BUCK-TICKのオリジナルアルバムをレビューしてみた!「HURRY UP MODE」から「No.0」までの魅力を紹介
BUCK-TICKのオリジナルアルバムの魅力をまとめました。インディーズの頃に発表した『HURRY UP MODE』から『No.0』までの収録曲はもちろん、その作品に込められた想いや、発表当時の状況なども紹介しています。気になる楽曲があった方は、ぜひ聴いてみてください。
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魔王降臨の14枚目。
1年弱のソロ活動を経て、次に向かった先は「ゴシック」でした。ビジュアルイメージからゴシックロックだと思われることの多かったBUCK-TICKですが、実はゴシック寄りだった作品は『TABOO』と『惡の華』くらい。(それもそこまで濃くない)
そこで、「世間がそう言うなら一回徹底的にやってみるか」と作ったのが本作。
結果、魔王が爆誕します。(詳しくは「ROMANCE」のPVをどうぞ)
元々ゴシック世界観が大好物のあっちゃんが水を得た魚状態、耽美的な世界観を完璧に演じきります。その影響か、本作からボーカルの表現力もさらにアップ。
サウンド面では、ここ10年近く押し進めたテクノ路線を一度お休みしバンドの生音主体に。前作『Mona Lisa OVERDRIVE』とは別のバンドかと思うくらい、アレンジや音が変化しています。
また、このアルバムで若い世代のV系ファン、ロリータ系・ゴシック系の女性ファン、さらに海外のファンが増えた印象があります。サウンド面ではゴシック要素をカンスト、さらにバンド生音にも新たな可能性を見出し、新たなファン層も獲得。転機となった一枚ではないでしょうか。
随所にインストも入ったまるで一本の映画のような約70分。ジャパニーズ・ゴシック最高峰の一作です。
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デビュー20周年にリリースされた15枚目。
ここから音楽的に後期と区切ることができると思います。
なぜなら、実験を繰り返したこの10数年とコンセプチュアルな『十三階は月光』を経て、テクノ要素とゴシック要素が完全に血肉となり、その上で「シンプルなバンドサウンドに立ち返る」という方向にここから舵を切るからです。
そのため、本作はこれまでになく風通しの良いロックンロールアルバムとなっています。中でも、前作のゴシック風味をポップにしたシングル「Alice in Wonder Underground」は、ライブでも定番の人気曲。いいくらいに力が抜けたアンサンブルと、幻想的な歌詞世界が絶妙です。
ただ、アルバムを通して聴くとちょっと素直すぎて薄味と感じる部分も。良作ではあるものの、もう一歩というアルバムでしょうか。
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00年代の最高傑作!!
『狂った太陽』に並ぶ大傑作です。最初は『狂った太陽』か『memento mori』、もしくは最新作『No.0』を聴きましょう!
前作からのバンドサウンド志向は続きこちらも生音寄り。ですが、とにかく全曲メロディーもアレンジもめちゃくちゃいいです。
疾走感あるオープニング「真っ赤な夜-Bloody-」、これまでになくJポップな「GALAXY」、名バラード「Coyote」、切ないシャッフル雨ソング「セレナーデ -愛しのアンブレラ-Sweety-」、とにかく踊れる「天使は誰だ」、ラストを飾る優しく壮大な「HEAVEN」……マジで名曲乱れ撃ちです。
そして何より、BUCK-TICKがずっとテーマとしてきた死生観が現れた表題曲「Memento mori」が圧巻。
「人生は愛と死、俺たちは愛と死」と言い切り、それでも「大丈夫さ、愛し合おう」と歌う、これぞBUCK-TICK。しかもそんな歌詞なのに沖縄音階で四つ打ち&タムを使ったダンスアレンジと言うめちゃくちゃな曲!こんなの、世界中ほかにやれるバンドいないですよ。
ここまで20年以上5人で休むことなくレコーディングとライブを続け、この5人でしか出せないグルーヴと世界を作り上げたからこそたどり着いた境地。これは墓まで持っていく名盤です。
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画家・宇野亜喜良さんの描き下ろしジャケットがめちゃくちゃかっこいい17枚目。
BUCK-TICKの二大要素である「ゴシック」と「テクノ(シーケンスとバンドの融合)」を思いきり掛け合わせた、ありそうでなかった作品。ピコピコしまくりながらも世界観は幻想文学風という、サーカスや見世物小屋を思わせる官能的な一枚です。
ライブでブチ上がりの「独壇場Beauty」、アニメ『屍鬼』主題歌となったエレクトロゴシック「くちづけ」をはじめ、「羽虫のように」「Django!!! -眩惑のジャンゴ-」などライブで魅せる曲が多く、おそらく一番踊れるアルバム。
前作が傑作だっただけに次がどうなるか不安だったファンも多かったと思いますが、前作の勢いはそのままに良い意味で予想を裏切り、ひたすら享楽的に楽しませてくれます。
『memento mori』から入って次に『RAZZLE DAZZLE』を聴くと、かなりスムーズにBUCK-TICK沼にハマれるのでは。また、この二枚を聴いておけば、わりとライブでよくやる曲を押さえられるという意味でもオススメです。
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デビュー25周年に発売された18枚目。
前年の東日本大震災が影響し、メッセージ性の強い歌詞となっています。とは言えそのあたりはBUCK-TICK。安易な応援ソングではなく、むしろ「ちょっとみんな優しさとか絆とか言いすぎ」「俺たちらしい形でやるから、みんなもそれぞれでがんばろう」という感じ。
そう言いつつも、本作は珍しくライブで盛り上がりやすいアッパー曲が多く、得意のダウナー系は控えめ。ツンデレな優しさが出たアルバムです。
ただ、その分サウンド面はちょっと物足りないというか、BUCK-TICKにしては普通のJポップ寄りの曲が多くなってしまった印象。「夜想」以降の後半4曲は得意の「煌めく闇感」がありますが、もう少しこのテイストでも良かったのでは。
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タイトルの一見さんお断り感が極まる19枚目。
タイトル同様、内容もかなり難解なアルバムだと思います。
メロディーはポップであるものの、どこか不安になる不思議な曲が多く、バンドとシーケンスの融合も遠慮がなく常にどこかで変な音が鳴っています。歌詞も文学・アートからの引用が増え(この傾向はこの後さらに顕著になっていきます)、全体像を理解するには音楽的にもカルチャー的にもけっこうな知識と聴きこみが必要な感じ。
アルバムのテーマのひとつが「シュルレアリスム」だったらしく、そういう意味では成功している作品ですが、けっこう上級者向きではないでしょうか。
ただ、各楽曲のクオリティはかなり高く、特にラスト2曲「無題」「形而上 流星」はダーク系BUCK-TICKのひとつの到達点と言える出来。
バラエティに富みながらも妙な統一感があり、アルバムを通して美しさといびつさが同居している、そんな不思議なアルバムです。
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古巣ビクター復帰作となった20枚目。
どこかの奥地のヤバい宗教儀式のような「cum uh sol nu - フラスコの別種 -」で幕を開け、『SEXY STREAM LINER』期を思わせるシーケンス盛り盛りで疾走、後半は得意のエレクトリックゴシックに昭和歌謡やラテンを掛け合わせ、ラスト2曲で冥界と天界をアップダウン……という終始ヤバい幻覚を見せられているような一枚です。(途中で入るヒデ曲が全部美しいのがまた幻覚っぽい)
サウンドは前述の通り『SEXY STREAM LINER』などテクノ実験期に近いですが、バンドとシーケンスの融合度が全然違います。20年経っていることもありますが、『夢見る宇宙』の頃からベースを最初に録り、上物を録ってから最後にドラムを録るというレコーディング方法にシフトしたらしく、それの影響も大きいのでは。ドラムとシーケンスの混ざりがめちゃくちゃ良いです。
また、あっちゃんの歌唱表現がこれまでになく振り切っていること(「BOY septem peccata mortalia」「THE SEASIDE STORY」など)も本作の大きな魅力でしょう。
濃いアルバムなので好き嫌いは分かれますが、長年のファンでも「これが1番好き」「ベスト3に入る!」という人が多い作品です。やんちゃで振り切ったBUCK-TICKが好きな人はドハマりするはず!
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来ました!!30年目にしてまさかの大傑作!!
ご紹介してきた通りBUCK-TICKはアルバムごとにかなり色が違い、ファンの間でも意見が割れることがしばしば。そんな中でファンがほぼ満場一致で「傑作!」と認めるのが『狂った太陽』、『memento mori』、そしてこの『No.0』です。
サウンドの基調は前作に続きテクノ寄りなのですが、ゴシックもバンドサウンドもバランス良く詰め込まれ、まさに30年の集大成的な内容になっています。
同時に、下世話なEDMアレンジに乗せて猫愛を歌う「GUSTAVE」、YMO×マグリット×稲垣足穂な「光の帝国」、ストレートな三連バラードの反戦歌「ゲルニカの夜」など、これまでに無かった曲も入り、過去も未来も感じさせる名盤。
また、本作はあっちゃんの反戦への想いを軸にしながら、中盤をヒデ曲パート~今井さんのサイバーパンク曲パートでつなぐ構成もこれまでになく美しいです。曲順、これ以外ない。
30年やっているバンドで、最新作が最高傑作だとファンが自信を持って言えるなんて、本当に幸せなことだと思います。
日本最高峰のレベルでバンドとシーケンスを美しく融合させ、幻想文学のような揺るぎない世界観を打ち立て、今なおさらなる実験を続けるバンド界の魔王BUCK-TICK。その最新進化系、聴いてぶっ飛ばされてください。
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