女の園の星(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『女の園の星』とは、とある女子校で国語教師をしている男性教師・星の日常を描いたコメディ漫画で、作者は和山やま。奇行で星を振り回す生徒や、個性的かつ深刻な悩みを抱えている生徒、教師同士の気の抜けたやり取りなど、リアリティとシュールさを併せ持つ作風が特徴だ。
「このマンガがすごい! 2021」オンナ編第1位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2022」9位、「第25回文化庁メディア芸術祭」ソーシャル・インパクト賞など、数多くの賞を獲得している人気作。

『女の園の星』の概要

『女の園の星』とは、とある女子校で国語教師をしている男性教師・星の日常を描いたコメディ漫画で、作者は和山やま。奇行で星を振り回す生徒や、個性的かつ深刻な悩みを抱えている生徒、教師同士の気の抜けたやり取りなど、リアリティとシュールさを併せ持つ作風が特徴だ。
「このマンガがすごい! 2021」オンナ編第1位、「THE BEST MANGA 2021 このマンガを読め!」6位、「ebookjapanマンガ大賞2021」ノミネート、「全国書店員が選んだおすすめコミック2021」12位、「マンガ大賞2021」7位、「マンガ大賞2022」4位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2022」9位、「第25回文化庁メディア芸術祭」ソーシャル・インパクト賞、「マンガ大賞2023」ノミネート、といった数多くの功績を残している人気作。
単行本3巻特装版にアニメBlu-rayが収録され、主人公の星の声を歌手・俳優の星野源が担当した。

『女の園の星』のあらすじ・ストーリー

日誌の謎

とある女子高校の放課後、2年4組の教室で香川という生徒が眠っていた。友達に起こされた香川は当番の日誌を書き始める。前日の日誌の備考欄にスマホの絵が描かれているのを見た香川はしばらく悩んでから日誌を完成させた。
2年4組の日誌を受け取った担任教師、星は悩んでいた。あるとき日誌の備考欄に絵を描いた生徒がおり、それから備考欄で絵しりとりをするのが生徒たちの習慣になっていた。前日の日誌担当はスマホの絵を描いたのだが、今日の担当の香川が何を描いたのか、全くわからないのだ。人間であることはわかるが、スマホの「ほ」から始まる人間、というだけの情報では星に解読することはできなかった。星は翌日の生徒の絵に答えを託すことにする。
次の日、生徒が提出した日誌にはどこからどう見ても「イカ」が描かれていた。つまり香川の絵は「ほ」で始まって「い」で終わる何かだ。しかしここで、今日の担当生徒も香川の絵を読み解けず、無理矢理「イカ」でリセットを図った可能性が浮上する。せめて星だけでも香川の絵を読み問いてやらなければ、謎の絵は成仏できない。
悩んだ末に星は「布袋」に行きつくが、香川の絵は布袋と呼ぶには生気がなさすぎた。そこで、隣の席を使っている同僚の小林が声をかけてきて、「駅前の回転寿司屋に行きましょう」と誘ってくる。寿司ぎらいの星はその申し出を断り、絵しりとりの話をする。小林と話しているうちに星は「哺乳類」という答えに辿り着いて満足を得たが、実際の絵を見た小林は「哺乳類じゃないと思いますけど」「似てる」と言って、星の肩を叩いた。香川の絵は「星先生」だったのだ。
香川の絵はクラスメイトにも読み解けず、「イカ」を描いた生徒は「放心状態」だと思っていた。

ステッカー

ある日の昼休み、食事中の星のもとに2年4組の古森が訪ねてくる。古森は「高田誠って知ってる?」と、星の中学時代の同級生の名前を出した。古森は星の同級生のいとこだったのだ。そして古森は、星の卒業アルバムの写真を見たのだ。それを聞いた星は顔色を変える。古森が見た星の写真は、肩にクワガタムシを載せていた。
星がいた中学は男子校で、クラスでクワガタを飼っていた。「ポチ」という名前のクワガタをクラス全体で可愛がっており、卒業アルバムの写真にもポチを載せるべきだ、という話になった。しかしポチ単体の写真を卒業アルバムに載せるのは先生が許さなかったため、クラスの誰かと一緒に撮ることになった。クラスの誰もがポチと写真を撮りたがり、争いになった結果、「みんなでポチを囲んで座り、ポチが選んだ者がポチと写真を撮れる」という選考方法が取られた。クラス中がポチに呼びかける中、ポチに選ばれたのは、黙って座っていた星だった。こうして、星は卒業アルバムの写真をクワガタと共に撮ることになった。
経緯を聞いた古森は納得し、星にあるものを差し出した。それは星の卒業写真で作った、小さなステッカーだった。手の込んだことに、10枚中1枚だけキラキラのエフェクトがついたものだった。古森は「初回限定版」のステッカーを星に渡して立ち去った。
古森の作った星ステッカーは数週間後、思わぬ事態を引き起こした。町の至る所に無作為に貼られ、見つけた人に幸運をもたらす「クワガタボーイ」として都市伝説化した挙句、まとめサイトまで作られてしまったのだ。愕然とした星は翌日の朝いちばんで古森を捕まえてステッカーをどうしたのか尋ねる。すると、古森は星にステッカーを見せてすぐに飽きて、近所の小学生に配ったという。ステッカーをもらった小学生たちが適当な場所に貼ってまわり、それが都市伝説化してしまったのだ。
星はそれきりステッカーを追うことはやめたが、興味を持った古森はステッカーを探しに出かけた。しかし、意外なことにステッカーはひとつも見つからなかった。ステッカーを剥がした犯人は小林だった。「さすがに昔の写真が勝手に拡散されるのは気分が悪いだろう」と思った小林が、ネットの情報をもとに剥がしてまわっていたのだ。星は小林に丁寧に礼を言った。
ちなみに小林はステッカーを剥がした後、階段を踏み外して足をひねっていた。古森は「(ステッカーの)呪いじゃね」と呟くのだった。

いちご侍

1年2組の生徒、三木には悩みがあった。家族以外の人前で食事ができないのだ。「食べているところを人に見られている」と思うと気持ち悪くなってしまうのだ。普段は学校のトイレで昼食をとっていたが、ネットで知り合った「リコピン」という友人と、推しのアイドル「いちご侍」のライブを一緒に見に行くことになり、その後食事もすることになったのだ。できれば食事を断りたくない三木は、星に「人前で食事をする訓練に付き合ってほしい」と頼み込む。三木が担任でもない星に悩みを打ち明けたのは、星が受け持ちの生徒ではない三木の名前を覚えていたからだった。しかし星は三木を覚えていたのではなく、ノートに書かれた名前を呼んだだけだった。こうして星は三木と養護教諭の桜井と一緒に、保健室で昼食を取ることになる。
三木は星に顔を背けて食事してもらったり、いちご侍の話をして気を紛らわせながら、少しずつだが人前で食事ができるようになる。しかし何日目かの訓練で、保健室に古森が入ってきたことで吐き戻してしまい、訓練は失敗に終わった。三木はリコピンに連絡し、食事を断った。
ライブ当日、待ち合わせ場所に現れたリコピンは、なんと古森だった。三木は教えてもいないのに古森が自分の名前を知っていることを不思議に思うが、古森は全校生徒の顔と名前を覚えているという特技を持っていた。ふたりはいちご侍のライブを心から楽しみ、三木には新しい友達ができたのだった。

『女の園の星』の登場人物・キャラクター

主人公

星先生(ほしせんせい)

CV:星野源

とある女子高校の2年4組の担任を受け持つ男性教師。担当教科は国語。眼鏡と無表情が特徴で、妻と幼い娘との三人で暮らしている。もとは小学校教師だった。
個性的な同僚や自由な生徒たちに振り回される日常を送っている。寿司が嫌い。

星先生の同僚

小林先生(こばやしせんせい)

職員室で星(左)と話す小林(右)。

CV:宮野真守

職員室で星の隣の席に座っている男性教師。2年3組の担任で、星と仲が良い。コンビニでアルバイトをしている弟がいる。星より年下だが、学校での職歴は星より長い。
明るく人好きのする性格で、いつもポロシャツを着ていることから生徒の間で「ポロシャツアンバサダー」というあだ名がついている。寿司が好き。

郡司先生(ぐんじせんせい)

3年2組の担任を務める男性教師。小太りな体型の中年男性。手術をするお父さんから犬のセツコを預かったが、娘が動物アレルギーだったため3年2組のベランダで飼うことになった。

中村先生(なかむらせんせい)

3年2組の副担任を務める男性教師で、担当教科は倫理。眼鏡をかけており、人相と酒癖が悪い。いつも酒の匂いをさせており、生徒からは非常に嫌われている。
セツコのことをとても可愛がっている。

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@shuichi

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