EVE new generation(イブ・ニュージェネレーション)のネタバレ解説・考察まとめ

『EVE new generation(イブ・ニュージェネレーション)』とは、PlayStation2用ゲームソフトとして2006年8月31日に角川書店から発売された。『EVE burst error』から続いている「EVEシリーズ」の6作目にあたり、私立探偵「天城小次郎」と捜査官「法条まりな」の2人を操作してストーリーを進めていくマルチサイトアドベンチャーゲームとなっている。18禁要素を加えた『EVE 〜new generation X〜』や脱衣麻雀要素を加えた『EVE雀』も発売された。

36年前

計画について話すエフィ

双子の子どもを乃依とアルトと名付け、小湊から逃げるように全国を転々としていた初海だったが、ある日偶然小湊に二人の子どもが発見されてしまい拉致・殺害されてしまう。初海は遺体の一部を持ち去り失踪する。

26年前

初海のクローンであることを明かすエフィ

沖岸島にてデボラ製薬を創設した初海は、自らの遺伝子からクローンを生み出すという研究を行い、エフィが誕生する。代理母として実際に出産した露崎真由美には、クローンだということは知らされていなかった。

23年前

二重身体の実験を受けた兄弟の兄である億斗

沖岸島で多大な影響力を獲得した初海は、島民の協力の元で1組の双子である屋代億斗と那由太を使って多重身体の教育実験を開始する。
この実験は8年にわたって続けられた。

15年前

乃依(右)を抱きしめるエフィ(左)

36年前に殺された乃依とアルトの遺体の一部から遺伝子情報を取り出し、再び露崎真由美を代理母として二人のクローンを誕生させた。それが紀瀬木乃依とアルトである。エフィを彼女たちの母親として、多重身体の教育を行う。

1年前

壁にもたれたアルト(左)に駆け寄る小次郎(右)

氷室恭子に連れられて沖岸島を訪れていた小次郎は、漁港で紀瀬木アルトと出会った。アルトと仲良くなった小次郎は、「何かあったらアルトを助けに行く」と約束を交わしていた。ちょうど同時期に島を訪れていた小湊がアルトを発見し、小湊の別宅にアルトを拉致、殺害しようとする。連続誘拐・殺人事件の容疑者として小湊を追跡していた内調のまりなと鐘本美奈代が小湊を追い詰め、まりなは小湊に挑発されて背後の壁に向かって発砲、鐘本も小湊に発砲し重傷を負わせた。小次郎も連れ去られたアルトを追って現場に駆けつけ、アルトが血だらけの状態やまりなが小湊に銃を向けている光景を目撃する。

事件後、小湊は自分に重傷を負わせたことをネタに内調へ圧力をかけ、鐘本の発砲を隠ぺいするために小湊の少女殺害ももみ消されることとなった。まりなは事件の担当から外され、小次郎は口封じのためにベクタマイドを投与されて事件の記憶を消されてしまった。

~現在

ベクタマイドを自分に投与して記憶を失ったアルト

アルトはかろうじて一命をとりとめていた。初海によってブラーがウイルス計画を行おうとしていることを知ったアルトは、計画に反発して自分にベクタマイドを投与し、記憶を消去する。記憶が消えても小次郎との約束を覚えていたアルトは、小次郎へ助けを求めに向かった。

解決編

8月15日

エフィと子どもたち(右)を見つめる初海(左)

小次郎はアルトが一日の長さを倍に感じていたり、病院のMRI室で日付を間違えたのは、全て島の風習のせいであったことに気付いた。と同時に、小次郎自身も1年前にこの島を訪れており、その際にアルトに会っていたことや、その後彼女が事件に巻き込まれ、内調の取り調べで事件の記憶を全て消されたことを思い出した。夢の中で見た記憶は、封じられた一部の記憶がフラッシュバックしたものだった。

小次郎に打たれた薬によってまりなは全ての記憶を取り戻した。小湊龍司と大隈朋義の殺人事件も、初海の死も、全ては初海自身によって計画されていたことで、初海は初めからまりなにすべての事件の罪をかぶせるつもりで動いていたのだった。ミカエルがまりなに協力していたのも初海の計画を実行するためであったのだ。殺されたと思っていた大隈朋義は、実は大隈ではなく公安の潜入調査員である鹿取宏務であり、鹿取は大隈と組んでブラーの機密情報であるクローンとウイルスの情報を入手する。しかし大隈が裏切り初海に鹿取の身元がバレてしまったことから殺されてしまった。鹿取を殺害したのはシリコンマスクと変声器でまりなに変装した人物であるが、小次郎が見た時はまりながつけているはずの蜜蜂のタトゥーがなく、レコーディングスタジオにはラベンダーの香りが漂っていたことから小次郎はエフィが犯人だとにらんでいた。
8月13日に丘の上で初海と対峙した際には初海から大隈が生きているということを告げられていた。まりなは初海を撃っておらず、空に向けて発砲していたが、その際に初海にベクタマイドを打たれたためこの時の記憶を失ってしまった。8月14日に小次郎はまりなが初海を撃つ場面を目撃するが、実際はその時、初海にまたがっていたのはまりなに変装したエフィだった。

二人は灯台の地下に移動して、待っていたエフィを問い詰めた。ホテルのエレベーターからアルトが消失した件については、実はエレベーターにまりなとして乗っていたのはエフィであり、一緒にいたアルトは乃依の方だった。エレベーターから小次郎を追い出した後、二人は上へ向かいエフィを降ろす。その後乃依は再び15階に戻ってまりなを乗せ、扉が閉まる直前で乃依が降りる。あとは直通のエレベーターで降りればトリックが成立する。体育館のテレポーテーションは、小次郎が目撃していたまりなはエフィであり、変声器を使って一人で声を分けながら会話しているように見せかけたものだった。小湊殺害についてはエフィが直接手を下した。エフィは小湊を地下室で殺した後、変声器を使って小湊の振りをして警察に電話をかける。証拠となる線状痕は、屋代億斗によってまりなの銃のものに書き換えられていた。小次郎は全ての事件の犯人をエフィだと考えていたが、エフィはこれを否定。初海のヴィジョンを小次郎に目撃させるためのもので、実際に犯行を行っていたのは初海自身だったのだ。神社で小次郎と会った際、小次郎にベクタマイドを打つことで計画は成功するはずだったがためらってしまい、小次郎は記憶を取り戻してしまった。初海は大切な子どもを3人も奪われ、心に残ったのは言葉では言い表せないほどの怒りや恨みだった。彼女は理性をなくし、その矛先は小湊龍司という人物を生み出した人類全てに向かう。初海は失ってしまった二人の子どもと一緒に過ごす幸せな日々を取り戻したかった。子どもたちのクローンと、自分のクローンを作り上げ、幸せだったヴィジョンを再現させたかった。しかしエフィと双子を見ていて、「自分がいると理想的な世界が歪んでしまう、もう私はここには要らない」と感じていたのだという。最後はまりなに殺されることが本望だったようだが、まりなは自分を殺さないだろうということも感じていたため、予防策として自殺を決意していたのだった。

その時、研究所を捜査していたまりなが初海の死体を見つけたと駆け込んできた。昨日死んだにもかかわらず、初海の死体は昨日のまま何も変わっていなかったのだ。作り物の皮膚をはがすと、そこから出てきたのは紀瀬木アルトだった。紀瀬木アルトが真犯人かと思いかけた小次郎だったが、昨日初海が死んだ時間、小次郎とアルトは一緒に行動していたのだ。アルトと乃依は同一人物ではなかった。アルトは1年前に死んではいなかった。小次郎はエフィに大隈の居場所を聞き、アルトを連れて出港しようとしている港へと急いだ。

アルトは1年前小湊龍司に誘拐された際、小湊が内調と取引をするところを見聞きしていた。ミカエルが言っていたとある筋からの情報というのはアルトのことで、突入してきたまりなが小湊とグルだと勘違いし、まりなにすべての罪をかぶせようとしていたのだった。本物の初海は1ヶ月前、計画半ばでガンにより他界してしまったため、乃依がその遺志を受け継いで初海になりすましていた。ボイスレコーダーには大隈の声も入っており、日銀襲撃事件の指示を出していたことや日銀から奪われた金塊の半分を手に入れたこと、クローンを生み出すウイルスの情報を入手することが目的でブラーへと潜り込んだことなどが記録されていた。初海がすべてのデータを消去してしまい落胆した大隈だったが、ウイルスに感染している人物が一人だけいるということを知り、アルトを連れ去ろうとしていたのだ。エフィはミカエルが殺されたことや大隈に騙されていたことを知らず、ボイスレコーダーに記録された大隈の真実を知り大声を上げて泣き崩れた。まりなはエフィに、「小次郎がなんとかしてくれる」と優しく声をかけた。

漁港に辿り着いた小次郎の目の前には、今にも飛び立とうとする水上飛行機があった。水上飛行機に飛びついた小次郎は、アルトを抱きかかえて海へと飛び込んだ。アルトを奪われた大隈は逆上し、水上飛行機ごと小次郎めがけて突進してくる。小次郎は冷静にグロッグの引き金を引き、エンジンの奥深くへと弾丸が命中、黒煙を上げて爆発した。今度こそアルトを救うことができ、一連の事件は幕を閉じたのだった。

エピローグ

小次郎との約束を守ってもらったアルト

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