書をテーマにした漫画作品である。参考書出版社に中途入社した茅野うるし。お客様ご相談係に配属され出会ったのは、クセが強い参考書オタクの福山だった。福山は社会人として問題ばかりだが参考書の知識は豊富で、うるしは振り回されながらも刺激を受ける。そんな中、うるしは福山の過去を知ることとなる。実在の参考書が紹介されることで学生や保護者、学び直しを目指す社会人からも好評を得ている。
名著やおすすめの本などを買い込んで結局読まないまま積み重ねている状態のこと。うるしが良くすることから普段からよく使う言葉。福山は、うるしが積読をすることが理解できない。
新課程
新課程とは、新学習指導要領で行われる授業のことで学習指導要領は国が定めた教育内容で、デジタル化やグローバル化など世の中の変化を受けてほぼ10年で改訂している。最近の改訂としては、2002年から2003年の間で「生きる力」の育成ということで高校に「情報科」の新設が行われた。2011年から2013年の間で小5・6年に「外国語活動」の新設が行われた。2020年から2022年の間で主体的、対話的で深い学びが必要とされプログラミング教育が開始された。3巻で福山は書店店員の梅屋敷に新課程について教える。
改訂
学習参考書の改訂は、学習指導要領の改訂等にともなう内容の変更を指す。普通の本はあまり改訂はせず、版を少し変えて刷り直す重版を行う。学校で使用している教科書はおよそ10年に一度改訂されるので、学習参考書も合わせて改訂していく。
認知特性
人それぞれの思考や記憶方法の傾向をいう。外部からの情報を理解・整理・記憶・表現する方法の得意不得意のことで、文章を読んで理解する言語優位、音声を聴いて理解する聴覚優位、絵を見て理解する視覚優位がある。谷津司の娘・葵が動画で勉強していることを福山に相談したことで、「認知特性」の視覚優位の勉強方法が娘に合っていることに気づく。
学習障害
学習障害は、Learning Differences (LD)と呼ばれ特異的な発達障害のひとつ。学習障害の中に、読字障害(読みの困難)、書字表出障害(書きの困難)、算数障害(算数、推論の困難)がある。ご相談係に届いた、小学2年生でいまだひらがなしか読めないという相談に対してうるしがドリルを勧めた際、福山は学習障害の可能性を考え無責任な回答をするなと叱責する。
学力の3要素
現代における学力の3要素として、「知識・技能」、「主体性・多様性・協働性」、「思考力・判断力・表現力」がある。新しい時代に必要な資質や能力を育てるという意味合いで、大学入試でも評価するためにセンター試験に代わって共通テストが開始された。さらに、新学習指導要領をベースに追加の入試改革が2024年度から行われる。福山が「しをり会」で皆に説明する。
教える勉強法
問題集を使った一問一答型のアウトプットのように聞かれたことにしか答えを出すのではなく、なぜその答えになるのかまで説明する勉強法。より広範囲の情報をアウトプットできる。普通は目の前にいる人に説明する勉強法だが、模範解答や解説の音読をすることで一人でもできる。宮下七海が東大の受験勉強でやっていた勉強法。
社内横断企画室
「しをり会」のリーダー・花山しをりが提案する新たな部署。社内の部署間で連携が取れていないため、柔軟な企画を編集部の習慣にとらわれずに作っていける部署の立ち上げを目指す。「しをり会」の中では、他部署と協働して各部署のハブになるようなイメージがある。企画書を提出するも柊編集局長にビジョンを認めてもらえず、ロングセラーを1冊作り出すことが「社内横断企画室」を発足できる条件となる。
『ガクサン』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
福山「大学受験では、湯水のようにリソースを与えられた子と同じ土俵で戦わなければならない。それでも、だ。希望はあった。それが参考書だ」
お客様ご相談係に、「お金がないので参考書で難関大受験は出来ますか」という相談が届く。うるしはさすがに出来ないと答えようとするが、福山は黙って部屋を出ていく。福山と入れ違いに部屋に入ってきた山崎から、福山が参考書だけで大学受験に合格したことを聞く。うるしは知らずに失言をしたと思い、甘い物を手に福山に謝罪をする。すると、福山は「参考書での独学受験は誰にでも可能だ」と言い、自分の育った環境、教育格差の中で参考書が唯一の希望だったことを思い出しながら、「大学受験では、湯水のようにリソースを与えられた子と同じ土俵で戦わなければならない。それでも、だ。希望はあった。それが参考書だ」と言った。
福山「最初はマッチングアプリ的感覚でとっかえひっかえでも構わない。でも最終的にだいたいの人間は、一人を選んで一生ものにする。参考書との付き合い方は恋愛と同じだ」
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目次 - Contents
- 『ガクサン』の概要
- 『ガクサン』のあらすじ・ストーリー
- うるしと福山の出会い
- うるしの「しをり会」加入
- 福山の気持ちの変化
- 福山の「しをり会」加入と解雇の危機
- 『ガクサン』の登場人物・キャラクター
- 主要人物 (いぶき社 お客様ご相談係)
- 茅野うるし(かやのうるし)
- 福山譲(ふくやまじょう)
- いぶき社 しをり会メンバー
- 山崎翔(やまざきしょう)
- 花山しをり(はなやましをり)
- 谷津司(やづつかさ)
- 赤城みお(あかぎみお)
- 川口吾郎(かわぐちごろう)
- 宮下七海(みやしたななみ)
- いぶき社 役員
- 柊編集局長(ひいらぎ編集局長)
- うるしの親族
- 望月あかね(もちづきあかね)
- 望月ゆかり(もちづきゆかり)
- その他の人物
- 谷津葵(やづあおい)
- 梅屋敷 /梅ちゃん(うめやしき)
- 鷺沼桃 /モモ(さぎぬまもも)
- 若山(わかやま)
- 早瀬(はやせ)
- レン
- 『ガクサン』の用語
- ガクサン
- いぶき社
- お客様ご相談係
- しをり会
- 編集部
- 制作部
- はじめに
- 潰す
- 積読 (つんどく)
- 新課程
- 改訂
- 認知特性
- 学習障害
- 学力の3要素
- 教える勉強法
- 社内横断企画室
- 『ガクサン』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 福山「大学受験では、湯水のようにリソースを与えられた子と同じ土俵で戦わなければならない。それでも、だ。希望はあった。それが参考書だ」
- 福山「最初はマッチングアプリ的感覚でとっかえひっかえでも構わない。でも最終的にだいたいの人間は、一人を選んで一生ものにする。参考書との付き合い方は恋愛と同じだ」
- 福山「基本的な勉強は積み重ねたほうがいい。それは勉強がこの社会で人が自信をもって生きていくために重要だからです」
- うるし「どこに生まれてどう育ったかだけじゃなくて、参考書で独学受験して自分で積み重ねてきたもの全部がきっと大切なんです」
- 福山「最後まで参考書はあなたの味方ということです」
- 福山「経験に甘んじている奴らを参考書の力で叩きのめせ」
- 柊編集局長「これが解りたいと、みんなが憧れて買い求めてしまうような本を生み出したいんだよ」
- 『ガクサン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 福山からの評価は低いが良本もそろっているいぶき社の参考書
- 雑誌にも特集される程に大正レトロな外観のいぶき社
- 巻末の『オマケ漫画』で描かれたうるしの1日
- 福山の甘い物好きの設定
- 作者の希望で虹色になった本のカバーとカバー裏の遊び心