ギルティギア ゼクス 胡蝶と疾風(GUILTY GEAR X)のネタバレ解説・考察まとめ
『ギルティギア ゼクス 胡蝶と疾風』とは、格闘ゲーム『GUILTY GEAR X』をノベライズ化した、海法紀光によるライトノベル作品。挿絵は同シリーズの生みの親である石渡太輔が担当している。小説として再解釈された原作の魅力が存分に描かれており、ノベライズ作品の傑作にして成功例と高く評価されている。
大統領を目指す忍者チップ=ザナフは、ひょんなことから17歳の大統領エリカ=バーソロミューの護衛となる。彼女を狙う犯罪組織を相手に、己の夢と師の仇討ちのため、チップは得意の忍術を駆使して大暴れする。
元聖騎士団団長にして、国際警察機構の長官を務める青年剣士。文武両道かつ天才肌の人物で、真面目で正義感溢れる清廉潔白な人物。
本作では公人としての立場が強く、エリカたちの目的に賛同しつつも中立的な立場を保ちつつ振る舞う。チップのことは「大統領の地位を狙う俗物」といった程度にしか見ていなかったが、彼が延々と弱者に向けられていく暴力の連鎖を止めたいがためにその座を欲していることを知って認識を改めた。
ガブリエル
浮遊国家ツェップの大統領。一部の隙も無い軍服姿の小男だが、その実力はチップを大きく上回る。公式設定では、「現在の人類の中では最強の存在」だとされている。
エリカとの会見と外交に臨み、その中でチップの実力を試す。苦も無くチップを屈服させるが、その動きを見て「良い護衛」と称賛した。
ヴォルフ
本作オリジナルキャラクター。糸を使って戦う、現在の“組織”では屈指の猛者である。
かつて100人もの部下を率いてツヨシを追い詰め、チップを逃がすために奮戦して消耗した彼を死に追いやった張本人。チップの存在は知っていたが、「ただのガキ」と侮って放置する。そのチップが自分に匹敵する戦士となって仇討ちに現れたことには驚いていた。
院長(いんちょう)
孤児だったエリカを引き取った孤児院の院長。物腰柔らかく、暗殺者に脅されても動じない、軽やかに歳を経た老婦人。幼い頃から並外れた知性を発揮し、同年代の子供と話が合わずに孤立していたエリカにとって唯一心を許せる存在だった。
チェスの名手で、常に携帯用のチェスセットを持ち歩いている。
『ギルティギア ゼクス 胡蝶と疾風』の用語
16歳の壁/16の壁
「ここで生きる子供は、16歳になるまでに必ず死ぬ」という、A国のストリートチルドレンの間で信じられているジンクス。これは呪いやそういう制度があるわけではないが、孤児たちにとっては必然の事実とされている。実際、ちょっとした怪我や病気による死がいくらでもありうる彼らにとっては、統計学上かなり現実味のある数字だった。
チップは成人した後も「16歳の壁」のジンクスに苦しめられており、どうしようもない苦難を前にしたり変えられない現実を見るたびにこれを幻視している。
“組織”(そしき)
世界各地で活動する大規模な暗殺者組織。それそのものを示す具体的な名称は無く、作中では単に“組織”と呼ばれる。
ツヨシの潜入捜査により機密情報を抜かれ、先代の頭領が逮捕されるという大きなダメージを受ける。起死回生を狙って様々な動きを見せており、A国世論の誘導もその1つである。
A国(エーこく)
物語の舞台となる国。描写からして、アメリカ合衆国で間違いないと思われる。
浮遊国家ツェップ
A国の首都とほぼ同じ面積を持つ飛行ユニットの上に建設された国家。法力の確立以降、「環境を破壊するものにしかならない」と人類が放棄した科学技術を未だに保有する唯一の場所であり、同時に世界最強の軍事国家。近年ガブリエルを頭領とするクーデターが発生し、他国との融和政策を進める形に方針転換した。
『ギルティギア ゼクス 胡蝶と疾風』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
ツヨシ「マスターではない。ジャパンでは、師匠、と言う」
チップの実力を試し、その素質を確かめたツヨシは、「自分の技を継いでみるつもりはないか」と彼に尋ねる。「マスターと呼んでやってもいい」と言うチップに、ツヨシは「マスターではない。ジャパンでは、師匠、と言う」と告げて、自分をそう呼ぶように促す。
師弟の間に最初の絆が生まれた瞬間であり、チップの日本被れもここから始まっている。ここから始まる3年間の修業は、孤児だったチップにとって人生でもっとも幸せな時間だった。
エリカ「あなたは迷わず命を大切にして逃げた。そして、今までしっかり生きてる」
ツヨシが自分を守るために死んだことを、臆病風に吹かれてそれを助けようともしなかったことを、苦渋と後悔に満ちた口調で明かすチップ。そんな彼に、エリカは「良かったじゃない」と暴論にも聞こえる言葉をかける。怒りをあらわにするチップに、しかし彼女は「あなたは迷わず命を大切にして逃げた。そして、今までしっかり生きてる。たぶんね…それがツヨシって人があなたに教えた一番大切なことなんじゃないの?」と話を続ける。
あの時チップが戻ったとしても、ツヨシの足手まといになって一緒に殺されるだけだった。孤児として生き、自暴自棄になり、「いつ死んでもいい、いつどうなっても仕方がない」と考えていたチップが今も生きているのは、「自分がここで死ぬとしてもチップを生き延びさせたい」というツヨシの願いが叶ったということでもある。
「自分のせいでツヨシが死んだ」とばかり考えていたチップは、「ツヨシのお陰で今も生きている」という新しい視点を得て、師の恩に報いることを真剣に考え始める。エリカの聡明さが垣間見える名セリフだ。
チップ「俺はジャパニーズだ!」
エリカにどこの出身かと問われたチップは、自信満々に「俺はジャパニーズだ!」と答える。エリカは無言で首を傾げ、チップも「心意気の話だ」とバツが悪そうに訂正する。
チップといったらこのセリフである。原作ゲームでもたびたび自身を「ジャパニーズだ」と語るシーンがあり、その都度様々な人物からツッコまれている。
チップ「…それを止めるにゃ、大統領にでもなるしかねぇだろうが!」
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目次 - Contents
- 『ギルティギア ゼクス 胡蝶と疾風』の概要
- 『ギルティギア ゼクス 胡蝶と疾風』のあらすじ・ストーリー
- チップとツヨシの出会い
- 17歳の大統領
- チップの失態
- 浮遊国家ツェップの来訪
- 別れと旅立ちと再会と決意
- 『ギルティギア ゼクス 胡蝶と疾風』の登場人物・キャラクター
- チップ=ザナフ
- エリカ=バーソロミュー
- ツヨシ/毅(つよし)
- ファウスト
- カイ=キスク
- ガブリエル
- ヴォルフ
- 院長(いんちょう)
- 『ギルティギア ゼクス 胡蝶と疾風』の用語
- 16歳の壁/16の壁
- “組織”(そしき)
- A国(エーこく)
- 浮遊国家ツェップ
- 『ギルティギア ゼクス 胡蝶と疾風』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ツヨシ「マスターではない。ジャパンでは、師匠、と言う」
- エリカ「あなたは迷わず命を大切にして逃げた。そして、今までしっかり生きてる」
- チップ「俺はジャパニーズだ!」
- チップ「…それを止めるにゃ、大統領にでもなるしかねぇだろうが!」
- 院長「私は、あの子のことを信じていますのよ」
- 議事堂への行進
- チップ「あいつは、今あそこで、俺を信じて命張ってる。師匠も、そうだった」
- ツバメ「わたしがいて、あなたがいて、うれしい」
- 『ギルティギア ゼクス 胡蝶と疾風』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 原作ゲームにも登場するエリカ
- 『ギルティギア』(GUILTY GEAR)のノベライズ作品の記事まとめ