スパンダム（ONE PIECE）の徹底解説・考察まとめ

スパンダムの概要

スパンダムとは、『ONE PIECE（ワンピース）』の登場人物。「CP（サイファーポール）」と呼ばれる世界政府の諜報機関に所属している。

エニエス・ロビー編で初登場したキャラクターで、「CP」の中で唯一”殺し”が認められている幻の9番目の組織「CP9（シーピーナイン）」の司令長官として登場した。しかし政府の重要機関の長とは思えないほどマヌケな性格であり、部下である「CP9」からは完全に見下されている。自らの出世のためなら、どんな卑劣な手も厭わない卑怯な性格でもあり、とんでもなく小物臭がするキャラクター。過去には「CP5（シーピーファイブ）」の主管を務めるなど、長く「CP」に所属して活動しているが、それらは全て前「CP9」司令長官である父親スパンダインの権力があってのものだ。スパンダム自身には全く戦闘能力はない。武器は、悪魔の実「ゾウゾウの実」を食べた剣「象剣ファンクフリード」という少し良さそうなものを持っている。

主人公モンキー・D・ルフィ率いる麦わら海賊団らが、ニコ・ロビンやフランキー／カティ・フラムを助けにエニエス・ロビーにやってきた際は、馬鹿な奴らだと嘲笑していたが、自身にルフィ達が迫ってくるに連れてみっともないぐらい取り乱し、慌てた様子を見せる。そしてルフィ達にロビンとフランキーを連れて逃げられたという大失態を犯した時は、その失態を部下である「CP9」の他のメンバーに押し付けた。しかしロブ・ルッチ達「CP9」のメンバーは海軍から追われる身になるが、無事に逃げ果せる。スパンダムはルッチ達が自分に復讐しに来るのではないかと恐れ、父親であるスパンダインにルッチ達の暗殺を相談するが失敗に終わっている。

新世界編では、どういうわけか「CP」の中でも最上級機関「CP-0／サイファーポール”イージス”ゼロ」の諜報員になっていた。エニエス・ロビーでの失態を不問とされた元「CP9」のメンバーの一部も「CP-0」に昇格しており、元部下と同僚という構図になっている。ルッチに対しては「ダンナ」と呼ぶなど、あからさまに下手に出る様子も描かれた。ルッチらと共に今後の期待がされる中、2016年7月に公開された劇場版映画『ONE PIECE FILM GOLD（ワンピース フィルム ゴールド）』に登場。劇場版オリジナルキャラクターであるギルド・テゾーロに小物扱いされるなど、相変わらずの無能さを発揮していた。

スパンダムのプロフィール・人物像

本名：スパンダム
年齢：39歳 → 41歳
身長：192cm
所属：CP5主管 → CP9司令長官 → CP-AIGIS0諜報部員
出身地：偉大なる航路
誕生日：3月11日（パンダ発見の日）
星座：うお座
血液型：XF型
好物：ウィスキー、高級ビーフステーキ

CV：小野坂昌也

薄紫色のウェーブのかかった髪をした男性。肌は色白。目の周りにパンダのような黒い目元と鼻が特徴的である。「CP5」主管をしていた時に、フランキー／カティ・フラムに顔面を思い切り猟銃で殴りつけられた結果、鼻が完治不可能なレベルでひん曲がってしまい、以降は革製の保護マスクをしている。エニエス・ロビー編では、黒を基調とした服を着用していたが、新世界編で所属が「CP-0／サイファーポール”イージス”ゼロ」に変わり、「CP9」時代とは対照的な真っ白な服に身を包んでいる。

性格は、卑怯、卑劣、姑息と、ともかく小物キャラクターの代表的な性格を全て詰め込んだような最悪な性格をしている。自身の出世のためならば、どんな卑劣な手を使うことも厭わず、自分より遥かに強くて役に立つ部下でも使い捨てのコマ程度にしか思っていない。とんでもなく歪んだ性格のクセに自身が世界政府という正義の組織に所属していることから、正義である自分は何をしても許されると思っている節がある。捕まえた麦わら海賊団の考古学者ニコ・ロビンを罪人だと蔑み、ロビンの心の傷を抉るような罵声を浴びせ、酷い暴力を振るった。

非常にマヌケな性格でもあり、うっかりドジを連発するなどコミカルに描かれているが、総合的に見て最悪のさらに上を行くレベルに最悪な性格をしている。

スパンダムの武器

象剣ファンクフリード

スパンダムは、「象剣ファンクフリード」という武器を所持している。これは剣が悪魔の実「ゾウゾウの実」を食べたものであり、柄の辺りに象の牙のような飾りがある。普段は象の姿で部屋に放し飼いをしており、有事の際は姿を剣に替えた状態でスパンダムが持ち歩く。象の姿で戦う際は鼻が剣に変化する。それなりに扱いに慣れており、「CP9」のメンバーであれば誰もが体得している、人体を極限まで鍛え上げて、自らの体を武器に匹敵させる究極の体術「六式（ろくしき）」は使えないものの、この「象剣ファンクフリード」のおかげで、それなりに戦うことができるようである。

スパンダムの必殺技

象牙突進（アイボリーダート）

剣の状態で振り下ろし、刀身を象に戻して突進させる技。エニエス・ロビーでニコ・ロビンに使用した。

エレファント・チョップ

剣の状態で振り下ろし、ファンクフリードの鼻の剣で相手に斬りかかる技。エニエス・ロビーでニコ・ロビンに使用された。

スパンダムの来歴・活躍

過去

新世界編から10年前。当時「CP5」の主管だったスパンダムは、偉大なる航路（グランドライン）にある水の都ウォーターセブンの伝説の船大工トムが持つという古代兵器「プルトン」の設計図を手に入れ、「プルトン」を復活させて世界政府の戦力とするべきだと五老星に進言をした。そして設計図を手に入れるために部下を引き連れ、ウォーターセブンにやってきた。

その時のウォーターセブンは、海面を浮かぶ線路の上を走る夢の交通手段・海列車が完成したことで活気づいていた。海賊王ゴール・D・ロジャーの船を造ったという罪に問われていたトムは、この海列車の開発成功という功績と引き換えに、無罪となるはずだった。スパンダムはこのままではトムを取り調べできなくなると考え、トムの弟子であるフランキー／カティ・フラムが造っていた戦艦を利用して司法船を攻撃。その罪をフランキーやトム達になすりつけた。トムは海列車の功績を使って、この日の司法船襲撃の一件を不問にしてもらう。ロジャーの協力者という罪が残ったトムは、スパンダムの思惑通り逮捕されることとなった。その時、一件に激昂したフランキーにスパンダムは猟銃で酷く殴られる。このせいで鼻は完治不可能なほどにひん曲がり、以降、革製の保護マスクをつけるようになった。スパンダムはトムの逮捕に成功したが、トムは逮捕される前に「プルトン」の設計図を、一番弟子のアイスバーグに託していた。スパンダムは「プルトン」の設計図の入手に失敗したのだ。

しかしスパンダムは「プルトン」の設計図入手を諦めていなかった。父親スパンダインの権力で「CP9」の司令長官になった後も、ロブ・ルッチ達をウォーターセブンに潜入させて、設計図の入手の機会を虎視眈々と狙い続けるのだった。

偉大なる航路（グランドライン）編

エニエス・ロビー

ウォーターセブンに5年という長い年月潜入していたロブ・ルッチ達が、主人公モンキー・D・ルフィ率いる麦わら海賊団の考古学者ニコ・ロビンと、伝説の船大工トムの弟子フランキー／カティ・フラムを連れてエニエス・ロビーに帰還した。「CP9」の司令長官であるスパンダムは、ルッチ達の功績を称え、自身の今後の出世について期待を膨らませる。エニエス・ロビーは長年何者の侵入を許したことがない世界政府の施設であり、スパンダムは侵入者がやってくることなど想像もしていなかった。

しかしスパンダムの予想を裏切り、ルフィ達がロビンやフランキーを取り返そうとやってきた。その報告を受けた時、スパンダムは鼻で笑ってしまった。ルフィ達のことを命知らずだと馬鹿にして、ロビンに希望を持つなと暴言を吐く。そこからしばらく侵入者の報告はなかったので、スパンダムは安心していた。しかしそれは報告がなかったのではなく、スパンダムがいつものクセで受話器を上げっぱなしにしていて報告を受け取れないだけだった。スパンダムが余裕を見せている間にルフィ達はどんどんとロビンのいるスパンダムの部屋に近づいてくる。そして谷を挟んですぐそばまでルフィ達がやってきた。スパンダムはそれに大いに動揺したが、「CP9」という強力なエージェントを部下に持っていることで、まだ幾分かの余裕があった。強気にスパンダムは発言するが、そんなこと意にも介さずルフィは世界政府の旗をウソップ／そげキングに撃ち抜かせて世界政府に宣戦布告した。スパンダムはそれを見て悲鳴を上げ、すぐさまロビンを連行する準備を始める。

その道中、スパンダムは電伝虫と間違って当時海軍本部大将だった青キジ／クザンに託されたゴールデン電伝虫のスイッチを押してしまった。ゴールデン電伝虫は、「バスタコール」の発動の合図である。スパンダムがうっかり「バスターコール」を発動させたことで、エニエス・ロビーは海軍の軍艦から集中砲撃を浴びることになってしまった。混乱の中でもルフィ達麦わら海賊団は諦めずにロビンを追いかける。そしてロビンの力を封じていた海楼石の枷をついに外すことができた。解放されたロビンは、スパンダムに悪魔の実「ハナハナの実」の能力を使って関節技を決める。それによってスパンダムは戦闘不能になった。

エニエス・ロビーを襲撃したルフィ達は奪われたものを全て取り戻してエニエス・ロビーを脱出。スパンダムは「バスターコール」を使ったにも関わらず、ロビン達に逃げられるという大失態を犯すのだった。

扉絵連載「CP9の任務外報告」