ギャンブルッ!(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ギャンブルッ!』とは、鹿賀ミツルのギャンブル漫画作品。『週刊少年サンデー』(小学館)で2007年から連載され2009年に連載を終了した。20XX年、全面的に賭博行為を解禁した日本が舞台。世の中の全てがギャンブルに染まった街で、ギャンブルの天才・京本マサルが行方不明になっている父親を探すため、親友のジャンと共に世界一のギャンブラーを目指す物語。マサルの圧倒的な運の強さと駆け引きの能力。そしてジャンの確かな観察力と計算力。2人でギャンブルの世界でのしあがり、父親を探す物語。

『ギャンブルッ!』の概要

『ギャンブルッ!』とは、鹿賀ミツルのギャンブル漫画作品。『週刊少年サンデー』(小学館)で2007年年4・5合併号から2009年16号まで連載された。単行本は全11巻。
もともとは全8回で終了の短期集中連載だったが、読者の人気が高かったため短期連載中にそのまま週刊連載へ昇格した。
また本編連載終了後、 『近代麻雀オリジナル』(竹書房)にて続編的物語『GAMBLER! -勝負師-』が連載された。2010年6月号から連載されたが、2011年10月号で第1部は完結した。現在は休載中。

20XX年、日本政府がギャンブルを全面合法化し、日本は世界一のギャンブル大国となった。様々なギャンブラーが世界中から集まり、しのぎを削る毎日。
そこに現れたのは一人の少年・京本マサル(きょうもと マサル)。マサルは過去にギャンブルで負け、行方不明になった父・京本暁(きょうもと あきら)を探していた。いつか父に会い勝負するため、マサルは親友のジャンと共に様々なギャンブラーと戦っていく。
そして世界中のギャンブラーが集結する大会「ギャンブル・バーリトゥードトーナメント」に参加する。マサルは大会主催者のクリス・大神(クリス・おおがみ)から父の行方を教えてもらうため、優勝を目指す。
立ちはだかる巨大な敵を倒し、マサルは父の行方を知ることが出来るのか。確率とセオリーをねじ伏せる近未来少年賭博物語。

『ギャンブルッ!』のあらすじ・ストーリー

12歳の天才ギャンブラー、京本マサル

20XX年、日本政府は全面的に賭博行為を解禁した。イカサマ以外の賭博行為も認められ、年齢の制限もなかったためあっという間に日本は世界一のギャンブル大国になっていた。
町中の人間がギャンブルをするのが当たり前になっており、職業としてのギャンブラーも確立している。
そんな中、主人公の京本マサルは天才ギャンブラーである父・京本暁に誘われ父の仕事へついていく。しかしそこで暁は「無敗の化け物(むはいのばけもの)」と呼ばれる男との勝負に負けてしまう。そして暁は謎の組織に連れられ、それ以降行方不明となる。

5年後、小学6年生になったマサルは母と妹だけの家庭を支えるため、飲食店で皿洗いのアルバイトをしながら小学校に通っていた。アキラが行方不明になった時以来、一切ギャンブルをしていないマサル。
そんな中、ギャンブルで大負けした同級生を助けるため、親友で天才数学者の卵であるジャンと共に、同級生が借金をしている相手・ボスとチンチロリンに興じることとなる。
マサルはそこで圧倒的な勝負強さと運の流れを味方に、無事同級生の損を取り返すほどの勝利を挙げた。その後もマサルは、積極的にギャンブラーと戦っていく。
マサルはギャンブルに勝って金銭的に得をすることよりも、様々なギャンブラーと闘い強くなることで、日本一のギャンブラーになることを目指していた。それは純粋にギャンブルを心から楽しんでいるから。そして何よりも、行方不明になった父を探し出し勝負するためだった。

またマサルは自分で勝負する以外にも、「この人は純粋にギャンブルで勝ちたいんだな」という意志を感じたときには、人にギャンブルのノウハウを教え勝たせる場合もある。
実際に、臆病で負けっぱなしの同級生・草太(そうた)から「いじめっ子たちにギャンブルで金をむしり取られ、もう借金するしかない。ずっと負けっぱなしで悔しい!勝ちたいから助けて!」と助けを求められた時には、マサルが代わりに戦うのではなく、草太に「草太なりに勝つ方法」を考えさせ勝利へ導いていた。

他にも貧乏を馬鹿にするような、卑怯な手を使ってただギャンブルで金を稼いでいるだけの相手には手厳しい。
同級生の一葉(かずは)の父がガエルというギャンブラーに騙され、大損し一家破滅の危機が迫った時があった。一葉は2人の実力を信じて、マサルとジャンに「助けて!」と声をかける。
マサルとジャンがガエルのところへ行くと、ガエルは「騙される方が悪い、人の不幸は楽しいな」と完全に一葉たちを見下し笑い者にしていた。
それを見たマサルは一葉一家を助けるために、ガエルとの勝負を引き受ける。そしてトランプを使った「オール」で勝負が始まった。ギャンブルに詳しくないマサルにジャンがルールを教え、ジャンはジャンでカードの確立なども計算し始める。一方、マサルは「人の不幸で喜ぶ奴は許せない」とその気持ちだけでいいカードを引き続け、ガエルに勝っていく。これがマサルの運を引きつける能力である。
勝負の最後、ガエルが「8」のカードを引けばガエルが莫大な損を抱え破滅する。そんな状況になった時、マサルは「ガエルが次に引くカードの数字は8で、ガエルが破滅する」と分かった上で、ガエルに「早く引きなよ」と言い放った。普段は明るい笑顔を浮かべて優しいマサルだが、相手を不幸にさせるギャンブルをさせる相手には冷酷な一面を見せた。
その恐ろしさに「これ以上勝負をしたらマサルがおかしくなる」と感じたジャンがマサルを引き留め、ガエルがカードを引く前に勝負は終わった。
また一葉一家の大損もチャラにしてもらい、一葉はマサルとジャンに救われた。

日本一のギャンブラーを決めるトーナメントへ

ある時マサルは、「ギャンブル・バーリトゥードトーナメント」というギャンブルのトーナメントを知る。マサルは色んなギャンブラーと勝負し、父の情報を得るために参加。ギャンブルのルールを知らないマサルは、全てのギャンブルに詳しいジャンも連れてトーナメントへ向かった。

マサルの第1回戦の相手は、賭博歴80年の鎌田という極道の組長だ。
その勝負中、鎌田は「蚊に刺されると負ける」「靴がボロボロな者は負ける」といったジンクスを披露する。実際に勝負中、マサルは蚊に刺され靴もボロボロだった。鎌田はそれを指摘することで、マサルに「負けるかもしれない」という精神的揺さぶりをかけた。しかしマサルは「虫除けスプレーを使う」「新品の靴を買う」などとジンクスを1つずつ壊していくことで、今度はマサルが鎌田に揺さぶりをかけた。
その結果、鎌田は「ワシの揺さぶりに動じない奴は初めてだ」とマサルに関心し自ら負けを認めた。マサルは勝利した。
情に厚い一面もあり、勝負後はマサルの後見人に名乗り出ているがマサルに断られている。また大会終了後は、母が危篤状態であるマサルを引き取って親代わりにもなっている。

マサルの第2回戦の相手は賀川雄一郎(かがわ ゆういちろう)という、資産50億円の若き富豪だ。
賀川は「金で全て買える」と思っており、外面はいいが誰に対しても傲慢な態度を取っていた。しかしマサルは「運だけは金で買えないよ」と圧倒的な運の強さを賀川に見せつけ、この勝負もマサルが勝利した。
賀川は「負けたのはお前らのせいだ」と部下や周囲に罵詈雑言を吐き、その結果周囲からも見放されていた。

マサルの第3回戦の相手は伊達智(だて さとる)という冷静沈着な高校生だ。
伊達は必ず10台以上のテーブルがある大きなカジノで、ブラックジャックのみでギャンブルをしていた。その理由は、学校中の生徒と手を組んでいる戦略をとっているからだ。
伊達がテーブルにつく前に、他の生徒がテーブルについておく。そしてある程度、自分が勝てるまでカードを減らせたタイミングで、今度は伊達がテーブルに着く。その結果、残りのカードの手の内が分かり、短時間で勝利することができるという作戦だった。そのことをジャンは見抜き、マサルに教える。
そんな伊達に勝つ手段としてマサルがとった行動は、伊達がつくテーブルに自分もつくことだった。伊達と同じように残りのカードの手札を読み、伊達よりも賭け金を増やすことで見事に勝利した。
マサルと出会うまでは、「ギャンブルは金のなる木」とビジネスの一つとしか見ていなかった。しかしマサルとの緊張感ある勝負を終え、ギャンブルの本当の楽しさを知る。負けても伊達は、清々しい顔をしていた。

マサルの第4回戦の相手はカラガーという傲慢な貴族だ。
カラガーの希望により、競馬で勝負することになる。カラガーは競馬の達人で、あらゆる馬と騎手を見て今まで勝利を収めていた。しかし、マサルは「競馬に来ている人」を見ていた。
その中で損得よりも、勝負に勝ちたいという強い気持ちを持った少年・ロメオに出会う。マサルはロメオが馬や騎手ではなく「勝ちの流れ」を見ていることを見抜き、少年の言う通りに馬券を買っていく。その気持ちはカラガーのデータ以上を見る力を超えたため、マサルはカラガーに勝った。
貧乏を見下し、マサルのことも下に見ていたカラガーはこの敗北にショックを受けていた。

マサルの第5回戦の相手は、ミーシャ・ビストロフというロシア人の老人だ。落ち着いた年配の男性で、勝負に勝つことよりも人が死ぬ瞬間を見届けたいというサイコパスである。
ビストロフはロシアンルーレットを提案したが、マサルは「命までかけるギャンブルはしない」と棄権を申し出る。そこに沢尻シュンスケ(さわじり シュンスケ)という青年が、マサルの代わりとして勝負に名乗り出る。沢尻は若干26歳という年齢で、このトーナメントの優勝候補筆頭だ。
ビストロフがロシアンルーレットで勝ち続けていた秘訣は、長年銃を触り続け「弾が今どこにあるか」を把握していたからであった。そこで沢尻も驚異的な集中力と、観察力でビストロフと同じ能力をすぐに習得した。沢尻は勝負中、銃に入った弾が今どの位置にあるのかを、手の感覚だけで見抜き簡単に弾の位置を把握する。
その結果、沢尻はビストロフとの勝負で勝利を収め、実質マサルの勝利となる。
勝負後、必ず勝つネタがバレたビストロフは、今まで負かしてきた被害者関係に粛清されている。

次の勝負の前に、マサルは誘拐される。それは「マサルがどんな状況でも屈しない、将来有望なギャンブラーか」を確かめるために、大会主催者のクリス・大神が仕組んだものだった。
大神はロイコ一味という犯罪集団に、「マサルは1億円近い金を隠し持っている。本人を誘拐し拷問して居場所を吐かせれば、そのままその金をくれてやる」と提案する。そしてマサルは下校途中に、ロイコ一味に誘拐されたのだった。
マサルはその状況こそ知らなかったものの、ロイコ一味が「マサルの1億円を狙っている」ことを知ると、「ギャンブルで勝った1人に1億円の在処を教える」と提案する。ロイコ一味はその提案にのり、マサルと1億円をかけたポーカーに興じる。マサルは勝負中に「1人だけ勝ち逃げして、1億円を独り占めさせる気だ」という不信感をロイコ一味に与え、仲間割れを起こしお互いを殺させる。その隙をついて、マサルは監禁されていた山小屋から脱出、助けを呼ぶことで生きながらえた。

最終決戦、そして日本一のギャンブラーに

無事に大会へ戻ったマサルの次の相手は、ベスト8でもあるサバラだ。
千里眼を持つと言われ、サバラは勝負中に相手の癖を見抜いて指摘する。そうすることで相手を動揺させ、加えて癖から相手の手札までをも読む戦略でのし上がってきた。
また勝負後に相手の癖を公表することで、相手が2度とギャンブラーとして生きられないように徹底的に潰す。いやらしい性格の持ち主である。
マサルも当初は癖を見抜かれ、負ける流れになってしまった。そこでマサルは新しい癖を身につけることで、サバラを動揺させる。またマサルも勝負中にサバラの癖を見抜いており、その癖を勝負を見ているギャラリーの前で暴露する。このままサバラの癖を全て暴露されれば、今後勝負師として活躍出来なくなるとサバラは負けを認める。マサルの勝利となった。

一方で沢尻も勝ちを重ね、次に勝利すればマサルと勝負するところまで来ていた。
そんな沢尻の相手は、フランシス・ギャラス。ギャラスは沢尻に「ルーレットで勝負しよう」と提案。沢尻は即答する。沢尻からも「ルーレットのホイールを止めて球を投げよう」と提案。そうすればより一層、ディーラーの投げた球の狙い目が正確になる。
勝負が始まり、球を投げるディーラーの心理を読もうとするギャラス。それに対し沢尻はルーレットの作りや球の重さ、速度を見ていた。
ギャラスは巧みな話術でディーラーの潜在意識を操作し、自然と自分の狙い通りの数字へ球を入れさせる。当初は勝ちの流れがギャラスに来ていたものの、段々と沢尻の予想した数字に球は入っていく。その理由は、沢尻は球の速さや、ルーレットの構造を観察して数字を読んでいる。それだけだった。
その後も全ての狙いを的中させ、沢尻はこの勝負に勝利。次はマサルと戦うことになる。

そんな中、マサルは母が倒れたことを知り病院へ駆けつける。くも膜下出血で、予断を許さない状態だった。母は病院に搬送されている時も、ずっと「暁さん…」と父の名前を呼んでいたことを主治医に聞かされるマサル。
そこでマサルは、このトーナメントの主催者であるクリスのところへ出向く。そしてアキラの行方を知っている大神へ「この大会で優勝したら父さんの行方を教えて」とクリスにお願いする。クリスは「優勝したらな」とマサルと約束を交わした。

マサルの準決勝の相手は王偉(ワンウェイ)だ。
王偉は試合前にジャンを誘拐し、マサルに「次の勝負、負けなきゃ親友のジャンを殺すぞ」と負けるよう脅しをかけてくる。王偉は確実に勝つために、今までも同じように人質を取り勝利を重ねてきた。それは大会で優勝して家族に認められてもらうため。それだけではなく皆から尊敬の眼差しで見られたいという自己顕示欲によるものだった。
迎えた勝負当日、マサルは王偉と花札で勝負することになる。マサルはその花札をガラケーの文字盤に見立て、鎌田や観戦に来ていた一葉へ、「ジャンが誘拐されている」とメッセージを送る。それを理解した鎌田がジャンの誘拐場所に駆けつけ、無事にジャンを救い出した。
それを知ったマサルは本気で王偉を潰しに行く。かなり差が生まれた状態だったが、王偉が大した実力の持ち主ではなかったこともありマサルは勝利を収めた。
王偉は勝負後、過去の対戦相手の関係者に復習されて死亡している。

最後の勝負は、マサルと沢尻の一騎打ち。丁半で勝負することになった。
沢尻は圧倒的な動体視力で、ツボ振りの手つきから結果を予測し次々当てて勝っていく。
しかし、そんな沢尻に時間はなかった。実は沢尻は急性白血病で、かなり特殊な血液型のため身内でなければ骨髄移植が出来ないほどだった。勝負の途中でも「ちょっとトイレ」と言って抜け出し、吐血するほど体に限界はきていた。

沢尻がギャンブラーになった理由は、父親に復讐するためだ。
沢尻の父はギャンブルで借金を作り、事故に見せかけて妻を事故死させた。そのお金で借金を返済し、今も自由に暮らしているという。父のせいで母を亡くしたと、沢尻はずっと父を恨んでいた。そしてクリスが父親の情報を知っていることから、沢尻はこのトーナメントで優勝し父親の情報を得て復讐するつもりだった。
自分の余命もないこともあり、沢尻の気迫はどんどん鬼気迫るものになっていく。
それに気づいたマサルが「沢尻の兄ちゃん、今ギャンブル楽しい?父親を恨むためにギャンブルをしちゃダメだ、恨むべきはギャンブルの闇なんだ。自分を見失わないで」と助言したことにより、沢尻も心を入れ替える。勝負の最後は、心からギャンブルを楽しむことが出来た。
最後の勝負の結果は同点優勝。マサルと沢尻は日本一のギャンブラーとなった。

中学生になったマサル

大会終了後、沢尻は病により倒れるが、クリスが手配した父親の脊髄移植で生きながらえた。
クリスは「憎んでいる父親で生かされているのは悔しいだろう」と沢尻を煽る。そして「世界のギャンブラーたちが集まり、国益を賭けて戦う試合に出ないか」と沢尻を誘う。しかし沢尻はマサルとの言葉を思い出し、「ギャンブルはそんなことをするためにあるんじゃない」とその誘いを断った。沢尻は病院を抜け出し、その後は消息不明となっている。

マサルたちも中学生になり、鎌田の家でお世話になっていた。マサルの母は未だ意識不明で、自分1人では残された唯一の肉親である妹を守れないと思ったからだった。

マサルは沢尻と同点優勝したため、クリスと交わした約束「暁の情報を教える」は果たされなかった。またクリスから「世界で戦わないか」と誘われていたが、マサルは「あんたの言いなりになって、父ちゃんに会っても父ちゃんは喜ばない」と誘いを断っていた。しかし、まだマサルは「自分の力で父ちゃんを見つける」と諦めていなかった。
ジャンも天才数学者の父の勧めで海外留学していたが、マサルといた方が楽しいと親に反抗してまで日本へ戻ってきていた。最後は一葉と3人で仲良く、中学校へ登校する姿が描かれている。

物語の最後、アキラの行方が明かされている。アキラは戦いの中で精神を病み、損得だけを追い求める最強ギャンブラーとしてクリスの下で世界と戦っていた。マサルはこのことを知らず、いつか闇堕ちした父と再会出来るのかは明確に描写されていない。

『ギャンブルッ!』の登場人物・キャラクター

主要人物

京本マサル(きょうもと マサル)

どんな状況でもギャンブルを笑顔で楽しむ京本マサル(きょうもと マサル)。

本作の主人公。区立南小学校6年3組。小柄な12歳。ギャンブルに必要な資金と生活費を稼ぐため、皿洗いなどのバイトをしている。犬以外の動物が苦手。母と妹と暮らしている。
アルバイトばかりで学校にはほとんど出席していないことが多い上に、遅刻の常習犯でもあり学業の成績も悪く、運動もあまり得意ではない。

幼少時、賭けに大敗し行方不明となった父・京本暁と再会すべく、プロのギャンブラーを目指す。
場のツキや流れを読み取る。また、それを操る才能があり確率を無視した采配を行う。その采配の的確さと破壊力から、ジャンに「爆弾」と比喩されている。
この能力は、マサルが小学生になった頃から既に開花している。例えば、ジャンと日にちを選んでジャンケンして連勝していたときに「それが勝負で勝つ秘訣」であると言っていたり、暁の勝負を初めて見た時、無敗の化け物の「影」が見えていて、手本引きの出目を無意識のうちに読んでいた。

損得よりも「強いギャンブラーと戦う」ことを目的としており、それも「父のようなギャンブラーになりたい」「強くなって父の情報を得たい」という気持ちからきている。しかし、ギャンブルの知識は皆無であり、対戦時にはルールなどをジャンから教わっている。いつも締まりの無い笑顔を浮かべているが、時折周りを戦慄させる表情を見せる。

駅で偶然、沢尻と出会い「ギャンブル・バーリトゥード」という世界中からギャンブラーが集まるトーナメント大会を知る。
それにジャンと参加し、順調に勝ち進んでいたが第5回戦ビストロフと「命をかけたロシアンルーレット」の勝負を持ちかけられた時には「命はかけない、死んでもそんなギャンブルはしない」と発言し勝負を棄権した。その際には、沢尻がマサルの代わりにビストロフと対決した。結果、沢尻が勝利し実質マサルの勝ちとなっている。

しかしビストロフとの試合放棄後、大会主催者・クリスの「試合放棄した上で勝ち認定は出来ない、本物のギャンブラーか見極めるために試練を与えよう」という企みにより、ロイコ一味に拉致・誘拐される。ロイコ一味はクリスから「マサルはどこかに1億円隠し持っている。その在処を吐かせたら1億円やる」と聞いており、マサルを拷問して1億円の場所を聞き出そうとする。そこでマサルは「ギャンブルで僕に勝てた1人だけ1億円の場所を教える。それまでは何をされても1億円の場所を吐かない」と提案を持ちかける。
金欲しさからロイコ一味はマサルとギャンブルを始める。マサルは自分がわざと負けたり、場を乱したりすることでロイコ一味に「仲間のうちの誰かが裏切って、1億円を独り占めする気ではないか?」という疑心暗鬼を生ませる。そして仲間内で疑い、潰し合わせることでギャンブルの勝ち負けを超えて殺し合いをさせた。その隙にマサルは監禁場所である山小屋から抜け出し、ロイコ一味の携帯を使って警察に助けを求めた。
この出来事から、人の心理状態を悪い方へ操れるような才能までも開花している。

大会途中、母がくも膜下出血により倒れる。母が朦朧としながらも「暁さん…」と父の名前を呼んでいたことから、クリスに「大会で優勝したら父親の情報を教えて」と約束を取り付ける。クリスは「優勝したなら」とその約束を飲んだ。
家族を大切に思う少年としての心も持ち合わせている。

様々な不運に巻き込まれながらも「ギャンブルの闇を憎むべきで、ギャンブル自体は楽しむものだ」という気持ちは最初から持ち続けていた。そのためギャンブルで人を不幸にさせたり、人を見下したりする相手に関しては容赦がない。
実際に一葉一家を落とし入れ、嘲笑っていたガエルに対して「ガエルが負ける」ことが分かっていながら勝負を続けようとした。また「日本のギャンブラーは馬鹿ばかり」と馬鹿にしてきたサバラに対しては、サバラの癖を見抜きそれを順番に公表していった。そしてサバラが破滅する前に「さっきの発言謝って、そうしてくれるならサバラの癖をこれ以上公表しない」と提案を持ちかけるほど。
沢尻との最終戦でも、沢尻の寿命が迫っている中、沢尻は憎んでいる父親の情報を得たいがために鬼気迫る勝負をしていた。ギャンブルを心の底から楽しめていないと感じたマサルは「沢尻の兄ちゃん、ギャンブルは楽しまないとダメだよ」とアドバイスして、沢尻の心を真っ直ぐに戻した。そして共に同点優勝し、日本一のギャンブラーになっている。

大会後、同点優勝で単独優勝ではなかったため、クリスとの約束は果たされなかった。
また、クリスから「国益を賭けて戦うギャンブラーとして、私の下で働かないか。父親の情報もくれてやる」と提案を持ちかけられたが、マサルは「そんな形で再会しても、父ちゃんは喜ばない」とクリスの誘いを断った。しかし、暁を探すことは諦めていない。
マサルが中学生になっても母の意識は戻っていない。小さな妹もいたため、大会後は鎌田の家で居候させてもらっている。

ジャン

賭けに大負けした同級生から「代わりにギャンブルをしてくれ」と頼まれるも、冷たく断るジャン。

マサルの幼馴染でクラスメイト。マサルの相棒的存在で、ギャンブルに詳しくないマサルにアドバイスやルールを教えたりする。 マサルの参謀として大会での勝負にも同席し、マサルをサポートした。
数学博士の父親の英才教育により、数学に関しては非凡な頭脳を持つ。そのため世界数学大会で小学1年生の時から、ずっと優勝し続けている。

基本的に勝負に参加するというよりは、サポート的な立ち位置。しかし心の中では、マサルの確率を無視した采配を見ては、マサルに対する興味やライバル心を抱きつつある。
そのためマサルの運と自分の計算、どちらが優れているか結論を出すために、マサルとカジノ・ウォーで勝負したこともあった。しかし、その途中で一葉が2人に助けを求めてきたために中断。中断されるまでは勝負師として、マサルとほぼ互角に渡り合う腕前を見せていた。
また伊達とマサルが勝負する前、伊達が「ブラックジャックを短時間で行い、必ず勝利している」カラクリを知るために、5日間もカジノに通い伊達を監視し続けた。「必ず伊達の戦略を暴いてマサルを勝利させたい」という、忍耐強く仲間思いな一面もある。

大会終盤、マサルを脅すため王偉に誘拐、監禁される。その際にマサルへ「妹の志乃と美代のことをよろしく」と伝えた。しかしジャンには妹がおらず、これはジャンからマサルに宛てたメッセージである。
ジャンは誘拐された際、桜通りという場所に来ていることだけは分かった。そのため花札で桜の絵が描かれた「みよしの」を含んだ「妹の志乃とみよという言葉をマサルに伝えることで、自分の監禁場所を知らせていたのである。それに気づいたマサルは、迎えた王偉との勝負中に花札を使い、観戦していた鎌田と一葉へ「ジャン拉致」「桜」を伝える。鎌田もそのメッセージを受け取り、警察と仲間を引き連れて桜通りにいるジャンを助け出した。

大会後、ジャンは父親の方針でアメリカの大学へ飛び級留学することになっていた。しかし、ジャンは「こっちのほうが面白そうだから」と言ってアメリカ留学をやめ、マサルと一葉と同じ中学に通う。

一葉(かずは)

正義感が強い一葉。

マサルとジャンの同級生。クラスで人気No.1の女の子。気が強くて、賭けが嫌い。
ある時、父のギャンブルの失敗で家族が崩壊しそうになる。その時、マサルとジャンが「ギャンブルに強い」という噂を聞き、2人に助けを求める。

父を騙し大損させた相手はガエルという年配の男だ。ガエルはマサルとジャンの勝負に乗るものの、「負けたら一葉を養女にして、毎日一緒にお風呂に入る」と脅してくる。それでも一葉は2人を信じ「私はそうなっても構わない!マサルくんとジャンくんが勝つ方に賭ける!だからお願い!」と2人を信頼し勝負をお願いした。
結果、人の不幸を喜ぶガエルを許せないマサルに、ガエルはコテンパンに負け、一葉も一葉一家もマサルに助けられた。

この出来事以来、一葉は2人を信じ、特にマサルに興味を持つようになる。そのため賭けは嫌いだが、マサルの勝負は観戦しにいくようになる。
大会後はマサル、ジャンと同じ中学に通う。

沢尻シュンスケ(さわじり シュンスケ)

勝負になると目の色が変わる沢尻シュンスケ(さわじり シュンスケ)。

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