超時空騎団サザンクロス(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『超時空騎団サザンクロス』とは、タツノコプロが製作し1984年4月15日から9月30日にかけて放映されたSFロボットアニメである。時は人類が宇宙に進出した遥か未来。テラフォーミングが進む惑星グロリエを舞台に、突如現れた謎の異星人「ゾル」と開拓惑星軍「サザンクロス軍」の戦い、そしてサザンクロス軍に所属する3人の女性軍人達の物語が描かれる。「女性が主人公のロボットアニメ」の先駆け的作品であり、独特な設定のゾル人や様々な謎、主人公側と異星人側の恋愛模様などが交錯していく。

マリー「任務完遂まで死ぬ訳にはいかないんだ。宇宙ではね、1秒の差が死に通じるんだよ。これが宇宙戦。これが宇宙なのさ。観光旅行しているんじゃないのよ、ジャンヌ」

第3話「スター・エンゼル」より。
少尉に就任したジャンヌの初任務は、宇宙機甲隊に所属するマリーと共に母星リベルテへ援護要請に向かう宇宙船の護衛をすることだった。しかしジャンヌは「戦闘用宇宙船に乗ってみたかった」という単純な理由で志願し、船内でもファッション雑誌を持ち込むなど呑気かつマイペースさを発揮する。だが、そこへゾル人の艦隊が現れて宇宙船を襲撃してくる。目の前で次々と撃墜されていく味方達にジャンヌは激しいショックを受けて怯えてしまい、うまく指揮を出せなくなってしまう。
その一方、マリーはテキパキと指示を飛ばしながら「任務完遂まで死ぬ訳にはいかないんだ。宇宙ではね、1秒の差が死に通じるんだよ。これが宇宙戦。これが宇宙なのさ。観光旅行しているんじゃないのよ、ジャンヌ」とジャンヌに宇宙戦の過酷さを説く。普段はジャンヌを馬鹿にする発言が目立つマリーだが、このセリフには彼女が常に死と隣り合わせの日々を送り、過酷な戦闘を繰り広げる戦士であることがよく分かる。マリーの叱咤を受けたジャンヌは戦闘を甘く見ていた自分を改めて認識し、軍人として成長を見せていくようになる。

感情が蘇りつつあるムジカ

第14話「アイアン・レディー」より。
第7話「ラビリンス」で運命の出会いを果たしたボウイとムジカ。それからボウイはムジカが忘れられず、彼女から教わったゾルの音楽をピアノで再現するなど彼女を想うようになる。それはムジカも同じで、彼女もまたボウイを思慕していた。ボウイを忘れられないムジカは、上層部が取り決めた許嫁のファイダ達から求婚を受けるが「個人」としての感情に芽生えたことで拒絶する。その時、ボウイを愛している気持ちを自覚したムジカは彼を思い涙を流した。物語の上では敵であるゾル人のムジカが、愛情を知ってしまったために苦しみ、それでも想いを捨てられずに葛藤する姿が印象的。「ゾル人にも心がある」ことを表す重要なシーンだ。

シャルルに抱きつくマリー

第14話「アイアン・レディー」より。
第9話「スター・ダスト」でのバイオロイドとの戦闘中、攻撃を受け負傷したマリーはシャルルに救出される。初めはそっけなくシャルルをあしらっていたマリーだったが、少しずつ彼を意識していく。その後怪我から復帰したマリーを待っていたのは、宇宙機甲隊の新型メカ「オーロラン」でゾル艦を襲撃するという過酷な任務だった。一命を取り留めたものの、再びマリーは死地へ向かうことになってしまう。出撃当時、マリーの見送りに来たシャルルは「生きて戻って来てほしい」と彼女に告げる。マリーはシャルルに必ず生きて戻ることを約束し、ゾル艦との激しい戦闘から無事生還を果たす。自分を待ち続けていたシャルルに、改めて彼の存在を意識したマリーは抱きついて初めて号泣する。普段は男勝りな口調と怖いもの知らずな態度を見せるマリーが、初めて誰かの前で涙を流すシーンが印象的。この一件後、マリーとシャルルの仲は急速に進展していくのだった。

息子ボウイのピアノに耳を傾けるロルフ

第15話「ラブ・ストーリー」より。
ゾル人との戦闘が激化する中、ロルフは自身を良く思っていない総司令官クロード・レオンの陰謀で「第二次攻撃隊」の指揮官に任命される。それは、いつ命を落としてもおかしくない戦場の最前列に向かうことを意味していた。父親のロルフに反発しながらも死地に赴くことになった彼を心配するボウイは、ピアノの演奏に集中できない。ボウイは知らなかったが、第15分隊の寄宿舎の外ではロルフが車の中でピアノに耳を傾けていた。軍人として職務に忠実で時には非情な判断も下すロルフだが、内心では息子のボウイを常に心配している。だが、中々父親としての愛情を彼に見せることができずにいた。ギクシャクしながらも、互いを気にかけるボウイとロルフの不器用な親子関係と心情が描かれた印象的な場面である。

ボウイ「だけどねムジカ、君は僕の前では“ムジカ”というただの女の子でしかないんだ」

第20話「デイ・ドリーム」より。
ボウイへの想いから同胞であるゾル人と訣別し、第15分隊についてきたムジカ。ゾル人である彼女を上層部が放っておく訳がないと彼女を案じたジャンヌ達は、彼女を匿うことにする。しかしムジカは自身がゾル人という異星人であること、ジャンヌ達に迷惑をかけてしまっていることを気に病んで落ち込んでしまう。そんな彼女を心配したボウイは、「確かにゾル人達は僕達と戦争をしている。だけどねムジカ、君は僕の前では“ムジカ”というただの女の子でしかないんだ」と慰める。そして「戦いが終わるまでムジカを必ず守る」とボウイは彼女に誓うのだった。自身をゾル人としてではなく、1人の少女として接するボウイに励まされたムジカは何とか立ち直る。前途多難なボウイとムジカの行く末を思わず応援したくなってしまう、見る者の心を揺さぶる名シーン。

『超時空騎団サザンクロス』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

打ち切りされなかった場合のその後の物語

『超時空騎団サザンクロス』は元々全39話の3クール予定だった。だが視聴率の低迷や玩具の売れ行き不振から人気が振るわず、「敵キャラであるゾル人の正体」「ボウイとムジカの恋の行方」「生命の花とゾル人の関係」など多くの謎を残したまま打ち切りとなってしまう。
打ち切りされなかった場合について制作スタッフの1人である長谷川康雄氏は「サザンクロス軍とゾル人のゲリラ戦が描かれていたこと」、「本編ではバラバラに行動していたジャンヌ、ラーナ、マリーの3人も共に戦う予定だったこと」、「周囲の偏見にさらされながらも愛を貫くボウイとムジカの姿が描かれたこと」などを雑誌で明かしている。

描くのに苦労したゾル人

ゾル人は常に3人1組で行動するのが特徴。

『超時空騎団サザンクロス』に登場する謎の異星人・ゾル人。ゾル人は同じ容姿を持つ人間が3人いて、それぞれ「情報・判断・行動」を担当しているというユニークな特徴を持っている。ゾル人は3人で1人という存在で、個人としての感情は持たない。しかしゾル人の「3人1組」という設定は一見して分かりにくいため、制作側もどう映像に落とし込んでいくか表現にかなり苦労したとのことである。

SF大河『ロボテック』シリーズ

ロボテックシリーズを記念して、『超時空要塞マクロス』のキャラクターデザインを担当した美樹本晴彦氏が手がけたポスター。

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