名探偵コナン 警察学校編（Wild Police Story）のネタバレ解説・考察まとめ

上巻第3話のシーン。拳銃訓練を終えた後、実弾が1発返却されていない事が発覚する。弾をくすねた犯人を捜している最中、屋根の補修工事の作業確認を頼まれた鬼塚は、突如落下してきた作業員を助けようとした際に命綱が首に巻き付いてしまう。降谷達5人は鬼塚を助けるために、それぞれ行動を起こす。土台となった伊達の上に諸伏が乗り、宙ぶらりんになっている作業員の背中を支える事で、多少ではあるが鬼塚へのダメージを減らした。萩原は「弾、こんな所に落ちてんじゃんか！」とハッタリを言い、持ち前の洞察力で周囲の反応を見て、弾をくすねた人物を特定する。松田は分解したままだった拳銃を組み立てただけではなく、故障していた部分を直した完璧な状態にして降谷に渡す。降谷は萩原から受け取った弾を拳銃に込め、綱目掛けて発砲した。その1発は見事に命中し、綱が切れて鬼塚を助け出す事が出来た。これが5人共同で解決した最初の事件で、今後彼らにとってかけがえのないものとなる「絆」が芽生えた瞬間だった。

父親を尊敬し直す伊達

上巻第6話のシーン。「誰よりも強くなければ、正義は遂行出来ない」と強さを求める伊達。原因は、かつて交番勤務の巡査長を務めていた父親だった。幼い頃の伊達は父親を尊敬していたが、父親と行った先で遭遇したコンビニ強盗に対し、土下座して懇願する父親の情けない姿を見る。その上、犯人は父親が警察官だと知ると、パトカーのサイレンの音が聞こえて逃げるまで父親の体に何度も木刀を振り下ろし続けた。父親は1年間入院する事になり、その怪我が元で警察官を辞める事になった。後に知った事だが、その事件は縄張り抗争に負けた暴力団員が逃亡資金欲しさに起こした犯行で、その後も違う店で傷害事件を起こしていた。父親が強くてあの犯人を捕まえていたら、被害者を1人も出す事なく正義は遂行されたのではないかと考えるようになった伊達は、強さを追い求めるようになった。

降谷と伊達がコンビニで買い物をしていると、ライフルを持った強盗が店内に現れた。降谷と伊達は他の客達と共に奥の部屋に閉じ込められるが、降谷の機転により松田・萩原・諸伏が、警察学校の学生を大人数連れて助けに来る。伊達の父親が関与したコンビニ強盗事件の現場にいた萩原は、父親と同じように大勢の仲間の力を借りたのだと説明する。伊達の父親は近くの車に犯人の仲間が大勢潜んでいる事に気付き、万が一立て籠もられたら客達に危害が加わるかもしれないと考え、警察に通報して仲間が駆けつけるまで店先で足止めしていたのだ。それを聞いて父親を尊敬し直した伊達は、父親に「会わせたい女性がいる」と電話する。「いい警察官になれそうか？」と父親に聞かれた伊達は、父親と同じように爪楊枝を咥えながら「ああ…親父には負けるがな」と答えた。伊達と父親の間にあった蟠りが解けるきっかけとなった事件だった。

松田 陣平「俺には元々…アクセルしか付いてねぇからよ！」

下巻第8話に登場するセリフ。機動隊の爆発物処理班にスカウトされた松田と萩原。父親が経営していた車の修理工場が、店舗を増やした途端に景気が悪くなって倒産してしまった過去がある萩原は、順調に事が進むと自身にブレーキをかけてしまう癖が付いていた。迷わず爆発物処理班に行く事を決めた松田に、「お前は怖くねぇのか？」と萩原は聞く。松田は怖くないと言ったら嘘になるという言葉に続けて、「俺には元々…アクセルしか付いてねぇからよ！」と不敵な笑みを見せた。この言葉は常に臆する事なく前へと突き進む松田らしいセリフであるのと同時に、後に街中を暴走するトラックを止めるヒントとなり、ブレーキをかけてしまう萩原の背中を押して爆発物処理班へ行く決意をさせた。

萩原のドライブテクニック

下巻第9話のシーン。鬼塚の車で、トラックが老夫婦の車を引き摺って暴走している現場に駆け付けた降谷・松田・萩原。トラックに車をぶつけて止めようと試みるが、重量が違いすぎてびくともしない。松田は運転している萩原に「アレできるか？」と問うと、萩原は不敵に笑み「上等…」と答える。何をするのかと焦る降谷を横目に、萩原は片輪走行しながらパトランプを窓から投げ、パトランプを踏んで老夫婦の車の上を宙返りしたのだ。降谷と松田はドアから老夫婦の車に乗り移ると、松田は車のバンパーを外し、降谷はトラックの運転手の元へと向かう。車をトラックと引き離す事は成功したが、トラックが走る先の高速道路は工事中で道が途切れていた。トラックの運転席に移動した降谷に、萩原はアクセルを踏むよう指示する。トラックのフロント部分が途切れている道路にぶつかり打ち上げられるが、降谷は無事トラックの運転手を救出した。勢いとスリルのあるシーンであるのと同時に、萩原のドライブテクニックがあったからこそトラックの運転手と老夫婦を救えたのだった。

松田 陣平・伊達 航・萩原 研二「死なねぇよ！！！」

下巻第10話に登場するセリフ。15年前に両親を殺害した犯人を捜す中、諸伏は子供の頃によく遊んでいた女の子に似ている女児が誘拐された事を知り、15年前の事件と関係があるのではないかと考える。諸伏の反応に疑問を持った降谷達は話を聞こうとするが、誰も巻き込みたくない、また誰か死んでしまうかもしれないと諸伏は話す事を拒否する。そんな彼に松田・伊達・萩原は「死なねぇよ！！！」と力強く宣言する。これまで散々危ない橋を渡ってきたが、その度に5人で乗り越えてきた事を思い出し、事件について口を閉ざしていた諸伏は話す決意をした。何が待っていようと仲間の為に力を貸す事を臆さない姿から、5人の強い絆が再確認できるワンシーンである。

諸伏が教場旗に飛び込むシーン

下巻第12話のシーン。両親を殺害した犯人を捜すために警察学校に入校した諸伏は、降谷達の力を借りて情報を集めた末、クリーニング店を営む外守が真犯人である事を突き止める。自宅を訪れると爆弾が仕組まれており、外守が誘拐した娘の有里に似た少女と心中しようとしていた。降谷は松田の指示を仰ぎながら爆弾を解体し、諸伏は外守の身柄を確保する。外守を連れて外へ出ようとした所で、2階にも仕組まれていた爆弾が爆発する。火の中へ飛び込む外守を追って諸伏も駆け出し、引き留める降谷達に「表！！桜！！！」と叫ぶ。外守と共に2階の窓から飛び降りた諸伏の先には、桜がデザインされている教場旗を広げて待っている降谷達がいた。そこに飛び込み、死なせてくれと涙を流す外守に対して、諸伏は「そいつは無理ですよ…ちゃんと罪を償ってもらうまではね…」と答えた。諸伏が仲間達を、自らの命を預ける程心から信頼している事が窺えるシーンである。

4人の思いを背負う降谷

下巻最終話のシーン。警察学校卒業後、それぞれの配属先で誇りと使命感を持って働いていた5人。降谷以外の4人は死亡してしまったが、降谷の言葉等から仲間達の面影が見える。降谷は某組織を探るために、「安室 透」という偽名を使って潜入捜査をしている。組織の人間「RUM」から連絡を受けた降谷は、車で移動する際に今は亡き仲間達の顔を思い浮かべ、組織の元へと向かったのだった。降谷にとって仲間達の存在が自身に多大な影響を与え、心の支えになっている事が読み取れるシーンである。

『名探偵コナン 警察学校編（Wild Police Story）』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

松田が初めて分解した物は扇風機

上巻の巻末にある『青山剛昌先生へ56の質問』のコーナーで、松田が初めて分解した物は扇風機だと記載されている。ちなみに、今までに分解して一番怒られた物は萩原の姉の携帯だと、同コーナーで語られている。

松田の初恋の相手は萩原の姉