雨に唄えば(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『雨に唄えば(映画)』とは1952年にアメリカで制作されたミュージカル映画である。サイレント映画からトーキー映画へと移行し始めたハリウッドを舞台に、人気スターのドンと新進女優のキャシーの恋模様をコミカルに描いている。監督はジーン・ケリーとスタンリー・ドーネン。ケリーは監督だけでなく、ドナルド・オコナーやデビー・レイノルズと共に作品にも出演している。「ミュージカル映画の傑作」とも言われる映画で、ケリーが傘を片手に歌う「雨に唄えば」のシーンは、この映画を象徴するシーンとしても有名である。

自分のせいでキャシーがダンス隊をクビになってしまったと思い、ドンは落ち込んでいた。コズモが元気を出すよう声を掛けてもドンの様子が変わらなかったため、歌って踊ることで彼を元気づけようとする。コズモの明るく、コミカルな性格を表した歌詞であり、ダンスシーンにおいてもそれを体現している。特にコズモの顔芸やまるでコミックのようなキレのある動きは目を見張るものである。また、壁を蹴り上げ宙返りをするシーンもあり、コズモのアクロバティックな動きも見ることができる。

『雨に唄えば(映画)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『雨に唄えば』の裏話

本作の最も有名なシーンである『雨に唄えば』を踊り歌う場面。『雨に唄えば』の有名なエピソードとして、「1テイクで撮影を終えた」「雨水には映りをよくするために牛乳が混ぜられた」という話がある。実際には、撮影に2~3日かかり、バックライトの工夫によって雨は水のみでの撮影されている。ドン役のジーンは、このシーンの撮影時39.4度の高熱を出していたにもかかわらず、演技をこなしている。またこの時雨として使用された水によって、彼が着用していたスーツは撮影中で縮んでしまっていたそうだ。

デビー・レイノルズの苦労

彼女は今作を機にブレイクしていった。しかし、撮影時には多くの苦悩があったたという。ジーンの完璧主義な監督ぶりに、デビーはショックを受ける場面が多数あったという。デビー本人も後年のインタビューで「人生で一番辛かったのは、出産と『雨に唄えば』だった」と語るなど、相当なプレッシャーがあったことがわかる。
彼女はダンスがほぼ未経験だったにも関わらず、約3か月の訓練だけで撮影をこなしていた。ジーンもそのことに対して高く評価をしていた。

公開後に高まった作品への評価

本作が初公開された際の売上高としては、アメリカとカナダでその年の10番目に高い映画となっていた。ただ当時のアカデミー賞では助演女優賞とミュージカル映画部門の音楽賞にノミネートされたことにとどまり、受賞までは至らなかった。しかし、その後テレビでの再放送やビデオ発売などをきっかけに徐々に評価を高めていくことになる。
1989年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録され、アメリカ映画協会が発表したミュージカル映画ベスト1位、アメリカ映画主題歌ベスト100の第3位、アメリカ映画ベスト100の第10位、情熱的な映画ベスト100の第16位に選出されるなど、現代においては歴代映画と比較しても高い評価を受けている。

『雨に唄えば(映画)』の主題歌・挿入歌

挿入歌:ドナルド・オコナー「Make 'Em Laugh」

コズモがドンが落ち込んでいる様子を見て、元気づけるために歌った曲。ドンはキャシーに対して嫌味を言い、それに起こったキャシーはドンにケーキを投げつける。しかしそのケーキが当たったのはドンの横にいたリナであった。後日、その騒動もありキャシーは所属していたダンス隊をクビになっていたのだった。ドンはそれを知り、少なからず罪悪感を感じていた。そんな様子をみたコズモは、ドンがスーパースターであるという自信を取り戻してもらうために、この曲を踊り歌った。

挿入歌:ジーン・ケリー「You Were Meant For Me」

再会し、仲直りしたドンとキャシー。ドンはキャシーのことがずっと気になっていたことを伝えるが、その思いをセットではないと上手く伝えられないと話す。そこでセットに入り、この歌でキャシーへの恋心を伝えた。

挿入歌:ジーン・ケリー、ドナルド・オコナー、デビー・レイノルズ「Good morning」

トーキー映画の「闘う騎士」の試写会が散々な結果となり落ち込んでいたドン。しかしコズモやキャシーとともに、「闘う騎士」をミュージカル映画にしようと思いつく。3人は映画の成功の可能性が見えたことに喜びを感じ、「Good Morning」を歌いだす。

挿入歌:ジーン・ケリー「Singin’ in the Rain」

本作の名シーン。雨の中傘を閉じ、雨に打たれながらも笑顔で歌うドン。キャシーとコズモと行き詰っていた新作のトーキー映画をミュージカルにしようと思いつく。キャシーとの恋愛もうまくいっており、これからの明るい未来を楽しみにするような歌である。

挿入歌:ジーン・ケリー「The Broadway Melody Ballet」

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