約束のネバーランド(約ネバ)の農園まとめ

原作:白井カイウ、作画:出水ぽすかによって描かれた人気漫画『約束のネバーランド』において、非常に重要な役割を果たしている「農園」。本部の方針によって孤児院や村、学校などに偽装されているが、その実態は「約束」によって人間を狩ることができなくなった鬼に「人肉」を供給し、鬼社会を統治するための仕組みである。作中には4つの「高級農園」のほか、100以上ある「量産農園」、投薬や人体実験によって特殊な能力を持った子供を育てる「試験農園」などが登場している。

『約束のネバーランド』の概要

『約束のネバーランド』とは原作:白井カイウ、作画:出水ぽすかによって執筆され、2016年より『週刊少年ジャンプ』にて連載が開始されたダークファンタジー漫画である。全20巻のコミックスは総発行部数4400万部を超える大ヒット作となっており、テレビアニメ・小説・実写映画も制作された。

孤児院(ハウス)で暮らしていた11歳の少女エマは、運動神経・学習能力が非常に高いとても優秀な人物だった。ある日エマは「ハウス始まって以来の天才」である親友のノーマンと共に、「ハウス」が抱える大きな秘密に偶然気が付いてしまう。「ハウス」とは「食人鬼」が管理している農園であり、エマたちは鬼が食べるための「商品」だったのだ。更に子供たちが「ママ」と慕う優秀な女性「イザベラ」は、鬼の味方であることが判明する。
エマとノーマンは二人と同様にけた外れの頭脳を持つ少年「レイ」に協力を仰ぎ、共に過ごす子供たち全員を連れて「ハウス」からの脱出に挑む。しかしそれは「ノーマンの犠牲」という大きすぎる代償の上に成り立つものだった。鬼の協力者「ムジカ」「ソンジュ」の力を借りながら、エマたちは「1000年前」に交わされた約束を結び直すため、様々な試練に挑むこととなった。

第1話冒頭ではエマや子供たちの何気ない日常が描かれており非常にほのぼのとした雰囲気の漫画だが、「里親が決まった」と称して「出荷」されてしまったコニーという少女の無残な姿が描かれたあたりから一気にホラー感が増してくる。さらにエマは13年も前に「グローリー=ベル」という農園から脱出した大人との出会いや、「狩り庭」で命を脅かされている「グランド=ヴァレー」の子供たちとの出会いを経て、「グレイス=フィールド」だけではなく「すべての農園の食用児を救いたい」と願うようになるのだった。「命を奪う」ことに大きな葛藤を抱きながらも前に進んでいく、エマの前向きな強さも非常に魅力的な作品である。

農園について

「農園」とは鬼たちが人肉の供給を調整して、鬼社会を統治するために必要不可欠な重要な設備である。それぞれの「農園」で飼育されている子供たちはある一定の年齢に達すると「出荷」されているが、彼らに「自分達は食べられるための商品だ」という認識はない。

学校や村、孤児院などに偽装してのびのびと子供たちを育て、十分に発展した人肉を供給する貴族向けの「高級農園」と、一般の鬼たちに向けて足や腕などの部位ごとに切り分けられた肉を供給する「量産農園」に大別される。
さらに上級貴族のバイヨンが出資した試験農園「Λ7214」が西の果てに建てられている。Λ7214では各農園から子供たちを選び出し、人体実験や薬物実験を行って、特殊な能力を持つ子供の研究開発が行われていた。またΛの研究結果をもとにした系列の新型農園も建設されており、作中では「金と手間のかかる高級農園は廃止して、Λ系列に一本化する」という方針が打ち出されていた。しかしウィリアム・ミネルヴァの協力者スミーの手引きによってノーマン、ヴィンセント、シスロ、バーバラ、ザジなどがΛを破壊して脱出し、Λ系列の新型農園も次々にノーマンたちによって潰された。

農園の歴史

農園の始まりは1000年前、人間と鬼の間で「約束」が交わされたことがきっかけである。鬼と人間は長きにわたる殺し合いを行っていたが、いつ終わるとも知れないその戦いに互いに嫌気が差したころ、人間側から「住む世界を分けよう」という提案がなされた。そして人間側の代表者であるユリウス・ラートリーは共に戦ってきた仲間達を鬼側に差し出し、置いていかれた仲間たちが食用児たちの先祖となる。鬼たちは置いていかれた人間を養殖して数を増やし、人間を狩らずとも人肉を供給するシステムを構築していったのだった。
農園のシステムが確立する前は度々飢饉に襲われており、特殊な血を持つ鬼が飢餓の村を救ったという伝承がある。

農園の仕組み

それぞれの高級農園で育った一定以上の成績を持つ優秀な女子は、出荷満期時に「このまま殺されるか飼育監になるか」を選択することができる。飼育監になる道を選ぶと養成学校へと送られ、沢山の優秀な女子の中からさらに競い合いを行う。そして能力が認められて大人になり、子供を産むことによって「飼育監(ママ)」や「補佐官(シスター)」として生き残ることができるのである。

シスター候補が産んだ子供たちは1歳ごろまでは本部で養育され、耳に発信機を埋め込まれるとそれぞれの施設・プラントへと送られる。そして一定の年齢(農園により異なる)になると出荷され、新しい子供たちが本部から供給されてくるのだ。
定例出荷は約2か月に一度だが、上からの指令によって緊急で出荷されることもある。

『約束のネバーランド』に登場する農園

高級農園

グレイス=フィールド(GF)

孤児院を装った高級農園で、首筋に識別番号が刻印されている。同じ面積の3角形の土地が6つつながった構造をしており、第1プラントから第5プラントまで存在している。本部は第1と第5プラントに挟まれており、エマたちが生活していた第3プラントからは最も離れている。それぞれのハウスは森と非常に高い壁で囲まれており、壁の先は崖である。本部からは唯一外の世界へとつながる橋が設置されている。
作中で登場する高級農園の中でも最もランクが高く、その中でもイザベラが「ママ」を務めていた第3プラントは鬼の頂点や王に提供できるほどの「最高品質の人肉」を供給していた。

グレイス=フィールドでは毎日テストが行われており、300点満点(フルスコア)を取った者のみ名前が読み上げられる。グレイス=フィールドの出荷満期は12才であり、4歳以降スコアの低い順に出荷されていた。ノーマンは「ハウス始まって以来の天才」と称賛されており、鬼の頂点に捧げられるために出荷を保留されていたが、ノーマンの「肉」を欲した女王レグラヴァリマの策略によりノーマンのみ「Λ7214」へと移動させられる。
その後1月15日第3プラントが火事となり、「フルスコア」だったエマとレイを筆頭に15名の子供たちが脱走した。
ハウスに残された4歳以下の子供たちは別のプラントに振り分けられ、焼け落ちた第3プラントは新しく建て直されている。

グローリー=ベル(GB)

村を装った高級農園で、腹部に識別番号が刻印されている。ユウゴやルーカスの出身農園。ノーマンの腹心であるヴィンセントもグローリ=ベルの出身だが、ユウゴ・ルーカスとは世代が違うために面識はない。
2032年(13年前)に19名の子供たちがウィリアム・ミネルヴァの残した手掛かりを元に脱出に成功し、全員でシェルターに辿りついた。そこでミネルヴァからの手紙を発見し、「ゴールディ・ポンド」へ移動する。ゴールディ・ポンドはミネルヴァが用意した「安全に人間の世界へ渡れる」場所だったが、弟のピーターの策略によってバイヨン卿の「秘密の狩り庭」になっており、ユウゴは全員を犠牲にしてシェルターへと逃げ帰った。
ユウゴは「仲間は全員死んだ」と思っていたが、実はユウゴの親友だったルーカスが生き延びており、奇跡の再会を果たす。
「ゴールディ・ポンド」崩壊後ユウゴとルーカスはしばらくエマたちと共にシェルターで暮らしていたが、ピーターが放った刺客のアンドリューの攻撃からエマたちを護るために自爆して二人とも死亡した。

グッドウィル=リッジ(GR)

学校を装った高級農園で、天井には人工照明が取り付けているために格子状の線が描かれている。シスロとバーバラの出身農園。Λ7214農園に多くの子供たちが送られていた。

グランド=ヴァレー(GV)

学校を装った高級農園で、飼育監は「先生」と呼ばれている。天井には人工照明が備え付けられている為格子状の線が描かれていた。胸元に識別番号が刻印されている。
上級貴族であるバイヨンの屋敷近くに存在しており、バイヨンが月に一回「グランド=ヴァレー」から子供たちを生きたまま輸入して「ゴールディ・ポンド」で狩りを楽しんでいる。

バイヨンによると「グランド=ヴァレー」の子供たちは「並肉」と評されており、知能や運動能力は「グレイス=フィールド」には劣る。実際「グランド=ヴァレー」出身のヴァイオレットやザック、ナイジェルが「グレイス=フィールド(の頭脳)ヤベェ」とドン引きしていた。

「グランド=ヴァレー」の満期は15歳以上であり、16歳のペペは「グランド=ヴァレーからゴールディ・ポンドにやってきて日が浅い」と紹介されている。

試験農園

Λ(ラムダ)7214

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