ICO(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ICO(イコ)』は2001年12月にソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたアクションアドベンチャーゲーム。PlayStation 2用ゲームで、廉価版やPlayStation 3用のHDリマスター版も発売されている。
頭から角の生えた少年イコを操作し、囚われの少女ヨルダとともに様々な仕掛けを解きながら霧の古城から脱出する。
謎解き要素やパズル部分が独特で一筋縄ではいかない部分が謎解き好きに評価が高い。また美しい風景や独特な音楽などが独自の世界観を醸し出している。

ヨルダは崩壊する城へ戻り、ゲームはエンディングテーマの「you were there」が流れスタッフロールとイコとヨルダが今までに歩んできたシーンが流れる。
エンディングが終わると浜辺のシーンに変わる。イコが乗せられた船が浜辺に漂着しており、その中で気を失っている。イコが船の中で目を覚まし浜辺を歩き回ると、真っ白な姿に戻ったヨルダが流れ着いているのを発見する。イコがヨルダに近づくとヨルダも目を覚まし、最後に一言ヨルダの声が流れ(字幕がないので何を言っているのかはわからない演出になっている)、黒い画面におわりという文字が現れたところでゲームは終わる。

『ICO』のゲームシステム

表示されないHPなどのパラメータ

開発の段階から、ほかのビデオゲームと同じものではないものを目指すというコンセプトがあった。従来のビデオゲームには当然のものとして定着しているヒットポイントなどのパラメータや進むべき方向を示すアイコンなどは全くといっていいほど存在しておらず。ある意味ではユーザーにとって親切とは言えないゲーム設計になっている。

このゲームは基本的に各エリアに設置されている仕掛けやギミックをパズル的に解いていきながら古城からの脱出を目指していくが、そのギミックやパズルを解いていくヒントはほとんど皆無と言ってよく、すべてユーザー自ら考え抜くことで解いていかなければならない。それがユーザーがこのゲームに対して没入することを助けているとも言える。

戦闘とゲームオーバー

城の内部は仕掛けに富んでおり、高低差を利用したギミックも多い。イコが高いところから落ちてしまった場合ゲームオーバーになる。
また、敵キャラクターである「影」にヨルダが連れ去られてしまってもゲームオーバーとなる。
イコは敵から受けるダメージでゲームオーバーになることはないが、イコが敵に襲われている最中にヨルダが連れ去られてしまうため、助けることが出来ないとゲームオーバーになってしまう。
逆に様々な武器を用いて敵を倒すことも出来るが、経験値やアイテムなどを得ることはない。

「手をつなぐ」ことと「少女を呼ぶこと」

手をつなぐイコとヨルダ

このゲームを進めていくために特に重要なゲームシステムが「手をつなぐ」と「少女を呼ぶ」である。キャッチコピーにもなっている「この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから」という言葉にも「手をつなぐ」ことと「少女を呼ぶ」ことが重要であるとメーカー側が認識していることが窺える。

イコがヨルダに対して行うことができるのは基本的に「手をつなぐ」ことと「呼ぶ」ことだけで、複雑な行動を指示することはできない。向こう岸に行ってスイッチを押してからもう一回こっちに戻ってきて欲しいなどといった行動の指示は不可能である。そのためにはイコが自ら向こう岸に行きスイッチを押してからもう一度帰ってきてヨルダを「呼ぶ」必要がある。パズルや謎解き要素がメインのゲームのため、ヨルダを操作できないことに対してストレスを覚えることも多い。だが同時にヨルダを自分の力で脱出させているという感覚が強くなり、ヨルダとの絆も深く感じていくことになる。

また、ヨルダを一人で放置しイコだけで単独行動をして二人が離れすぎると、どこからともなく影が現れヨルダを連れ去ってしまう。二人は常に一緒に行動しなくてはならず、これはヨルダを守らなければならないというプレイヤーの感情移入を促す効果がある。

『ICO』の登場人物・キャラクター

イコ

CV:進藤一宏
本作の主人公の少年。13才。生まれつき頭から角が生えており、そのせいで村の掟に従い生贄として霧の古城へと連れてこられた。
石像に閉じ込められるも偶然起こった振動により石像から出てきてしまい、そこから霧の古城をさまよう中でヨルダと出会い、城からの脱出を目指していく。
角の生えた少年は普通よりも体が丈夫で、古城を進んでいく中でもかなり高いところから落ちたりしても大丈夫で、ヨルダよりも広い範囲を行動することができる。

偶然見つけたヨルダに対して、檻から解放してあげたり自分の命をかけてでも助け出そうとしたりと、非常に勇敢で心優しい少年であることが窺える。
名前をつけてしまうと単なるキャラクターになってしまうという制作チームの思いから、最初は名前が明かされないキャラクターになる予定だったが、先行発売された海外においてそのようなキャラクターは異例でいつのまにかゲームタイトルであるイコという名前が定着していった。

ヨルダ

CV:高橋理恵子
本作のヒロインの少女。年齢不詳だが、イコよりは背が高いため13才よりは年上である可能性が高い。
女王の娘で特別な力を持っており、道を阻む石像に近づくと強烈な光を放ちながら石像を動かすことができる。またその光で影達を追い払うこともできる。

イコとは話す言語が異なるため意思の疎通を取ることはできない。字幕には巷でヨルダ語と呼ばれる象形文字のようなものが表示されるが、日本語をローマ字に置き換えた後逆から読んだものを少し変化させたものになっており、一応翻訳が可能になっている。

女王

CV:渡辺美佐
霧の古城の主でヨルダの母。本作の最終ボス的存在。
寿命が長くないためヨルダを魂の器として古城を継がせようとしており、ヨルダを解放しようとするイコの行方を阻み続ける。
ヨルダとは対照的な真っ黒な靄のようなものを纏っており、突然姿を表したり消えたりするなどといった人間離れした挙動をすることができる。
イコの言葉もヨルダの言葉も話すことができ、お互いとコミュニケーションが取れる唯一の存在。

女王のしもべのような存在で、黒い煙のような姿をしている。形態は様々で、壁に這うようなものや空を飛べるものもいる。
地面に現れる巣のような黒い亜空間から出現し、そこにヨルダを連れ込もうとする。武器を使い攻撃すると霧のように霧散させることができる。

神官

ゲームの最序盤に登場する。イコを霧の古城へと連れてきた張本人たちで劇中では3人の姿が確認できる。

『ICO』のアイテム

keeper
keeper
@keeper

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