トンイ(韓国ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『トンイ』とは、2010年にMBCで制作された韓国ドラマで、17世紀後期から18世紀前期までの李氏朝鮮時代が舞台。幼少期、奴婢だった主人公のトンイが、家族が殺された事をきっかけに宮廷に入り、父親の死の真相を探すストーリーとなっている。その中で、いじめや派閥争いなどに巻き込まれたり、王の妻となり王子の母となり様々な困難を乗り越え、自分を貫き通すトンイの生き様が描かれている。本来なら奴婢から側室になる事がありえないとされる中でトンイがどんどん出世していくのも見どころの一つだ。

『トンイ』の概要

『トンイ』とは2010年韓国のMBCが制作したドラマで、脚本はキム・イヨン、監督はイ・ビョンフンが手掛けている。イ・ビョンフンは1970年にMBCに入社し、1999年に『ホジュン宮廷医官への道』で時代劇史上最高の視聴率を記録しており、時代劇の巨匠と呼ばれている。代表作には『イ・サン』や『宮廷女官チャングムの誓い』などがあり、これらは日本でも放送されている人気作品だ。
主人公トンイ役のハン・ヒョジュは『トンイ』が4作品目で韓国では「嫁として連れてきてほしい女優」の第1位に選ばれるほど、国民的清純派女優とされている。日本映画のファンでもあり、『MIRACLEデビクロくんの恋と魔法』『ビューティー・インサイド』などに出演もしている。
身分制度が激しい李氏朝鮮時代。賤民として生まれたトンイは、父親と兄の3人で暮らしていた。お祭りの日に、トンイが橋の下で大司憲(テサホン)が死にかかっているのを発見する。この事件をきっかけに、トンイの家族は殺されてしまう。真相を確かめる為宮廷に入り、奴婢だったトンイが王の母になるまでの波乱万丈なストーリーが始まる。
日本では2011年4月10日から2012年6月17日までNHKBSプレミアムで日本語吹き替え版で放送された。
全60話と長編ドラマだが、日本では「続きが気になって一気に見終わった」や「トンイのシンデレラストーリーが見てて楽しかった」と言われる反面「序盤が長い」「王様がポンコツすぎる」といった意見も多かった。しかし、日本で放送される韓国時代劇の中でも評価が高い作品となっている。

『トンイ』のあらすじ・ストーリー

奴婢として育った幼少期から宮廷に入るまで

朝鮮王朝時代の党派の1つ、南人(ナミン)の高官が何者かによって殺害される事件が3件起こる。そのうちの一人、役人の違法行為を監督する官庁司憲府(サホンブ)の長官・大司憲(テサホン)が死にかかっている所を賤民の娘トンイが発見したのだ。彼はチャン・イッコンという名の南人派の長老だった。大司憲はトンイに何か手で合図をするが、結局何かわからぬまま死んでしまう。中々殺害された場所が特定できず従事官(チョンサグァン)のソヨンギがトンイの父、チェ・ヒョウォンに、大司憲がどこで死んだか調べてほしいと頼む。チェ・ヒョウォンは仵作人(オジャギン)で、本来は遺体を運ぶ人だが検死も得意だった為呼ばれたのだ。ソヨンギは、今回殺されたのはどれも南人の重臣ばかりで、次に狙われるのは同じ南人派のオ・テソクと推理し屋敷へ向かった。テソクは対立派の西人の仕業ではと問うと、ソヨンギは「剣契(コムゲ)の事はご存じですか?」と聞く。この時、補盗庁(ポドチョン)では、剣契の仕業ではないかと思われていたからだ。剣契とは賤民が奴婢を守る為に作った秘密組織だが、渡し橋付近で剣契が兵を襲ったとの情報を受け、南人殺しにも関与しているのではと疑われた。剣契の家からは次々と殺害した証拠が見つかっていくが、ソヨンギは何か疑問に思う。そんな時、トンイは友達のケドラがイジメにあい、それを助けるために大司憲殺害の証拠となる札を見つけ義禁府へ届けようとする。その札には義禁府の軍官カン・ジョンヒョクの名前が記されていた。大司憲を殺したのは義禁府の武官だったのだ。オ・ユンは直ちにトンイを捜し出し始末するようジョンヒョクに命令するが、その最中にソヨンギに見つかり「探しているのはこれか」と札を見せられる。ソヨンギがヒョウォンに会いに行こうとしたところ、札を持っていたトンイに会っていたのだ。その為、大司憲殺しの犯人が分かりジョンヒョクは連行されることになった。ソヨンギは「早まって剣契のせいにしてしまった、これからカン武官を調べる」とヒョウォンに話すが、その夜カン武官は何者かによって殺されてしまう。それと同時に帰宅途中のヒョウォンは襲撃された。
トンイの兄、チェ・トンジュとその仲間のチャ・チョンスは居なくなったトンイの行方を捜す。その頃トンイは、正月に婦人の代わりに下女が新年の挨拶をする行事、門安婢(ムナンビ)の代役を探していた使用人に連れられお屋敷に居たのだ。トンイは頭の賢さから婦人に気に入られ屋敷を後にしたが、その帰宅途中兄に見つけられた。だが「今は危ないから逃げるぞ」と、トンジュはトンイを連れて急いで知人の家に隠れる。どうしても門安婢をやりたいトンイは、心配をよそにこっそり家を抜け出してしまう。そして向かった先がオ・テソクの家だった。新年の挨拶を済ませ褒美をもらっている所にトンイを捕らえろと兵がやってくる。トンイは間一髪の所チョンスに救われ無事に逃げる。ソヨンギの父ソ・ジョンホは、これまでの事件の真相を王に伝えに行こうとする。だがジョンホが命を狙われると聞きつけたヒョウォンは、剣契を従えすぐに向かうも時すでに遅く、殺された後だった。そしてそこで義禁府の兵に囲まれ、ソ・ジョンホ殺しの犯人としてヒョウォンとトンジュ、仲間たちは捕まってしまったのだ。チョンスはみんなを助けようと罪人の列を襲撃するが、崖の上まで追いかけられヒョウォンもトンジュも仲間も兵に攻撃され命を落としてしまう。兵に追われたトンイは山に逃げた際、ソヨンギに出会う。必死に助けを乞うと、「罪人の子を二度は見逃せない。二度と私の前に現れるな」と逃がしてくれたが、その際山から転げ落ち、トンジュの友人のソリに保護してもらった。ソリはチョンスから頼まれたと説明し一緒に都を出ようとするが、トンイは父の無実を証明する為に宮廷に入ると言い出す。トンイの気持ちを汲み取り、宮廷の音楽を担当する部署、掌楽院(チャンアゴン)に入れてもらえるようファン・ジュシクに頼んだのだ。そして無事宮廷に入ったトンイは、掌楽院の奴婢として育っていった。

掌楽院(チャンアゴン)の奴婢から監察府(カムチャルブ)へ

掌楽院で楽器の整理をしているトンイ

トンイは過去に見た手の合図と同じ動きをしていた女官が、父親の件で何か知っているかもしれないと掌楽院で働きながら探していた。ある日上司から届け物をするよう命じられ、楽器作りの現場へ行った時、偶然にもあの手の合図をした女が落とした蝶の飾りと同じ絵のデザイン画を見つけた。急いでそれを描いた人物を見つけ話を聞くと、チャン尚宮の物だという事がわかった。トンイは何とかチャン尚宮があの時の女官かどうか調べるために、部屋に侵入したり直接会いに行ったりするが中々手掛かりをつかめずにいた。そんな時、チャン尚宮の部屋の覗いていたトンイは怪しい者だと捕まってしまい、納屋に閉じ込められてしまう。目隠しを何とか取るとそこには男の死体が転がっていた。この男、トンイが掌楽院で倉庫を整理している時に入ってきた男だったのだ。チャン尚宮が宮廷に入った時の宴で、掌楽院の演奏時に不吉と言われる音変が起こったのだが、この男が何か関わっているのではないかとトンイは考えた。トンイはとりあえずそこから逃げ出し兵士に死体があると告げるが、戻ってみると死体は消え何事も無かったようになっていた。後日トンイは怪しい男たちが死体のそばにあった塩石と同じ物を持っている事に気づき、調べるために小屋に侵入する。同じ時、粛宗(スクチョン)も死体があった所を調べようとトンイが居た小屋へ入ってきた。すると外で何者かに兵が襲われ争いが始まる。咄嗟に隠れた先でトンイと出くわし二人で隙を見て逃げるが追手によって囲まれてしまった。粛宗はその前に王宮に使いを走らせ兵を呼ぶよう命じていたため二人とも事なきを得る。この時粛宗は極秘で偵察に来ていた為、漢城府(ハンソンブ)の判官(パンガン)だとトンイに言い、本当の身分を伏せた。
音変が意図された事で、それを起こした実行犯につながる塩石をトンイが粛宗と共に発見し、チャン尚宮が宮廷に来たせいだとされていた事件は解決した。トンイの活躍を聞いたチャン尚宮は、直々に会って礼がしたいとトンイを呼び出す。自分の名誉が晴れ一つだけ頼みを聞くというと、トンイは「飾りを見せてほしい」と頼む。しかし昔見た物とは違っており落胆するが、チャン尚宮はトンイが賢い為偉く気に入り、素性を調べて欲しいと女官に頼むのであった。その後一連の事件が粛宗の母親大妃(テビ)の仕業と分かり、チャン尚宮は証拠を持って大妃の部屋へ向かう。大妃は、賤民の出のチャン尚宮が宮に入ることを反対していた為様々な嫌がらせをしたが、チャン尚宮は証拠を見せ今回の事は黙っていると遠回しに大妃を脅したのだった。ある日トンイはユン氏(チャン尚宮の母)に使いを頼まれ、薬を届けるよう命ぜられる。宮廷への薬の持ち込みは本来禁止されているが、強い頼みとあって断れなかった。チャン尚宮はこれを拒否しすぐに処分するように言う。しかし、薬を処方した医師が殺される事件が起き、運び役になったトンイは取り調べを受ける事になってしまう。チャン尚宮に薬を届けた事がバレてしまうと困ると思ったトンイは、咄嗟に楽師が使う薬と嘘をついた。チャン尚宮達はトンイがうまくかわしてくれたと喜んでいたが、その様子を大妃の女官が見つけ監察府にチャン尚宮が薬を持ち込んだとタレコミされてしまう。実は数日前に仁顯王妃(イニョンおうひ)が飲む薬を事前に調べた際に、銀の箸が黒く変色する事件が起き、毒が盛られたのではないかと騒ぎになっていた。大妃はこれをチャン尚宮の仕業にしようと企んだのだ。トンイは監察府に薬剤を持ち込んだ罪で拘束されてしまう。監察府は楽師でトンイから薬を受け取ったものはいない所まで調べており、誰に渡したのかと問い詰めていた。ずっと黙ったままのトンイだったが、ついに拷問がされようとしたその時、チャン尚宮自ら私に薬を届けたのだと出てきた。トンイは解放されたものの、王妃殺害未遂の犯人にされてしまう。トンイはその誤解を解くため死んだ医官の死体を検死し、ソヨンギに証拠を提示する。王自らもそれを確認し、チャン尚宮の罪は晴れたのだった。そしてチャン尚宮は王に、トンイをもっと上の位にして欲しいと頼み、王命により宮廷の女官監察府所属となったのだった。

監察府から承恩尚宮へ

監察府に入り他の女官から良く思われないトンイ

チャン尚宮の推薦により監察府に入ったトンイだったが、周りからはまったく歓迎されなかった。そんな時、もうすぐ女官の試験がある事がわかり、トンイも試験を受けるように言われる。しかし、試験の内容はまったく習っていない物だった。トンイは再試をお願いするが、できないと拒否され、試験に落ちた者はここから出て行けと言われてしまう。監察府を仕切るユ尚宮の狙いはこれだったのだ。なんとか試験が受けれないかと書庫を調べると、今回の試験が監察府の規則とは違反していた事が分かり直談判しに行くが、それでも拒否されてしまう。そんな噂を聞きつけた王妃が、監察府へ訪問し激怒。なんとか再試をしてもらいトンイは無事合格、監察府に残ることができた。しばらくして清国からの使節団が来るが、不審な動きが見られるとの噂があった為、監察府が世話係に扮して潜入することになった。だが、何者かが潜入していることを清国に密告したせいでバレてしまう。トンイは怪しい紙を見つけており、あれが何かの手がかりかもしれないと、掌楽院に紛れて再び潜入する。しかし再びバレてしまい、追われている時に判官に出会い助けを求めた。すると側近に「王様に対して無礼だ」と言われ、今まで判官と思って接していた人が粛宗だと分かったのである。トンイは粛宗の行動により証拠を持ち帰り捕らわれる事は免れた。清国の問題も解決し、チャン尚宮が粛宗より正式に側室になると告げられた。チャン尚宮はこの時粛宗の子を妊娠しており、のちに禧嬪(ヒビン)となったのだ。王子が生まれてしばらくすると、大妃の様態が突然悪化し始めた。仁顯王妃は監察府に内密に調べて欲しいと依頼しトンイたちが調べると、禧嬪が知らないところで兄チャン・ヒジェが大妃の薬に混ぜ物をしていたのだった。しかし、調べれば調べるほど仁顯王妃に不利な証拠ばかり出てきて、ついには王妃の座をおろされ宮殿を追放されてしまう。そして、禧嬪は新たに王妃の座についたのだ。トンイはなんとか仁顯王妃の無実を証明したく、証拠を集めようと忍び込んだ先で火事にあいその罪を着せられてしまった。死に物狂いでその場から逃げ出したトンイだったが、チャン・ヒジェの刺客によって殺されかける。そんなトンイがたどり着いた先は平壌だった。都に帰る術を探していたが中々帰れない中、別用できたチャン・ヒジェに見つかりまたも危機に晒される。そこで出会ったシム・ウンテクのおかげで都に帰る事ができ、無事粛宗に会えたトンイだった。そしてトンイの事が好きだという気持ちに気づいた粛宗は、トンイを守る為女官の中で一番位の高い承恩尚宮(スウォンサングン)として宮殿に呼び戻したのだった。

宮廷からの追放

オ・テソクはトンイを陥れるため宮廷に入る前の事を調べ始めるが、一切の情報がない。王妃はトンイを調べるためにあえて側室にすると言い出した。トンイは何か裏があると思い王妃に聞くが答えない。ただ、側室になる為には、自分の親と出生の書類が必要だという。調べても出てこない事を怪しく思った王妃は、本人から出させるよう仕向けたのだ。トンイの父チェ・ヒョウォンは剣契の頭。その娘だという事がバレたらただでは済まない。唯一知っているチョンスに相談すると、偽装した書類を取りに行ってくれていた。だがその前に、ソヨンギにトンイが剣契の娘だという事がバレてしまった。ソヨンギは「国が裁くことだ」と冷たく言い放つが、チョンスはすべての経緯を話し、どうかトンイを守ってほしいと伝える。トンイは自ら粛宗に秘密を話そうとしたとき、ソヨンギがチョンスから預かった書類と共に現れ、「トンイは剣契によって逃げた奴婢。それをずっと悩んでいました」と嘘をつき守ったのだった。
王妃は自分の息子を世子にする為には清国の同意が必要とされ、チャン・ヒジェが裏で使節団と取引に向かうが、シム・ウンテクやトンイたちの働きにより王妃率いる南人の悪事が明るみになった。今回ばかりは粛宗も黙っておらず、王妃は禧嬪に降格させられてチャン・ヒジェは流刑になり、南人の重臣たちも地位をはく奪された。それと同時に前仁顯王妃の無実が証明され、宮廷に帰ってくることができた。トンイはこの功績を称えられ、承恩尚宮から正式な側室、淑媛(スグォン)になった。それと同時に懐妊し無事に男の子が生まれたが、この事を面白く思わない禧嬪は、トンイに敵意をむき出しにする。その頃チャン・ムヨルという男が都にやってきた。実は一番最初に殺された大司憲の息子である。ムヨルは自分の父親を殺したのはオ・テソクだと知っており、それでも使えるものは使おうとする冷酷な人間だった。宮廷内でも淑媛より禧嬪についた方が賢明だと判断し、トンイを追い詰めていく。そして事件は起こった。巷で両班が殺される事件が相次いだが、剣契の仕業とされていた。剣契は昔に解体したはずだったが、トンイの幼馴染ケドラが復活させていた。それを知ったチョンス、トンイ、ソヨンギたちは何とか食い止めようとするが、これもまた罠に嵌められケドラを逃がそうとしたトンイ共に捕まってしまう。そして、トンイは粛宗に自ら剣契の娘だと伝えたのだ。それでも粛宗はトンイを守ろうとするが、民からも批判され、宮廷内でもまったく指示されなくなっていく。そんな時、トンイが生んだ王子が麻疹にかかり命を落としてしまった。悲しみにくれる中、トンイは粛宗に「もう終わりにしてほしい」と告げる。粛宗もその言葉を汲み、トンイを側室の名と地位だけ残したまま権利をはく奪し宮廷から追放した。チョンスは身分を偽ったとして孤島に流刑されることになった。粛宗は二度とトンイには会わないと宣言した。

王妃の死と禧嬪の死

禧嬪が服毒し命を落とすシーン

宮廷から追放されたトンイは、自分についていくと言ってくれたポン尚宮、エジョンと共に暮らしていた。そんなある日、泥酔した粛宗がトンイに話があると訪れ今の気持ちを伝える。翌朝粛宗は、二度とここには来ないと宣言しトンイの家を後にした。時が過ぎ突然吐き気に襲われたトンイ。あの時に粛宗の子を身ごもっていた。無事王子が生まれた事を知った粛宗は、ソヨンギに一通の手紙を託す。そこには生まれた王子の名前が書かれており「クム」と名付けられた。そして6年後。宮廷では禧嬪の息子、世子が宴中に倒れ、医官の話では世継ぎができない体かもしれないと告げられる。禧嬪は「絶対に知られてはいけない。知られたら世子の立場が危ういものとなってしまう」と思い、兄以外には秘密にしたのだった。宮廷外から薬を取り寄せ世子に飲ませ様々な治療を行うも、なかなか良くならない。しかし、本来世子は決められた医官が診るはずだが、違う医官に診てもらっている事を不思議に思った王妃はひそかに探り始める。そして、世子が世継ぎができない体だという事を知ったのだ。これが事実なら、国を揺るがす大問題になる。一方で、クムはどんどん成長しており、塾内でも他の子どもよりずば抜ける才を持っていた。ゆえに周りからいじめられていたが、偶然視察中の粛宗と出会い、自分は王子だと話す。粛宗は初めて会うクムに嬉しく思い、漢城府の判官と名乗り一緒に遊んだりしたのだった。一方で、トンイとクムの存在を疎ましく思う禧嬪の母は、刺客を雇いトンイたちの家を放火する事件が起こった。粛宗はそれを知り急いでトンイたちの元へ向かい「宮廷に戻ってこい」と告げる。宮廷の役人たちは猛反対するが、「7歳と言えば宗学に入学し王室の教育を受ける年齢だ」と、掟にしたがいクムに王族の教育を受けさせると説明した。粛宗はこの時を待っていたのだ。そして、クムを王子に、トンイを淑儀の地位にすると告げた。一方で、王妃は世子が世継ぎができない事を隠していると知ると、禧嬪に「自分で王様に告げよ」と言った。その後王妃は病で倒れてしまう。それを知ったヒジェと母親は、有名な巫女の所に行き、王妃の呪詛を頼んだのだ。人形と木の札を燃やし王妃の家の近くで呪詛を行ったが、菖蒲を探していたクムがその痕跡を見つけたのだった。王妃はそのまま息を引き取り、禧嬪は自分が王妃になると思っていた。しかし、世子は粛宗に「自分は世継ぎができない体だ、だから世子にはふさわしくない」と告白する。それを知った禧嬪はトンイを追い詰める為、殺害計画をヒジェと共に実行するのだった。結局これも失敗に終わり、全てを知った粛宗はヒジェ、母親、これに関わった人を死罪にし、禧嬪も服毒刑に処した。

新しい王妃とトンイの旅立ち

粛宗はトンイに王妃の座について欲しいと話すが、自分は賤民の出なので王妃にはふさわしくないと話す。周りの重臣たちもさすがに賤民の出の王妃はだめだという事になり、新しく王妃を迎え入れる事になった。新しい王妃はトンイの噂を知っており、初対面のトンイに対して、これからは王妃として宮廷を正していくと宣戦布告したのだった。そして、着任早々、クムの婚姻の話を進めるとトンイに伝えた。トンイはクムには早すぎると拒むが、粛宗も同じ歳の時には婚姻したから、早いことは無いと言う。宮廷では世子以外の王子は婚礼をあげると出ていかなくてはいけないという掟があり、王妃はクムを宮廷から追い出そうとしていたのだ。トンイは、だったら相手は私に選ばせてほしいと頼みクムの相手探しが始まった。宮廷から出るなら、強い後ろ盾が必要だろうと名だたる名家が挙げられたが、トンイが選んだ相手は全く知らない男の娘であった。だがこの家はクムの先生、雲鶴(ウナク)の弟子の家であり、さらにこの土地には王気が流れているという民の噂があった。ムヨルはそんな迷信真に受ける必要はないと話すが、南人の重臣たちは、民の声を無視はできないと悩む。粛宗にも掟として婚礼をあげるなら出ていくべきだと話すが、裏でチョンスに脅されたムヨルが粛宗の味方をし、クムは何とか出ていかなくてもよくなったのだ。粛宗はトンイが世子とクムを大事にしている思いや、宮廷にいることで危険な目に合わせている事など悩んでおり、ある一つの決断をする。それは、世子に王の座を譲る事だった。そうすることで、クムは世子の弟なので世弟となる。そして粛宗は宮廷を出て、トンイと新しい家で生活をと考えていた。その為、トンイにも内容は伝えず、宮廷を出て新しい家に行って欲しいと頼む。トンイはきっと何か考えがあっての事だと承諾するが、真相を知ったムヨルは何とか阻止しようと世子を襲わせトンイたち罪をなすりつけようとする。さらに、王妃にトンイが世子を狙っていると嘘の話を吹き込み、捕らえるように指示をして欲しいと頼む。ただトンイも粛宗の考えを伝え信じて欲しいと頼むが、どちらの意見が本当なのか悩む王妃だった。そして、王妃が出した結論はムヨルを捕らえトンイの話を信じたのだった。残りのムヨルと組んでいた重臣たちも捕まえられ、粛宗はムヨルと側近を打ち首にし、加担した重臣たちを流刑ののち毒薬の刑に処した。これでトンイとクムは命を狙われる事はなくなったのだ。そして、世子とクム、朝廷を守る為王の座を退くと発表した。だが、世子もトンイも重臣たちもすべての人々が大反対し、それでも聞く耳を持たない粛宗にトンイは王妃に相談しに行く。すると王妃は「クムを私の養子にさせて欲しい」と提案してきた。そうすれば、世子が王位の座についた時、王妃の子としてクムは世弟になれるのだ。王妃は粛宗にも話をし、そうすれば、王位も退位せずとも世子もクムも守れると言う。
そしてトンイは、クムが王妃を母として慕うよう、王妃に対して誠意をしめす為にも宮廷を出ていくと決めたのだ。粛宗は止めるが、決意は固かった。トンイは宮廷を離れ、賤民の為に自分ができる事をしたいと悩み相談したり、自ら死体を調べたりして賤民たちの為に働いて暮らしていたのだった。

『トンイ』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

トンイ(演:ハン・ヒョジュ) / 幼少期:キム・ユジョン

(声:加藤忍)/幼少期(声:矢島晶子)
剣契の娘として生まれ育つ。正義感あふれる性格だがそのせいでトラブルも多い。父チェ・ヒョウォンを無実の罪で殺された為、都に残り真相を追っている。その後、宮廷に入り奴婢から女官、そして粛宗に愛され側室になった。クム(のちの李氏朝鮮時代の21代国王:英祖)を産む。貧しい民の為に奉仕する姿をクムに見せたいと、宮廷を離れ民の為に働く。

スクチョン(演:チ・ジニ)

roki_rokiko8
roki_rokiko8
@roki_rokiko8

Related Articles関連記事

宮廷女官チャングムの誓い(韓国ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

宮廷女官チャングムの誓い(韓国ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『宮廷女官チャングムの誓い』とは、2003年9月から2004年3月まで韓国MBCで放送された、実在の医女「長今(チャングム)」が医女として最高の地位を獲得するまでを描いた歴史ドラマである。日本ではNHKで2005年に吹き替え版が放送されていた。舞台は、日本では室町時代にあたる16世紀はじめ朝鮮王朝時代の宮廷。モデルは、実在の人物である医女「長今(チャングム)」。彼女の壮絶な生い立ちと、様々な陰謀取り巻く宮廷の中で強く生き続ける姿、料理人を経て医女として上り詰めるまでの波瀾万丈な人生を描いた作品。

Read Article

ビューティー・インサイド(韓国映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ビューティー・インサイド(韓国映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ビューティー・インサイド』とは、2013年カンヌ国際広告祭グランプリを受賞した原案『The Beauty Inside』を映画にした作品である。毎日目が覚めると別人に変わってしまう男が、ハン・ヒョジュが演じるホン・イスに恋をしてしまったファンタジーロマンス。毎日顔が変わっても1人の女性を愛する心は変わらない男・ウジンとホン・イスが、愛し合う故に立ちはだかる困難をどう乗り越えるのかをうまく表現した映画である。

Read Article

ラブレイン(韓国ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ラブレイン(韓国ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ラブレイン』とは、70年代と現代の2つの舞台に、2代続くラブストーリーを描いたドラマである。1970年、イナとユニは大学時代に出会い恋したがその想いを成就させることはできなかった。そして、現代になりイナの息子のジュンとユニの娘のハナが出会い、お互いに恋に落ちた。主演の俳優チャン・グンソクがイナとジュンの二役を演じ、ヒロインは”少女時代”のユナがユニとハナの二役を演じた。韓流ドラマの傑作『冬のソナタ』から10年、ユン・ソクホ監督とオ・スヨン作家が再びタッグを組んだことで韓国でも話題を呼んだ。

Read Article

目次 - Contents