この世界の片隅にの料理・食事・食べ物・お菓子・飲み物まとめ

『この世界の片隅に』はこうの史代原作の漫画である。2007年から漫画雑誌『漫画アクション』で連載され、2008年には単行本も発売。テレビドラマやアニメ映画などメディアミックス作品も多数展開されている。広島から軍港の町・呉に嫁いだ浦野すず/北條すずが、第二次世界大戦のまっただ中でささやかな日常をしなやかに生きる姿を描く。すずの手料理には詳細なレシピが描かれているものもあり、当時の食生活をうかがい知ることができる。

叔父叔母の家にスイカを届けた浦野兄妹(右から要一、すず、すみ)

『大潮の頃(10年8月)』に登場。幼少期のある日、すずは妹のすみ、兄の要一(よういち)とともに、草津の叔父叔母の家へ遊びに行く。手土産に持って行ったスイカを食べ、大人たちの難しい話をよそに昼寝するすずたち。ふとすずが目を覚ますと、天井板が外れて汚い身なりの少女が降りてきた。縁側に残されたスイカの食べ残しをむさぼる少女のためにすずは新しいスイカをもらってくるが、戻ってくると少女の姿はなくなっていた。兄の要一は「座敷童じゃないか」と言うが、その正体はのちに呉の遊郭で働く白木リンであることがほのめかされている。

その他

浦野の海苔

海苔の作業をするすず(一番右)

『冬の記憶(9年1月)』で初登場し、『波のうさぎ(13年2月)』や第1回『18年12月』などでより詳しく描写されている。すずの実家は、広島市江波で海苔を育てて生計を立てていた。すずは家族と一緒に積極的に海苔作りを手伝う。学校に持っていくお弁当には毎日海苔が入っており、友人からうらやましがられていた。

結婚式のごちそう

すずが要一に宛てた絵葉書

第2回『19年2月』に登場。すずが18歳の時、突然舞い込んできた縁談によって呉市に住む北條周作のもとへ嫁ぐ。呉の山・灰ヶ峰の中腹にある北條家で祝儀が行われ、戦時下の簡素なものながら牡蠣や巻きずし、鯛などのごちそうが並んだ。絵が得意なすずはこのときの様子を絵葉書にして、出征中の兄・要一に送っている。

占領軍の残飯雑炊

紙くずも入った残飯雑炊

第42回『晴れそめの径(20年11月)』に登場。戦争は終わったものの、凶作や台風の影響で呉は深刻な食糧難に陥っていた。すずは配給に頼っていてはどうしようもないと、市街地へ買い出しに出かける。義理の姉・黒村径子(くろむらけいこ)と合流し、やたらと人が並んでいる行列を見つけた。何の列かわからないものの、「何でもええですよ。何でも足らんのですけえ」と待っていると、出てきたのは占領軍の残飯雑炊だった。

海苔巻き

海苔巻きを返そうとする少女(一番左)

最終回『しあはせの手紙(21年1月)』に登場。すずは被爆した妹のすみや行方知れずの母を探しに、原子爆弾の投下された広島に向かった。広島で周作と落ち合い広島駅で海苔巻きを食べていたが、ふと1つ落としてしまう。転がった海苔巻きを1人の少女が拾い食べようとするが、空襲で右手を失っていたすずの姿を見て海苔巻きを返そうとした。原子爆弾投下時、自分をかばって右手を失い、その後亡くなった母親と重ねたのである。周作たちはすずに懐いたその少女を呉へ連れて帰り、北條家へ迎え入れた。

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