木暮公延（SLAM DUNK）の徹底解説・考察まとめ

木暮公延の概要

木暮公延（こぐれ きみのぶ）とは、『SLAM DUNK』（スラムダンク）の登場人物で、湘北高校バスケットボール（以下バスケ）部に所属する3年生。同バスケ部の主将である赤木剛憲（あかぎ たけのり）とは中学の頃からのチームメイトにして友人である。
高校3年の春、赤木の妹である晴子（はるこ）に一目惚れした桜木花道（さくらぎ はなみち）がバスケ部に入部。バスケのルールもよく分かっていない彼に、赤木と共に懇切丁寧に技術と戦術を教えていく。

湘北高校バスケ部は、県内では弱小だとされていたが、個人としては全国クラスの実力を持つ赤木と、素人ながら並外れた資質の持ち主である花道に加えて、この年はスーパールーキーの流川楓（るかわ かえで）、スピードに秀でた宮城リョータ（みやぎ リョータ）、3Pの名手三井寿（みつい ひさし）が参加。県内屈指の強豪へと生まれ変わり、全国大会への切符を賭けて熾烈な地区予選を戦い抜く。
木暮自身は実力的には上記の5人にあっさりと抜き去られ、3年生ながらベンチスタートが定位置となるも、腐ることなく仲間を鼓舞。シックスマンとして要所要所で駆り出され、地道な努力で培った技術で湘北高校の勝利に貢献。全国大会出場を決定づけるシュートを放つなど印象的な活躍を見せた。

木暮公延のプロフィール・人物像

所属高校：神奈川県立湘北高校
学年：3年
誕生日：7月12日
部活動：バスケ部
身長：178cm
背番号：5
ポジション：フォワード（F）

CV：田中秀幸

温厚で誠実、仲間想いの優しい性格。不遜で生意気な花道に対しても怒ることなく接し、彼からも親しみと若干の尊敬を込めて「メガネ君」と呼ばれている。しかし言うべきと判断した時は毅然とした態度を見せる意志の強さを持ち、いわゆる“普段は温厚だが怒らせると怖い”タイプである。
赤木とは中学の頃からのチームメイトで、互いに相手の人柄を良く知り信頼し合い、熱くなりやすい彼の抑え役に回ることも少なくない。赤木の掲げる「全国制覇」の夢をバカにすることも否定することもせず、いつか自分たちの手でそれを成し遂げることを胸に期していた。

同学年で元中学MVPという肩書きを持つ三井とは高校でチームメイトとなり、彼もまた全国制覇を夢見ていることを知って「赤木と三井がいれば本当に全国制覇できるかもしれない」と期待。しかしその三井は怪我と擦れ違いの末に部を去り、己への失望からバスケから遠ざかろうと不良とつるむようになる。これに失望する一方で「いつかバスケ部に戻ってきてくれたら」と考え、彼が再びやる気になってくれることを願い続けていた。
その三井がバスケ部を潰すつもりで不良仲間と共に乗り込んできた際は、「いつまでそんなことをやっているんだ」と激高。滅多に見せない強い感情を言葉と表情に乗せて彼を痛罵する。紆余曲折を経て三井がバスケ部に復帰するとこれを歓迎し、赤木と共に大会で活躍する姿を感無量といった様子で眺めた。

木暮公延の能力・プレイスタイル

地道で着実で堅実な選手

中学に入学した頃から地道に努力を重ね、日々の練習を繰り返し、派手さは無いが堅実な選手へと成長。湘北高校バスケ部のスターティングメンバーと比べれば実力的に劣るものの、全国大会に出場するレベルの選手を相手にしてもひるまずに食い下がるほどの練度とバスケの経験値を持つ。
スターティングメンバーがそれぞれに優秀な選手であるため、木暮のそういった面は軽視されがちな傾向がある。陵南高校との試合ではこれが勝敗を分ける決定的な要素となり、木暮に3Pシュートを決められた相手監督は「あいつも3年間がんばってきた男なんだ、侮ってはいけなかった」と語っている。

取って置きの3Pシュート

木暮は交代要員として試合に駆り出されることが多く、様々なポジションの仕事を一通りこなすことができる。中でも取って置きにしているのが3Pシュートで、相手の隙をついてこれを決めるのを得意としている。
しかし精度はそれほど高いわけでは無く、もともとこれを得意とする三井どころか、普段はあまり3Pシュートを使わない流川にも成功率で劣っている。それでもここぞという場面では的確に決めており、木暮にとってはまさに"切り札”となっている。

木暮公延の来歴・活躍

中学時代

中学に入学した頃、「体力を付けよう」と考えてバスケ部に入部。この時赤木と知り合い、共にバスケ部で汗を流すようになる。
当初“体を鍛える”程度の気持ちで始めたバスケだったが、赤木にいろいろ教えてもらいながら続けていく内に夢中になり、このスポーツをこの上なく愛するようになる。

結局中学時代は公式戦で一生もできないままだったが、赤木の語る「全国制覇」の夢を共に追い続けるため、高校に入ってからもバスケを続けようと誓い合う。

全国制覇の夢

赤木と共に湘北高校に入学し、同校のバスケ部に入部。ここに中学MVPの三井の姿もあることに驚き、彼もまた「全国制覇」を臆面もなく誓うことでさらに驚く。赤木が三井にライバル心を抱いて張り合う一方、木暮は「赤木と三井が力を合わせれば、本当に全国制覇もできるのではないか」と感じていた。
しかし三井は練習中の負傷で膝を痛め、それが悪化した結果バスケ部からの長期離脱を余儀なくされる。もともと湘北高校の安西光義（あんざい みつよし）監督に憧れてここに入学した三井は、自分自身への失望や赤木に置いていかれる嫉妬や焦燥に耐えられずにバスケ部を去る。木暮はこれを止めようとするも叶わず、怪我が完治した後は不良連中とつるむようになった三井を歯痒い思いで見詰め、いつかバスケ部に帰ってきてくれることを願い続ける。

木暮たちが2年生になった時、新入部員の1人として宮城がバスケ部にやってくる。赤木以外に有力な選手がいなかったバスケ部にあって、宮城は期待の新人として注目されたが、これに嫉妬した三井が不良仲間と共に彼を襲撃。自身も反撃され、宮城ともども病院送りとなる。

問題児たちの登場

3年の春、赤木の妹の晴子から「才能がある」と進められた花道がバスケ部にやってくる。花道はバスケ経験もほとんどないような素人だったが、「晴子さんがああ言ってくれたのだから、自分は天才に違いない」と謎の自信に満ち満ちており、毎日のように赤木と衝突したり「天才の俺にこんな地味なことをしろというのか」と練習を嫌がったりと絵に描いたような問題児だった。
しかしその資質は晴子が見立てた以上にすさまじいもので、これに気付いた木暮は赤木と共に花道を鍛え上げていく。激しやすい気質の赤木と異なり、穏和で新入部員に対しても一定の敬意を払う木暮に花道も次第に気を許し、「メガネ君」という馴れ馴れしいあだ名を変えることこそなかったがバスケ部内ではもっとも早く良好な関係を築いた。

同じ年、中学校でスーパールーキーとして鳴らした流川もまた湘北高校バスケ部に入部。晴子はバスケ選手としての流川に憧れており、これを知った花道は「流川にだけはバスケで負けるわけにはいかない」と奮起。次第に地道な練習にも本気で向き合っていく。
その流川は流川で、実力こそ確かながら極めてマイペースな気質で、花道とはベクトルの異なる問題児だった。バスケ部の新たな柱にも成りうる1年生コンビがそれぞれに、あるいは顔を合わせては起こすトラブルに頭を抱えつつ、彼らをチームの仲間として支えていく。

宮城と三井の復帰

花道たちが入部してしばらくして、宮城が学校に復帰。もともとケンカっ早い気質の宮城が花道を見たらケンカになってしまうのではないかと危惧するが、意外にも2人はあっさりと意気投合。「惚れた女の子に振り向いてもらいたくてバスケに打ち込んでいるのに、全然仲良くなれない」という共通の悩みを持っていたことが理由だった。
これで一安心と思いきや、今度は同じ時期に退院した三井が、不良仲間を率いて宮城へのお礼参りに現れる。バスケ部の練習場で暴れ回って揉め事を起こし、インターハイの出場までもできなくさせてやろうという悪質な計画だった。

宮城や部の仲間たちが怒りを堪えて「頼むから帰ってくれ」と懇願するも、三井たちは意に介さず暴れ続け、ついには直接的な暴力を振るい出す。これを見て、いよいよ我慢できなくなった花道が駆け付けた自分の友人たちと共に三井たちを薙ぎ倒し、事態は一応の決着を見る。
なお暴れようとする三井に対し、木暮は彼の行動が“バスケへの未練”からのものであることを指摘し、「いつまでこんなことをやってるんだ、全国制覇だなんて夢見させるようなことをいうな」と痛罵する。不良仲間たちからも「本当はバスケ部に戻りたいんじゃないのか」と気遣われた三井は、ちょうどこのタイミングでやってきた安西の前で「バスケがしたいです」とようやく本心を打ち明けて泣き崩れる。

インターハイ地区予選

三井たちの起こした騒ぎは、「三井が“バスケ部に戻りたい”なんて言い出したからムカついて暴れた」という形で彼の不良仲間や花道の友人たちが泥を被ってくれたお陰で、バスケ部はお咎め無しとなる。三井は方々に頭を下げた上でバスケ部に本格復帰し、頼れる新戦力を獲得した木暮たちは「毎年序盤で姿を消す弱小校」から「今大会のダークホース」へと劇的に評価を変えて地区予選を勝ち上がっていく。
ついには全国大会行きの最後の切符を賭けて、県内屈指の強豪である陵南高校と対戦することとなる。しかしその直前で安西が病に倒れ、監督不在という緊急事態の中で大一番を迎える。その前々日、ギリギリまで赤木が花道と居残り練習を続けているところに現れ、「自分にも何か手伝わせてほしい。できることは全てやっておきたい。もし負けてしまったら、明後日の陵南高校戦が自分の高校バスケ最後の試合になるから」と語る。

果たして始まった陵南高校との試合では、序盤こそ試合を優位に進めるも、やがて細かなトラブルが続出。それを解決してくれる安西もいない中、木暮はなんとかチームを立て直そうと試みるがうまくいかず、じわりじわりと追い詰められる展開となる。さらにブランクのせいでスタミナに問題を抱える三井が倒れて交代せざるを得なくなり、木暮が代わりにコートに立つ。
三井という強力な選手を欠いた分、陵南高校はより攻勢を強めるが、しかしここで花道が意外な活躍を見せる。素人ならではの連携を無視した動きが、陵南高校側の選手の意図しない攻撃や防御の起点となり、彼らの歯車をわずかながら狂わしたのである。赤木たちはこれをチャンスと見て反撃に転じ、赤木、流川、宮城、そして予想外の動きで惑わしてくる花道がマークされた刹那、ただ1人フリーだった木暮にパスが届けられる。木暮は仲間たちの期待に見事に応えて渾身の3Pシュートを決めて、試合の趨勢をほぼ決定づけた。

接戦の末に湘北高校バスケ部は陵南高校を破り、全国大会への最後の切符を手にする。試合後、陵南高校の監督は「あいつも3年間がんばってきた男なんだ、侮ってはいけなかった」と自戒と共に木暮の努力と実力を称えている。