本当はもっと重い「甘城ブリリアントパーク」

この春に放映されたテレビアニメ「甘城ブリリアントパーク」の原作がライトノベルだと知っている人は多いでしょう。ですがアニメと原作でストーリーがかなり違っていることは知らない人も多いのではないでしょうか。「大切な人のために手を汚せるか」……そんな重いテーマが描かれているのです。詳細はネタバレになるので書けませんが、アニメよりも原作を読んでほしいと思ってしまう作品のひとつでもあるのです。
アニメにそぐわないと判断された?
この春アニメが放映された「甘城ブリリアントパーク」(作・賀東招二、イラスト・なかじまゆか)ですが、アニメと原作のライトノベルでは多少ストーリーが違います。ここで紹介するのは原作の方ですが、意外と重いテーマが隠されており、そういう描写がアニメファンにはそぐわないと判断して、ストーリーを改変してしまったのかもしれません。

大切な人のために手を汚せるか?
潰れそうな遊園地「甘城ブリリアントパーク」をいかにして立て直すかという大筋に変化はないのですが、アニメだと3カ月で25万人の来場者が必要だったのに対し、原作では2週間で10万人とより切迫した状態になっています。そのほかにも相違点は多いのですが、一番違うのはこのノルマをどうやって達成したかでしょう。原作ではある人物を救うために、主人公が犯罪行為に手を染めることになります。
ここは原作でも賛否両論だったところですが、「大切な人を救うために手を汚せるか?」という比較的重いテーマをベテランらしく上手に描いていると思います。ただ……これを地上波に乗せるのは厳しいとアニメスタッフが判断したのもうなずかざるを得ません。
もちろんこれで終わりではなく、主人公はこのツケを払わされることになるのですが、どういうストーリーなのか知りたい方は、アニメと原作との違いを確認するという意味も含めて、本書を実際に読んでみてください。

ヒロインの1人、ラティファ。彼女の盲目設定がなくなったのも違いのひとつです。
下品で楽しい「ゲスコット」
ちなみにこの遊園地のマスコットは「中の人などいない」本物の妖精体だというのはアニメ、原作共通の設定なのですが、一部の読者から「ゲスコット」といわれるように、必ずしも品があるとはいえないのも原作との相違点です。下ネタや犯罪ネタをそのまま地上波に乗せてしまうのは無理だったのかもしれませんが、できれば批判覚悟で改変なくやってほしかったと考えるのは私だけでしょうか?

居酒屋のゲスコットたち。こういうノリが楽しい。