初恋のきた道(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『初恋のきた道』とは、1999年に公開された中国映画。押し寄せる時代の荒波の中を生きた男女のヒューマン・ラブ・ストーリーである。都会で暮らすユーシェンは父親の訃報を聞き故郷の村へ帰って来た。母親は、今では行われていない昔のしきたり通りの葬儀をすると言って周囲を困らせる。町に出かけた際に亡くなった父の棺を担いで葬列を組み、村まで戻ると言い張ったのだ。そんな母の様子を見て、ユーシェンは父と母の出会いを思い返す。そこにこそ、母がそれほどまでにこだわる理由があったのだった。
現場で働く男達に料理を持って行くのが女達の仕事だった。
当時の風習で、女達は家や井戸を作る現場に近付いてはいけないとされていた。そのため、作業現場の少し離れた場所に女達は料理を届けに行くのだった。
ディは、自分の作った料理を誰が口にするのか分からないが、チャンユーに食べてもらいたい一心で懸命に料理を作り続けていた。
機織り
新しい建物の梁に赤い布を巻く風習があり、学校を建てる時ディはその布を織る役に選ばれた。
チャンユーが亡くなった際も、ディは棺に掛ける布を当時と同じ機織り機で織っていた。
『初恋のきた道』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
チャンユー「一幅の画のようで一生忘れない」
各家で食事をすることになっていたチャンユーが初めてディの家を訪ねる時、出迎えてくれたディを見て「一幅の画のようで一生忘れない」と後に語っていた。
ディの美しさに思わず見惚れるシーンが印象的である。
吹雪の中を待ち続けるディ
チャンユーが村を去る前、「戻って来る」と言ってディと約束した日がやって来ると、ディは朝からずっと雪の中を待っていた。しかし、チャンユーが姿を現すことはなかった。
辺りが暗くなって行くと共に、ディに降り積もる雪の変化で時間の経過を描く演出が印象的である。
どこまでも一途なディの、ひたむきな健気さが伝わって来るシーン。
ディの母親「作った人が娘の心を持って行った」
ディは毎回作業現場に、青花の椀に料理を入れて持って行っていた。
そしてチャンユーの好物のきのこ餃子を振る舞う約束をしたが、チャンユーが村を出て行ったと聞かされる。急いでディは青花の椀に入れたきのこ餃子を持って馬車に乗ったチャンユーの後を追う。しかし走っている途中で転んでしまい、椀が割れてしまったのだった。
ディの母親は瀬戸物修理屋を呼び、修繕を依頼した。「これじゃ直すより買ったほうが安いよ」と修理屋が言う。そして形見なのかと尋ねると、ディの母親は「使った人が娘の心を持って行った。せめて椀だけでも残してやりたい」と答えた。「それじゃ心を込めて直さないとな」と修理屋は言った。
身分が違い過ぎるからあきらめるようディに伝えていた母だったが、ディの気持ちは大事にしてやりたいと考えていたのだ。
娘を思う母親の心情を描いたシーンである。
大勢の教え子が集まる
チャンユーの葬儀の際、昔の習わし通り葬列を組み棺を担いで村に戻りたいと言って聞かないディのために、ユーシェンは町から人を呼び、その賃金も払うと申し出た。すると、チャンユーの訃報を聞き大勢の人が集まる。集まった100人は皆チャンユーの教え子だったのだ。
お金は受け取らないと言い、ディの希望通り葬列を組みチャンユーを村まで連れて行く教え子達。ユーシェンはそんな父親を誇らしく思い、父親の偉大さを改めて思い知るのだった。
『初恋のきた道』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
モノクロとカラー
本作は、チャンユーが死んだ後のことと、ディとチャンユーの馴れ初めの二つの時代をそれぞれ描いている。
通常ならば現在パートをカラー、過去パートをモノクロとするのが自然だが、本作はその逆の、現在パートがモノクロ、過去パートがカラーとなっている。
過去のシーンではチャンユーとディが出会った春頃から、突然の別れ、そして再会に至るまでの色彩を色鮮やかに映し出しているが、現代のシーンではチャンユーが亡くなった悲しみを表しているかのように、色彩が失われているモノクロの演出となっている。
文化大革命
文化大革命とは、中国全土を揺り動かした政治的、社会的動乱。
物語は文化大革命以前の話ではあるが、徐々にその波が押し寄せて来ているようだった。
チャンユーが町に連れ戻された理由は説明されていないが、文化大革命の混乱に巻き込まれたとされている。
『初恋のきた道』の主題歌・挿入歌
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目次 - Contents
- 『初恋のきた道』の概要
- 『初恋のきた道』のあらすじ・ストーリー
- 父の訃報
- 2人の出会い
- 突然の別れと再会
- 『初恋のきた道』の登場人物・キャラクター
- チャオ・ディ(若き日の母)(演:チャン・ツィイー)
- ルオ・チャンユー(演:チョン・ハオ)
- ルオ・ユーシェン(演:スン・ホンレイ)
- チャオ・ディ(老年の母)(演:チャオ・ユエリン)
- 『初恋のきた道』の用語
- 料理
- 機織り
- 『初恋のきた道』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- チャンユー「一幅の画のようで一生忘れない」
- 吹雪の中を待ち続けるディ
- ディの母親「作った人が娘の心を持って行った」
- 大勢の教え子が集まる
- 『初恋のきた道』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- モノクロとカラー
- 文化大革命
- 『初恋のきた道』の主題歌・挿入歌
- ED(エンディング):San-Bao「The Road Home」
- 挿入歌:San-Bao「Tear Drops」