EVE new generation(イブ・ニュージェネレーション)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『EVE new generation(イブ・ニュージェネレーション)』とは、PlayStation2用ゲームソフトとして2006年8月31日に角川書店から発売された。『EVE burst error』から続いている「EVEシリーズ」の6作目にあたり、私立探偵「天城小次郎」と捜査官「法条まりな」の2人を操作してストーリーを進めていくマルチサイトアドベンチャーゲームとなっている。18禁要素を加えた『EVE 〜new generation X〜』や脱衣麻雀要素を加えた『EVE雀』も発売された。

小次郎が目を覚ますと手を縛られており、そこは見知らぬ廃校だった。そこへたまたまやってきたという謎の老婆によって救出されると、老婆はここが沖岸島であることと、紀瀬木家に向かうためのヒントを残して去って行った。老婆の行った道を辿って行くと謎の施設に到着し、そこがデボラ製薬の沖岸島研究所であることを知る。研究所には男性がいたが、手掛かりになるような情報は得ることができず、商店街で出会った女性からは「今日は8月7日だ」と言われる。小次郎の携帯電話には8月13日と表示されているのに島の住民は口をそろえて「今日は8月7日だ」と言い切っていた。

旅館へとたどり着いた小次郎は、番頭からまりなを探していることを告げられる。まりなが島にいることを知り驚くが、まずは初海を探すため島を捜索する。灯台の近くで先ほどの老婆と出会い、彼女こそが紀瀬木初海だったことを知る。彼女の家に案内された小次郎は初海がデボラ製薬会社の創設者であり、環境保護と福祉を目的とした民間非営利組織ブラーの代表であることが分かる。デボラ製薬は遺伝子と人格の統合のためにクローンとレトロウイルス「VOJ」の研究を行っており、初海のクローン体として最初に生まれたのがエフィだという。さらに、ラベイユ児童養護施設にいた3匹のビーグル犬たちも「VOJ」ウイルスの実験体ということだった。初海は小次郎の質問にはほとんど答えず、「もうすぐ私たちはこの世を去るでしょう」と意味深な発言をするばかりだった。

島を調べるうちに灯台にやってきた小次郎は、灯台の裏側に扉があるのを発見する。蜜蜂の紋章が刻まれた窪みに乃依から預かっていた蜜蜂の腕輪をはめ込むと扉が開き、中へ入るとそこはデボラ製薬の沖岸島研究所があり、ここで乃依に「VOJ」ウイルスを投与しようとしていた。研究員たちを押しのけて奥の部屋へ入るとそこには乃依がいたが、彼女は「自分がアルトである」と主張。アルトは小次郎に投与されたアンタゴニストの作用で記憶を取り戻していて、「今まで小次郎が乃依だと思っていた相手は全てアルトだった」と伝えた。一方で、「まりなを犯人として誘導するために動いていたのが本物の乃依だった」という。乃依はエフィの計画を進めようとしていたがアルトは反発し、乃依の動きを封じるために自分自身でベクタマイドを打ち、記憶を失って小次郎に助けを求めに行ったという。さらに、アルトは1年前から小次郎のことを知っており、小次郎もベクタマイドを投与されて1年前の記憶を失っているという事実を伝えられた。

研究所を出た小次郎とアルトが廃校へたどり着くと、体育館の中央に座るまりなと、彼女をテレポートさせるというエフィの声が聞こえてきた。そして突然銃声が聞こえたと思うと、まりなの姿が視界から消えてしまっていたのだった。

神社にいた漁師に、初海から小次郎に渡すよう頼まれたという手紙を受け取る。そこには、法条まりなを殺害するということが書かれていた。2人が車で草原へ向かうと、崖の先にまりなと初海の姿が見えた。まりなの手には銃が握られており、その銃口はまりなの下に横たわった初海の額に向けられていた。思わず小次郎は車を飛び出すがその瞬間に銃声が聞こえる。小次郎が現場に到着した時にはまりなはおらず、初海は心臓を打たれて死んでいた。さらに、車にいたはずのアルトも何者かに連れ去られてしまった。

旅館で番頭からまりなの泊まる部屋を聞き向かうと、部屋の中には放心状態のまりながいた。記憶が曖昧な状態のまりなを見て、薬の効果であることを確信した小次郎はまりなにアンタゴニストを注射した。

神社ではエフィが待っていた。エフィは、「計画は全て完結した」と言い、子どもたちとの思い出や運命について語った。乃依とアルトだけでなく、エフィもまた露崎真由美を代理母として生まれていたクローンだったのだ。そしてすべてを語ったエフィは小次郎に抱き着く。小次郎はエフィからラベンダーの匂いを感じ、これまでの殺人現場でも同じ匂いがしていたことからエフィが犯人なのではないかと推理する。エフィが去り、ここで小次郎もアンタゴニストの作用で1年前にもこの島を訪れていたことや、その時アルトに会っていたことを思い出す。ちょうどその時、謎の武装集団に襲われるが、そこにあまぎ探偵事務所の所員である氷室恭子が救出に現れ、窮地を脱する。武装集団には逃げられてしまったものの無事だった二人は、手分けして島の探索をすることにした。

数時間後、廃校で氷室と落ち合った小次郎の耳に銃声が響く。車で逃げようとした人物を追おうとすると、そこに別の車が現れる。車に乗っていたのはまりなだった。小次郎は車に乗って、ついに真犯人を崖に追い詰めた。

まりな編

8月9日

屋上から飛び降りようとする青年

8月9日の深夜、まりなはビルの屋上から飛び降りようとする青年を発見する。まりなは彼を救おうとするが、世界に絶望していた青年は、「明日になれば僕らの計画が動き出す」と、日銀こと日新銀行でテロが起こるという意味深な言葉をつぶやき、ビルの屋上から落ちて行った。青年の手にはペンダントが握られ、掌には蜜蜂の刺青が彫られていた。

8月10日

クラブ「ハイヴ」で談笑し合う子どもたち

翌日、内閣情報捜査室の本部長に呼び出されたまりなは昨晩に青年から聞いたテロ計画について報告するが、「警戒が厳重な日銀でテロが起こる可能性はほとんどない」と本部長には信じてもらえなかったため、プライベートで日銀に潜入捜査することに。銀行へ入ったまりなは密かに警官に指示を出すが、それをドイツ通信社のGPAに勤めているミカエルと名乗る男に聞かれてしまっていた。「日銀の幹部が絡む事件についての情報を知っている」というミカエルに応じ、彼と情報交換をすることに。ちょうどそこに一人の男が現れる。銀行受付のカウンター越しで受付の女性に軽い感じで話しかけているその男は、あまぎ探偵事務所の天城小次郎だった。まりなは小次郎に銀行から早く出るように警告するものの、小次郎は帰ろうとしない。突然大きな音がしたかと思うと、銀行に大きな黒塗りの車が突っ込んできていた。車から出てきた男たちはサブマシンガンを乱射しながら、見学ツアーで銀行を訪れていた子どもたちを人質に取り、発電機室へと立てこもる。小次郎は状況を打開しようとするもののスタンガンを打たれ、まりなは反撃の隙を窺いながら機動隊に突入を指示しようとしたその時、入口の扉が開いた。なんと犯人たちは人質の子どもたちによって制圧されていたのだった。

警察病院に収容された日銀襲撃の犯人たち4人は、全員がまだ子どもだった。まりなは少年たちと話をするが、全員が事件の記憶どころか、「自分の名前や住所すらわからない」と言っており、医師によると「嘘ではなく本当に記憶喪失になっている」ということだった。犯人のうち3人の少年の右腕には、「B」のタトゥーがあった。

まりなは一般病棟に移動し、スタンガンで気絶させられて病院に運ばれた小次郎の様子を見に行くと、すでに復活していた小次郎はナースステーションで看護師に声をかけていた。小次郎に話を聞くと、スタンガンを打たれて気を失う間際にヘルメットの奥に乃依の顔を見たという。小次郎の見舞いに来ていた弥生から乃依についての話を聞き、まりなは本部長に報告するために病院を出た。

本部長に報告を終えたまりなが警察病院の犯人の病室へ戻ると、そこはもぬけの殻だった。窓は開いていたが鉄格子がはめられているため脱出は不可能、誰かが逃がす以外には考えられなかった。警官の話を聞くと、どうやらまりなの同僚である鐘本美奈代が関わっているようだった。まりなは手掛かりを探すことにした。

少年たちに共通して彫られたタトゥーの謎を解くため、まりなはセントラルアベニューにあるタトゥースタジオを訪れた。彫り師によるとタトゥーは流行ではなく象徴であるとして、「B」のタトゥーを持つメンバーが集まっているというクラブを紹介してくれたのだった。

8月11日

いっしょにお風呂に入るまりな(左)とアルト(右)

翌朝、タトゥースタジオの彫り師から紹介された「ハイヴ」へ向かうと、従業員が一人だけだった。いつもたむろしている中学生メンバーは「今の時間マンガ喫茶にいるだろう」と言われ、まりなはそのままマンガ喫茶へ。そこには日銀襲撃事件で人質だった子どもたちが集まっていた。まりなは「ハイヴ」のリーダーであるエイプの家を教えてもらうため、アルトという少女と行動を共にすることに。ちょうど入ったカフェでは、日銀で出会ったミカエルとの再会を果たした。

アルトにエイプの家だと案内された場所は小湊龍司の別宅だった。そこは1年前、まりなが少女惨殺の現場を目撃した場所でもあった。小湊は犯人で間違いないはずだったが、警察も内調も告発できず小湊は逮捕されずに事件は幕を下ろした。銃声が聞こえ中に入ると、小湊龍司が死んでいるのを発見。まりなは慌てて外へ出たがすでに多数の警察に包囲されていた。警察所へ連行されたまりなは鐘本美奈代による取り調べを受けるが、自分には全く心当たりがない。「誰かにはめられた」と主張するものの、取り合ってはもらえなかった。そこでトイレに行った隙にかかってきたミカエルからの電話により、脱出を決意する。ミカエルから渡された変装道具で老婆に変装し警察署から脱出、青坂のホテルへと向かった。ホテルの部屋に着くとそこにはアルトがいた。小湊邸に案内した後急にいなくなった理由を問い詰めると、鐘本リエにそそのかされてまりなを誘導したらしい。まりなはこんな時に頼れる人物である小次郎を呼び出したが、警察にもホテルに潜伏していることがバレてしまい、小次郎やミカエルの力添えのもと脱出する。

ホテルから脱出したまりなはミカエルと共に彼の職場であるGPA支局へと向かい、1年前の小湊龍司が関係している事件のことをミカエルに告白した。1年前は小湊龍司によってアルトという少女が誘拐され、事件を担当していたまりなは小湊を追って小湊邸へ向かうが、地下で彼女が惨殺されているのを発見。少女は贓物を抉り出され顔を潰されていて、耳だけが無事という状態だった。その後小湊は逮捕されたものの、誘拐事件の際に内調の捜査員が発砲して小湊に重傷を負わせたことをネタに警察と内閣情報調査室に圧力をかけて事件をもみ消し、まりなは担当から外された。その被害者の母親が矢枝初海だったという。それを聞いたミカエルは、「自分もかつて日本人の女性と恋に落ちやがて子供を授かったが、36年前、子どもが8歳の時に殺されてしまった」と明かした。

8月12日

花火を見ながら会話するまりな(左)とミカエル(右)

ミカエルの仕事部屋で目を覚ましたまりなは変装してセントラルアベニューへと赴き、弥生の力を借りて本部長と連絡を取ることに成功、カフェで落ち合う約束を取り付けた。公園で偶然ボロボロの着物を着た三六九と出会ったまりなは、彼女に協力してもらうことにしたのだった。

約束の時間にカフェに現れた本部長から、「停電はサイバーテロによるものであること、犯行声明を送りつけてきたのはジャガーノートという組織で、8月14日までに全国の原発を停止させなければ原発をメルトダウンさせる」というものだった。作戦名は「VOJ(ベクターオブジャガーノート)」だということを伝えられたまりなは、先日自殺した青年の言葉を思い出した。青年の言っていたのは「BOJ」(日本銀行)ではなく、「VOJ」(ジャガーノートのベクトル=意志)のことだったのだ。ジャガーノートについては内調や警察が正体を調べているものの未だに手掛かりが得られていないという未知の組織でもあった。まりなが考えを巡らせていたその瞬間、周囲を鐘本美奈代率いる第六機動隊が取り囲み逮捕されそうになるが、老婆に変装していたのはまりなではなく三六九だった。まりなはこの状況を見越して三六九に身代わりを頼み、遠隔で会話を聞いていた。

本部長との会話から、ハイヴとジャガーノートにはつながりがあるということを確信したまりなはタトゥースタジオへ行って蜜蜂のタトゥーを貼り、ハイヴへと向かう。そこには日銀襲撃事件の場にいた子どもたちの姿があった。まりなに見つかった子どもたちは一斉に逃げ出すが、まりなはその中からアルトを見つけて捕まえ、ジャガーノートや日銀襲撃事件のことを問いただす。日銀から金塊を奪う計画を立て、アルトを巻き込んだのは大隈朋義であり、大隈はブラーの幹部でもある。ブラーの下部組織としてハイヴがあり、ハイヴの精鋭部隊がジャガーノートである。ジャガーノートとハイヴはエイプという人物によって統括されていて、エイプは先日まりなの目の前で自殺した青年であった。大隈が鐘本リエに命令し、鐘本リエがアルトに命令する形でまりなが犯人に仕立て上げられたということだった。

日銀の情報システム局局長であり、ジャガーノートや日銀襲撃事件などに関わっていると思われる大隈朋義の家へアルトに案内されたまりなは、家のレコーディングスタジオで大隈朋義と対峙する。ブラーの幹部であることを認めた大隈朋義だったが、小湊龍司や日銀襲撃事件、サイバーテロには関わっていないと断言した。

まりなが大隈朋義の家から出ると、もうアルトの姿はなかった。電力が回復した街中を避け、花火大会真っ最中の島津川沿いの土手を歩いていると、ミカエルから「大隈朋義が殺された」という電話を受ける。川沿いでミカエルと落ち合い、これからのことを話し合う。警察はまりなを大隈朋義殺害の容疑者として指名手配していることから、今は逃げるしか方法はないという結論に至った。新しい情報として、小湊龍司は45年前に矢枝初海と結婚したがその後初海が失踪していること、矢枝初海は30年ほど前に沖岸島でNPO法人のブラーを立ち上げたことが伝えられた。真相は沖岸島にあるとして、「真犯人を探すため一緒に沖岸島へ行こう」と誘うのだった。

街の中へ戻ると待っていたのは警察の包囲網だった。ミカエルと共に警察の制止を振り切り、港から水上飛行機に乗って飛び立つ。これから先、何が待ち受けているかはわからないが、とりあえずは警察から逃げられたことに安堵し、ここ数日の緊張感から解放されたまりなだった。

8月13日

初海(右)に銃を向けているまりな(右)

沖岸島にある古い旅館で休んだまりなとミカエルは、矢枝初海の元には二人一緒に行くことを約束してそれぞれ島の探索に繰り出すことにした。まりなはまず旅館の番頭から話を聞き矢枝初海の居場所はすぐに判明したが、番頭は「今夜は神社で前夜祭がある。本祭は明日8月8日から行われる」と奇妙なことを言う。今日は8月13日のはずだと他の住民にも話を聞くが、誰に聞いても「今日は8月7日」と答える。商店街ではエフィと遭遇するが、まりなはエフィに会ったことはないためこの場でエフィだと気付くことはできなかった。

展望台のある灯台や誰もいない廃坑などをまわってみるものの大した収穫が得られなかったまりなは、ミカエルとの約束を破り一人で矢枝初海の元へと向かう。矢枝初海は柔和な顔をした老婆だったが、穏やかな口調でまりなが小湊龍司と大隈朋義を殺害したというヴィジョンを見たということや、人類は一つの体となり、人間は一つの体を構成する部分であるという思想に基づく人類補完計画のことを語り始める。まりなの質問には答えず、「18時に廃校の体育館へとくるように」告げ、会話を終了させてしまった。

旅館に戻ったまりなは番頭に、若い漁師からまりな宛の伝言を預かっていることを告げられる。その伝言を元にまりなが漁港へ向かうと、そこにいたのは死んだはずのエイプにそっくりの青年だった。青年は「言伝なんて頼んでいない、自分にそっくりの男なんて知らない」と言い張るが、死ぬ間際にエイプから受け取ったペンダントを手渡すと、「そうか…あいつが…」と言いながら青年はペンダントを受け取るのだった。

18時。初海に言われたとおりに廃校の体育館へと赴いたまりなを待っていたのは、初海ではなく日中に商店街であった女性だった。まりなはエフィと一度も会ったことはなかったものの、直感でその女性がエフィだということを確信する。エフィは「初海が来られない」と伝え、「今からテレポーテーションを見せる」と言い出す。突然銃声が聞こえたかと思いきや、まりなは気を失い違う場所に移動していた。時間は3時間経過していた。我に返ったまりなの脳裏に、自分が初海に銃を向けている光景が浮かぶ。まりなは初海と対峙した丘の上まで戻るが、初海の姿は消えていた。初海は最初からまりなに自分を殺させるつもりだったのだ。どうにか旅館まで戻ったまりなを、暗い表情のミカエルが待ち受けていた。

ミカエルとまりなは白いセダンに乗って廃校の保健室へと向かう。ミカエルはそこでまりなに真実を打ち明けた。自分が初海の夫であること、乃依とアルトは初海との子どもであること、36年前にアルトは殺され、クローンとして再び生まれたが1年前にもまた殺されてしまったこと。全てを打ち明けたミカエルは、小湊龍司と大隈朋義殺害の真犯人をまりなに告げようとするが、その時サブマシンガンによる襲撃を受ける。窮地を切り抜け、ミカエルは自分がおとりとなってまりなを逃がすものの、最後は崖に追い詰められ凶弾に倒れてしまった。

8月14日

まりな(右)に真実を話す小次郎(左)

ミカエルの遺体を隣の島の警察署に届けてもらったまりなは、真犯人を突き止めるために島中を調査する。ミカエルのボイスレコーダーも聴いてみるが、事故の衝撃で音声は聞けなくなっていた。旅館に戻ってきたまりなに、番頭は今日の日付を昨日と全く同じ「8月7日だ」と言っている。番頭だけではなく、島の住人が口をそろえて「今日は8月7日だ」というのだった。昨日と同じように番頭からの言伝で漁港へ向かうと、そこには漁師の屋代億斗が待っていた。屋代億斗にデボラ製薬の研究施設へ案内してもらうと、そこは屋代億斗の部屋でもあった。億斗は、エイプの正体は自分であり、このパソコンからサイバーテロを仕掛けられることを明かす。ちょうどその時、島中に昨日と全く同じ時間に再び銃声が鳴り響き、億斗はまりなに「あなたは永遠に8月8日を迎えることはできない」と告げたのだった。

8月7日を繰り返しているのかどうかを確かめるために、再び廃校の体育館へと向かったまりなだが、そこにエフィはいなかった。廃校を出て森をさまよっていると、1台のピックアップトラックが現れる。ミカエルを殺した犯人が乗っていると思いまりなは荷台へと乗り込むが、車を運転していたのは小次郎で、隣には乃依が乗っていた。車が草原へ着くと、視線の先には初海と、彼女に銃を向けた自分の姿が。自分が昨日見た光景が再び目の前で繰り返されていた。小次郎が車から飛び出した瞬間に銃声が鳴り響き、錯乱したまりなは乃依を乗せたまま本能のままに車を走らせた。

乃依だと思っていた少女は、実はアルトだった。アルトによると、この島では1日を二度繰り返すことになっているらしい。それはアルトと乃依に教育をするためのしきたりであり、永遠に同じ日を繰り返すわけではない。話を聞きながら旅館へと戻ってきたところで小次郎が戻ってくるが、アルトは「あの男が来た」と言って怯え始める。アルトが隣の部屋に移動した瞬間にまりなのもとに現れた小次郎はまりなに謎の薬を投与し、「4時間経てば、全てが分かる」と言う。まりなはなぜか体に力が入らず、小次郎の言葉が入ってこない。小次郎が部屋を出て行った後、突然アルトの悲鳴が聞こえ、ミカエルのセダンが連れ去って行ったのが見えた。「乃依を連れ去り、ミカエルを殺したのは小次郎なのだろうか」と疑問だらけだったが、先ほどアルトから聞いた「1日を二度繰り返す」という言葉から億斗が嘘をついていたことに気付く。億斗の部屋へ乗り込んだまりなは、この島の1日を2回繰り返す風習のことや、億斗と自殺した那由太は双子だったということ、彼らを使って多重身体という実験を行っていたことを知る。そしてミカエルのボイスレコーダーに収録された音声データの復元を要求し、全てを聞いたまりなは億斗のパソコンを破壊した。

旅館で小次郎に打たれた薬は、封じられた記憶を取り戻すための薬だった。薬の効果で1年前の記憶を取り戻したまりなは、アルトを探すために灯台へ向かう途中小次郎と合流し、ミカエルを殺した犯人を崖まで追い詰めることに成功するものの、またも逃げられてしまった。

過去編

45年前

タンクローリーの中で「ヤエダハツミ」について語るまりな(右)と小次郎(左)

ミカエルと矢枝初海は恋仲にあったが、政略結婚を余儀なくされ、矢枝初海は小湊龍司と結婚する。結婚後も逢瀬を重ねたミカエルと初海はついに二人の子どもを授かるが、そのことを小湊に知られてしまい、ミカエルは本国に強制送還させられる。初海は身重のまま小湊の元を去る。

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