とある魔術の電脳戦機(電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録)のネタバレ解説・考察まとめ

『電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録 とある魔術の電脳戦機』とは、2018年2月にセガゲームスから発売されたPlayStation 4及びPlayStation Vita用の3D対戦ロボットゲーム。セガの3D対戦ロボットゲーム『電脳戦機バーチャロン』と鎌池和馬のライトノベル『とある魔術の禁書目録』の公式コラボ作品『とある魔術の電脳戦機』を原作としており、主人公の上条当麻が学園都市でゲームとして流行したバーチャロンを巡る数々の事件に仲間たちと共に立ち向かう物語を描いている。

大能力者(レベルフォー)

超能力者に次いで能力の高いレベル。学園都市外部の科学技術では到底再現不可能な超常現象を実現でき、戦闘面においては軍隊で戦術的価値を得られる程度の大きな能力となっている。そしてこのレベル以上の能力者は極端に人数が激減している。

超能力者(レベルファイブ)

能力のランク分けにおける最高位で、学園都市の全学生約180万人のうち7人しかいない希少な存在。能力そのものの威力またはその効果の範囲が極めて強大であり、さらに戦闘においても1人で大軍と渡り合える者も少なくない。この能力者たちは名実ともに学園都市で繰り広げられる能力開発競争の頂点に君臨しており、全ての能力者にとって羨望の的となっているが、研究開発も含めた努力で到達する事は完全に不可能な領域である。そしてこのレベルに到達した者はいずれも天性的な才能があったからこそ、不動というに等しいその絶対的な地位を得ている。
『とある』シリーズの作中において美琴は一般に「努力でレベル1からレベル5に上り詰めた」と周囲から評されているが、実は彼女も例外ではなく、「レベル5になり得る可能性を選定的に秘めていた」という事実が明らかとなっている。また、御坂妹や打ち止めのように美琴の遺伝子情報などのデータをもとに軍事利用を目的としたクローン能力者が生み出されたのもこれに起因している。

魔術(まじゅつ)

本作及び『とある』シリーズの重要なキーワードで、いわゆる魔法。非科学的な手段で超常現象を発生させる技術と理論の総称であり、ひとくちに魔術と言っても火・水・土・風といった擬似的な自然現象や不可視な呪いなどの非物理的な現象、またはそれを用いた攻撃的なものの他にも、防御や治療をはじめとして、長距離の移動、遠隔地との通信、物の探索や肉体強化といった補助的なものもあるなどそのバリエーションは豊富。
超能力との最大の違いは、どのような系統と効果の魔術を習得するかが、後項の魔術師によって選択可能であることと、数に制限なく複数の種類を使えることのふたつにあり、自分の目的に沿った魔術を自在に身につけられるため、超能力と比べて非常に自由度・万能性が高いというメリットがある。

具体的な手順は最初に「魔力」と呼ばれるエネルギーを精製し、その魔力を任意の形で操作するコマンドを身振りで示したり、呪文の詠唱などの儀式を行うことで術式が組み立てられ、魔術が発動する。ちなみに魔術は厳格に体系づけられた学術であり、適当に行っても使うことはできないが、必要な知識を学んで正しい手順を踏めば誰にでも使える。

魔術師(まじゅつし)

本作および『とある』シリーズの重要なキーワードで、いわゆる魔法使い。魔術師の性格や扱う魔法などの形態は使用する魔術や所属する組織などによって千差万別だが、19世紀末に確立した「近代魔術師(アドバンス・ウィザード)」と呼ばれる現代の魔術師の全般的な特徴として、個人主義が強いことが挙げられている。傾向として多くの魔術師は何らかの挫折や苦悩などの経験を抱えており、その結果自ら定めた魔法名に従い、個人の私情や信念を最も重要視する。
そして大半の魔術師にとって所属組織はただの隠れ蓑や後ろ盾といった利用手段しかなく、組織の利害関係や命令、金銭的な契約などは軽視して自らの目的を優先し、場合によっては組織を裏切ることも厭わない。ちなみに先述のように魔術は必要な知識と正しい手順を修めれば誰にでも使えるため、どんな人間でも魔術師になることは可能だが、神裂やアックアのように先天的な体質に大きく依存した力の持ち主や、学術的・技術的な方面での秀でた才能の持ち主は当然いる。

十字教(じゅうじきょう)

本作及び『とある』シリーズの重要なキーワードで、『とある』シリーズ作中における世界最大の宗教。2000年以上昔に誕生し、当初はローマ帝国など多数派に迫害されていたが、その後広く布教されて一大勢力となり、逆にその異教や異端者を厳しく弾圧した歴史を持つ。創始者である「神の子」が自分の口で説法していた内容が信徒たちに書き記された事で「聖書」と呼ばれる書物が生まれ、その聖書の解釈の仕方によって意見が分かれたのが勢力としての転機となる。
それからは国の風土や民族の事情などを汲み取り、様々な宗派へと発達していき、現在ではヨーロッパを中心に全世界に信徒がいて、旧教(カトリック)と新教(プロテスタント)を始めとして様々な教派に分かれている。その中でもカトリックに属する「イギリス清教」「ローマ正教」「ロシア成教」の3つが十字教の中でも最大の勢力を誇り、「十字教三大勢力」と呼ばれている。

そして十字教において魔術は禁止されているが、異教や異端者、その他十字教と対立する組織の魔術師も含めた敵対者と戦うために各宗派の実働部隊やトップは魔術を用いている。その場合の魔術は主に聖書の内容や偶像崇拝の理論などが用いられている。そして各教派に共通するルールとして「神の教えを信じる者を殺めてはならない」というルールがあり、これに則った「神の教えに背く者は罰しても構わない」という例外を言い訳として、過去には多くの虐殺を正当化してきた。

必要悪の教会(ネセサリウス)

本作及び『とある』シリーズの重要なキーワードで、インデックス、土御門、神裂が所属するイギリス清教の内部機関。正式名称は「イギリス清教第零聖堂区必要悪の教会」。イギリス清教の中でも対魔術に特化しており、魔術師や魔術結社の殲滅や処分、事件捜査や逮捕を任務とした実働戦闘組織として名を馳せている。対魔術を司る組織ではあるが、魔術に対抗するためには同じ魔術を使って戦う必要があるという「毒を以って毒を制する」理念の下に作られた組織である。
そのため構成員は全員が魔術師で、ひとりひとりの戦闘能力は侮れないものとなっている。その名の通り魔術という十字教における穢れを一手に引き受ける「必要悪」として存在している。また、設立当初は十字教の中にあって魔術を扱う汚れ役として、ローマ正教やロシア成教も含めた他の教派から忌み嫌われる窓際の一部署に過ぎなかったが、着実に実績を積み重ねていったことにより勢力を拡大したため、現在ではイギリス清教全体の実質的な権限を握っている。

バーチャロイド

本作及び『バーチャロン』シリーズの重要なキーワードである人型ロボット兵器の総称。バーチャロンの世界において西暦から改められて電脳暦と称される時代では、情報技術の進化によって人々の帰属意識が衰退したことで政府が瓦解し、瓦解した政府の代わりに企業が台頭して人々を統治する立場となったことで「企業国家」と呼ばれる勢力が誕生した。それに伴い文化は高度に発展し、同時に人類が戦争が放棄したことで平和は訪れたが、人類から戦いへの意欲が消えなかった。
そこで人類は「限定戦争」と呼ばれる架空の戦争の概念を生み出し、ゲームのようにそれに興じるようになったとともに、企業国家はこの限定戦争を政治的交渉手段としても用いるようになる。そんな中、地球の企業国家においても最大勢力を誇る「Dyna-tech & Nova社(以下、DN社)」が月面にオーバーテクノロジーが眠る遺跡を発見し、その解析と実験を行ったことでバーチャロイドを製造。そしてDN社はこのバーチャロイドを投入して限定戦争市場でのシェア独占を図った。

時空因果律制御機構タングラム(じくういんがりつせいぎょきこうタングラム)

本作及び『バーチャロン』シリーズの重要なキーワードで、DN社がバーチャロイドと並んでオーバーテクノロジーを利用するために設立した巨大研究施設「プラント」において開発された事象転送装置。この装置は現実世界の事象とパラレルワールドの事象を入れ替えることで望んだ結果を得られる機能を持っており、一言で言えば運命を操れる能力に等しい。そしてこの能力もあってこそ『バーチャロン』シリーズの各作品で起きた数々の事件の根幹ともなっている。
開発が進められていた中、未完成の状態で何者かによって1度強引に起動されたことで結果機能不全を起こし、この軌道が原因でDN社のネットワークは無数のパラレルワールドの雑多な情報の氾濫を受けて崩壊し、さらにはタングラム自体も暴走してその余剰エネルギーを宇宙へ放出したことで多くの企業国家を巻き込んで混乱が発生した。そしてDN社はこの宇宙全体に及んだ大混乱を引き起こした責任を取らされる形で解体されることとなった。

これらの混乱とその中で起きた数々の事件を受けて科学者リリン・プラジナーは、タングラムに自我を与えて電脳虚数空間へと逃がしたが、タングラムはその電脳虚数空間から多くのパラレルワールドに干渉。その干渉したパラレルワールドの中には『とあるシリーズ』も含まれており、これが本作及び原作『とある魔術の電脳戦機』の物語の始まりとなっている。

『電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録 とある魔術の電脳戦機』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

二次創作ではなく公式のコラボレーション

『とある魔術の電脳戦機』の原作ライトノベル版。このライトノベルの発売が発表された当時は『とある』『バーチャロン』双方のファンに衝撃がもたらされた。

本作は原作の小説版が2016年5月に発表された際、『とある』シリーズと『バーチャロン』シリーズ双方も含めた多くのファンから「二次創作が公式コラボとなった」「まさかの二次創作が認められた」などと驚きの声が多くあがったが、『とある』シリーズの原作者である鎌池和馬と『バーチャロン』シリーズの制作会社のセガが互いに協議して制作に踏み切ったことで、二次創作ではなく公式のコラボ作品として認められている。そして同時に本作は『バーチャロン』シリーズの正史作品のひとつとして挙げられることになった。

さらに設定についても原作のノベル作品を鎌池和馬が執筆を開始する時点で綿密に編み込んでいて、文字通りの本気のクロスオーバーとなっており、『とある』シリーズの世界観や設定についての知識を持たない『バーチャロン』ファンにとってはもちろんストーリーを楽しむことはできるが、内容を理解するのはハードルが少々高めである。しかし少なくとも、『とある』と『バーチャロン』双方について知識を持っているファンに関しては大体高評価を得ている。

タングラムが『とある』の世界に放逐されたのが物語の始まり

『バーチャロン』の世界におけるタングラム。本作ではその姿を見ることはできないが、並行世界を行き来し、そして干渉するという強大な力で上条たちを翻弄する。

本作および原作の小説版のストーリーの始まりは、用語の項目でも解説した通り、バーチャロンに登場した事象転移装置タングラムにある。下記にて紹介する、原作の小説版における黒幕的存在であるブルーストーカーが、タングラムの存在を危険視し、破壊を目論む多くの敵対勢力からタングラムを守るため、『とある』シリーズの世界に放逐したのが、『とある』世界でバーチャロンが流行したことも含めた本作及び原作の全ての始まりとなった。そしてこのタングラムはブルーストーカーの干渉によって暴走し、原作の小説版のラストでは学園都市はおろか世界を崩壊させようとしたが、上条とテムジンの決死の奮闘によって阻止され、電脳虚数空間と呼ばれる異世界へと追放された。

恐るべき原作小説版の黒幕「ブルーストーカー」

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