逆境ナイン(島本和彦)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『逆境ナイン』とは、熱血漫画家として名高い島本和彦による、高校野球を題材とした漫画。略称は『GK9』。いかにも漫画らしいコメディ色の強い荒唐無稽な内容だが、その中で語られる数々の名言が胸を打つ傑作として知られる。2005年に実写映画化された。
野球部の廃部を告げられた野球部主将の不屈闘志は、「甲子園で優勝したら廃部撤回」という約束を校長相手に一方的に取り付ける。無理だ無茶だと訴える部員たちを励まし、猛練習に励み、時に自身が「もうダメだ」と泣き叫びつつ、不屈は甲子園の優勝を目指して突き進む。

CV:諏訪部順一

全力学園高校野球部に所属する少年。ポジションはピッチャーで、2年生ということもあり、普段は控えとしてベンチで待機している。
初登場時は別の高校に通っていたが、引っ越したことで全力学園高校に通い始める。明子とは幼馴染の関係で、不屈に対しては強い信頼と対抗心を同時に抱く。

亀谷万念(かめや まんねん)

全力学園高校に通う少年。王貞治に憧れ、あらゆる意味で彼を模倣していたが、「野球は見る主義」らしく野球部には関わってこなかった。そのすさまじいバット捌きに注目した不屈とハギワラにスカウトされ、彼らとの勝負を経て野球部に参加する。

長嶋茂(ながしま しげる)

全力学園高校に通う少年。長嶋茂雄に憧れ、あらゆる面でこれを模倣するという、亀屋に似たスタイルで過ごしてきた。その亀屋が野球部に入ったことを知り、後を追う形で自身もその一員となる。

源完人(みなもと かんと)

全力学園高校に通う少年。頭脳派のキャッチャーで校長の甥。不屈が桑原への恋心を暴走させて一時的に野球部と距離を置いた際、周囲を巧妙に篭絡して事実上の新たなリーダーとなる。しかし次第に不屈に影響されて熱血気質を発揮するようになり、同時に彼を認めていった。

サカキバラ ゴウ

CV:池田秀一
演:田中直樹

産休を取った安藤の代理で全力学園高校にやってきた教師。担当は歴史で、野球のことは詳しくないと語っている。不屈たちが困難に直面するたび、すさまじいまでの迫力と説得力に満ちた名言を発して彼らを導いていった。

校長

CV:内海賢二
演:藤岡弘、

全力学園高校の校長。廃部を申し渡した不屈の前で「勝つところにしか興味が無い」と言い切る実力主義者。廃部を免れるために本気で甲子園優勝を目指し始めた野球部を、次第に内心で応援するようになっていく。

安藤トロワ(あんどう トロワ)

全力学園高校の社会科教師。産休を取って休んでいたが、勘違いだったことが分かって予定を早めて学校に戻ってきた。
美人ながらノリが軽く、早めに学校に戻ってきたのも何割かは「快進撃を続ける野球部の監督をやりたい」というミーハーな理由から。野球のこともまったく詳しくなければ学ぶ気持ちもないらしく、不屈たちからはお荷物扱いされていた。

日の出商業高等学校

高田二流(たかだ じろう)

CV:森久保祥太郎

日の出商業高校野球部の主将。体格は小柄だが、猛練習でそれを補っている。姉を敬愛しており、野球に打ち込んでいるのも彼女に褒めてもらいたいのが大きな理由。
当初は不屈たちを見下していたが、彼らに敗れた後に「せめて甲子園で勝ってもらわないとやり切れない」と練習に付き合うようになる。そうこうする内に友情が芽生え、甲子園では親身になって応援した。

強力学園高校

無敵勇士(むてき ゆうじ)

強力学園高等学校の主将。不屈と同じく逆境になればなるほど力を発揮するタイプで、同等の気質を持つ仲間たちと大会を勝ち進んできた。
甲子園の決勝で全力学園高校と対戦し、白熱の戦いを繰り広げる。

『逆境ナイン』(島本和彦)の用語

サスペンデッドゲーム

照明施設の無い会場での日没、ゲーム続行が困難なほどの天災や事故などを理由に、試合を一時的に中断すること。「一時停止試合」や「継続試合」とも呼ばれる。
状況が整い次第、試合は再開される。

透明ランナー制

攻撃側のチームがなんらかの事情で選手が足らない事態に陥った時に用いるルール。次に打つ選手がいない状態で打者が出塁した時、「そこに透明なランナーがいる」とした上で打者をバッターボックスに戻して打席に立たせるというもの。この打者がさらに出塁すれば、透明ランナーはその1つ先の塁まで進んだものとされ、ホームインすればそのまま得点となる。
草野球や三角ベースなどで使われる特別なルールで、野球には本来存在しない。高校野球は青少年の育成という側面も持つため、「試合続行不可能と一方的に見なして敗退させるよりは選手に配慮した形になる」との判断があったとすれば辻褄が合わなくもない。実のところ、この辺りの話を描いていた頃の作者は「どうやって不屈たちに勝たせるか」で非常に悩んでおり、このルールを知って調べる余裕も無く飛びついたというのが真相である。

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