ロブ・ルッチ（ONE PIECE）とは【徹底解説・考察まとめ】

ロブ・ルッチの来歴・活躍

偉大なる航路（グランドライン）編

ウォーターセブン

主人公モンキー・D・ルフィ率いる麦わらの一味は、度重なる無茶な冒険でボロボロになったゴーイング・メリー号を修理し、ついで船大工を仲間にしようと進路を進める。そして辿り着いたのがウォーターセブンという水の都だった。ウォーターセブンには優秀な大工が集まる造船会社ガレーラカンパニーがある。ルフィは航海士のナミと狙撃手のウソップと共にガレーラカンパニーを訪ねた。そこではロブ・ルッチを始めとする個性豊かな船大工達が登場した。ルフィ達がガレーラカンパニーの社長アイスバーグと歓談していると、ゴーイング・メリー号の査定に行っていた船大工カクが戻ってきて、ルフィ達に査定結果を伝えた。その内容はルフィ達にとってとてもショックな内容だった。ゴーイング・メリー号は船として一番大切な箇所がひどく損傷しており、もうどんなに腕が良い職人を持ってしても直せないというのだ。

ゴーイング・メリー号のことを巡ってルフィとウソップの間で激しいケンカが起こり、ウソップが一味を抜けるという事態に発展する。それと同時に麦わらの一味の考古学者ニコ・ロビンが行方不明になった。さらに町ではアイスバーグが銃撃されるという事件が起こる。アイスバーグのニコ・ロビンを見たという目撃情報から、麦わらの一味はアイスバーグ暗殺犯になってしまい、街中で追いかけられるハメになった。ルフィはいなくなったロビンが犯人なのか、アイスバーグに確かめるために、警備が厳重なアイスバーグ邸に乗り込む。ルフィはそこでガレーラカンパニーの職長の一人パウリーが仮面をつけた何者かに襲われているところに遭遇する。ルフィとパウリーは拘束されてしまったものの、なんとか抜け出してアイスバーグの部屋に向かった。

するとそこにはロブ・ルッチ、カク、アイスバーグの秘書のカリファ、酒場のブルーノがいた。ルッチ達はアイスバーグから古代兵器「プルトン」の設計図を入手するために5年間ウォーターセブンに潜入していた世界政府諜報機関「CP9」のメンバーだったのだ。ルッチ達は目的の設計図は、アイスバーグから弟弟子のカティ・フラム／フランキーに託されていたことを確信すると、ルフィ達を吹き飛ばして屋敷に火を放ちその場を去る。

その後フランキーの確保に成功したルッチ達は、ロビンを連れて海列車に乗って司法の島エニエス・ロビーへと向かうのだった。

エニエス・ロビー

ルッチは仲間と共に司法の島エニエス・ロビーにニコ・ロビンの護送を完了させる。そしてロビンを上官であるスパンダムの元へ連れて行った。スパンダムは5年という歳月任務に従事したルッチ達を労う。しかしルッチ達のほうは完全にスパンダムを下に見ているため、ほぼ全員が塩対応だ。スパンダムはロビンを手に入れて上機嫌である。スパンダムから酒を勧められるが、ルッチ達は早々に休ませてもらうとその場から下がった。しかしその後すぐにルッチは酒を飲みながらカクやカリファに助言をしている。悪魔の実を支給されたが、外見からは何の能力かわからない。迷っている様子の二人にルッチは「どんな能力も使い方次第だ。十中八九弱くはならん」と的確なアドバイスを送った。

エニエス・ロビーが騒がしくなってくる。麦わらの一味達がロビンと、一緒に攫われたフランキーを助けにやってきたのだ。スパンダムは最初余裕の表情を見せていたが、ルフィ達が目の前まで迫り、世界政府の旗を撃ち抜いて宣戦布告をしてきた。スパンダムはロビンを連れてすぐに海軍本部へと行く準備をし、「CP9」に迎撃の命令を出す。しかし自分を守るためにルッチだけは自分の側にいるように命令した。強敵と戦うことを望むルッチにとっては退屈であったが、上官の命令に一応素直に従い、スパンダムとロビンと共に船着き場を目指す。

「CP9」が敗れるはずないと高を括っているスパンダムの元に、徐々にルフィが近づいてくる気配がする。そしてルッチはついにルフィを待ち構えて戦うことになった。ルッチはルフィとウォーターセブンで一度戦ったことがあるが、その時のルフィにはロビンの本心がわからず迷いがあった。しかし今度は本気のルフィと戦えることにルッチは喜び、そしてその上で自身の勝利を疑わなかった。ルフィは”ギア2”という新たな技を使ってルッチに挑んでくる。しかしルッチはそのルフィに対してもどこか余裕があった。海軍の一斉砲撃が始まる中、ルッチとルフィの戦いは激化していく。そしてルッチはルフィの「ゴムゴムの巨人の銃（ギガントピストル）」をもろに食らってしまった。あまりの威力にルッチの意識は飛びそうになるが、ルッチはそれに耐え戦いを続ける。しかし仲間を守るという堅い意志に突き動かされるルフィにかなわず、ルッチは敗北するのだった。

扉絵連載「CP9の任務外報告」

エニエス・ロビーでの戦い後のルッチ達「CP9」のメンバー達のその後が、扉絵連載「CP9の任務外報告」で描かれた。

ルッチ達「CP9」のメンバーは、エニエス・ロビーでの大敗の罪を上司であるスパンダムになすりつけられ追われる身になった。「CP9」のメンバーは、重症を負っているルッチの治療をするためにとある町に逃亡する。そしてルッチの治療費や自分達の衣食住確保のために、それぞれ悪魔の実の能力などを用いて日銭を稼いだ。みんなが治療費を稼いでくれたおかげでルッチは回復に向かう。その時滞在している町が海賊に襲われた。まだ怪我が治っていないルッチだったが、海賊相手に圧倒的な力を見せつけ粛清する。しかし徹底的にやりすぎて町の皆から怖がられるという事態になってしまった。傷がある程度回復したルッチ達はその町を去る。ルッチ達は追われる身のままだ。

ルッチはかつての上司スパンダムに必ず戻るという旨を電伝虫で連絡するのだった。

新世界編

ドレスローザ

偉大なる航路（グランドライン）にあるドレスローザという国は、当時王下七武海のドンキホーテ・ドフラミンゴによって支配されており、仮初の平和の中で人々は暮らしていた。しかし前王リク・ドルド三世がドフラミンゴにハメられて失脚したことなど、ドレスローザの闇の部分が露見する。ルフィは同盟を組んだハートの海賊団のトラファルガー・ローや居合わせた海賊や戦士達と共にドフラミンゴを倒すことに成功し、ドレスローザに本当の平和が戻るのだった。

平和に戻ったドレスローザの影では、真っ白い服に身を包んだ世界政府のエージェントが暗躍していた。ドフラミンゴの取引相手のリストを入手するために調査をしていたが、そのリストは既に反世界政府組織・革命軍によって持ち去られた後だった。ここで仮面をつけたエージェントが登場。肩に鳩を乗せているという強烈な見た目からロブ・ルッチの再登場への期待がファンの間で高まった。

世界会議（レヴェリー）

『ONE PIECE』の世界では、4年に一度、世界政府に加盟する170以上の国の王達が集まる世界会議（レヴェリー）というものが行われる。そこには会議に参加する王達だけでなく、王の親族達も集い、会議の間親交を深めていた。今回の世界会議には久方ぶりに魚人島リュウグウ王国の王族も参加しており、王女のしらほし姫は注目の的だった。そんなしらほし姫を世界貴族”天竜人”のチャルロス聖が自分のものにしようと、部下達に命じて捕縛しようとする。その場に居合わせた麦わら大船団に所属するトンタッタ族のレオと八宝水軍の棟梁であるドン・サイがしらほし姫を助けようとしたが、ルッチ達「CP-0／サイファーポール”イージス”ゼロ」に阻まれてしまった。ここで原作漫画で初めてルッチやカクが「CP-0」という諜報機関に所属していることがわかった。「CP9」時代は真っ黒なスーツに身を包んでいたが、「CP-0」のトレードマークは白い衣装。それによってルッチの印象はガラリと変わっていた。「CP-0」は”天竜人”直属の諜報機関であり、その護衛も担っている。しらほし姫の捕獲を邪魔するものを殺せと、チャルロス聖はルッチ達に命令したが、同じ”天竜人”のドンキホーテ・ミョスガルド聖に止められたため命令を遂行できなかった。

未来島エッグヘッド編

世界政府に雇われているDr.ベガパンクの研究所がある未来島エッグヘッド。ロブ・ルッチは、「CP-0」として任務を請け負い、同僚のカクとステューシーと共にそのエッグヘッドを目指していた。任務は元王下七武海で元ソルベ王国国王のバーソロミュー・くまの姿を模した人造人間”パシフィスタ”の返却と、Dr.ベガパンクの暗殺。Dr.ベガパンクは500年先の未来を見ていると言われるほど頭脳の持ち主であり、世界の発展に必要不可欠とされてる。そんな”世界一役に立つ男”の突然の暗殺命令にルッチは疑問を抱いており、そのことを零す。するとステューシーから詮索しないように警告され、カクから自分達を巻き込まないでくれと呆れた視線を向けられた。

エッグヘッドへ到着したルッチ達は、Dr.ベガパンクに上陸の許可を求めたが、ベガパンクからの返事は否だった。返却予定の”パシフィスタ”は自力での帰還が可能であるため、帰還命令を出して任務完了とし、ルッチ達には上陸せずに帰るようにとベガパンクは言う。ベガパンクの頑なな態度を見て、ルッチはベガパンクが自身が暗殺されることに気がついていると考え、船を乗り捨てて”パシフィスタ”の能力で無理やりエッグヘッドの内部に上陸した。そしてそこで一足先にエッグヘッドに訪れていたルフィと再会を果たす。この時ルフィは、ワノ国で四皇だった百獣のカイドウを倒して新たな四皇となっていた。四皇には通常傘下の海賊がつきものであり、小競り合いが戦争を招く可能性がある。そのためルッチが四皇であるルフィと戦うためには、上層部の許可が必要だった。しかしルフィのほうはそんなこと関係ない。ルフィと邂逅を果たす前にルッチはDr.ベガパンクの分身「猫（サテライト）」の一人「暴（アトラス）」に危害を加えていた。ルフィは「暴（アトラス）」に食事を御馳走になった恩があるため、激昂。ギア5で太陽の神”ニカ”の姿へと変身し、ルッチに戦いを挑む。これに対してルッチは、カク達が止めるのも聞かずに、悪魔の実「ネコネコの実 モデル"豹（レオパルド）"」の覚醒フォルムに変身して戦った。

そこへベガパンクの護衛・戦桃丸（せんとうまる）が現れる。戦桃丸は海軍側の人間だが、ベガパンクへの恩を返すためにルフィ達をその場から逃がそうと戦う。ルッチは戦桃丸に猛攻撃を仕掛けて戦闘不能に追いやった。しかしその間にルフィ達はその場を離脱してしまった。戦いが収まってもルッチはなおルフィを追いかけようとする。ステューシーはルッチに海軍の命令を聞く気はないのかと尋ねると、ルッチは「”麦わら”を『四皇』と認めていない」と子供のような駄々を返した。

ルッチは、カク、ステューシーと共に、ベガパンク暗殺任務を遂行するためにルフィ達を追いかける。エッグヘッドの上層部にある研究層（ラボフェーズ）に乗り込み、そこで発見したルフィ達の船サウザンド・サニー号を破壊しようとした。しかし船番で残っていたゾロがいたため、その場で再び戦闘になる。カクも悪魔の実「ウシウシの実 モデル”麒麟（ジラフ）”」の覚醒フォルムに変身して戦った。するとカクは同僚のステューシーにキリンの首をかぷりと噛まれて意識を失った。それを見たルッチは激しく動揺する。「CP-0」のステューシーは、かつてベガパンクが、自称・白ひげの愛した女、ミス・バッキンガム・ステューシーの複製人間（クローン）だったのだ。ベガパンクを守るためにステューシーはルッチ達を裏切り、ルッチはカク同様、ステューシーに噛まれて意識を失った。

海楼石の手錠をかけられて能力を封じられたルッチが目を覚ますと、ベガパンクが作った「セラフィム」という人造人間が暴走していた。正確には、何者かの命令を受けて、ベガパンクの「猫（サテライト）」を始めとする研究層にいる人間を皆殺しにしようとしていた。ルッチは、ここで死ぬわけにはいかないと、ルフィに共闘を申し入れる。しかしそれに対してルフィはものすごく嫌そうな顔を返した。一度錠を外して共闘したとして、その後再びおとなしく捕まってくれると思えないと傍らにいたゾロが言う。そこでルフィがルッチに「敵4体全員止めたあと……！！”おれに勝てねェからって 仲間やベガパンク達に当たり散らさねェよな！？」と挑発する。見え透いた挑発にルッチは乗り、「望むところだ！！！」と怒りを滲ませて返事をした。そしてルッチはルフィと共に「セラフィム」に攻撃をしかけるのだった。

「セラフィム」の暴走など、一連の不可解な出来事は、ベガパンクの「猫（サテライト）」の1人「欲（ヨーク）」の仕業だったことがわかった。ルッチはカク共々麦わらの一味に拘束され、「欲（ヨーク）」も取り押さええられた。「欲（ヨーク）」を人質にルフィ達はエッグヘッドを取り囲む海軍の船に道を開けろと要求。ルッチは盗聴用の黒電伝虫を使って、エッグヘッド島外に中の様子を知らせていた。その後、「五老星」の1人であるジェイガルシア・サターン聖や海軍大将・黄猿（本名：ボルサリーノ）が率いる海軍の艦隊がエッグヘッドに押し寄せる。その中でルフィ達はベガパンクを連れてエッグヘッドを脱出しようと試みる。その時ルッチは拘束を解き、ルフィ達の逃亡を阻止しようとした。ルッチはそのままゾロとの戦闘に入る。ルッチがゾロと戦っている限り、麦わらの一味は島を脱出することができない。ルッチはそう考え、ゾロを逃がすまいと粘り強く戦いを続けた。しかしついにゾロの大技「三刀流 虎虎婆 彪狩り（さんとうりゅう ここば まだらがり）」を受け動けなくなる。それもルッチは倒れなかった。そこに麦わらの一味の操舵手・ジンベエが現れる。サターン聖以外の「五老星」がエッグヘッドに上陸し状況が悪化。一刻も早くエッグヘッドを脱出するため、ゾロを迎えに来たのだ。ジンベエにゾロを連れていかれてしまいルッチは膝をつく。今度はそこに「五老星」の1人であるマーカス・マーズ聖が現れた。その姿はルッチのよく知る人の姿ではなく、「以津真天（いつまで）」という巨大な怪鳥の姿だった。ルッチはマーズ聖に自身が持つ情報を報告。最後にエッグヘッドの司令室で重症で倒れている相棒のカクの命だけは助けてほしいと嘆願した。しかしそれがマーズ聖に聞き入れられることはなかった。

劇場版映画

『ONE PIECE FILM GOLD（ワンピース フィルム ゴールド）』

2016年7月26日に公開された劇場版映画としては13作品目、FILMシリーズの第3作目となる劇場版映画『ONE PIECE FILM GOLD（ワンピース フィルム ゴールド）』に登場。この映画がロブ・ルッチの銀幕デビュー作品であり、編作本編より先駆けてルッチが「CP-0」に所属していることが明かされた映画になっている。

”黄金帝”ギルド・テゾーロが支配する世界最大のエンターテインメントシティ「グラン・テゾーロ」を舞台に麦わらの一味が大暴れ。ルッチはテゾーロから”天竜人”へ納める天上金護送の任務を受け、軍艦10隻を率いて「グラン・テゾーロ」に向かう。「グラン・テゾーロ」でテゾーロが暴れまわっているのを見て、すぐさま砲撃を開始したが、「グラン・テゾーロ」にいるルフィ達を守ろうと現れたルフィの義兄で革命軍のNo,2であるサボの妨害を受ける。ルッチはサボとの戦闘に突入した。しかしテゾーロがルフィに敗れるのを見て、戦闘を中止。テゾーロを逮捕してその場を去っていった。

『ONE PIECE STAMPEDE（ワンピース スタンピード）』