ギャンブルッ!(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ギャンブルッ!』とは、鹿賀ミツルのギャンブル漫画作品。『週刊少年サンデー』(小学館)で2007年から連載され2009年に連載を終了した。20XX年、全面的に賭博行為を解禁した日本が舞台。世の中の全てがギャンブルに染まった街で、ギャンブルの天才・京本マサルが行方不明になっている父親を探すため、親友のジャンと共に世界一のギャンブラーを目指す物語。マサルの圧倒的な運の強さと駆け引きの能力。そしてジャンの確かな観察力と計算力。2人でギャンブルの世界でのしあがり、父親を探す物語。

ギャンブル・バーリトゥードトーナメント優勝候補筆頭の凄腕ギャンブラー。26歳。前年度北米ギャンブラー選手権優勝者でもある。
常にヘラヘラしてスカしている様子だが、勝負になれば集中力を高め、相手を鋭い目つきで観察する。異常なほど動体視力や五感の感覚がいい。
ギャンブルで失敗し借金を抱えた末に、母を事故死させ保険金を手に入れた父親を憎んでいる。大会で優勝し、クリスから父親の情報を得るためにバーリトゥードには参加している。

大会の1週間前、競馬で有り金をすってしまう。電車賃の為に、地下鉄の駅前で自身のパーカーを300円で人に押し売りしていたところマサルと出会う。その際マサルに大会のチラシを渡し、マサルが大会に参加するきっかけを作る。マサルの父・暁のことも知っており、その息子だと知ったことからマサルに注目する。
また1週間後の大会での選手宣誓では、スーツで登場し参加資金300万円も用意していたことからギャンブラーとしての強さが伺える。

4回戦までを余裕で突破しており、マサルがビストロフとの5回戦を棄権したため、代わりに勝負すると自ら名乗り出た。ビストロフはロシアンルーレットでの勝負を持ちかける。沢尻はそれに臆することなく、了承し勝負が始まった。
ビストロフは自分が使い込んでいる銃で勝負しており、弾の重さや銃の質感、全て見ずとも感覚で分かるように訓練していた。また勝負する部屋の温度や湿度も毎回一定にしており、それもあって一発だけ入れた弾が「今どこにあるか」はビストロフから丸わかりである。そのため今までの勝負は、ビストロフの一人勝ちばかりだった。
しかし沢尻はその戦略をすぐに見抜く。そして驚異的な観察力、動体視力、質感を感覚で感じ取り、すぐさまビストロフと同じ能力を身につける。そして見事に勝利を収めた。

その後も勝ち進み、準決勝のフランシス・ギャラスとの勝負でも、その動体視力を活かして勝利している。
ギャラスとの勝負はルーレットだったが、沢尻はディーラーが投げる球のスピードやルーレットの構造を見ていた。そして球が入る数字に賭けていき、圧倒的な勝利を収めた。

そしていよいよマサルとの決勝、丁半で最終勝負を迎える。
実は沢尻は急性白血病に冒されており、珍しい血液型だったためドナーもいない状態だった。かなり体調は悪く、体はもう限界を迎えていた。
そのこともあり、鬼気迫る形相でマサルと勝負していた。ギャンブルを楽しんでいるというよりも、ギャンブルを憎んだまま勝って父親に復讐したい。沢尻はそれしか考えていなかった。その様子をマサルに見抜かれ「ギャンブルの闇を憎むべきで、今は楽しもう」と諭される。その言葉で純粋にギャンブルを楽しむことができ、最後は笑顔でマサルと同点優勝した。

大会終了後、体が限界を迎え会場近くの路地裏で血を吐いて倒れる。
そこをクリスの部下に偶然発見され、クリスの所有する病院で治療を受けた。沢尻の父親の所在を知っていたクリスは、父親の脊髄を沢尻に移植し沢尻を助けた。しかしそれもクリスの狙いで「憎んでいた父親で自分が生かされているのは苦しいだろう、その父親に復讐するためにも私の下で働かないか」と誘う。しかし沢尻は「ギャンブルは楽しむものだよな」とマサルに言われた言葉を思い出し、病院から抜け出している。その後の所在は不明である。

無敗の化け物(むはいのばけもの)

ただならぬ雰囲気を醸し出す無敗の化け物。

本名不詳。貧相な顔つきで、和服を纏っている。暁に圧勝した謎の勝負師。
最終話にも彼らしき人物の影があったことから、クリスの手下であることが示唆された。無口で、セリフは一切ない。

ボス

チンチロリンでマサルと勝負するボス。

クラブを経営しているプロギャンブラー。スキンヘッドで喫煙者。
チンチロリンでマサルの同級生に圧勝し、マサルが代わりに勝負しに来たことで出会う。この勝負でマサルの存在感に圧倒され、マサルのことを「ただの子供だ」とは思わずマサルの才能に注目している。
ギャンブル・バーリトゥードにも参加し、一回戦は勝てたが、二回戦で伊達に敗北する。

マーレ

神に愛された子ことマーレ。

バカラを得意とする女性の凄腕プロギャンブラー。マサルの才能を見込んだボスが、マサルに「強いギャンブラーがいる」とマーレを紹介したことがきっかけで、マサルと勝負している。

マーレの戦略はバカラの目の出方をメモし、絶えずバランスを見て賭けをする。
その理由は、一度事故で臨死体験した際に神に出会ったことから。臨死体験中に神から「右か左を選べ、どちらかにお前の“生“が入っている」と言われる。そこでマーレは生を見事に選び、生き返ったのだという。それ以降、マーレは「神は2分の1を常に提示している、それに逆らわないこと」をモットーとし2分の1の勝利を引き続け、ギャンブルでも勝ちっぱなしである。そのため「神に愛された女」として各地の賭場で猛威を振るっていた。

ミニバカラでマサルと対戦するも、神のバランスを無視し、確率を度外視したマサルの采配に恐怖を覚える。そして勝負の途中で「今日はここまでにするわ」と実質の負けを認めた。
マサルと対戦する際、マサルの持ち金が足りなくなった場合には「若い少年の臓器は売れるでしょうから」と発言するなど、冷酷な一面がある。

ギャンブル・バーリトゥードに参加し、一回戦は突破するものの、途中で脱落。

ガエル

人の不幸を楽しむガエル。

オールを得意とする初老のギャンブラー。賭けに勝つよりも人の人生を破滅させることを楽しんでおり、一葉の父を騙し苦しめた張本人でもある。
禿げ頭で太っており、上半身裸の上に高価な衣類を羽織っているうえにアクセサリーもつけている。

マサルとの勝負に負ければ、一葉を養女にして「毎日一緒にお風呂に入ろう」と変態的な発言をして、怯える一葉や父親を面白がっていた。
しかしマサルとの勝負では、マサルの「間1枚しか狙わない」という言葉を聞き、もしそうなった時のために少しずつ場に溜まった参加料を削ったり、「間1枚で10倍オールを狙うやつはいない。やるとしても安レートでお遊び程度でやるものだ」と言うなど、勝負師としての冷静さや常人としての感性も持ち合わせている。

当初は自分が優位であったが、マサルの「間1枚しか引かない」フォームを崩さないスタイルにだんだん傾倒されていく。
これまでのツケが回り、自身もマサルによって破滅させられかけるが、一葉の父の借金を帳消しにすることで場を畳んだ。その直後、マサルに「カードを引かなくて、よかったね」と言われ、勝負が終わった直後に引いたカードがマサルの「間1枚」の当たり札であった。引いていればガエルの負けで、莫大な損失を受けることになっていた。そのことに気づいたガエルは、マサルに恐怖を覚えていた。

鎌田(かまた)

マサルの初戦相手の鎌田。

90歳の老人。ギャンブル歴80年という百戦錬磨の博徒であり、ヤクザたちも従え、警察にもパイプを持っている。杖の中に刀が仕込まれている。

当時10歳の時に体験した太平洋戦争での空襲時「飼っている金魚に手を合わせて祈り続ければ、自分の身代わりになってくれる」というジンクスを信じ、毎日金魚に祈り続けていた。するとある日、空襲があったが鎌田だけは助かり、金魚が代わりに犠牲になった。その経験からジンクスを信じるようになる。
そして勝負の時にも「爪を切ればツキを失う」「足を大事にしろ、さもなくば博打で負ける」などのジンクスをマサルに教える。実際にマサルは爪を切っていたり、靴が汚れていたりした。その状態でマサルが不利になれば「ジンクスは本物だ」と感じ、マサルに精神的揺さぶりを掛けることが出来る。鎌田の戦略はそれだった。

しかしマサルは、ジンクスを否定するのではなく受け入れていく。新品の靴を買ってきたり、「蚊に刺されるものは負ける」と言われた時は虫除けスプレーを使った。
鎌田が今まで勝負してきた中で、このような戦法を取る相手はおらずマサルに興味を抱く。激戦の末「マサルの将来を見てみたい」という想いを抱き、鎌田は手を引いて負けを認めた。
決着後、マサルの後見人になることを申し出たが、マサルに断られた。しかしその後もマサルを見守り、時に協力することもある。王偉にジャンが誘拐された時は、マサルからのメッセージに気づき監禁場所を突き止め助けた。
準々決勝からは、会場上部の観客席から勝負を沢尻とともに見物している。

大会後は、マサルとマサルの妹の親代わりになり、2人を居候させている。
中学生になったマサルの入学式に行きたがるなど、情に熱く「ただ孫のようなマサルを可愛がる」老人としての一面もある。

ヤクザたち

鎌田を「親父」「会長」と呼び慕う。大会1回戦目で鎌田と勝負しにきたマサルたちに、睨みをきかせ圧力をかける。
のちに王偉に拉致されたジャンを助けるために、王偉一味と対決しジャンを救出した。

賀川雄一郎(かがわ ゆういちろう)

部下を怒鳴りつける賀川。

マサルの2回戦の相手で、総資産50億の若き大富豪の社長。マスコミ等の前では愛想の良い人物を装っているが、本性は非常に傲慢。自身が出資した相手や買収含む会社の社員を奴隷のように扱い、暴力も平気で行っている。
大会の参加理由は賞金ではなく、優勝による名誉でビジネスを有利に進めること。財力のみを信じ、金でなんでも買えると思っている。「カカカ!」と高笑いする癖がある。中学時代は生活態度などが悪い問題児で、当時から右腕に刺青があった。

当初は勝ち星を1億でマサルから買おうとしたが失敗したため、ブラックジャックでマサルと勝負を挑む。
5億という莫大な資金でマサルと勝負を始めた。マサルが勝負に勝てば「その席に運があるのだろう、その席を500万で売ってくれないか?」とマサルに交渉をした。マサルは「いいよ」と席を売るが、その席に座っても賀川は勝てない。そのことでマサルは「運は金で買えない」ことを賀川に示し、また負けも示唆していた。
賀川がマサルに苦戦した際、さらに賭け金10億円引き出してくるよう秘書の柿本に命令した。しかし、柿本が「銀行が閉まっており不可能な状態」と説明しにもかかわらず、柿本に暴行した。さらには暴言まで吐き、図らずも自身の本性を公にしてしまう。
賀川は観客の金持ち達に「誰か10億円を貸してくれないか」と嘆願するも、その性格を問題視した観客達も賀川の元を去っていく。結果、マサルに惨敗した。

もっとも、1回戦は1億で勝ち星を買ったため不戦勝であり、ギャンブルは強くないことが窺える。

伊達智(だて さとし)

4コマ目の眼鏡をかけた青年が伊達智(だて さとし)。

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