里見☆八犬伝(REBOOT)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『里見☆八犬伝』とは『月刊少年ガンガン』にて連載された、よしむらなつきによる和風ファンタジー漫画作品。エニックスお家騒動により打ち切りという形で連載が終了したが、後に電子雑誌『近代漫画』にて『里見☆八犬伝REBOOT』がセルフリメイクとして連載された。室町時代の南総を舞台に、男として育てられた少女・犬塚信乃が父親から託された破邪の剣・村雨を持って妖怪退治の旅に出る。体に文字の痣を持つという犬士を仲間にし、妖鬼王・玉梓を倒して国を救おうとする物語である。

『里見☆八犬伝(REBOOT)』の概要

『里見☆八犬伝』とは、よしむらなつきによる室町時代を舞台にした和風ファンタジー漫画作品。
『月刊少年ガンガン』の1997年24号より『里見☆八犬伝』のタイトルで連載が開始され、単行本は全6巻が発刊された。原作者であるよしむらなつきが2001年に発生した編集者の独立問題「エニックスお家騒動」に巻き込まれ、エニックスからマックガーデンに移籍したことで打ち切りという形で連載が終了してしまった。
その後、マックガーデンが発刊した『コミックブレイドMASAMUNE』にて『新装 里見☆八犬伝』というタイトルで連載を開始するも全5話で連載が終了。単行本化はされず、「第六回JコミFANディング」にて特典として原稿がPDF化されただけである。以降は、個人のブログやSNSにて本作のイラストを掲載したりLINEスタンプを販売するという活動に留まっていた。
2015年に竹書房から本作のリメイク連載のオファーがあったことで、auブックパス内の電子書籍『近代漫画』のVol.13より『里見☆八犬伝REBOOT』のタイトルで連載をスタートする。『近代漫画』がVol.41で休刊となった為、2017年10月6日からは同じauブックパス内の電子書籍『連載マンガ先読みっ!!』に移籍し、2023年1月27日に完結し、単行本は全13巻が発刊された。1か月遅れという形でウェブコミック配信サイト『WEBコミックガンマ』でも連載されていた。

本作は、江戸時代の読本作家・曲亭馬琴の長編小説『南総里見八犬伝』をベースに、よしむらなつきが得意とする和風ファンタジー要素を取り入れた独特の世界感が特徴。登場人物や設定の多くは『南総里見八犬伝』から取り入れられているが、人間と妖怪の戦いや冒険、主人公の犬塚信乃が女である点などのオリジナル要素が強い作品である。
『里見☆八犬伝』は連載が少年誌であった為ギャグ要素が多かったが、『里見☆八犬伝REBOOT』は青年誌での連載ということもあり性描写や残酷描写が多くなっている。また作者本人によるセルフリメイクである為、キャラのデザインや細かな設定に変更はあるものの、ストーリーやキャラ設定などの大筋は変更されていない。
『里見☆八犬伝』時代は全てアナログでの作業だった為アシスタントを数名雇って連載していたが、『里見☆八犬伝REBOOT』では全ての作業をデジタル化したことで基本1人での執筆となっている。

物語の舞台は室町時代の南総。この地には人間と妖怪という2つの種族が存在し、人間を守る女神・伏姫(ふせひめ)と妖怪を束ねる妖鬼王(ようきおう)・玉梓(たまずさ)という2人の神が均衡を保っていた。ある時を境に妖怪達の動きが活発になり、人間達を襲い始める。
左腕に「孝」の字の痣を持つ少女・犬塚信乃(いぬづか しの)は、ある日父親である番作(ばんさく)から破邪の剣・村雨(むらさめ)という大剣を受け継ぎ旅に出た。信乃は伏姫の啓示を受けた八犬士(はっけんし)の1人であり、旅の途中で出会う文字の痣を体に持つ個性豊かな仲間と共に玉梓を倒して平和を取り戻す為に突き進む。

『里見☆八犬伝(REBOOT)』のあらすじ・ストーリー

里見☆八犬伝

妖怪退治の旅

破邪の剣・村雨が、安房の国の結城城にあるという情報を掴んだ妖怪軍は、鬼の船虫(ふなむし)をリーダーに大群を編成して押し寄せた。主人公・犬塚信乃(いぬづか しの)は父親の犬塚番作(いぬづか ばんさく)と共に城に仕え村雨を守っていたが、妖怪軍の襲来に勝機がないと見て村雨を持って城から脱出。
船虫がそれに気付いて追ってくるが、犬川荘助(いぬかわ そうすけ)と名乗る青年に助けられ、窮地を脱した。荘助は信乃を「国を救う仲間」だと呼び、2人は妖怪軍と戦う旅に出た。

道中で船虫の部下である網乾(あぼし)と亀篠(かめざさ)に襲われ、信乃の許嫁・犬山浜路(いぬやま はまじ)が妖怪軍の王・玉梓(たまずさ)によって誘拐された。その直後、安房の国を守る女神・伏姫(ふせひめ)が現れて信乃や荘助が体に文字の痣を持つ8人の勇者「八犬士(はっけんし)」であること、力を合わせて玉梓を倒して国に平和をもたらさねばならないことを告げる。信乃は荘助と浜路の兄で八犬士の1人・犬山道節(いぬやま どうせつ)を仲間に引き入れ、残りの犬士を探す旅を続ける。

その後、信乃達は妖怪軍の妨害に遭いながらも、捕り方の犬飼現八(いぬかい げんぱち)、怪力の持ち主・犬田小文吾(いぬた こぶんご)とその妹の沼藺(ぬい)の子供・犬江親兵衛(いぬえ しんべえ)、絶世の女形(おんながた)・犬坂毛野(いぬざか けの)、巫術師(ふじゅつし)の犬村大角(いぬむら だいかく)と出会う。
8人は玉梓が根城にしている館山城に最も近い稲村城へ向かい、城主・里見義道(さとみ よしみち)の協力を得ることに成功。その後も船虫達による妨害は続くが、信乃達は1人も欠けることなく旅を続ける。

ある日、1度でも邪心を持つと吸い込まれる壺に、荘助以外の犬士がが吸い込まれてしまった。仲間を助ける為に壺を破壊しようと様々な方法を試すが、何をしても割ることができない。途方に暮れていると、長髪の男性が現れて壺にヒビを入れることに協力してくれた。男性は荘助の前から姿を消すが、彼こそが八犬士が倒すべき相手・玉梓であった。
後日、信乃達は互いの幼少期について話し始める。荘助が祖母と2人暮らしをしていたことを知り、決戦前に荘助の実家を訪ねた。荘助と祖母は血縁関係でないことが明かされるが、祖母は信乃に「この先何があったとしても荘助を信じてやってください」と声をかけるのだった。

荘助の秘密

一方、妹の浜路を助ける為に別行動をしていた道節は、異次元空間で囚われていた妹を発見するが、罠にかかり捕らえられてしまう。道節が姿を現さなくなったことを不審に思い、信乃達は道節を探し、同じく彼を探すくノ一・曳手(ひくて)、単節(ひとよ)と出会う。
突然、玉梓の妖術に操られていた道節が出現し、信乃達に攻撃をしかけてきた。道節の邪気を払う為、村雨を抜いて立ち向かおうとする信乃だったが、道節の特殊な忍術で荘助と共に拘束されてしまう。その時、荘助が突如妖怪のような姿となった。村雨は信乃ですら制御できないほどの力で、引き寄せられるように荘助を斬ろうとするが、道節が身を挺して荘助を庇う。彼に憑依していた玉梓が剥がれ、道節は正気を取り戻した。

荘助はいつもの姿に戻るが、信乃達はこれがただの妖怪退治ではないことを悟る。伏姫を呼んで詳しい話を聞くと、荘助が玉梓が生み出した妖怪軍の戦力だったことや伏姫が霊力を使って荘助の妖力を封じ、人間の子として生まれ変わらせたことを知る。荘助の封印が解けた時の保険として村雨を作り出し、自分の子供・信乃に託した。さらに犬士達全員が全国各地から集められた孤児で、一時的に伏姫によって育てられていた兄弟だと明かされた。
伏姫は決戦の前に犬士達を各々養子に預け、その後相討ちという形で玉梓を封印したが、玉梓は少しずつ力を蓄え復活を果たす。それに気付いた伏姫は、犬士達を集結させて玉梓を倒そうとしていたのだった。
信乃達は自分の過去や使命を知り驚くが、伏姫に協力することを誓い、改めて妖怪軍の本拠地・館山城へ向かおうとする。しかし、荘助だけは自分の正体に不安を感じ、仲間の前から姿を消した。葛藤する荘助を追いかけて来た信乃は「その時は私が荘助を止めてみせる」と励まし、荘助は再び犬士として妖怪と戦うことを決意。仲間と合流して館山城へ歩みを進めるのだった。

里見☆八犬伝REBOOT

波乱の旅立ち

結城城で信乃は父親と共に、破邪の剣・村雨を守っていた。しかし妖怪軍が村雨を奪いに現れ、窮地に追い込まれた番作は、村雨を信乃に託して城から逃げるように指示。
信乃は城外まで逃げるが、妖怪軍で指揮を執っていた船虫に発見されピンチを迎える。すると、南総の守り神・伏姫から啓示を受けた青年・荘助が現れ、信乃を救出して逃げ切ることに成功。彼は信乃の仲間で、伏姫から犬士として国を守る勇者だと話す。信乃も彼と同じ夢を度々見ていた為、その言葉を信じ仲間探しの旅に出かける決意をする。
その矢先、船虫から村雨奪取の命令を受けた亀篠が信乃達の前に現れ、2人に気付かれないよう、村雨を偽物とすり替えた。

亀篠との戦いの後で休息をとっていると、信乃の許嫁・浜路が現れて旅の同行を申し出る。信乃はそれを断り自宅に帰すが、帰路に就く浜路の前に網乾が現れた。本物の村雨を携えていることに気付いた浜路は、それを取り返そうと立ち向かう。浜路は網乾の攻撃を受けて倒れ込むが、道節に救われた。彼は妖怪に殺された両親の仇打ちのために旅を続けていた、浜路の実兄だった。そして網乾こそ、2人の両親を殺した張本人だったのだ。
戦いの末、道節は網乾が持っていた村雨を使って相手を倒すが、一瞬の隙を突かれて浜路を殺害されてしまう。道節が自らの術で浜路を火葬しているところへ、信乃達が現れた。互いに体に文字の痣を持つ犬士だと知った3人だが、道節は「おまえらと協力するつもりは無い」と言って村雨を持ったまま消えてしまう。大事な許嫁を殺され、村雨も取り返すことができなかった信乃は落ち込むが、荘助に励まされて元気を取り戻し、新たな仲間を探す為に結城城と同盟を結んでいた古賀城を目指す。

八犬士集結

城下町にやって来た信乃達は城主・足利成氏(あしかが なりうじ)に会いに行く。そこには、人間に化けていた船虫がおり、城下町で捕り方として腕の立つ青年・現八に声をかけて信乃達を始末しようとする。信乃は、現八の右頬に「信」の文字があることに気が付き、説得して仲間に引き入れようとするが、戦いの最中に2人とも川に落ちて流されてしまう。
町から離れた川岸へと辿り着いた2人の前に、巨大な鬼が現れた。襲い掛かろうとした鬼は、どこからともなく現れた小さな子供に蹴飛ばされて気を失うと、現八の幼馴染み・小文吾の姿に戻った。彼の臀部には「悌」の文字があり、信乃は5人目の犬士を見つけるのだった。
その後、小文吾の経営する宿屋「古那屋」がある行徳へ向かい、現八と小文吾に荘助救出に協力するよう頼む。困っている人を放っておけない性格の2人は、その話を聞いて荘助救出を引き受けた。

一方、荘助は亀篠に捕らえられ、城の地下牢に幽閉されていた。口を割らない荘助に業を煮やした亀篠は処刑を実行しようとしていた。そこへ信乃達が駆け付け、荘助は救出される。

しかし、亀篠に操られた兵士達が逃亡を妨害しようとした為、小文吾は無意識のうちに鬼の力を発動して暴れ出した。現八はなんとか抑え込もうとするが、勝負が着かない。
そこへ伏姫が姿を現し、亀篠を一瞬にして倒すと、理性を失っている小文吾を拘束。
彼の中の邪悪を払おうとした時、玉梓が現れて伏姫を連れ去ろうとした。強大な力に囚われた伏姫は、力を振り絞って死亡した親兵衛を蘇生させると姿を消した。
その後、鬼化した小文吾に殺された親兵衛の腹に「仁」の文字が浮かび、息を吹き返えすと、小文吾を一瞬で倒した。力を失った小文吾は元の姿に戻った。

一方、大群を引き連れ町を襲っていた船虫はは、信乃と瓜二つである小文吾の妹・犬江沼藺(いぬえ ぬい)と対峙していた。船虫は沼藺の変装を見破り攻撃するが、旅芸人の女優・旦毛野(あさけの)が姿を現し、次々に妖怪達を倒していった。あまりの強さに分が悪くなった船虫は、攻撃を止めて撤退する。
毛野は行徳の芝居小屋に滞在して舞台を披露していた。小文吾はその姿を一目見ようと信乃を連れて芝居小屋へ向かう。信乃は毛野が両親の仇を追っていること、毛野の妹分の双子のくノ一・曳手と単節が犬山家に仕える忍者で、行方不明の道節を探していることを知った。その後、毛野は信乃を町へ連れ出し、信乃の正体が女性であることを言い当て、自分も実は男であること、命を守るために女として育てられたこと、家督を巡る一族の争いや、実は玉梓に作られた妖怪だった自分の護衛・馬加との確執について語った。
信乃は仲間として迎え入れようとするが、毛野は馬加への復讐以外に興味はないと断り消えてしまう。毛野はその後、馬加と接触して過去の未練を断ち切る為に戦い、勝利する。小文吾の説得もあり、毛野は犬士の一員として信乃達の旅に同行するのだった。

同じ頃、現八は妖怪が住んでいるという庚申山を訪れ、妖怪に襲われる1人の男性を助けた。妖怪や犬士の情報を聞き出そうと犬士の名前を出した途端、男性に襲われる。彼は山に住む巫術師・犬村大角で、船虫に妖術をかけられて犬士は敵だと思い込まされていた。大角の妻・犬村雛衣(いぬむら ひなぎぬ)と共に、彼を元に戻すため、現八は船虫と戦い、雛衣の中に封印されていた大角の犬士としての力を解放することに成功。しかし、雛衣の体は消滅してしまう。妻を失った悲しみに暮れながらも、大角は犬士として協力することを約束した。

村雨を持ったまま単独行動をしていた道節は、玉梓の居城に辿り着いていた。村雨で玉梓に斬りかかるが、死んだはずの浜路の姿をした少女・睦月(むつき)に攻撃を遮られた。
隙をつかれて睦月に刺し殺された道節は、妖術で操られ、睦月の命令に従うだけの傀儡に成りはてた。
行徳の町へ赴いた睦月は、道節や下級妖怪・烏天狗の大群を操って襲いかかる。操られている亡骸だと判っていても、信乃はどうしても道節を斬れない。そこへ現八と大角が救援に駆け付け、捕らえていた船虫の命と引き換えに道節体を解放するという交換条件を提案した。船虫を失うことは妖怪軍とって不利益でしかなかった為、睦月は渋々その条件をのんで道節を解放した。
大角が持つ半魂(はんこん)の術で信乃の魂を半分分け与え、道節の蘇生に成功。さらに、毛野と小文吾も合流して遂に8人の犬士が集結する。村雨も奪われて分が悪くなった妖怪軍は、瀕死状態の船虫を連れて撤退した。

玉梓との対決

行徳の近くにある森の奥にある妖怪達が住む世界と繋がる底なし沼を通って、玉梓の居城に到着した一行。しかし、気付かないうちに信乃と荘助以外は罠にはまり捕まっていた。仲間を人質にとられた2人は身動きが取れなかったが、幽閉されている伏姫から「民の祈りがそのまま力になる。今こそ私の復活を祈って」という声が届く。信乃達が伏姫の復活を心から願うと、伏姫は信乃達の前に姿を現した。
1度は船虫に首を斬り落とされたものの「人間の信仰心がなくならない限り死ぬことはない」と言いすぐに復活。犬士達に力を与えて助けると、玉梓と船虫を圧倒した。しかし、荘助の体が妖怪へと変化。伏姫は「荘助には玉梓の良心が宿っている」と説明し、過去の話を犬士達に聞かせる。

はるか昔、地上に人間と妖怪が生まれ、同時に光の神・伏姫と闇の神・玉梓も誕生した。2人は互いに戦い合い、滅びては蘇生を繰り返しながら世界の均衡を守っていた。
しかし、力を持て余した玉梓が巨大な8頭の大蛇を殺める。伏姫は自分に仕える船虫と共に大蛇を手厚く弔うと、その亡骸から大輪の牡丹が咲き、8匹の子犬が誕生した。伏姫は子犬達に「仁義礼智忠信孝悌」という己が信じる道を意味する文字を与えて、大切に育てることにした。
それから幾年後、再び戦うことになった2人だったが、玉梓は「今回は趣向を変えて互いに役を入れ替えて戦い合う」と言いながら互いの魂を入れ替えた。この事実に気づいたのは並外れた霊力を持つ船虫だけであり、人間達は伏姫の姿をした玉梓を光の神として認知した。船虫は玉梓の姿をした伏姫から事情を聞き、自身の体を妖怪に変えてもらい、傍にいることを約束した。
伏姫の中身が玉梓だとは知らない民達は、熱心な信仰心を捧げ続け、八犬士を誕生させる。玉梓として妖怪達を統べ、愛している人間達と戦わなくてはならない状況に伏姫は心を痛めていたが、玉梓によって良心を抜き取られると、人が変わったように人間達の血肉を喰らう無慈悲な妖怪の王となった。
戦いを繰り広げた2人は相討ちとなるが、僅かに力が残っていた玉梓が伏姫を胎内に封印。この時、玉梓には奪われたはずの良心が自然と芽生え始めており、少しずつ世界に歪みが生じ始めた。玉梓の良心は胎児だった荘助の体に宿り、輪廻転生を繰り返しながらそれを持ち続けていたのだ。

自分達が倒そうとしている玉梓こそ、本来守るべき伏姫だと知った犬士達は衝撃を受ける。突然、信乃が「ふざけるな」と声を張り上げた。その言葉に士気を取り戻した仲間達は、全員で伏姫を攻撃するが倒せない。絶体絶命のピンチに、荘助は「男らしくないが逃げて伏姫の弱点を見つけてこい」と信乃に声をかける。いつものように「私は女だ」と叫んだ信乃だったが、常に感じていた違和感の答えに辿り着く。
彼女は周囲に男として見られていたが、それは伏姫の力によるものだった。しかしその力が弱まり、信乃が自分を女だと確信。仲間達も信乃を女として認識し、村雨も伏姫を倒すべき相手と認知する。
船虫も犬士達に協力して戦うが、それでも玉梓の力は強大だった。信乃は荘助から玉梓の良心の力を譲り受け、地上へ逃げようとする玉梓を追いかけるが、力及ばず突き落とされてしまう。それを救ったのは仲間である犬士達の絆であった。元は1つの体から生まれた彼らは、その力を全て信乃に集め、遂に玉梓を倒したのだ。
しかし玉梓は死を恐れ、これまで自分が作ってきた別次元の世界に逃げ込み生き延びようとする。玉梓が別次元世界へ逃げたことを知った信乃は、全ての次元で玉梓を倒して完全に消滅させることを決意。自分の残りの魂を7等分して仲間に分け与えて生き返らせると、精神体となって別次元に存在する自分と同化する。
途方もない戦いを続けた信乃は、全ての次元で玉梓を倒し終えると、帰る世界を失い1人彷徨う。そんな信乃を待っていたのは、元の世界と精神世界を繋ぐ糸となる為に待ち続けていた浜路だった。こうして信乃は無事に元の世界に帰還し、仲間達と再会を果たすのだった。

『里見☆八犬伝(REBOOT)』の登場人物・キャラクター

八犬士

犬塚 信乃(いぬづか しの)

ドラマCD版CV:根谷美智子
本作の主人公。
左の二の腕に「孝」の文字を持つ犬士。妖怪に対抗しうる破邪の剣「村雨」を託された剣士。
結城城に仕える番作の娘であるが、息子を欲していた両親によって男と育てられた為に周囲から男だと思われている。男と認識されると「私は女だ」と反論する癖がある。信乃が男として認識される理由は伏姫の神通力によるもので、邪気を払う力が人一倍強い毛野だけが信乃の本当の性別を認知していた。
浜路とは親同士が決めた許嫁という関係であるが、実の妹のように可愛がっている。活発で勇敢な性格で人から好かれる不思議な魅力がある。幼い頃から武芸ばかり習わされていたこともあり女性らしい格好や習い事に憧れているが、料理などの腕前は壊滅的に悪い。
REBOOTでは死の淵にいる道節を助ける為、自分の魂の半分を何のためらいもなく差し出すなどの豪快さをみせる。また、玉梓の存在を完全に消滅させる為にあらゆる時空を飛び、その都度違う人生を歩むことになる。
全ての時空で玉梓を倒した後、帰る世界を全て失い時空を彷徨うが、魂だけの存在となった浜路と巡り合ったことで元の世界へと無事帰還する。

犬川 荘助(いぬかわ そうすけ)

ドラマCD版CV:草尾毅
背中に「義」の文字を持つ犬士。伏姫の啓示を受けて結城城でピンチに陥った信乃を助け、最初の仲間となる。
正義感が強く、人並み外れた生命力の持ち主で打たれ強い。槍の使い手で妖怪をも寄せ付けない実力の持ち主。野宿中に誤って川に落ちてしまう程寝相が悪い。また、お尋ね者として追われることになった際、役人を欺こうと女装したことがきっかけで女装の趣味に目覚めてしまう。
人間として生きているが、実は玉梓が妖怪軍の新たな戦力として生み出した存在で玉梓の子供である。信乃に命の危険が迫った際に覚醒して妖怪の姿に戻り窮地を脱したが、すぐに正気を取り戻して人間の姿に戻った。
REBOOTでは様々な場面で信乃を励まし勇気付ける兄貴的な存在であり、馬鹿にされながらも仲間から厚い信頼を得ている。また、体の中に玉梓の良心が宿っており、妖怪の姿に変身することができる。

犬山 道節(いぬやま どうせつ)

ドラマCD版CV:堀内賢雄
左胸に「忠」の文字を持つ犬士。赤いマスクとマントを身に付けた忍者。
無口でクールな性格だが、妹である浜路のことになると周りが見えなくなる程のシスコン。体のほとんどがメカに改造されており、胸からミサイルを飛ばしたり小型のロボを発進させたりすることができる。また、亜空間を移動できる術を身に付けている為、影から影へ自在に移動できる他、右肩には「火遁一号」という強力な大砲型の武器も備えている。
誘拐された浜路の行方探す為に信乃達とは別れて単独行動をしているが、信乃達が呼べばどこへでも駆けつける。
REBOOTでは犬山家の長男として生まれ、両親の仇である網乾を追って1人で旅に出ていた。玉梓の居城へと続く沼に辿り着くもそこで両手足をもぎ取られ、偶然出会った技師によって義手と義足を与えられて生還をはたす。
浜路の姿をした睦月に刺されて一度死亡し、玉梓の妖術で生きる屍として操られるようになり信乃達を襲った。その後、妖術が解かれ再び死亡するも、大角の術で信乃の魂を半分分け与え蘇生する。信乃の行動に恩を感じ、以降は仲間として信乃達に同行した。

犬飼 現八(いぬかい げんぱち)

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