夏目友人帳の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『夏目友人帳』とは、緑川ゆきにより2007年から『LaLa』で連載が開始された漫画作品。2008年からテレビ東京系列でアニメ放送が開始した。幼いころから妖を見ることができた高校生の夏目貴志が自称用心棒のニャンコ先生と共に、妖や人との出会いと別れを繰り返す和風ファンタジーである。時に叙情的に、時に人間ドラマ的に語られる物語では、人の心に残る優しい言葉や悲しい言葉が多く登場する。

『夏目友人帳』の概要

『夏目友人帳』とは、緑川ゆきにより2007年から『LaLa』で連載が開始された漫画作品。
2008年からテレビ東京系列でアニメ放送が開始し、同年にはマンガ大賞で10位を獲得するほど人気の高い作品である。
本作は幼いころから妖を見ることができた高校生の夏目貴志(なつめ たかし)が自称用心棒のニャンコ先生と共に、妖や人との出会いと別れを繰り返す和風ファンタジーである。
妖を見ることができる人間は稀であり、それ故に見えない人間との違いに苦悩していた夏目は、ニャンコ先生や藤原夫妻との出会いを機に少しずつ相手との絆を深める事ができるようになっていく。
本作では、人や妖の優しさを感じることとができる反面、ずる賢く汚い一面も垣間見えてしまう。時に叙情的に、時に人間ドラマ的に物語が語られる中、心に残る優しい言葉や読者の胸を打つ悲しい言葉が多く登場している。

夏目貴志の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「情が移ったからさ。友人の為に動いて何が悪い」

燕(つばめ)のために危険な妖たちのレースに参加しようとする夏目に対して、垂申(たるさる)が「利がないのに何故そうするのか」と問いかけた際に夏目は「情が移ったからさ。友人の為に動いて何が悪い」と返した。

夏目は当初、自分に憑いている燕の願いを叶えて早く解放してもらおうとしか思っていなかった。
しかし、逢いたがっていた人間を見つけられても見えない人である以上それは逢ったとは言えないのではないかと、毎日人を眺める燕の姿に「結局何もしてやれない」と感じてしまう。
妖たちのレースの賞品が一晩だけ人の姿になれる浴衣であると知った夏目は、危険を承知の上で燕のためにレースに参加することを決意する。
夏目には何の利もなく、何故下級の妖である燕のためにそんな馬鹿な真似をするのかと問う垂申に、夏目は初めて自ら妖に対して友人だと言葉にするのだった。

「僕も人が好きだよ。優しいのも、あたたかいのも、惹かれあう何かを求めて懸命に生きる心が好きだよ」

「優しいものは好きです。暖かいものも好きです。だから人が好きです」と言った燕に対して夏目は「僕も人が好きだよ。優しいのも、あたたかいのも、惹かれあう何かを求めて懸命に生きる心が好きだよ」と心の中で返した。

燕がまだただの鳥であった時、巣から落ちた彼女を戻してあげた人がいた。
しかしそのせいで人の匂いが染みついた巣に親鳥は帰ってくることはなくなり、彼女も兄弟たちもみな死んでしまい、そのことが悲しくて燕は妖になってしまった。
悪鬼となった燕は茂みから動くことはできなかったが、目だけが光る彼女を野良犬と勘違いして毎日毎日餌を置いていった人がいた。
その人の匂いに、燕は巣に戻してくれた人の暖かさを思い出してダムの底でも心静かに眠ることができていたという。
人を嫌いになることもなくむしろ人が好きだと言ってくれた燕に対して夏目が、人も妖も関係なく優しく暖かい心が好きなのだと、燕自身もそうであると伝えられなかった言葉を心の中で返している場面である。

「恐いのは同じ最初の一歩。痛みをともなう交流も、得がたい絆を結ぶのも」

幼少期からずっと妖が見えることで多くの苦悩を抱えてきた夏目が、初めてそれを人に打ち明けた時に心の中で「恐いのは同じ最初の一歩。痛みをともなう交流も、得がたい絆を結ぶのも」と打ち明けた。

幼少期から妖が見えることで周囲から気味悪がられたり嘘つき呼ばわりをされていた夏目にとって、見えるということを打ち明けるのはとても勇気のいる行為であった。
過去に人に化けてまで夏目に声をかけてきた妖がいた。心を許しかけた時に実は相手が妖であると知った当時の夏目は、まだ幼かったこともありその妖の行為に傷ついてしまった経験がある。
しかしたくさんの者たちと関わっていく内に、人であっても妖であっても1人はさみしく、そして最初の一歩を踏み出すのは恐いものなのだと夏目は知ることができた。
そして勇気を出して同級生の田沼(たぬま)に妖が見えることを打ち明けるのだった。

「友人帳には、人に見切りをつけたレイコさんの悲しみが詰まっている。だからやれることはやりたい」

友人帳に名のある妖から、旧校舎に閉じ込められた夏目とクラスメイトたち。そんな中、夏目だけを救出しようとするニャンコ先生に夏目は「友人帳には、人に見切りをつけたレイコさんの悲しみが詰まっている。だからやれることはやりたい」と伝える。

旧校舎での肝試しの最中、夏目やクラスメイト達は友人帳に名のある妖に襲われ閉じ込められてしまった。
「あまり人が好きではないだろう」と夏目だけを救出していこうとするニャンコ先生に、夏目は「人の優しさも少しずつ分かってきたから、やれることはやりたい」と他の人も救いたいと言う。
悲しい過去のせいで人のことがあまり好きでなかった夏目が、誰かを助けるために行動することができるようになったことが分かる言葉である。

「優しい人たちに出逢えて優しさを知って…逃げたくないって思ったんだ。 おれも、優しくなりたいって思ったんだ」

人が好きなんだねと問うヒノエに対して、夏目は「優しい人たちに出逢えて優しさを知って…逃げたくないって思ったんだ。 おれも、優しくなりたいって思ったんだ」と返した。

邪鬼からの呪いのせいで藤原家に災いがかからないように尽力する夏目の姿に、ヒノエは祖母のレイコとは違い「人が好きなんだね」と問いかける。
妖が見えるせいで幼少期から親戚中をたらい回しにされ帰る家というものを持ちえなかった夏目だが、今は藤原夫妻や友人たちの優しさに触れて自分もそうありたいと、ここが帰る家なのだと思えるようになったのだと言葉を返す。
幼いころの夏目の暗い影を垣間見るとともに、今の平穏な毎日にどれだけ幸せを感じているのかを知ることができる話でもある。

昔は分からなかった妖の優しさを、成長して理解することができるようになった夏目

妖に絡まれることで周囲の人に奇異の目で見られて心が傷つき、「はやく1人で生きていけるようになりたい」と呟く幼い夏目を慰めてくれた猫がいた。成長してその妖の行動が優しさからのものであったと気づくことができるようになった夏目が、その妖に会いに行き猫の正体に気づく心温まる場面である。

幼少期の夏目は、妖を見ることが出来るせいで周囲の人間から奇異の目で見られていつも独りぼっちだった。
そんな中、幼い夏目に絡む木の上の妖がいた。
たとえ妖でも自分に声をかけてくれる存在にすこし気を許しかけていた夏目だったが、妖が驚かせたせいで周囲の子供に迷惑をかけてしまったため「大嫌いだ」と叫び以降その妖を避けてしまう。
避けられた妖が夏目の様子を知るために猫に化けて近づくと、ただの猫だと思った夏目は「はやく1人で生きていきたい」と寂しい言葉を零すのだった。
1人が寂しく悲しいということを分かっている妖は夏目の言葉に涙し、数日後に引っ越していった夏目が笑っていてくれるようにと祈る日々を過ごした。
時が経ち藤原夫妻やニャンコ先生に出会い優しさを知った夏目は、妖に会いに行き「今ならあの時のあなたの優しさが分かる気がする」と告げる。
思わず抱き着いてきた妖から、いつかの猫と同じ香りがすることに気づいた夏目が、優しく妖の名前を尋ねる心温まる場面である。

「仲直りなんてしたことないんだ。誰の背中も追わなかったんだ。こんな想いは知らなかったんだ」

夏目が友人となった妖のカイに誤解されたまま別れることになってしまい、心の中で「仲直りなんてしたことないんだ。誰の背中も追わなかったんだ。こんな想いは知らなかったんだ」と打ち明ける。

幼少期から妖が見えていた夏目は、人からは疎まれ妖からは逃げ回る日々を送っていたせいで、大切な友人を作ることはなかった。
そんな中で藤原夫妻に引き取られてようやく穏やかな日々を送り友人を得ることもできた夏目だったが、勘違いのせいで友人となった妖のカイと喧嘩別れをしてしまう。
しかし初めて友人と喧嘩した夏目には、どうやって仲直りをしていいのかがわからないのだった。
些細なすれ違いで仲が違えてしまうことも、仲直りのために誰かの後を追うことも、その辛さも知らなかったのだと悲しく独白する場面である。

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